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メールレター第176号

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鹿児島産業保健総合支援センター メールレター第176号  2017/11/02

  発行:鹿児島産業保健総合支援センター 所長 草野 健

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相談員からのメッセージ confident

「心と身体の深い関係」

産業保健相談員 山喜 高秀(担当分野:カウンセリング)

先日(平成29年9月30日)鹿児島で催された日本自律訓練学会第40回大会で、鹿児島大学・志學館大学名誉教授で本センターの相談員でもある野添新一先生の特別講演がありました。その演題は、「治療抵抗性内科疾患に対する自律訓練法併用の奏功機序-治療系に作用する心の絡み-」というもので、内容は心と身体はいかに関係の深いものであるかという、今の時代にあらためて省みるべき興味深いものでした。その中のいくつかを紹介します。

1 身体には治癒系が備わっている。治療(treatment)は外部から施すが、治癒(healing)は内部
     から起こる。この治癒系に深くかかわっているものがイメージ(想像)力である。
2  イメージ(想像)力は、病の主因や治癒の源泉になる。辛い状況でも「これも試練だ、いいじゃない
     か」とイメージすれば、副腎皮質ホルモンが分泌され、身体ストレスの緩和剤として働く。逆に「い
     やだな」とイメージすれば、ノルアドレナリンやアドレナリンが分泌され、この物質自体には毒性が
     ある。マイナス思考をしてよいことはない。
3  ある病気がいかに器質的なものに見えようと、その状態を悪化させているかもしれない心理的、感
     情的ストレスを伴っていないとは必ずしも言えない。自律訓練法やリラクゼーションなどイメージ
    を働かせる技法が、病気に伴う不安やストレスを緩和・軽減させてくれることは確かである。

 以上の他にも多くの示唆深い内容の講演でしたが、その基底にあるものは「目に見えるものと物の豊かさを追い求める今の時代」に対して、「目に見えない心」がいかに大切であるかという深い提言でした。

おすすめ教材(無料貸出し等) book 

当センターでは、産業保健に関する図書、ビデオ・DVDを無料にて閲覧・貸出ができます。
ぜひご利用ください。

★★★おすすめ図書 book ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
脳卒中に罹患した労働者に対する治療と就労の両立支援マニュアル

(分類:1-309,労働者健康安全機構、2017年,45頁)

【内容】
  本書では、復職(両立支援)コーディネーターに求められる基本スキルや業務の実際等を紹介。
  また、現状の医療体制でできることや両立支援に有用な制度等も紹介しています。

★★★おすすめDVDmovie ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
管理職によるメンタルヘルス―傾聴するコミュニケーション―
(分類:7-61,株式会社自己啓発協会映像事業部,20分)

【内容】
  職場の人間関係をストレス要因にしないための「傾聴」の技法を事例を通して分かりやすく
  解説しています。
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11月のセンター関連行事 memo

  • 11月 2日(木):メールレター第176号配信
  • 11月 6日(月):平成29年度労働セミナー (於:大隅地域振興局)
  • 11月8日~10日:第76回全国産業安全衛生大会(於:神戸市)
  • 11月14日(火):平成29年度労働セミナー (於:奄美支庁)
  • 11月28日(火):「心の健康づくり」と「治療と職業生活の両立支援」のための
                             管理監督者向け研修会(於:薩摩川内市)

研修セミナーのご案内 pencil

すべてのセミナーにどなたでもご参加いただけます。
(定員は各セミナー30名、場所は光健ボイスビです)

11月

▼11月 6日 (月)【黒沢先生】14:00~16:00
「労働災害発生原因分析(演習)と危険予知訓練」
▽11月14日(火)【前田先生】 <THP>18:00~20:00
「生活習慣病と運動療法について」
▼11月24日(金)【久留先生】14:00~16:00
「メンタルヘルス・カウンセリングⅣ
  ~自我・自己のありよう(適応・不適応)と心理支援~」

