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メールレター第184号

   鹿児島産業保健総合支援センター メールレター第184号  2018/07/03

      発行:鹿児島産業保健総合支援センター 所長 草野 健

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相談員からのメッセージ confident

安心と安全の裏に依存症

産業保健相談員 竹元 隆洋  
(担当分野:メンタルヘルス)

  安心と安全が望まれる時代の裏に緊張と不安が横たわっている。そのストレス状態を癒そうとして薬物やアルコールやギャンブルなどの依存症になる危険性は高い。アルコール依存症は我が国で109万人と推定され、特にギャンブル依存症は320~500万人というデータもある。ギャンブルの「遊んで金儲け」「不労所得」の精神構造は勤労意欲を低下させ、一方、金への執着は限界がなくなる。依存症になると、依存行動を止められなくなり借金を重ねてしまう。ここからは地獄である。サラ金を3社も5社も自転車操業しながら、ギャンブルのこと以上に借金のことで頭は占められ、一瞬たりとも心安らかになれない。周囲の人々からは「借金までしてパチンコを」と理解されない。借金をしている本人は他の人の意見や注意に耳を傾けようとしない。友人を失い、愛を失い、家族を失い、仕事を失い、全てを失い、孤立の世界に入っていく。借金をしている人の200人中166人(83%)は家族が返済しているというデータもある。家族もギャンブル依存症という病気のことを知らない。2回、3回と返済をしながら今度こそは止めてくれるものと信じてしまう。しかし、依存症はそうたやすくない。ここまでくる前に早く治療をすることが何より大切だ。今、国はカジノ法案を着々と進めており、ギャンブル依存症対策の具体化を待っている。私の病院も班研究の指名を受けて早期介入の簡便な外来治療法の研究に取り組んでいるが、まだ結論が出るのには時間がかかりそうだ。

おすすめ教材(無料貸出し等) book 

当センターでは、産業保健に関する図書、ビデオ・DVDを無料にて閲覧・貸出ができます。
ぜひご利用ください。

★★★おすすめ図書 book★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ここからはじまる 早わかり労働安全衛生法
(分類:2-182,東洋経済新報社, 2005年発行、143頁)

【概要】
   第一章:労働安全衛生法とはどんな法律?
   第二章:安全衛生管理体制を見てみよう
   第三章:労働者の危険と健康障害を防止するために
   第四章:特に危険な作業を必要とする機械と有害物質の規制
   第五章:派遣労働者の安全衛生
   第六章:労働者が就業するために必要なことは?
   第七章:健康の保持増進のためにすべきこと

★★★おすすめビデオmovie ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★)
熱中症をあなどるな 熱中症危険と対策
(分類:5-40,労働調査会 開発局 15分)

【内容】
たとえ直射日光が当たらない屋内の作業場所でも湿度が高く風通しが悪い場所では熱中症の危険が同様に存在するのです。熱中症は気付かないうちに体温が急上昇しミネラルが不足し急速に脱水症状におちていってしまう急性疾患です。熱中症は死に至る場合もあります。熱中症の発生しやすい条件、時間帯などを分析し予防対策を示します。
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研修セミナーのご案内 pencil

すべてのセミナーにどなたでもご参加いただけます。
(定員は各セミナー30名、場所は光健ボイスビルです)

7月

  ☆6日(金)14:00~16:00【小田原先生】
    「ストレスチェック事例検討」
      日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

  ☆7日(土)14:00~16:00【前田先生・桑原先生】※鹿児島県医師会主催
     「健康づくりのための運動指導について」/ THP対象研修会
     ※会場:鹿児島県医師会(鹿児島市中央町8-1)
     日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

  ☆7日(土)16:10~17:10【大澤先生】※鹿児島県医師会主催
     「労働衛生関係法令/ THP対象研修会
     ※会場:鹿児島県医師会(鹿児島市中央町8-1)
     日医産業医認定単位:生涯(更新)1単位

  ☆9日(月)14:00~16:00【冨宿先生】
     「現場での応急手当 最新版」
     日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

   ☆ 11日(水)14:00~16:00【長友先生】
    「うつ病への対応② -身体疾患の併存-」
     日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  ☆19日(木) 14:00~16:00【河村先生】
     「治療と就労の両立支援について」
     日医産業医認定単位:生涯(更新)2単位

   20日(金)14:00~16:00【久留先生】
    「メンタルヘルス・カウンセリングⅡ
    「パワハラ、セクハラ」の心理支援(トラウマ、PTSD)」
     日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  23日(月)18:00~20:00【堀内先生】
    「職域における身体活動と健康   
     日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  ☆28日(土) 14:00~16:00【黒沢先生】
     ※会場:鹿児島市医師会館(鹿児島市加治屋町3-10)
    「職場巡視と労働衛生管理」
     日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

