お知らせ

メールレター第177号

鹿児島産業保健総合支援センター メールレター第177号  2017/12/01
 
発行:鹿児島産業保健総合支援センター 所長 草野 健

クリスマスウサぴょん

 


相談員からのメッセージ confident

「産業保健と図書館」

産業保健相談員 岡村 俊彦  (担当分野:労働衛生工学)
(鹿児島県立短期大学 教授)

最近,図書館に行きましたか?
自分の話で恐縮ですが,私は所属する短大で,図書館長を拝命しており,その関係で昨年,県内の公共図書館8館を訪問することがありました。多くの方にとって,図書館は「本を借りる」,「学生などが自習室として使う」といったイメージしかないと思います。しかし,現代の図書館は多くの組織と連携し,講演会の実施や読書教育の推進を行うなど,地域の文化拠点となっています。大学図書館は”大学の心臓”といわれますが,公共図書館は「地域の知の心臓」といってもいいでしょう。
中でも重要視されている機能が「利用者の課題解決の手助け」です。専用コーナーの設置や司書によるレファレンスサービスの充実など様々な取り組みがなされています。鹿児島県立図書館では「医療福祉支援」や「子育て・教育支援」のコーナーが充実しています。薩摩川内市図書館では,外出困難な障がい者向けに宅配制度を実施しています。湧水町のくりの図書館は小規模ながら見やすい図書の配置が工夫され,温泉施設や運動施設が隣接することもあり,県内有数の利用者数を誇っています。奄美大島の瀬戸内町立図書館は加計呂間島に渡る船の中や港の待合室に貸出書籍をおいています。
読みたい本のタイトルなどが不明な場合で,「こんなことで困っているけど,なにか役立つ本はないかな」というモヤッとした利用者の要望を司書の方が一緒になって考え,解決の手助けをしてくれます。地理的な条件などで,産業保健の相談はやりにくい,という方も地域の図書館が相談相手になってくれるでしょう。皆さんも機会があればお近くの図書館に立ち寄ってみてください。図書館という,ゆったりとした空間にいるだけで,癒やされる効果があるかもしれませんよ。

おすすめ教材(無料貸出し等) book 

当センターでは、産業保健に関する図書、ビデオ・DVDを無料にて閲覧・貸出ができます。
ぜひご利用ください。

★★★おすすめ図書 book ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
よくわかる じん肺健康診断

(分類:3-71,公益財団法人産業医学振興財団、2017年,87頁)

 

【内容】
  「じん肺健康診断とじん肺健康診断結果証明書の書き方」に重点を置いて編集された一冊。巻末のCD-ROMには
  (1)「じん肺標準エックス線写真集」電子媒体版(抜粋)
  (2)職業別じん肺症例
  (3)勉強会等に使えるじん肺に関する説明スライド
  (4)労働局への提出書類
 以上の4つが収録されており、じん肺に関わる診療や健康診断、書類作成、労働局への申請など、現場での実務に沿った解説がなされています。

★★★おすすめDVDmovie ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
メンタルヘルス新世紀―うつ病 見えてきた新たな対策―
(分類:7-87,株式会社自己啓発協会 映像事業部,37分)

【内容】
 ■正しく知ろう うつ病の知識
 ■職場復帰者を迎える際の注意点
 ■新型うつ病の特徴と対応方法
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研修セミナーのご案内 pencil

すべてのセミナーにどなたでもご参加いただけます。
(定員は各セミナー30名、場所は光健ボイスビルです)

12月

○12月 8日(金)【徳永先生】14:00~16:00 <THP>
「組み合わせの簡単バランス食事法(ロールプレイ)」

○12月 8日(金)【中村副所長】16:10~17:10 <THP>
「労働衛生関係法令」

▽12月13日(水)【長友先生】14:00~16:00
「症状からみた「こころの病気」」

▽12月14日(木)【堀内先生】18:00~20:00 <THP>
 「職域における食と健康」

▼12月21日(木)【赤崎先生】14:00~16:00
 「うつ病者の復帰支援について~支援システム及び事例の提示も含めて~」

1月

▽1月13日(土)【黒沢先生】14:00~16:00※場所:鹿児島市医師会館
「職場巡視と労働衛生管理」

▽1月26日(金)【久留先生】14:00~16:00
「メンタルヘルス・カウンセリングⅤ
   ~感情管理・労働のありよう(ストレス)と心理支援~」


flair12/8(金)、12/14(木)の研修会はTHPレベルアップ研修を兼ねています。

 