12月

○12月 8日(金)【徳永先生】14:00~16:00 <THP>
「組み合わせの簡単バランス食事法(ロールプレイ)」
○12月 8日(金)【中村副所長】16:10~17:10 <THP>
「労働衛生関係法令」
▽12月13日(水)【長友先生】14:00~16:00
「症状からみた「こころの病気」」
▽12月14日(木)【堀内先生】18:00~20:00 <THP>
「職域における食と健康」
▼12月21日(木)【赤崎先生】14:00~16:00
「うつ病者の復帰支援について~支援システム及び事例の提示も含めて~」

flair11/14(火)、12/8(金)、12/14(木)の研修会はTHPレベルアップ研修を兼ねています。

 

▽…産業医対象で、産業医認定単位があります。
▼…衛生管理者、産業医対象ですが、産業医認定単位はあります。

○…保健師対象ですが、産業医認定単位はあります。

 

《管理監督者向け》 こころの健康づくり」と「治療と職業生活の両立支援」合同研修会

dangerこちらは産業医の研修会ではございません。
対象者:管理監督者(衛生管理者・衛生推進者、産業保健スタッフ等)

■平成29年11月28日(火)13:30~16:00 薩摩川内市会場(ホテルオートリ)
■平成30年 2月 6日(火)13:30~16:00 鹿児島市会場(ホテルウェルビューかごしま)
■平成30年 2月15日(火)13:45~16:15 鹿屋市会場(鹿屋商工会議所)

詳細はこちら(申込書もこちら)
https://kagoshimas.johas.go.jp/管理監督者研修会のご案内.pdf

sign03各研修会には定員があります。申し込みがないまま当日来られた場合、会場や資料の関係で受講できない場合がありますので必ず申込みをしてください。
sign03キャンセル待ちの方がおられますので、受講できなくなった場合は必ずご連絡下さい。連絡なしのキャンセルが続いた場合は、今後研修受講をお断りすることもあります。

お知らせ sign01

◇◇鹿児島産業保健総合支援センター情報◇◇
  産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

鹿児島産業保健総合支援センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。電話やFAX、ホームページからもお気軽にご相談ください。

詳細https://kagoshimas.johas.go.jp/about/otoiawase/contact.html

治療と職業生活の両立支援対策」とは? ~ 両立支援啓発動画 ~

近年、がん等の治療は進歩し、がん等になっても仕事を辞めず、働き続けることが出来るようになってきました。企業としては、今後、労働者の高年齢化に伴い、がん等に罹患する社員の増加が見込まれるため、経営の観点からも、社員が治療を続けながら働くことができる環境を整備する必要があります。「治療と職業生活の両立支援対策」は、メンタルヘルス対策と同様に、今、企業が取り組むべき大きな課題の一つです。
治療と職業生活の両立について、事業者、人事労務担当者の皆様に理解していただくとともに、社員の皆様にも一緒に考えていただくことを目的に、両立支援啓発動画が作成されています。

詳細
両立支援啓発動画
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/ryoritsushien/tabid/1128/Default.aspx

「鹿児島県地域両立支援推進チーム」が設置されました。

地域の実情に応じた治療と仕事の両立支援を効果的に進めるため、鹿児島県における関係者のネットワークを構築し、両立支援の取組の連携を図ることを目的とした「鹿児島県地域両立支援推進チーム」が7月31日に設置されました。

【推進チームメンバー】(関係団体名等:順不同)
○ 鹿児島県経営者協会
○ 日本労働組合総連合会鹿児島県連合会
○ 公益社団法人鹿児島県労働基準協会
○ 鹿児島県医師会
○ 鹿児島県保健福祉部
○ 国立大学法人鹿児島大学病院
○ 独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター
○ 鹿児島県社会保険労務士会
○ 特定非営利活動法人日本キャリア開発協会s
○ 公益社団法人日本医療社会福祉協会
○ 一般社団法人日本産業カウンセラー協会 
○ 公益財団法人鹿児島県民総合保健センター
○ 鹿児島労働局職業安定部
○ 鹿児島労働局労働基準部健康安全課(事務局)
○ 独立行政法人労働者健康安全機構鹿児島産業保健総合支援センター

