メールレター 第263号
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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第263号(2025.2)
発行:鹿児島産業保健総合支援センター
所長 草野 健
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相談員からのメッセージ
『未来の歯産(しさん)価値を、今からつくる。#投歯(とうし)』プロジェクト始動
産業保健相談員 重田 浩樹
(担当分野:産業医学(歯科))
1989年より厚生省(現・厚生労働省)と日本歯科医師会は、「80歳になっても20本以上の自分の歯を保とう」という『8020運動』を、2018年より8020運動の積極的な推進と、歯科医療への正しい理解促進のために『いい歯は毎日を元気に』プロジェクトを推進してきました。さらに2024年には、国民が口腔の健康に興味を持ち、より良い生活を送るための取り組みを高めてもらうために、『未来の歯産価値を、今からつくる。#投歯』プロジェクトを開始しました。プロジェクトの中心には、「投歯」という新しい概念があります。この言葉は、将来の健康的な生活を実現するために、日々のセルフケアと定期的な歯科医院のチェックを行い、口腔の健康を維持することを意味します。これまでの研究で、歯科健診を受けない人は受ける人に比べて医療費や介護費用が高くなる傾向があり、このプロジェクトはそれを解消することを目的としています。実際、最近の調査結果では、定期的に歯科健診を受けている人と受けていない人では、医療費に平均9.5万円から最大13.5万円の差があることが明らかになっています。これは、早期からの口腔健康の維持が、将来的な医療負担を軽減することに寄与することを示しています。
また、2024年9月に日本歯科医師会は、全国の20歳から69歳の男女1,000人を対象に「投歯に関する意識実態調査」を行いました。この結果、特に20代は見た目のケアが優先で「投歯」の意識が低い実態が明らかになりました。若いうちから口腔内の健康を保つことによって将来の医療・介護の費用が抑えられることを理解して、少しでも自分事化してもらうことで投歯の意識を高めてほしいと願っています。また、高齢者においては口腔環境が悪化することで誤嚥性肺炎や認知症などの病気のリスクも高まるため、これを防ぐためには、定期的な歯科医院への通院が必要不可欠です。
『投歯』プロジェクトは、国民が自らの健康を守るための啓発活動です。将来の健康を見据えた口腔ケアを行うことで、医療費や介護費用の負担軽減につながり、豊かな生活を実現するための第一歩となります。若い世代が未来に向けて「投歯」の重要性を理解し、実行していくことが求められています。自身の口腔環境を大切にし、定期的に歯科医院でのチェックを行うことで、健康維持に貢献していきましょう。
産業保健研修会のご案内(2~3月開催分 受付中!)
┏―[ 産業保健研修会の詳細・申込はこちらから ]―――――┓
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
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■産業保健研修会の申込方法の変更に関する重要なお知らせです!
お申込み時の個人情報の管理を徹底するため、令和7年4月からFAXでのお申込みを廃止させていただくこととなりました。
お申込みフォームもしくはホームページからの手続きとなります。ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
当センター主催のセミナーのご案内
当センターでは産業保健研修会以外に、事業場向けのセミナーも開催しています。
ホームページにセミナーの専用ページを開設しておりますので、産業保健活動の取組みにお役立てください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/seminar
■令和6年度開催セミナーはすべて終了しました。
お知らせ
<鹿児島産業保健総合支援センター>
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。
治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase
▼「さんぽセンターWebひろば」の専用ページ
https://www.johas.go.jp/Portals/0/sanpocenter/webhiroba.html
治療と仕事の両立支援について
治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、当センターのメンタルヘルス対策・両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。
▼治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765
医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、事前予約の状況等により、窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。
▼「治療と仕事の両立支援」の専用ページ
https://www.ryoritsushien.johas.go.jp/blackjack/
メンタルヘルス対策支援について
当センターのメンタルヘルス対策・両立支援促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。
また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。
▼メンタルへルス対策支援(支援内容、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental
運動指導等支援について
健康で安心して働ける職場環境の形成を支援するという産業保健の観点から、運動指導等を通じた労働者の健康保持増進について取り組むため、産業保健相談員(健康運動指導士)による個別訪問支援等を実施しています。事業場が行う健康教育等において、是非、ご活用ください。
▼運動指導等支援(支援内容、申込フォーム)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/undou
地域産業保健センター(地域窓口)について