8月

  ☆ 8月2日(木) 14:00~16:00【赤崎先生】
  「心の癖を知る-性格は変えられるものか?-」
   日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

  8月 8日(水) 14:00~16:00【徳留先生】
  「結核の現状と施設内(院内)感染」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  ☆ 8月18日(土) 14:00~16:00【東先生】
  「産業医として知っておくべき化学物質のリスクアセスメント
  (その2)~実測値を用いたリスクアセスメント~」

     ※会場:鹿児島市医師会館(鹿児島市加治屋町3-10)
    日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  ☆ 8月22日(水) 14:00~16:00【長友先生】
    「うつ病への対応③ -性別・年代別の特徴-」
    日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  8月24日(金) 14:00~16:00【德永先生】
    「快適睡眠で健康長寿を実践する」/THP対象研修会
   日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

  8月27日(月) 14:00~16:00【冨宿先生】
    「職業性胆管がんとは何だったのか」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

     ☆…産業医対象で、産業医認定単位があります。
     …産業保健スタッフですが、産業医認定単位はあります。

お知らせ sign01

◆◆鹿児島産業保健総合支援センター情報◆◆
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

当センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
http://kagoshimas.johas.go.jp/about/otoiawase/contact.html

メンタルヘルス対策支援のご案内

従業員の心の健康対策への取組方法がわからないという事業場の皆さまへ私たちは、メンタルヘルス対策に取り組もうとする事業場を支援します。
http://kagoshimas.johas.go.jp/about/mental/cat426/work.html

地域産業保健センターのご案内

労働者数50人未満の小規模事業場では、労働者に対する産業保健サービスを充実させることを目的に、地域産業保健センターが設けられています。
http://kagoshimas.johas.go.jp/about/cat638/post_15.htm

治療と職業生活の両立支援事業

当センターでは、両立支援に関する各種支援を無料で提供しています。ぜひご活用ください。
▼ 両立支援事業
http://kagoshimas.johas.go.jp/about/cat765/cat768/post_18.html
▼ 鹿児島産業保健総合支援センター両立支援相談窓口
http://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-sanpo.pdf

「治療と職業生活の両立支援」と「心の健康づくり」のための研修会のご案内

鹿児島労働局及び鹿児島産業保健総合支援センターは、職場の管理監督者の方々を対象にした「治療と職業生活の両立支援」と「心の健康づくり」のための研修会を開催いたします。
当研修会では、両立支援を巡る状況、両立支援の位置づけや意義、両立支援を行うに当たっての留意事項などの両立支援対策の概要やメンタルヘルス対策(心の健康づくり)の進め方などを理解することができる内容となっていますので、是非ご参加いただきますよう、お願いいたします。

 http://kagoshimas.johas.go.jp/about/H30-goudoukensyukai.pdf

両立支援出張相談窓口

当センターでは、国立病院機構 鹿児島医療センター内に設置していた「両立支援出張相談窓口」に加え、4月から鹿児島大学病院内にも「両立支援出張相談窓口」を設置しました。両立支援出張相談窓口の設置状況は次のとおりです。

(1)国立病院機構 鹿児島医療センター がん相談支援センター内
     相談窓口開設日時・・毎月第1・3火曜日 10時~13時
       7月の相談日 → 3日(火)・17日(火)
       8月の相談日 → 7日(火)・21日(火)
       9月の相談日 → 3日(火)
(2)鹿児島大学病院 地域医療連携センター内
      相談窓口開設日時・・毎月第3木曜日 10時~12時(事前予約が必要です)
       7月の相談日 → 19日(木)
       8月の相談日 → 16日(木)
       9月の相談日 → 20日(木)
鹿児島産業保健総合支援センターの産業保健専門職(保健師)および両立支援促進員がそれぞれの医療機関のソーシャルワーカーなどと連携してご相談に応じます。相談は無料です。両立支援に関するお悩み等にについてご相談下さい。

詳細
▼両立支援出張相談窓口
http://kagoshimas.johas.go.jp/about/H30.6.25soudanmadoguchi.pdf
▼鹿児島医療センター内(リーフレット)
http://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-iryousennta.pdf
▼鹿児島大学病院地域医療連携センター内(リーフレット)
http://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-kadaibyoin.pdf
▼鹿児島産業保健相談支援センター 相談窓口(リーフレット)
http://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-sanpo.pdf

