お知らせ

メールレター 第264号

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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第264号(2025.3)

   発行:鹿児島産業保健総合支援センター
              所長 草野 健
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相談員からのメッセージ

働き方改革:法定労働時間と所定労働時間

産業保健相談員 堀内 正久
(担当分野:産業医学)

昨年4月から、働き方改革の猶予期間を終え医療機関においても本格実施となった。ご存じのように、働き方改革は、2019年4月から全業務(猶予業務として、医師と運輸業)について、「時間外労働の上限規制(努力義務から義務へ)」を柱とした取り組みである。「労働時間」の取り扱いとして、兼業先の労働時間も基本的には主事業所において管理することが求められた。このことは医師のみならず、働き方の多様性に伴い、他業種においても当てはまることである。実際に、副業・兼業を促進するガイドラインが厚労省から2020年9月に改訂版が公開されている。また、複数の職場での負荷を総合的に判断して労災が認定された事例なども報告され、働き方の変化に対して、健康を管理するための労働時間の把握方法も変わるべきことを示している。昨年の4月から、医師の働き方改革ということで、長時間労働医師の面接を担当し、あらためて、健康を管理する上では、労働時間を法定労働時間としてとらえる必要を感じる。所定労働時間はあくまでも勤務先との契約で決められる勤務時間であるが、法定労働時間は、原則週40時間である(月単位では、160時間と考えている)。月単位で考えれば、この160時間を念頭に、兼業先での勤務時間や自己研鑽時間(これは、医療法で定める特殊な「勤務」時間)などを考慮して、法定外労働時間が100時間を超えないように勤務することが求められている。「労働時間のセルフケア」の徹底に通じるとも言える。面接対象者ということで偏りはあるが、基本的に、ほぼすべての面接対象者が法定労働時間と所定労働時間の区別ができていない。他業種においても、兼業・副業の促進が行われることと合わせて、医師のみならず、他業種においても「労働時間のセルフケア」を目指して欲しい。そのためには、まずは、労働時間として法定労働時間と所定労働時間が存在し、健康管理においては、法定労働時間を尊重するという理解を進めるべきと考える。産業保健スタッフとしてそのような考えの下、活動ができればと思う。

産業保健研修会のご案内(3~5月開催分 受付中!)

┏―[ 産業保健研修会の詳細・申込はこちらから ]―――――┓
 https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
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産業保健研修会の申込方法の変更に関する重要なお知らせです!

お申込み時の個人情報の管理を徹底するため、令和7年4月からFAXでのお申込みを廃止させていただくこととなりました。
お申込みフォームもしくはホームページからの手続きとなります。ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

日医認定産業医(生涯研修も対象)の皆様へ重要なお知らせです。

当センターが実施する研修においてもMAMISのマイページ登録完了が必要です。
未完了の場合、単位付与ができません。
詳細は鹿児島県医師会ホームページをご覧ください。
https://www.kagoshima.med.or.jp/doctors/news/4630/

当センター主催のセミナーのご案内

当センターでは産業保健研修会以外に、事業場向けのセミナーも開催しています。
ホームページにセミナーの専用ページを開設しておりますので、産業保健活動の取組みにお役立てください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/seminar

■令和7年度の開催セミナーを現在企画中です。もうしばらくお待ちください。

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

▼「さんぽセンターWebひろば」の専用ページ
https://www.johas.go.jp/Portals/0/sanpocenter/webhiroba.html

治療と仕事の両立支援について

治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、当センターのメンタルヘルス対策・両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。

▼治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765

医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、事前予約の状況等により、窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。

▼「治療と仕事の両立支援」の専用ページ
https://www.ryoritsushien.johas.go.jp/blackjack/

メンタルヘルス対策支援について

当センターのメンタルヘルス対策・両立支援促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。

また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。

▼メンタルへルス対策支援(支援内容、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental

運動指導等支援について

健康で安心して働ける職場環境の形成を支援するという産業保健の観点から、運動指導等を通じた労働者の健康保持増進について取り組むため、産業保健相談員(健康運動指導士)による個別訪問支援等を実施しています。事業場が行う健康教育等において、是非、ご活用ください。