各地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。
▼地域産業保健センターについて
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638
<労働者健康安全機構情報>
労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。
▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
▼「生活習慣病」について
https://www.research.johas.go.jp/seikatsu2018/index.html
▼「メンタルヘルス」について
https://www.research.johas.go.jp/mental2018/index.html
▼「アスベスト」について
https://www.research.johas.go.jp/asbesto2018/
▼「治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル」について
★両立支援コーディネーターマニュアルはこちら
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1047/Default.aspx
★両立支援コーディネーターについて知りたい方はこちら
https://www.research.johas.go.jp/ryoritsucoo/
▼「病職歴データベースを活用した研究」について
https://www.research.johas.go.jp/bs/
今般、病職歴データベースを用いて、日本人男性における有害化学物質を扱う職場での就業年数とがんリスクについて解析した結果が「Occupational and Environmental Medicine(2023;80:431-438.)」にて報告されました。有害化学物質を扱う職場での就労期間が長いほど、複数のがんのリスクが高いことが明らかになり、特に喫煙歴と危険な化学物質を扱う仕事との組み合わせは、がんのリスクをさらに高める可能性があるため、がんを予防するには、職場での化学物質管理について対策が必要であることが示唆されました。
研究論文が以下のリンクからご覧になれます。
論文タイトル
『Length of employment in workplaces handling hazardous chemicals and
risk of cancer among Japanese men』(深井航太先生)
https://www.research.johas.go.jp/bs/#results
<厚生労働省情報>
化学物質による労働災害防止のための新たな規制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html
転倒予防・腰痛予防の取組について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html
化学物質管理強調月間を創設します
https://www.mhlw.go.jp/content/11305000/001249565.pdf
「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」の中間とりまとめについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44880.html
「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会」の中間とりまとめについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44828.html
「女性の健康週間」の実施について
厚生労働省では、毎年3月1日から3月8日までを「女性の健康週間」と定め、女性の健康づくりを国民運動として展開しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/woman/index.html
○骨粗しょう症予防 善方裕美先生と学ぶ「骨活のすすめ」
https://www.smartlife.mhlw.go.jp/event/honekatsu/
(「スマート・ライフ・プロジェクト」公式サイト内)
○元体操選手 田中理恵さん・能瀬先生と一緒に考える
~自分のカラダと向き合う、適正体重の大切さ~
https://www.smartlife.mhlw.go.jp/event/womens_health/2024/
(「スマート・ライフ・プロジェクト」公式サイト内)
<鹿児島労働局情報>
鹿児島県内の労働災害発生状況
◯令和6年発生分(12月末)
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/jirei_toukei/toukei/saigaitoukei_jirei.html
最新の業種別労働災害発生状況
⇒「令和6年における業種別労働災害発生状況」をクリック
所長コラム
沸騰化とも称される地球温暖化が人為的営為の結果であることに否定的な米国大統領が再就任し、化石燃料生産増大を政策の一つに掲げている。地球数十億年の歴史の中での昨今の気温上昇は微変動の範囲という説もあるが、気候変動に加え自然災害の多発と生態系の変化は間違いない事実。そのような自然環境変化の影響か、政治状況も不安定で至るところで戦火が絶えない。カオス理論を持ち出すまでもなく、地球上のどんな場所での自然災害も紛争も全て何らかの形で日本経済にも影響する。経済状況は直に労働の在り方にも国民生活にも大きな影響を与える。無関心は許されまい。
日銀が金利を0.5%に引き上げた。資本主義経済では株価と為替相場だけでなく金利動向にも大きく影響されて経済が動く。物価上昇に賃金上昇が追いつくのか否か。石破政権の政策が注視されるが、賃金上昇には労働生産性の向上が大きな前提となる。
働き方改革の大きな目的の一つに「労働生産性の向上」があるが、労働生産性が高いためには職業性ストレスが小さいことも必須の要件。過重労働はメンタルストレスだけでなく身体的ストレスも大きいが、これらに対する施策は産業保健活動の中心的課題の大きな一つ。効果的な作業環境管理・作業管理の必要性は年々増大している。
作業現場では心と身体の両面からのストレス軽減策が必要だが、作業現場は千差万別で個別性・特殊性が強い。各種のガイドライン・マニュアル・好事例がそのまま適用できる現場は稀であり、事業場毎にその特性に応じた「改善」を繰り返し実効性のある対策を講じることが必須である。