メールレター第179号
鹿児島産業保健総合支援センター メールレター第179号 2018/02/01
発行:鹿児島産業保健総合支援センター 所長 草野 健
相談員からのメッセージ
「局所排気装置を有効に活用する」
産業保健相談員 黒沢 郁夫(担当分野:労働衛生工学)
職場巡視中に、局所排気装置が有効に活用されていないのを見かけることがあります。有害化学物質(有機溶剤)取扱作業場に取り付けられている局所排気装置の外付け式フード(発散源の外にフードがあるもの)から離れすぎて有害物を吸い込まない位置で作業していました。これでは必要経費をかけて設置した局所排気装置がいかされていないことになります。
作業位置は法的に決められた風速が得られる位置で、設計時に決められています。実務上で作業位置が適切か否かについては、簡易的にスモークテスター(気流検査器:市販品・安価)で発煙した煙がフードに吸い込まれているか、否かで判断できます。煙が吸い込まれていれば、その作業位置が良いと眼で見て分かります。
煙の流れで作業位置を確認することは、作業者にとって理解が確かなものになり、自分自身の健康を守るために必要であることを再認識できます。今後とも安全衛生教育等で局所排気装置の有効活用についてご指導をお願い致します。
おすすめ教材(無料貸出し等)
当センターでは、産業保健に関する図書、ビデオ・DVDを無料にて閲覧・貸出ができます。
ぜひご利用ください。
★★★おすすめ図書 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
統合失調症-正しい理解と治療法-
(分類:7-89,講談社、2005年,98頁)
【概要】
1こんなときどうする?症状とその対処法
2どうして起こる?病気のしくみを理解する
3どうやって治療する?薬の働き、効果をよく知る
4これからどうする?社会復帰へ向けて
5この先どうなる?長く病気と向き合うために
★★★おすすめDVD ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
メタボリック・シンドロームを予防する-ボディ・デザイン体操-
(分類:4-231,株式会社アスパクリエイト,16分)
【内容】
運動習慣が無い、運動は苦手という人のための運動ビデオ。ちょっとした時間にできる筋肉
トレーニングとからだに負担をかけにくいウォーキングの方法を紹介しています。
2月のセンター関連行事
- 2月 1日(木):メールレター第179号配信
- 2月 6日(火):メンタルヘルス合同研修会(於:ウェルビューかごしま)
- 2月15日(木):メンタルヘルス合同研修会(於:鹿屋商工会議所)
研修セミナーのご案内
すべてのセミナーにどなたでもご参加いただけます。
(定員は各セミナー30名、場所は光健ボイスビルです)
2月
▽ 2月 2日(金)【冨宿 産業保健相談員】14:00~16:00
「産業医になったらここをチェック」
▽ 2月14日(水)【長友 産業保健相談員】14:00~16:00
「「働く人」のストレス・シンドローム」
▽ 2月16日(金)【小田原 産業保健相談員】14:00~16:00
「健康診断事後措置における事例検討」
▽ 2月16日(金)【当センター副所長】16:10~17:10
「労働衛生関係法令」
▽ 2月22日(木)【堀内 産業保健相談員】18:00~20:00
「健康管理における遺伝的因子をどう考えるか」
○ 2月23日(金)【德永 産業保健相談員】14:00~16:00【THP】
「座り過ぎ弊害解消法の運動のすすめ(ロールプレイ)」
3月
▽ 3月 1日(木)【赤崎 産業保健相談員】14:00~16:00
「大人の発達障害を知ろう」
▽ 3月 3日(土)【徳留 産業保健相談員】15:00~17:00
<※会場:鹿児島市医師会館(鹿児島市加治屋町3-10)>
「職場の喫煙対策:最近の話題」
▼ 3月 5日(月)【黒沢 産業保健相談員】14:00~16:00
「職場巡視と労働衛生管理」
▽ 3月 7日(水)【冨宿 産業保健相談員】14:00~16:00
「コンピュータ画面を見る労働者の健康管理」
▽ 3月 9日(金)【久留 産業保健相談員】14:00~16:00
「メンタルヘルス・カウンセリングⅥ
~生きる意味のありよう(自殺・自死)と心理支援~」
▽ 3月13日(火)【前田 産業保健相談員】18:00~20:00
「職場で起こった循環器疾患について」
▽ 3月14日(水)【東 産業保健相談員】14:00~16:00
「作業環境測定結果報告書の読み方」
▼ 3月16日(金)【小田原 産業保健相談員】14:00~16:00
「ストレスチェック制度における事例検討」
2/23(金)の研修会はTHPレベルアップ研修を兼ねています。
▽…産業医対象で、産業医認定単位があります。
▼…衛生管理者、産業医対象ですが、産業医認定単位はあります。
○…保健師対象ですが、産業医認定単位はあります。
《管理監督者向け》 こころの健康づくり」と「治療と職業生活の両立支援」合同研修会
※こちらは産業医研修会ではありませんので、単位認定はございません。
対象者:管理監督者(衛生管理者・衛生推進者、産業保健スタッフ等)
■平成30年 2月 6日(火)13:30~16:00 鹿児島市会場(ホテルウェルビューかごしま)
■平成30年 2月15日(木)13:45~16:15 鹿屋市会場(鹿屋商工会議所)
詳細はこちら(申込書もこちら)
⇒https://kagoshimas.johas.go.jp/管理監督者研修会のご案内.pdf
各研修会には定員があります。申し込みがないまま当日来られた場合、会場や資料の関係で受講できない場合がありますので必ず申込みをしてください。
キャンセル待ちの方がおられますので、受講できなくなった場合は必ずご連絡下さい。連絡なしのキャンセルが続いた場合は、今後研修受講をお断りすることもあります。
お知らせ
◆◆鹿児島産業保健総合支援センター情報◆◆
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。
鹿児島産業保健総合支援センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。電話やFAX、ホームページからもお気軽にご相談ください。
詳細⇒https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase
「心の健康づくり計画」助成金(10万円)をご存じですか?
