お知らせ

メールレター第171号

鹿児島産業保健総合支援センター メールレター第171号   2017/06/01
発行:鹿児島産業保健総合支援センター 所長 草野 健

虹 大


相談員からのメッセージ confident

五月病に気付いたら専門医に相談

産業保健相談員 赤崎 安昭(担当分野:メンタルヘルス)
(鹿児島大学医学部保健学科 教授)

 

  新年度がスタートし、4月1日が祝祭日でないかぎり、多くの職場で「辞令交付式」があります。私のように学生と直に向き合う職場ですと、新入生のオリエンテーションが「辞令交付式」に相当するのではないでしょうか。
新入生には例えば、「大学生は高校生とは違って選択科目の申請・取り消しなど“自己責任”で行うことになります」などと説明し、大学生として自覚を持ってもらうような内容のことを説明します。今年の桜は遅咲きでしたが、授業開始時期に桜が満開の状態でしたので、気持ちの良い学生生活をスタートさせることができたのではないでしょうか。
 ところで、学生の中には、高校時代とは全く異なる「専門科目」の授業に困惑し、また、初めての一人暮らしに戸惑っている者もいます。生活環境・生活リズムが大きく変わるのです。その変化に慣れてくるのが、約1ヵ月経過した5月の大型連休の時期になります。大型連休中には、長期の休日を利用して海外旅行に出掛ける方々も大勢いますし、この時期だからこそ楽しめる観光や催し物があり、新聞・テレビなどの情報によると「楽しい大型連休」ですが、そこにはメンタルヘルス問題が潜んでいます。「五月病(ごがつびょう)」です。精神医学的には「うつ病」、「適応障害」という診断になると思います。「五月病」は、5月の大型連休明け頃から起こることが多いためこの名称がついたようです。
 今春に生活環境が大きく変化した者の中で、新しい生活や環境に適応できないまま大型連休に突入し「緊張の糸」が切れたのか、発症すると学校に行く気が削がれて、大型連休明けとともに「原因不明」の心身の不調を感じ始め不登校になるのです。五月病には、その他にも様々な要因が関与しているものと思われます。しかし、五月病は学生だけではなく、新入社員、新人の労働者にも認められます。単なる「連休疲れ」の人もいるかもしれませんが、五月病であればメンタルヘルス問題が悪化しないうちに適切に介入する必要があります。みなさんの周囲に「五月病」らしき新人の労働者がいましたら我々専門医にご相談ください。ちなみに、私の周囲には大型連休中にリフレッシュしてきたのか晴れ晴れしい笑顔の若者がたくさんいます。今のところ、私の出番はなさそうです。安堵しております。


おすすめ教材(無料貸出し等) book cd

  当センターでは、産業保健に関する図書、ビデオ・DVDを無料にて閲覧・貸出ができます。是非ご利用ください。

熱中症を防ごう 熱中症予防対策の基本

(図書:5-70,中央労働災害防止協会、2012年,159頁)

【内容】
 昨今の記録的な猛暑により、熱中症による労働災害が増加している。熱中症を防ぐため、その危険性、発生原因、症状、予防方法、救急措置等の基本的かつ必須の知識や技術について産業医科大学の堀江教授が改正しています。

真夏の建設現場 熱中症の危険と脳梗塞

(DVD:5-49,労働調査会,16分)

【内容】
厚生労働省は熱中症の適切な予防対策の徹底を図るとしています。産業別でみてみますと、建設業が圧倒的に多く全体の8割以上にも達しています。このビデオでは熱中症の応急処置、脳梗塞の原因。予防などについて解説しています。
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6月のセンター関連行事 memo

  • 6月1日(木):メールレター第171号配信
  • 6月7日(水):地域産業保健センター代表者・地域運営主幹合同会議
  • 6月15日(木):災害防止団体等連絡協議会

◇6月6日(火)~6月27日(火):安全週間説明会

研修セミナーのご案内 pencil

すべてのセミナーにどなたでもご参加いただけます。
(特に標記のない時間は、14:00~16:00,場所は光健イスビルです)

(6月)

○6月23日(金):がん罹患100万人時代、告知されたときのがん治療と仕事両立のための情報あつめ(ロールプレイ)【德永先生】
▽6月29日(木):性格と人格~「心の癖」を知ろう~【赤崎先生】

