メールレター 第269号
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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第269号(2025.8)
発行:鹿児島産業保健総合支援センター
所長 草野 健
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相談員からのメッセージ
依存症にはふたつの否認
産業保健相談員 竹元 隆洋
(指宿竹元病院)
(担当分野:メンタルヘルス)
(1)第1否認のために治療がおくれる
依存症のはじまりは、よい気分・面白い快感体験が快感記憶となり、快感欲求となって、くり返しの欲求、くり返しの行動となり、使用する量や回数、金額が急速に増加してくる。本人も「これではいけない」と思うが、止められない。
それに気づいた家族が注意するが止められない。家族が「また飲んだのだね」と言うと「飲んでない」と否認するようになり、ことごとく自己正当化・自己合理化して、ことごとく嘘・言い訳・口実となり、病気を否認、治療を否認して治療はおくれ、家族崩壊、孤立して、自殺まで考えるようになる。
(2)第2否認のために断酒ができない
第1否認は克服できて外来・入院治療をするようになるが「自分には依存症の問題以外は何も問題はない」と言う第2の否認が克服できない。依存症になると、自己正当化し、他者否定・他者を無視して強い「自己中心」になっているので他の人の言うことは聴かず、人間関係は劣悪のまま残っていることに気づかない。
これでは断酒はできない。このような人間関係の治療に「内観新法」が有効である。内観では家族や親密な人との過去の人間関係を3項目で調べる。【1】してもらったこと【2】して返したこと・返してないこと【3】迷惑かけたことに沿って思い出すことで、それまでの非現実の嘘・否認を内観すると現実罪悪感が湧き出てくる。一方他者の信頼や愛情の喪失による人間関係悪化だと思い込んでいるが内観をすると真実の深い愛情を発見できて、この現実罪悪感と深い愛情の発見によって「自己中心」は軽減して断酒ができるようになる。
(事例)アルコ―ル依存症、男性、45歳「この病気は治るのか疑問であった。しかし、内観を受けて感謝と謝罪の気持ちがいっぱいになった。今まで自分は何をしていたのか、と思う。今は心が晴れ晴れとしている」
産業保健研修会のご案内(8~10月開催分 受付中!)
┏―[ 産業保健研修会の詳細・申込はこちらから ]―――――┓
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
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産業保健研修会の申込方法の変更に関する重要なお知らせです!
お申込み時の個人情報の管理を徹底するため、令和7年4月からFAXでのお申込みを廃止しております。
お申込みフォームもしくはホームページからの手続きとなります。ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
日医認定産業医(生涯研修も対象)の皆様へ重要なお知らせです。
当センターが実施する研修においてもMAMISのマイページ登録完了が必要です。
詳細は鹿児島県医師会ホームページをご覧ください。
https://www.kagoshima.med.or.jp/doctors/news/4630/
当センター主催のセミナーのご案内
当センターでは産業保健研修会以外に、事業場向けのセミナーも開催しています。
ホームページにセミナーの専用ページを開設しておりますので、産業保健活動の取組みにお役立てください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/seminar
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≪再掲≫産業医による産業保健研修会のご案内[土曜日開催]
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講師:
鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員(産業医学)
冨宿 明子 先生
紹介:
県内の事業場の産業医として約20年間に渡りご活動されており、労働衛生コンサルタント(保健衛生)としてもご活躍されています。
開 催 日 時 |
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【会場】全て鹿児島県医師会館(鹿児島市中央町8-1)
※詳しくはホームページをご覧ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/seminar#R7.sat.seminar
▼産業医による産業保健研修会(土曜日開催)申込フォーム(各開催日の前日の午前中まで)
https://ssl.formman.com/t/rtbm/
※こちらからのお申込みによる日医認定産業医の単位取得はできません。
産業医の皆様におかれましては、予めご了承ください。
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≪再掲≫対象となる事業場の皆様!
化学物質の自律的な管理の取り組みは進んでいますか?
