メールレター 第267号
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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第267号(2025.6)
発行:鹿児島産業保健総合支援センター
所長 草野 健
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相談員からのメッセージ
自律的な化学物質管理進んでいますか?
産業保健相談員 中甫木直樹
(なかほぎ労働衛生コンサルタント事務所)
(担当分野:労働衛生工学)
労働安全衛生法の法令改正にともなう「新たな化学物質規制」が始まり、1年が過ぎました。事業主、労働衛生担当の皆様、化学物質管理の対応はお済みでしょうか。法令改正前の規制対象物質は674物質でしたが、令和8年4月1日には、約2900物質と対象物質が大幅に拡大されます。規制の義務化が開始されている化学物質は、令和7年4月1日現在で約1500物質あります。
ご所属又はご担当の事業所等において、規制対象物質はありませんでしょうか。
今回の改正で、ラベル表示、SDS交付及びリスクアセスメントの実施が義務化される物質が大きく増えました。まずは、ケミサポ(労働安全衛生総合研究所)義務対象物質まとめ一覧表(*)、あるいは、NITE 化学物質総合情報提供システム(*)等で、事業所にある化学物質がリスクアセスメント対象物質に該当するかどうかの確認をお願いします。リスクアセスメント対象物質であった場合は、リスクアセスメントを実施する必要があります。
リスクアセスメントの実施において、厚生労働省では、サービス業などを含め、あらゆる業種にむけた簡単な化学物質リスクアセスメントツールとして、CREATE-SIMPLE(Chemical Risk Easy Assessment Tool, Edited for Service Industry and MultiPLE workplaces;クリエイト・シンプル)(*)を作成しています。大量(数kL、数トン)の化学物質取扱事業者から極少量(数ml、数g)の化学物質を取扱う事業者まで、業種を問わず幅広い事業者が使用可能となっています。ぜひご活用ください。
また、今回の法令改正において、皮膚への刺激性、腐食性、皮膚吸収による健康影響のおそれがないことが明らかな物質以外のすべての物質について、保護メガネ、保護手袋、保護衣等の使用が義務づけられました。ケミサポに「不浸透性の保護衣等の使用が義務付けられている物質の一覧」が掲載されていますのでご確認ください。
先に挙げたCREATE-SIMPLEですが、新機能として、経皮吸収による有害性のリスクを見積もる機能が追加されています(ver.3.1 2025.5更新)。この機能追加によりリスクアセスメントにおけるリスク低減措置の内容検討支援として化学防護手袋の選定機能(手袋材料の耐透過性の表示、手袋の候補の絞り込み)が利用できるようになっています。ぜひご活用ください。
化学物質管理における法改正にともなうリスクアセスメント対象物質の大幅な増加により、事業所においては、これまで以上に労力を割く必要がでてくるかと思われますが、安全安心な職場環境の実現と労働者の健康を守るためにしっかりとしたご対応をお願いいたします。
*参考URL
*ケミサポ 労働安全衛生総合研究所 義務対象物質まとめ一覧表
https://cheminfo.johas.go.jp/useful/list.html#sec1
*NITE 独立行政法人 製品評価技術基盤機構
NITE 化学物質総合情報提供システム
https://www.chem-info.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/systemTop
*厚生労働省 職場のあんぜんサイト CREATE-SIMPLE
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc07_3.htm
産業保健研修会のご案内(6~8月開催分 受付中!)
┏―[ 産業保健研修会の詳細・申込はこちらから ]―――――┓
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
┗――――――――――――――――――――――――――――┛
産業保健研修会の申込方法の変更に関する重要なお知らせです!
お申込み時の個人情報の管理を徹底するため、令和7年4月からFAXでのお申込みを廃止しております。
お申込みフォームもしくはホームページからの手続きとなります。ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
日医認定産業医(生涯研修も対象)の皆様へ重要なお知らせです。
当センターが実施する研修においてもMAMISのマイページ登録完了が必要です。
詳細は鹿児島県医師会ホームページをご覧ください。
https://www.kagoshima.med.or.jp/doctors/news/4630/
当センター主催のセミナーのご案内
当センターでは産業保健研修会以外に、事業場向けのセミナーも開催しています。
ホームページにセミナーの専用ページを開設しておりますので、産業保健活動の取組みにお役立てください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/seminar
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≪新規≫産業医による産業保健研修会のご案内[土曜日開催]
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当センターでは、専門的な産業保健研修会を定期的に開催していますが、事業場の皆様、最近の産業保健について興味はありませんか!