詳細⇒「鹿児島県地域両立支援推進チーム」(リーフレット)
http://kagoshima-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0113/9915/2017-1003-4.pdf

 

◇◇◇厚生労働省情報◇◇◇
「治療と仕事の両立支援」のキャラクターが決定しました

 詳細
厚生労働省報道発表
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000178671.html
治療と仕事の両立支援キャラクター 「ちりょうさ」使用ガイドライン
https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/dl/chiryousa_guide_line.pdf

無期転換ルールについて

無期転換ルールは、平成25年4月1日以降に開始した有期労働契約が、更新されて5年を超えた場合に労働者の申込みにより期間の定めのない契約(無期労働契約)へ転換される制度です。本格的な無期転換申込権の発生が見込まれる平成30年4月まで、残り半年を切りました。
詳細は、下の有期契約労働者の無期転換サイトをご覧ください。

詳細http://muki.mhlw.go.jp/

改正育児・介護休業法が10月1日スタート!

保育園に入れないなどの場合、最長2歳まで育児休業が取得可能となる他、事業主に育児目的休暇を設ける努力義務が生じます。

詳細

育児・介護休業法
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
改正育児・介護休業法が10月1日スタート!(リーフレット)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/291001kaiseiri-fu.pdf

「平成29年版過労死等防止対策白書」が公表されました

詳細
厚生労働省 Press Release
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000179592.html
平成29年版過労死等防止対策白書
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000138529.html

看護師・精神保健福祉士の方がストレスチェックの実施者になるための研修

ストレスチェックの実施者は、医師、保健師又は厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師若しくは精神保健福祉士です。看護師・精神保健福祉士に対する研修(実施者になるために必要な研修※に関する情報は次のとおりです。

※3年以上労働者の健康管理等の業務に従事した経験を有する看護師又は精神保健福祉士は、研修を受けなくても実施者となることができます。

≪主な項目≫
 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
  (1) 労働時間に関する制度の見直し(労働基準法)
  (2) 勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)
  (3) 産業医・産業保健機能の強化(労働安全衛生法等)

詳細http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150601-1.pdf

第3回医師の働き方改革に関する検討会 資料

詳細http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=237181

「平成29年版厚生労働白書」が公表されました

詳細http://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/hakusho/

「がん対策推進基本計画」の変更について

詳細http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=237211

職場におけるハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!

詳細http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=237213

 

◇◇◇鹿児島労働局情報◇◇◇
鹿児島県の最低賃金は10月1日から時間給737円です。

詳細http://kagoshima-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/kane/saitin01.html

11月は労働保険適用促進強化期間です。

労働保険は、人材確保、社員の安心、そして会社の安定のための保険です。正社員、派遣、アルバイト、パートといった雇用形態に関わらず、一人でも雇ったら必ず入るのがトップの責任です。

詳細http://kagoshima-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/news_topics/topics/topics_h29/2017-1023-2.html

 

◇◇◇労働者健康安全機構情報◇◇◇
労災疾病等医学研究者普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。今回のテーマは、次のとおりです。

1「睡眠時無呼吸症候群」について

“睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断と治療に関する研究”についてのご紹介です。
本研究において、ドライバー、シフトワーカー等の職域における勤労者1,646名に対して睡眠時無呼吸症候群の有病率を調査したところ、3%ODIの低下による睡眠時無呼吸障害は男性20.1%、女性10.6%であり、20年前に比べ2倍程度増加していることが示されました。本研究の意義としては、職域においてSASのスクリーニングを行い、早期発見と適切な治療を行うことは健康増進のみならず社会的影響の大きい労働災害防止の面からも重要です。本研究において得られた知見を日本心臓病学会学術集会等において発表させていただいておりますが、当サイトにおいてもぜひ一度ご覧ください。
詳細http://www.research.johas.go.jp/sas/docs/sas.pdf