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日 時 | 令和7年8月30日(土)14:00~16:00 |
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会 場 | 鹿児島県医師会館 3階 中ホール(鹿児島市中央町8-1) |
テーマ | 化学物質のリスクアセスメント (クリエイトシンプルを用いたリスクの見積り手法) |
講 師 | 産業保健相談員 田原 崇志 先生(労働衛生工学) |
定 員 | 30名(先着順となります) |
▼化学物質セミナー申込フォーム(各開催日の前日の午前中まで)
https://ssl.formman.com/t/gFqY/
※こちらからのお申込みによる日医認定産業医の単位取得はできません。
産業医の皆様におかれましては、予めご了承ください。
お知らせ
<鹿児島産業保健総合支援センター>
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。
治療と仕事の両立支援やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase
▼「さんぽセンターWebひろば」の専用ページ
https://www.johas.go.jp/Portals/0/sanpocenter/webhiroba.html
治療と仕事の両立支援について
治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、当センターのメンタルヘルス対策・両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。
▼治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765
医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、事前予約の状況等により、窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。
▼「治療と仕事の両立支援」の専用ページ
https://www.ryoritsushien.johas.go.jp/blackjack/
メンタルヘルス対策支援について
当センターのメンタルヘルス対策・両立支援促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。
また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。
▼メンタルへルス対策支援(支援内容、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental
運動指導等支援について
健康で安心して働ける職場環境の形成を支援するという産業保健の観点から、運動指導等を通じた労働者の健康保持増進について取り組むため、産業保健相談員(健康運動指導士、理学療法士)による個別訪問支援等を実施しています。事業場が行う健康教育等において、是非、ご活用ください。
▼運動指導等支援(支援内容、申込フォーム)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/undou
地域産業保健センター(地域窓口)について
各地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。
▼地域産業保健センターについて
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638
<労働者健康安全機構情報>
労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。
▼労災疾病等医学研究・開発ページ
https://www.johas.go.jp/kenkyu_kaihatsu/rosaisippei13bunya/tabid/398/Default.aspx
★「脊柱靭帯骨化症」
★「高年齢労働者の転倒災害」
★「妊娠時の食・生活習慣」
★「高血圧性心疾患」
★「脂肪性膵疾患」
★「じん肺」
★「アスベスト」
「治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル」について
▼両立支援コーディネーターマニュアルはこちら
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1047/Default.aspx
▼「両立支援コーディネーター基礎研修」について
https://www.research.johas.go.jp/ryoritsucoo/
「病職歴データベースを活用した研究」について
https://www.research.johas.go.jp/bs/
<厚生労働省情報>
化学物質による労働災害防止のための新たな規制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html
転倒予防・腰痛予防の取組について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html
令和7年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」の実施について(再掲)
https://www.mhlw.go.jp/stf/coolwork_20250228.html
<鹿児島労働局情報>
職場における熱中症対策の強化について
~令和7年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行されます~
職場における熱中症対策を強化するため、令和7年6月1日から改正労働安全衛生規則が施行されます。改正内容は、熱中症のおそれがある労働者を早期に見つけ、その状況に応じ、迅速かつ適切に対処することにより、熱中症の重篤化を防止するため、「体制整備」、「手順作成」、「関係者への周知」が事業者に義務付けられます。
鹿児島県内の労働災害発生状況
◯令和7年発生分(7月末)
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/jirei_toukei/toukei/saigaitoukei_jirei.html
最新の業種別労働災害発生状況
⇒「令和7年における業種別労働災害発生状況」をクリック
所長コラム
火山爆発に地震続発さらに猛暑日が連続し、自然現象に対する「言い伝え」が通用しない日々。地球数十億年の歴史では昨今の地殻変動は微変動あるいは誤差範囲の変化かもしれないが、社会生活への影響は甚大。その所為か我が国だけでなく世界的にも政治の世界の変動は激しさを増し、政が適切に行なわれないために『天』が災害を齎(もたら)してるかと思いたくもなる現在。
予断を許さない政治動向であるが、産業保健対策は寸時も停滞することはできない。この数年でも矢継ぎ早に主旨としては妥当な各種の施策が行政府から発出されているが、十分な効果が得られているとは言い難い状況。多くの業種では人手不足に喘ぎ「働き方改革」遂行でも一人当り時間当りの労働生産性は低いまま。働くことが自己実現の手段となるような作業環境・作業態様を実現することこそが「働き方改革」の本旨であるが、最近の酷暑の夏はそもそも働くこと自体過酷な環境。極論すればこのような酷暑時には、労働時間を早朝や夕方以降に限定し日中は中止とするのが理想なのかもしれないが、それが可能なのは一部の「恵まれた事業体」のみであろう。
現今の産業保健活動は、その多くを関与するスタッフの献身的とも言える活動に支えられていることを鑑みると、もう少し予算を配分して欲しいという切実な思いも抱いている。働き方改革の一環としても産業保健活動自体も効率化の追求が必須なのかと思うこの頃である。