▽…産業医対象で、産業医認定単位があります。
▼…衛生管理者、産業医対象ですが、産業医認定単位はあります。

○…保健師対象ですが、産業医認定単位はあります。

 

《管理監督者向け》 こころの健康づくり」と「治療と職業生活の両立支援」合同研修会

dangerこちらは産業医の研修会ではございません。産業医認定単位はありませんのでご注意ください。
対象者:管理監督者(衛生管理者・衛生推進者、産業保健スタッフ等)

■平成30年 2月 6日(火)13:30~16:00鹿児島市会場(ホテルウェルビューかごしま)
■平成30年 2月15日(火)13:45~16:15鹿屋市会場(鹿屋商工会議所)

詳細はこちら(申込書もこちら)
https://kagoshimas.johas.go.jp/管理監督者研修会のご案内.pdf

sign03各研修会には定員があります。申し込みがないまま当日来られた場合、会場や資料の関係で受講できない場合がありますので必ず申込みをしてください。
sign03キャンセル待ちの方がおられますので、受講できなくなった場合は必ずご連絡下さい。連絡なしのキャンセルが続いた場合は、今後研修受講をお断りすることもあります。

お知らせ sign01

◇◇鹿児島産業保健総合支援センター情報◇◇
  産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

鹿児島産業保健総合支援センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。電話やFAX、ホームページからもお気軽にご相談ください。

詳細https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

◇◇◇厚生労働省情報◇◇◇
従業員が希望する妊娠・出産を実現するために

 詳細http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/30.html

「第109回労働政策審議会安全衛生分科会」資料

  ○  第13次労働災害防止計画(案)
  ○  職場における死亡災害撲滅に向けた緊急要請
  ○  労働災害発生状況(平成29年1月~9月)
詳細http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000183227.html

「第4回医師の働き方改革に関する検討会」資料

詳細http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000184229.html

「建設業における墜落・転落災害防止対策強化キャンペーン」

厚生労働省では、労働災害の多い年末年始に合わせて、建設業における死亡災害の4割以上を占める墜落・転落災害を防止するために、「建設業における墜落・転落災害防止対策強化キャンペーン」を平成29年12月1日から平成30年1月31日にかけて実施します。
詳細
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184769.html

◇◇◇鹿児島労働局情報◇◇◇
過労死等防止対策推進シンポジウムが開催されます。

詳細http://kagoshima-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0114/2006/2017-1101-4.pdf

平成29年度の労働災害発生状況が更新されました。

詳細http://kagoshima-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0114/3539/H29saigai_2017-1110-7.pdf

◇◇◇労働者健康安全機構情報◇◇◇
労災疾病等医学研究者普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

1「産業医に役立つ研究報告 職場での腰痛には心理・社会的要因も関与している
─職場における非特異的腰痛の対策─」
詳細http://www.research.johas.go.jp/22_kin/useful.html

2「手根管症候群患者と作業内容(種類や期間など)との関連に関する研究」
詳細http://www.research.johas.go.jp/sagyou/index.html

◇◇◇その他◇◇◇
全国8都市で「働き方改革実践ノウハウ獲得セミナー」が開催されます

厚生労働省では、中小企業の経営者、人事労務部門の責任者や担当者の方などを対象に、「働き方改革実践ノウハウ獲得セミナー」を、平成29年12月から平成30年2月まで全国8都市で実施します。(開催地の産業保健総合支援センターが共催します。)
このセミナーでは、働く人の健康や企業の生産性向上などの視点から、「働き方改革」の必要性や取組方法、実際に効果のあった取組事例を、分かりやすくお伝えします。
また、経営者や人事労務担当者に限らず、どなたでも無料でご参加いただけます。「働き方改革」に関心をお持ちの方は、ぜひご参加ください。