(7月)

▽7月12日(水):高次脳機能障害【長友先生】
▼7月15日(土):酸素欠乏・硫化水素中毒災害の防止(発生原因・場所・措置及び測定「実技」)【黒沢先生】
flag鹿児島市医師会館(鹿児島市加治屋町3-10)
▽7月22日(土):健康づくりのための運動指導について 【前田・桑原先生】 flag鹿児島県医師会館(鹿児島市中央町8-1)
▽7月22日(土)16時10分~17時10分:労働衛生関係法令 【中村副所長】 flag鹿児島県医師会館(鹿児島市中央町8-1)
▼7月27日(木)18時~20時:職域における身体活動と健康 【堀内先生】
▽7月28日(金):メンタルヘルス・カウンセリングⅡ~トラウマ(PTSD、ハラスメント、DV)の心理支援~ 【久留先生】

flair6/23(金)・7/22(土)・7/27(木)の研修会はTHPレベルアップ研修を兼ねています。

 

▽…産業医対象で、産業医認定単位があります。
▼…衛生管理者、産業医対象ですが、産業医認定単位はあります。

○…保健師対象ですが、産業医認定単位はあります。

sign03各研修会には定員があります。申し込みがないまま当日来られた場合、会場や資料の関係で受講できない場合がありますので必ず申込みをしてください。

sign03キャンセル待ちの方がおられますので、受講できなくなった場合は必ずご連絡下さい。連絡なしのキャンセルが続いた場合は、今後研修受講をお断りすることもあります。

お知らせ sign01

平成29年度「全国安全週間」が7月に実施されます(厚生労働省)(再掲)

厚生労働省では、7月1日(土)から7日(金)までを「全国安全週間」に、6月1日(木)から30日(金)までを準備期間に、それぞれ設定し、各職場で巡視やスローガンの掲示、労働安全に関する講習会の開催など、様々な取組みを行うこととしています。
今年度の「全国安全週間」スローガン 「組織で進める安全管理 みんなで取り組む安全活動 未来へつなげよう安全文化」

全国安全週間準備説明会日程表
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/H29anzenweek.pdf
詳細http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000158876.html

独立行政法人労働者健康安全機構の平成29年度事業案内が掲載されました。

詳細https://www.johas.go.jp/kiko/shuppan/jigyoannai/tabid/94/Default.aspx

「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」の報告書が
厚生労働省から公表されました。(厚生労働省)

厚生労働省において、平成24年度以来となる「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」が実施され、このほど、その報告書が取りまとめられました。 今回の調査は、全国の企業と従業員を対象に、平成28年7月から10月にかけて実施されたものです。
詳細http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000163573.html

厚生労働省が、有機粉じんの一種である「架橋型アクリル酸系水溶性高分子化合物を
主成分とする吸入性粉じん」の製造事業場に対し、肺疾患などの予防的観点から、
粉じんばく露防止を指導するよう関係労働局に指示しました。(厚生労働省)

詳細http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000163568.html

平成29年4月27日(木)「第8回過労死等防止対策推進協議会」が開催されました(厚生労働省)

詳細http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000162920.html

平成29年5月17日に開催された第67回がん対策推進協議会の資料などが公開されました。(厚生労働省)

詳細⇒http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000165064.html

両立支援啓発動画「病気の治療をしながらも働ける職場へ
ー治療と職業生活の両立支援に向けてー」が掲載されました。(労働者健康安全機構)

詳細https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/ryoritsushien/tabid/1128/Default.aspx

第2回 建設工事従事者安全健康確保推進専門家会議の資料が公開されました。(厚生労働省)

詳細http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000165200.html

粉じん障害予防規則及びじん肺法施行規則の一部を改正する
省令の施行について(施行:平成29年6月1日)(厚生労働省)

詳細http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T170417K0010.pdf

産業医制度に係る省令改正が行われ、6月1日から施行されます。(厚生労働省)

