お知らせ

令和7年6月

学生実習に携わり得た気づき

ヘルスサポートセンター鹿児島
保健師 山下 亜美

令和6年度に入職し、今年で2年目を迎えました。私が所属する産業保健部では、8名の産業保健看護職が、事業者・衛生管理者・産業医などと連携しながら、労働者の健康管理に努めています。主な業務である職場巡視や健康診断後の支援、保健指導、健康教育を通じて、10代から80代まで、幅広い世代の方々と出会う機会があります。

労働衛生機関である当センターには、大学や専修学校、専門学校の学生が実習に訪れます。昨年度、私は初めて看護学科の学生実習に、副担当として携わることになりました。実習の数週間前には学校の先生との打ち合わせがあり、いただいた実習要項に目を通す中で、「教材観」「指導観」「学生観」といった言葉に触れ、実習に向けて少しずつ心の準備を始めました。主担当の保健師が中心となり、今回の実習で「学んでほしいこと」「経験してほしいこと」「身につけてほしい知識(国家試験に出る内容)」に触れられるよう、準備を進めました。産業保健部全員の協力を得て、施設の下見、関係各所との調整、資料作成を行い、2日間の実習のスケジュールを組み立てました。

実習1日目は、オリエンテーション、産業保健およびメンタルヘルスに関する講話、施設見学、職員インタビュー、人間ドックの保健指導への同席、職場巡視のオリエンテーション、カンファレンスと続きました。産業医と保健師による講話では、「一産業医が考える理想の産業看護職」や、「事後措置」「復職支援」「両立支援」などの事例について学びました。私自身も産業保健活動について振り返る機会となり、知識不足の分野がより明確になったように感じます。人間ドックでの保健指導では、学生も事前に健康診断結果を確認しました。びっしりと文字が書き込まれた事前学習ノートを手元に置いて悩む学生と一緒に、結果の見方や対象者への伝え方について考えました。ロールプレイ後の学生の振り返りでは、「勉強が全然足りていません。どんな勉強をすればいいですか?」「聞きたいことばかり質問してしまいました。必要な情報を自然な会話の中で聞けるようになりたいです。」という言葉があり、保健指導を始めた頃の自分を思い出しました。

実習2日目は、職場巡視、まとめと記録、振り返り、カンファレンスという流れでした。職場巡視では、契約事業所の皆様にご協力いただきました。ご案内くださった方が、学生に作業工程を丁寧に説明し、「(広い工場内を)衛生管理者は毎週どのように巡視されているのですか?」という質問に、「週1回と決めず、日々の業務の中で工場内を見ています。」と答えてくださいました。5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)も徹底されており、環境測定の場面では「こんな会社で働きたいね。」と学生が感動するほどで、机上の学習では得ることができない体験や学びの場を提供してくださった事業所の皆様への感謝の気持ちでいっぱいになりました。学生実習に携わる中で、私たちの業務は産業保健部だけでなく、他部署の職員、契約事業所の皆様、人間ドックの利用者様といった多くの方々に支えられていることを改めて実感しました。

令和7年度を迎えるにあたり、産業保健部内で業務の見直しを行いました。今年度の業務は57項目に「見える化」されましたが、未経験の業務も多くあります。2年目は、学習を続ける姿勢を大切にして産業保健活動に真摯に取り組み、新たな経験を一つひとつ積み重ねていく一年にしたいと思います。

保健師だより 2025年6月