◆◆◆厚生労働省情報◆◆◆
「治療と仕事の両立支援ナビ」ポータルサイト(再掲)

 https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/

事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン

「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)の参考資料として、ガイドライン掲載の様式例の作成ポイントや具体的事例を通じた様式例の記載方法について「企業・医療機関連携マニュアル」及び難病の治療の特色を踏まえた「難病に関する留意事項」が新たに作成されました。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000204436.pdf

石綿障害予防規則等の一部を改正する省令の施行等について

平成30年4月6日に公布された労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成30年政令第156号)及び石綿障害予防規則等の一部を改正する省令(平成30年厚生労働省令第59号)により、石綿ばく露防止対策に必要な分析・教育用の石綿等を入手しやすくする等の改正が行われました。本改正省令は、6月1日から施行されます。
詳細
▼関係法令

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/hourei/index.html
▼関係通達
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/hourei/dl/180528-01.pdf

平成29年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(全国版確報)

厚生労働省では、このほど、平成29年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確報)を取りまとめ、公表しました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000208979.html

「交通労働災害防止のためのガイドライン」の改正について

平成30年4月20日に、旅客自動車運送事業運輸規則及び貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令(平成30年国土交通省令第40号)が公布され、平成30年6月1日より施行されたことを踏まえ、「交通労働災害防止のためのガイドライン」の一部が改正されました。

http://kagoshimas.johas.go.jp/information/Guidelines.pdf

平成30年度自殺対策白書が公表されました

平成29年における我が国の自殺の状況について、自殺統計によると、29年の自殺者数は2万1,321人 で、前年に比べ576人(2.6%)減少した。

詳細
▼平成30年度自殺対策白書(本体)
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/18/index.html
▼平成30年度自殺対策白書(概要)
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/18-2/index.html

外国人技能実習生の実習実施者に対する平成29年の監督指導、送検等の状況

厚生労働省は、このたび、全国の労働局や労働基準監督署が、平成29年に技能実習生の実習実施者に対して行った監督指導や送検等の状況について取りまとめた結果を公表しました。

【平成29年の監督指導・送検の概要】
監督指導を行った実習実施者のうち、労働基準関係法令違反が認められたのは70.8%であった。
    ▼ 労働基準関係法令違反が認められた実習実施者は、監督指導を実施した5,966事業場
        (実習実施者)のうち4,226事業場(70.8%)。
    ▼ 主な違反事項は、(1)労働時間(26.2%)、(2)使用する機械に対して講ずべき措置などの
          安全基準(19.7%)、(3)割増賃金の支払(15.8%)の順に多かった。
    ▼ 重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは34件。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212372.html

看護師・精神保健福祉士の方がストレスチェックの実施者になるための研修

ストレスチェックの実施者は、医師、保健師又は厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師若しくは精神保健福祉士です。看護師・精神保健福祉士に対する研修(実施者になるために必要な研修※)に関する情報は次のとおりです。

※3年以上労働者の健康管理等の業務に従事した経験を有する看護師又は精神保健福祉士は、
    研修を受けなくても実施者となることができます。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150601-1.pdf

平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000213219.html

◆◆◆鹿児島労働局情報◆◆◆
「STOP! 熱中症クールワークキャンペーン」の実施について

    鹿児島県内においては、熱中症による休業4日以上の労働災害は、平成20年から平成24年までの5年間は25名(うち2名死亡)でしたが、平成25年から平成29年までの5年間は70名(うち3名死亡)と180%の増加となりました。また、平成29年はこの10年間で2番目に多い16名が被災(うち1名死亡)しています。このような状況から、鹿児島労働局では、平成30年5月~9月を「STOP! 熱中症クールワークキャンペーン」期間と位置づけ、WBGT(暑さ指数)に基づく高温多湿場所の職場環境の改善や水分・塩分の摂取等、熱中症予防対策の周知啓発・指導を実施することとしています。

詳細
▼STOP! 熱中症クールワークキャンペーン
   http://kagoshimas.johas.go.jp/information/coolwork-campaign.pdf
▼熱中症総発生状況(平成20年~平成29年)
   http://kagoshimas.johas.go.jp/information/netyusyouH20-H29.pdf

◆◆◆労働者健康安全機構情報◆◆◆
「島耕作×労働者健康安全機構の特別マンガ」について

労働者健康安全機構が、産業保健総合支援センター、労災病院の治療就労両立支援センター及び両立支援部における「治療と仕事の両立支援の取組」を紹介する「島耕作×労働者健康安全機構の特別マンガ」を作成し、機構のホームページ及び「治療と仕事の両立支援ポータルサイト」にバナーを配置しました。