【開催予定地】滋賀県、静岡県、北海道、山口県、福井県、長崎県、新潟県、徳島県
【参 加 費】無料
【申 込 方 法】事前申し込み
【定       員】各会先着80名

【問い合わせ先】
株式会社東京リーガルマインド 労働条件関係セミナー事務局
Tel: 03-5913-6085  Fax: 03-5913-6409
Email: rd-jouken01@lec-jp.com

 詳細http://partner.lec-jp.com/ti/wsr/

★★メンタルヘルス対策支援のご案内★★

従業員の心の健康対策への取組方法がわからないという事業場の皆さまへ
私たちは、メンタルヘルス対策に取り組もうとする事業場を支援します。
詳細https://kagoshimas.johas.go.jp/about/mental/cat426/work.html

★★地域産業保健センターのご案内★★

労働者数50人未満の小規模事業場では、労働者に対する産業保健サービスを充実させることを目的に、地域産業保健センターが設けられています。
詳細https://kagoshimas.johas.go.jp/about/cat638/post_15.html

 

所長よりひと言 pen

彼岸を過ぎても盛夏と変わらぬ暑さが続き、漸く秋めくもその風情を楽しむ間もなく冬が本格化しつつあります。鹿児島では秋という季節がなくなったかのような感を禁じ得ません。急激な気候の変化は特に高齢者には堪えるようで、風邪が流行りインフルエンザの流行も心配です。
ストレスチェック制度が開始され丸2年が経過しました。この制度に関する相談は昨年がピークで今年に入り減少する傾向でしたが、再び今夏頃から若干増加する傾向にあるようです。相談内容も当初はチェックの実施体制や方法と情報管理に加え、産業医の関わり方が多かったのですが、最近の相談内容としては集団分析とストレス環境改善方法に関するものが増加しています。
この制度は当初から種々の欠陥が指摘されていましたが、その一つとしてストレスチェック結果成績の分析が事業所単位でしかできない、県単位や国全体での傾向は分かりようがない制度になっていることが挙げられました。各事業場は受検者数と面接指導実施者数のみを監督署に報告することになっているので、高ストレス者の状況を掴むことはできません。事業場にとっては同業他社との比較が欲しいし、また対策を講じる上では性・年齢等の属性での差の存在も把握したいものです。
 当センターでは今年度初めに、これらの課題解決の一助として県内のストレスチェック受託機関にお願いし、業種別および性・年齢別に受検者数と高ストレス者数の数値のみの集計を行いました。併せて各監督署で集計した受検者数と面接指導実施者数の県合計数の提供を労働局にお願いしました。
  その結果、県内受検者総数は16万人余で面接指導実施者数は470人(0.3%)と当初想定されていた数値を遥かに下回りました。受託機関4施設の合計受検者数は7万人強でしたが、この結果から分かったこととして
  ・高ストレス者割合は10.9%で男女差はない、当初想定された数値に近い
  ・高ストレス者割合は加齢とともに減少し、40歳以降に顕著で60歳以上では数%
  ・業種別では製造業で高ストレス者の割合が高く16%超、次いで運送業、卸小売業、飲食宿泊業、
医療福祉業で、この4業種は12%前後で同程度、低かった業種は金融保険業で次いで建設業で
あり7%前後等が挙げられます。
若年者ほど高ストレス者が多い理由としては、ストレス抵抗力が弱い等の問題と若年者と高年者で担当する業務の質の違い等が考えられますが、今回のデータだけでは断定まではできません。ただ、40歳以降年齢とともに高ストレス者の割合は大きく低下しているという事実は判明したと言えそうです。
ストレス環境の改善には各事業場単位での対策だけでなく、各業界全体や社会全体でも取り組む必要があります。年代間の意識格差や業務内容の歴史的変化等も十分に視野に入れた改善方策の追及が望まれます。