 省令改正は、近年、過重労働による健康障害防止対策、メンタルヘルス対策等が事業場における重要な課題となるなど、産業保健を取り巻く条項が変化していていることに対応して、産業医制度の充実を図ることを目的としたものです。 改正の概要は次のとおりです。
(1) 産業医の職場巡視の頻度が一定の要件を満たせば、「毎月1回以上」から「少なくとも2か月に1回」とすることが可能となります。
(2) 健康診断結果に基づく医師又は歯科医師からの意見聴取を行う上で必要となる情報について、事業者は、医師等からその情報を求められた場合は、速やかに、提供しなければならないことになります。
(3) 事業者は、長時間労働者に関する情報(1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間の合計が1か月あたり100時間を超えた労働者の氏名及び超えた時間に関する情報)を産業医に、速やかに、提供しなければならないことになります。
(4) 有機溶剤中毒予防規則などの8省令について、健康診断結果に基づく医師師からの意見聴取を行う上で必要となる情報について、事業者は、医師からその情報を求められた場合は、速やかに、提供しなければならないことになります。
詳細http://www.hourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T170414K0020.pdf

「健康診断結果に基づく事業者が講ずべき措置に関する指針」の
一部が改正され、6月1日から施行されます。(厚生労働省)

詳細
指針新旧対照表
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T170417K0021.pdf
指針
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/kouji/K170417K0020.pdf

労働保険年度更新申告書の書き方パンフレットがアップされました。(厚生労働省)

詳細http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/gyousei/index.html

平成28年の労働災害発生状況(全国版)が公表されました。(厚生労働省)

 平成28年については、死亡災害の発生件数は前年を下回り、2年連続で過去最少となりましたが、労働災害による死亡者数は928人で、依然として多くの尊い命が失われている状況に変わりがありません。また、休業4日以上の死傷災害の発生件数は前年を上回っています。
詳細http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000165073.html

労災疾病等医学研究者普及サイトのご案内(労働者健康安全機構)

① 「治療就労両立支援」について
② 「よくわかるじん肺健康診断」について
③ 「働き方改革担当大臣の視察」についてs
 労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。 今回の紹介テーマは次のとおりです。
① 「治療就労両立支援」について この研究では、産業医と主治医に対しがん患者に関するアンケート調査を実施しました。主治医アンケートで、患者の就労に関する相談は約80%の医師が経験し、患者の就労問題は身近な話題であった一方、産業医から主治医への相談は約37%、主治医から産業医は約4.7%と、両者の情報共有は乏しいことが判明しています。このほか、相談窓口の設置など企業内での職場復帰支援体制が整っていない現状が認められました。
詳細http://www.research.johas.go.jp/22_ryoritsu/index.html
② 「よくわかるじん肺健康診断」について 労災病院じん肺グループ編集の「よくわかるじん肺健康診断」を発刊しました。 この本は、じん肺に関わる最新の知見をもとに、じん肺健康診断における管理区分の判定や健康管理手帳の交付など現場における手続きについて分かりやすく解説しています。呼吸器科の先生や産業医の先生方はもちろん、じん肺健診業務に携わる方々にとって手引書として有用です
詳細http://www.research.johas.go.jp/jinpai2015/index.html
③ 「働き方改革担当大臣の視察」について 現在、労災病院グループでは「治療就労両立支援モデル事業」を実施していますが、先般(3/16)、加藤勝信 働き方改革担当大臣 が東京労災病院を視察されました。これを受け、政府の「働き方改革実行計画」(3/28働き方改革実現会議決定)の中で、モデル事業として実施してきた「トライアングル型のサポート」の構築が明記されるに至りました。
詳細http://www.research.johas.go.jp/22_ryoritsu/20170316.html

毎月勤労統計調査-平成28年度分結果確報が厚生労働省から
発表されました(厚生労働省)

詳細http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/28/28-2fr/mk28fr.html

第103回労働政策審議会安全衛生分科会(ペーパーレス開催)の
資料が厚生労働省から公表されました(厚生労働省)

詳細http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000164718.html

「労働政策審議会同一労働同一賃金部会」の第2及び第3回の
資料が厚生労働省から公表されました(厚生労働省)

詳細
第2回
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000164682.html
第3回
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000164684.html

2017年世界禁煙デーについて 5月31日~6月6月は「禁煙週間」です。(厚生労働省)

 世界保健機関(WHO)は、昭和45年にたばこ対策に関する初めての世界保健総会決議を行い、平成元年には5月31日を「世界禁煙デー」と定め、喫煙しないことが一般的な社会習慣となることを目指した「たばこか健康かに関する活動計画」を開始しました。厚生労働省においても、平成4年から世界禁煙デーに始まる一週間を「禁煙週間」として定め、各種の施策を講じてきています。
詳細http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000162438.html