▼運動指導等支援(支援内容、申込フォーム)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/undou

地域産業保健センター(地域窓口)について

各地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。

▼地域産業保健センターについて
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638

<労働者健康安全機構情報>

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
▼「生活習慣病」について
https://www.research.johas.go.jp/seikatsu2018/index.html
▼「メンタルヘルス」について
https://www.research.johas.go.jp/mental2018/index.html
▼「アスベスト」について
https://www.research.johas.go.jp/asbesto2018/
▼「治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル」について
★両立支援コーディネーターマニュアルはこちら
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1047/Default.aspx
★両立支援コーディネーターについて知りたい方はこちら
https://www.research.johas.go.jp/ryoritsucoo/
▼「病職歴データベースを活用した研究」について
https://www.research.johas.go.jp/bs/
▼「早期復職」について
現在、がんは日本人の死因のトップであり、国民の2~3人に1人は生涯の間に一度はがんと診断されます。また、がんと診断された方の3人に1人は就労可能な年齢にあたり、社会の高齢化が進む中、がんと診断された後も仕事を続ける労働者は、今後増えていくことが予想されます。
がん患者さんが復職するうえで最も重要なことは、体力の維持・増進とされており、そのためには「運動療法」と「食事療法」が効果的であると考えられています。
平成30年7月から令和5年3月まで実施した「消化器癌(胃癌、大腸癌)手術患者における蛋白質の補充と運動療法が骨格筋の増加に及ぼす影響に関する研究」では、がん治療で手術を受ける患者さんを対象として、持久力や筋力を強化する「運動療法」と、最適な蛋白質を摂取する「食事療法」を手術前から一定期間実施し、退院後9週目まで血液検査や体力測定等を行うとともに、復職の状況も調査しました。
令和5年6月までに登録された、消化器癌手術患者における「運動療法」に蛋白質補充を付加する試験群と対照群の計50症例について、統計解析を実施しました。
本研究では統計学的有意差を示すには至りませんでしたが、術後の運動療法及び栄養摂取の介入により、骨格筋量、筋力および歩行能力は、退院後9週目には術前値と比較して同等以上に回復・向上しました。これらの介入が術後のADL(日常生活動作)回復を早め、早期復職を含む社会復帰につながる可能性を前向き試験において示せたことは非常に意義深いものと考えています。

https://www.research.johas.go.jp/souki2018/index.html

<厚生労働省情報>

化学物質による労働災害防止のための新たな規制について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html

転倒予防・腰痛予防の取組について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html

「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」の中間とりまとめについて

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44880.html

「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会」の中間とりまとめについて

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44828.html

<鹿児島労働局情報>

鹿児島県内の労働災害発生状況

◯令和6年発生分
◯令和7年発生分(1月末)
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/jirei_toukei/toukei/saigaitoukei_jirei.html

最新の業種別労働災害発生状況
⇒「令和6年における業種別労働災害発生状況」もしくは
「令和7年における業種別労働災害発生状況」をクリック

<その他情報>

全国衛生管理者協議会事務局(中央労働災害防止協会技術支援部内)

全国衛生管理者協議会は、衛生管理者が相互に研鑽する場を持ち、研修や情報交換等を通じて知識の向上や連携を深めるとともに、衛生管理者への全面的な支援態勢を強めるための全国的な組織として平成6年に設立され、令和5年度には厚生労働省との連携の下、衛生管理者の実態把握のためのアンケート調査を実施し、厚生労働省に報告書を提出しました。

今後も、衛生管理者の支援施策の検討、各地区もしくは団体における衛生管理者協議会からの申請に基づき各団体の研修等に対する補助などの活動を行っており、活動の詳細を下記URLで公表しています。
URL:https://www.jisha.or.jp/eisei-kyogikai/index.html

所長コラム

2017年に政府で「働き方改革実行計画」が決定され翌年に法制化された。その中で『働き方改革こそが、労働生産性を改善する最良の手段』と謳われている。その後労働生産性向上を目指して各種施策が相次いで打ち出されてきた。全国だけでなく各都道府県単位で実施される政労使会議も「働き方推進会議」として行なわれることになっている。これらの施策は理念としては好ましいが、実際には賃金上昇を担保する原資獲得をどうするか、という議論に偏りがちになっているようだ。経営の厳しい中小企業の実態に鑑みれば宜ないことではあるが、もう少し労働生産性向上に直結するような議論が欲しいと思われる。

労働生産性向上のためには、時間当りと賃金当りの両面からの生産性の検討が必要である。そのためには各作業現場において生産性に間接的にも寄与しない作業や生産性を阻害する要因をなくす、少なくとも減らすことが必須。そのための画一的なマニュアル等に依存するのではなく、各作業現場で業務分析を行ない「業務改善」を繰り返すことが不可欠である。

作業内容・態様は例え同じ業種であっても個別性・特殊性が極めて高いものであり、当然のこととしてその業務分析方法も改善方法も個別性・特殊性が強い。一見「無駄」とみられる作業でも間接的に生産性向上に資している場合もある。先ずは、作業能阻害要因を明確にし、その要因や作業を除外する活動から始めて欲しい、と思っている。