2「アスベスト関連疾患診断技術研修」について

石綿関連疾患の診断及び石綿ばく露所見の判定には、エックス線写真の読影等が必要ですが、その判断は非常に困難な事案が多く、医学的な知識・経験に加え、石綿ばく露等についての知識も必要です。これまでの研究成果を踏まえ、呼吸器系の疾患を取り扱う医師や産業医等を対象に、石綿関連疾患に関する適切な診断技術の向上や労災補償上の留意事項の修得等を目的とした研修会を全国各地で開催しており、その専用サイトを開設しています。
詳細http://www.research.johas.go.jp/asbest_kenshu.html

 

★★メンタルヘルス対策支援のご案内★★

従業員の心の健康対策への取組方法がわからないという事業場の皆さまへ
私たちは、メンタルヘルス対策に取り組もうとする事業場を支援します。
詳細https://kagoshimas.johas.go.jp/about/mental/cat426/work.html

★★地域産業保健センターのご案内★★

労働者数50人未満の小規模事業場では、労働者に対する産業保健サービスを充実させることを目的に、地域産業保健センターが設けられています。
詳細https://kagoshimas.johas.go.jp/about/cat638/post_15.html

 

所長よりひと言 pen

  鹿児島でも急速に秋が深まって行くようです。朝晩の涼しさは冬が近いことを思わせるほどで、元々春秋の短い鹿児島ですが今年の秋は殊更に短いのではと感じています。
  さて衆議院選挙が終わり、議席数では自民党が圧倒的多数を占めました。マスメディア等は自民圧勝と報道していますが、気掛かりは投票率の低さです。50%こそ超えていますが、4割超の有権者が棄権しています。
  生きて活動している人間とその集団を対象とする産業医学を初めとする社会学・予防医学領域の主たる研究方法は「調査」になります。調査研究を実施する際、特にアンケート調査の場合は回答率が問題となります。非回答者が多いほど大きなバイアスが存在すると考えざるを得ません。
  昨日まで産業保健の調査研究発表会が東京で開かれていました。全国15の産保センターで行われた調査研究の結果が報告されていました。いずれの研究も調査回答率は6割にも満たないために得られたデータでの統計解析や危険率算出は殆ど行っていませんでしたが、どのようなバイアスがあるのか不明のままで危険率や有意差を出す意味は薄いので仕方ないことでしょう。
  当センターも「産業医の産業医活動実態調査」の結果を発表しました。その詳細な結果は年内には報告書として上梓・発行する予定です。この調査は県医師会で把握している産業医有資格者863名にアンケートで実施しましたが、その回答率は51.7%に過ぎません。このような低率では確定的な結論は出せませんが、傾向として以下のことが推測されました。
1)産業医活動も事業場の産業保健活動と同様に二極分化が進んでいる。
2)産業医と事業場の産業保健への意識は乖離している。
3)産業医が思うほどには事業場は産業医には期待していない。
4)産業医にとっての産業医活動の壁は「時間」。
5)多忙な嘱託産業医の活動し易いシステムの構築や環境づくりは急務。
  今後の課題として、「産業医と産業界の連携システムの構築」「新産業医育成の強化」「産業医研修会の開催回数と開催地の増加」「労働局及び各行政機関と連携した活動の強化」を挙げました。この報告に対し厚労省からは謝意とともに中央としてできることすべきことは何かとの質問がありました。それに対しては「可能ならスタッフと予算の増加」をお願いし、さらに「地方の活動に余計な口出しをしない」ことも付け加えておきました。予算についてはコメント無しでしたが、スタッフ増員には前向きな回答を得ました。
  産業保健の実態に法制度が追い付いていないことは紛れもない事実ですが、現行制度の中でどこまで産業保健の「実」を挙げられるか、今後も模索を継続して行かねばならないと意を新たにして帰鹿しました。