「平成28年度雇用均等基本調査(速報版)」が公表されました。(厚生労働省)

~育児休業取得者の割合は、女性は81.8%、男性は3.16%でともに微増~
詳細http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000166191.html

自殺対策白書が公表されました。(厚生労働省)

詳細
本体
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/17/index.html
概要
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/17-2/index.html

メンタルヘルス対策における登録相談機関のご案内(再掲)

登録相談機関とは、国の基準を満たしていることが確認された機関で、事業者と契約を結び、有料で、面接による労働者の心の健康に関する相談を行う専門機関です。
詳細https://kagoshimas.johas.go.jp/about/mental/organ_list.html

情報誌「産業保健21」をお送りします! (再掲)

 情報誌「産業保健21」は、産業医をはじめ、保健師、看護師、労務担当者等の労働者の健康確保に携わっている皆様方に、産業保健情報を提供することを目的として、独立行政法人労働者健康安全機構が発行しています。
申込・案内https://kagoshimas.johas.go.jp/about/sanpo/activity.html

働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」開設中!(再掲)

  厚生労働省の委託により、(社)日本産業カウンセラー協会において、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』が開設されています。
 映像メッセージ『わたしの体験』、シリーズインタビュー『生きる力』のサイト等、あらゆる方に役立つメンタルヘルス関連の最新情報を提供しています。
 また、働く人のメンタルヘルス不調や過重労働による健康障害に関する電話相談窓口として平成27年9月に開設された「こころほっとライン」が平成28年10月1日から「こころの耳電話相談」に名称変更されています。
詳細http://kokoro.mhlw.go.jp/
電話相談窓口https://kokoro.mhlw.go.jp/tel-soudan/

【東日本大震災等の関連情報窓口(参考)】


所長よりひと言 pen

例年鹿児島の春は短く、冬が終わり桜が散ると直ぐに夏となるものですが、今年は早々と夏が到来したような気候でした。しかも梅雨入りが遅れていますが、インド洋の温度が上がらないためにヒマラヤ高気圧が発達し東アジアに張り出して熱帯からの暖気が東シナ海を迂回して本州方面へ流れ込み、さらに梅雨前線の北上を阻んでいるのだとか。
 市場原理主義に基づく新自由主義経済の中で、国際情勢は先が見通せない覇権争いの様相を呈しています。また、規制緩和に伴う統治性低下を補うための管理強化は、激化する覇権争いによる国家システムを維持するためには必須のことです。
 一方、我が国では働き手減少傾向が持続する中での「働く人」の心身の障害は極力避けたいことですが、特に「働く人」のメンタル障害は増加傾向が続いています。今世紀に入ってから本格化した規制緩和の中で、日本の時間当たり生産性は低下し続け、今やOECD中の最下位となっています。これは長時間労働によって生産性を維持していることを意味し、労働者の負荷が大きくなっていることを示しています。こうした中で政府は次々と対策を打ち出しています。今世紀に入ってから「メンタルヘルス対策」、「職場復帰支援」、「ストレスチェック制度」等に加え「治療と就労の両立支援」も始まります。これらの政策は「働き方改革」の一貫です。働くこと自体は日本人の伝統や心性から考えれば、欧米と異なり好ましいストレスであったはずです。「働く」ことが直接的であれ間接的であれ、「価値」の生産であれば悪い意味のストレスにはなり得ないが、その作業に「価値」生産に資すると感じられなければ心身に害を及ぼすストレスそのものです。
 「働き方改革」は労働の時間だけでなく「労働の中身」にこそ目を注ぐべきだと思いますが、政府の目指す方向は違っているようです。矢継ぎ早の産業保健関連施策は、文言上はいずれも評価できるものですが、これらの施策を遂行するに当たっては現場の産業医と産業保健スタッフの負担は増す一方です。また、それに対する手当がなされているようには思えません。予算も人員もさらには時間さえも限られた中で、少しでも「働く人」の健康保全のための効率的支援策を模索する日々が続きそうです。
 今年は真夏日が多そうです。温度や湿度に加えて作業のあり方やメンタル面まで配慮した熱中症対策に努めましょう。