お役に立てるテーマをご案内いたしますので、是非、ご参加ください。
講師:
鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員(産業医学)
冨宿 明子 先生
紹介:
県内の事業場の産業医として約20年間に渡りご活動されており、労働衛生コンサルタント(保健衛生)としてもご活躍されています。
開 催 日 時 |
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【会場】全て鹿児島県医師会館(鹿児島市中央町8-1)
※詳しくはホームページをご覧ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/seminar#R7.sat.seminar
▼産業医による産業保健研修会(土曜日開催)申込フォーム(各開催日の前日の午前中まで)
https://ssl.formman.com/t/rtbm/
※こちらからのお申込みによる日医認定産業医の単位取得はできません。
産業医の皆様におかれましては、予めご了承ください。
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≪再掲≫令和7年度産業保健セミナー(オンライン)のご案内
「メンタルヘルス対策」・「治療と仕事の両立支援」
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※このセミナーはすべて日医認定産業医の単位取得はできません。
産業医の皆様におかれましては、予めご了承ください。
開 催 日 時 |
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形 式 | オンライン(Zoom) |
対象者 | 事業者、人事労務担当者、衛生管理者、産業保健スタッフなど |
講 師 | 当センター メンタルヘルス対策・両立支援促進員 (社会保険労務士、産業カウンセラーなど) |
申 込 | https://ssl.formman.com/t/iMaT/ ※セミナー開催日の4日前まで |
▼詳細はホームページをご覧ください
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/seminar#R7.seminar
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≪再掲≫対象となる事業場の皆様!
化学物質の自律的な管理の取り組みは進んでいますか?
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日 時 | 令和7年7月17日(木)18:00~20:00 |
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会 場 | 光健ボイスビル 2階(鹿児島市上之園町25-36) |
テーマ | 自律的な化学物質管理とリスクアセスメント |
講 師 | 産業保健相談員 中甫木 直樹 先生(労働衛生工学) |
定 員 | 10名(先着順となります) |
日 時 | 令和7年8月30日(土)14:00~16:00 |
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会 場 | 鹿児島県医師会館 3階 中ホール(鹿児島市中央町8-1) |
テーマ | 化学物質のリスクアセスメント (クリエイトシンプルを用いたリスクの見積り手法) |
講 師 | 産業保健相談員 田原 崇志 先生(労働衛生工学) |
定 員 | 30名(先着順となります) |
▼化学物質セミナー申込フォーム(各開催日の前日の午前中まで)
https://ssl.formman.com/t/gFqY/
※こちらからのお申込みによる日医認定産業医の単位取得はできません。
産業医の皆様におかれましては、予めご了承ください。
お知らせ
<鹿児島産業保健総合支援センター>
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。
治療と仕事の両立支援やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase
▼「さんぽセンターWebひろば」の専用ページ
https://www.johas.go.jp/Portals/0/sanpocenter/webhiroba.html
治療と仕事の両立支援について
治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、当センターのメンタルヘルス対策・両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。
▼治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765
医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、事前予約の状況等により、窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。
▼「治療と仕事の両立支援」の専用ページ
https://www.ryoritsushien.johas.go.jp/blackjack/
メンタルヘルス対策支援について
当センターのメンタルヘルス対策・両立支援促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。
また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。
▼メンタルへルス対策支援(支援内容、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental
運動指導等支援について
健康で安心して働ける職場環境の形成を支援するという産業保健の観点から、運動指導等を通じた労働者の健康保持増進について取り組むため、産業保健相談員(健康運動指導士、理学療法士)による個別訪問支援等を実施しています。事業場が行う健康教育等において、是非、ご活用ください。
▼運動指導等支援(支援内容、申込フォーム)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/undou
地域産業保健センター(地域窓口)について
各地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。
▼地域産業保健センターについて
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638
職場における熱中症予防対策の徹底に向けた要請がありました(再掲)
県内の労働災害防止団体等と連携し、労働災害防止対策を強力に推進することにより労働災害を減少させることを目的とした、労働災害防止団体等代表者会議が令和7年4月25日に鹿児島労働局の主催により開催され、労働災害防止団体等に対して、労働局長から職場における熱中症予防対策の徹底に向けた要請がありました。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2025-0425-3.pdf
<労働者健康安全機構情報>
労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。
▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
▼「生活習慣病」について
https://www.research.johas.go.jp/seikatsu2018/index.html
▼「メンタルヘルス」について
https://www.research.johas.go.jp/mental2018/index.html
▼「アスベスト」について
https://www.research.johas.go.jp/asbesto2018/
▼「治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル」について
★両立支援コーディネーターマニュアルはこちら
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1047/Default.aspx
★両立支援コーディネーターについて知りたい方はこちら
https://www.research.johas.go.jp/ryoritsucoo/
▼「病職歴データベースを活用した研究」について
https://www.research.johas.go.jp/bs/
▼研究開発テーマ「メタボローム」について
当機構では労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでおります。「労災疾病等医学研究普及サイト」では、これまで実施してきた研究成果について掲載しています。今回はその中で令和5年度に研究報告書を作成した研究開発テーマ「メタボローム」のうち「血漿メタボローム解析による過労死等関連生化学的指標の確立」に関する研究報告のご紹介です。
我が国においては、長時間労働による心臓・脳血管疾患のリスクが高まる危険性についてはこれまで数々の報告がなされており、過労死等の防止の観点から
働き方改革関連法に基づく働き方改革等の取組や過重労働対策等が講じられています。
本研究では過労死の中でも特に心血管疾患に至る予測因子・関連因子となる指標の確立を目指しました。
研究の結果により、従来の指標よりも早期に診断可能となる新規の指標を明らかにし、過労による心血管疾患リスクの高い状態を早期に診断できる可能性が示唆されました。
なお、詳細な研究内容については、下記URLからご覧いただけます。
https://www.research.johas.go.jp/metabolome/index.html
<厚生労働省情報>
化学物質による労働災害防止のための新たな規制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html
転倒予防・腰痛予防の取組について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html
令和7年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」の実施について(再掲)
★令和7年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施要綱
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001478633.pdf
★令和6年職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58389.html
労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について(熱中症関係)(令和7年5月20日付け基発0520第6号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001490911.pdf
6月は「外国人雇用啓発月間」です
https://www.mhlw.go.jp/haishin/u/l?p=U7O3xVJnnDPTFy7BY
第6回労災保険制度の在り方に関する研究会 資料
https://www.mhlw.go.jp/haishin/u/l?p=k3N3BZKnXPMT19ABY
<鹿児島労働局情報>
職場における熱中症対策の強化について
~令和7年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行されます~
職場における熱中症対策を強化するため、令和7年6月1日から改正労働安全衛生規則が施行されます。改正内容は、熱中症のおそれがある労働者を早期に見つけ、その状況に応じ、迅速かつ適切に対処することにより、熱中症の重篤化を防止するため、「体制整備」、「手順作成」、「関係者への周知」が事業者に義務付けられます。
鹿児島県内の労働災害発生状況
◯令和7年発生分(4月末)
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/jirei_toukei/toukei/saigaitoukei_jirei.html
最新の業種別労働災害発生状況
⇒「令和7年における業種別労働災害発生状況」をクリック
所長コラム
奄美・沖縄よりも早い梅雨入とは滅多にないこと。酷暑とか猛暑とかの形容を超えるような夏が早まりそうです。加えてこの列島では地震も頻発し、何時大地震に見舞われるのか心配にもなります。
政治経済の状況は不安定さを増し、軍靴の響きが日増しに大きくなっています。既に大戦前夜との言説も散見されますが、第三次世界大戦は「経済戦争」というのであれば世界大戦は始まっているのか、との思いも抱きます。「政」が乱れると天が罰を下し、天変地異が相次ぐ、との古からの言葉が浮かびます。人類の邪な活動が地球自然の調和を乱し、地球がその調和阻害要因を排除しているのか、との思いも惹起されます。
そうした状況でも日々の生活は続きます。経済の変化に休止はありません。労働関係法令の相次ぐ改定もそのような状況に対応するものですが、法令改定に伴い関係省庁から関連する指針・通達の発出が続いています。ガイドラインやマニュアルという名称ですが、産業保健現場ではそれらに対応することに難渋することも少なくないようです。
既に熱中症対策に取り組んでいる事業場もありますが、経営の厳しさからそれどころではない事業場もあるようです。また、人手不足の中、漸く採用した職員が早期離職して困惑している事業場もあります。超残規制が厳しくなる中で特に「底辺労働」とも言われる一次産業二次産業分野で顕著のようです。マスメデイアを賑わすニュースにはなかなかならないものの我が国の農業者の大部分は小規模多品目零細農家です。また地方の建設業・運輸業も下請け企業が多いのが実情です。政府発出の情報は「東京中心・大企業中心のものが多く、鹿児島だけではなく地方には適用できないものが多い」との感もします。頻出される通達・指針等は決して間違ってはいないものの末端の実用をどこまで理解しているのか、と疑問すら感じます。
行政の責を問いたい気持ちは気持ちとして、事業場現場では、できることからできる範囲で取り組むことが重要です。只でさえ憂鬱な梅雨。しかも今年は長くなりそうで開ければ酷暑の夏が予想されています。鹿児島は鹿児島に応じた施策を講じるしかありません。
僅かであっても作業の効率化を図り労働生産性向上の阻害要因を排除する活動を継続して積み重ねていくことが必要です。どんな仕事でも楽しいことばかりということはあり得ずストレスは不可避です。しかしそのストレスを軽減することはどんな職場でも不可能ではありません。少しでも楽しい職場構築に尽力し、過重労働を避ける努力をして欲しいと願っています。