詳細
▼治療と仕事の両立支援ポータルサイト
https://www.ryoritsushien.johas.go.jp/
▼「島耕作×労働者健康安全機構の特別マンガ」
https://www.ryoritsushien.johas.go.jp/docs/ryouritsu_shima.pdf

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。
今回は、研究テーマ「アスベスト(石綿健康管理手帳データベースにおける肺癌・中皮腫等の発生頻度に関する研究)」を紹介します。本研究では、石綿健康管理手帳検診によって多数の中皮腫、肺癌症例が診断されており、その診断時年齢は73歳前後が最も多く、職業歴は配管作業や造船所内作業など石綿中等度以上のばく露作業者が多いことを明らかにしております。また、中皮腫及び肺癌においては、診断後の予後が比較的良いことから石綿健康管理手帳検診による早期発見、治療開始の重要性を示しております。詳細については、当サイトでご確認ください。

▼労災疾病等医学研究普及サイト
http://www.research.johas.go.jp/asbesto2015/thema01.html

◆◆◆その他◆◆◆

厚生労働省委託事業「ラベル・SDS活用促進事業」について
労働災害を防止するために一定の危険有害性のある化学物質の取扱いに対して、リスクアセスメントの実施や、譲渡提供時に容器へのラベル表示が義務化されています。
テクノヒル(株)が平成30年度の厚生労働省委託事業「ラベル・SDS活用促進事業」の受託者として、無料電話相談や事業場への訪問支援を実施しています。

詳細
▼化学物質管理の無料相談窓口のご案内
http://www.technohill.co.jp/telsoudan/
▼「化学物質のリスクアセスメント」訪問支援のご案内
http://www.technohill.co.jp/rabel_sds/

所長よりひと言 pen

   最近至るところで早期離職者の多いことを聞きます。中高年の組織幹部達からは指導とパワハラの境界についての悩みも相談されます。特にマスメディアを賑わしていることもあってパワハラに敏感に反応する中高年も増加しているようです。
   先般、同世代(団塊世代)の医師数名で懇談した時のことですが、「我々の修業時代は先輩達から何かを教えて貰うことはなかった。質問することさえ憚られる状況で、只管先輩達のすることを見てその技を盗むことを強要された。」、「怒鳴られ・殴られ・叱られはしたが、褒められることなぞ皆無に近かった。」、「叱られるのは良い方で無視されることが多か    った。」というような会話が弾みました。その結論は、「若年者ほどストレス耐性が弱い。」となりました。
   確かに、成長期に試練らしい試練も経験せず温室的環境しか経験していなければ少なくともメンタル面でのストレス耐性は培われることはないと言えます。とすれば、ストレス耐性が弱く仕事社会への適応力に乏しい若者が増加するのは、それら若者のみの責任ではなく社会自体の問題でもあります。「近頃の若い者は・・・」とは夙に云われてきたことですが、未
    曽有の物質的豊かさを現出し、且つ超高齢化社会となったこの国で離職者増加だけでなく「引き籠り」等の適応障害者が急増している時代にあっては、世代が下るとともにストレス耐性が低下することは大きな社会問題です。幼少時代から「モノ」に恵まれ欲しいモノは特段の苦労もなしに手に入れられる経験しかない者に、何かのために忍耐し苦労することを強いるのは酷と言えます。ではどうするか、その処方箋は、ということに件の懇談の席では誰からも解決の糸口らしきものすら提起されませんでした。
   私達医師の任務は「公衆衛生の普及と国民の健康水準向上」ですが、健康という概念には種々の定義がなされています。WHOの定義は人口に膾炙していますが、究極のところ健康はより良く生きるための手段で目的ではありません。ではより良く生きるとは何か。生きるとは活きた人生を送ることであり、そのためには活きた時間を送ることです。105歳の生涯を
    閉じた日野原先生が「生命とは活動する時間のこと」との言葉を残していますが、「時間」は極めて大きな鍵となる語です。敢えて結論すれば「健康とは自主的かつ能動的時間の多寡の相対量」と定義できそうです。
   これからの日本社会は、物質的富の増大を追及する成長ではなく、自主的・主体的時間の増加を追及する必要があると考えます。そのために何を為すべきか、容易に解答の出せる課題ではありませんが、少なくとも物質的経済成長ではないことだけは確かです。
   せめて、労働現場では労働者が意義を感じない作業を減少させる工夫を進めたいものです。ストレス耐性強化は極めて困難ですが、ストレス要因の除去は根本的ではなくても努力によってある程度減らすことは可能です。同時に、根本的なストレス要因が何によって惹起されているか、その軽減方策は何かないか等も追及する視点が不可欠と思っています。