事業者の方が各都道府県の産業保健総合支援センターのメンタルヘルス対策促進員の助言・支援を受けて、心の健康づくり計画(ストレスチェック実施計画を含む)を作成し、計画を踏まえメンタルヘルス対策を実施した場合に、事業者が費用の助成を受けることができる制度です。職場におけるメンタルヘルス対策のために、是非ご活用ください。
詳細⇒
★産業保健関係助成金
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1151/Default.aspx
★心の健康づくり助成金計画
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1160/Default.aspx
★産業保健関係助成金リーフレット
https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/sanpojoseikin/pdf/jyoseikin_annai_H29.pdf
「鹿児島医療センター(がん相談支援センター)内に両立支援出張相談窓口を開設いたしました
鹿児島産業保健総合支援センターでは、国立病院機構 鹿児島医療センターとの連携により、平成30年1月16日から治療と職業生活のための両立支援出張相談窓口を開設しています。相談は無料です。
両立支援に関するお悩み等についてご相談下さい。
○ 相談場所 国立病院機構 鹿児島医療センター がん相談支援センター
○ 相談日時 毎月第1・3火曜日 10時~13時
○ 相談対応者 鹿児島産業保健総合支援センター 両立支援促進員
詳細⇒
★両立支援出張相談窓口
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/ryouritushienmadoguchi.pdf
★治療と職業生活のための両立支援相談窓口のご案内(鹿児島医療センター内)リーフレット
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/ryouritushien_A4-web.pdf
◆◆◆厚生労働省情報◆◆◆
「いわゆる『期間従業員』の無期転換に関する調査」の結果
詳細⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000189946.html
「治療と仕事の両立支援ナビ」ポータルサイト
詳細⇒ https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/
ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等
詳細⇒ http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=239241
有害物ばく露作業報告対象物の追加について
労働安全衛生規則第95条の6に基づく「有害物ばく露作業報告制度」の報告の対象となる物質が追加されました。
≪新たに有害物ばく露作業報告の対象となる物≫
コード物 | 含有量(重量%) | |
240 | テトラヒドロフラン | 0.1%以上 |
241 | 2,4,6-トリクロロフェノール | 0.1%以上 |
242 | フルフリルアルコール | 1%以上 |
詳細 ⇒
H29.12.27付け基発1227第1号
「労働安全衛生規則第95条の6の規定に基づき厚生労働大臣が定める物等の一部を改正する件の適用について」
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T171227K0030.pdf
H29.12.27付け基安発1227第3号
「有害物ばく露作業報告制度の周知徹底について」
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T171227K0040.pdf
看護師・精神保健福祉士の方がストレスチェックの実施者になるための研修
ストレスチェックの実施者は、医師、保健師又は厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師若しくは精神保健福祉士です。看護師・精神保健福祉士に対する研修(実施者になるために必要な研修※に関する情報は次のとおりです。
※3年以上労働者の健康管理等の業務に従事した経験を有する看護師又は精神保健福祉士は、研修を受けなくても実施者となることができます。
≪主な項目≫
長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
(1) 労働時間に関する制度の見直し(労働基準法)
(2) 勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)
(3) 産業医・産業保健機能の強化(労働安全衛生法等)
詳細⇒ http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150601-1.pdf
第6回医師の働き方改革に関する検討会 資料
詳細⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000191032.html
◆◆◆鹿児島労働局情報◆◆◆
平成29年の労働災害発生状況(H30.1.10速報)
○ 死亡者数は18人で、前年同期比で1人(5.9%)増。
○ 休業4日以上の死傷者数は1,826人で、前年同期比で46人(2.6%)増。
詳細⇒http://kagoshima-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0115/0167/H29saigai_2018-0110-3.pdf
◆◆◆労働者健康安全機構情報◆◆◆
労災疾病等医学研究者普及サイトのご案内
労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。今回のテーマは、次のとおりです。
1「職場復帰のためのリハビリテーション」
職場復帰のためのリハビリテーションは、発症当初から綿密かつ多面的アプローチが不可欠ですが、近年、医療経済情勢の変化により病院態勢の急性期化が進み、在院日数の短縮化が強まっています。こうした中で、特に注目される治療と就労の両立支援に向けた取り組みにおいて、参考になる指標です。
この研究では、全国の労災病院における脳血管障害(15歳から64歳)の早期復職のモデルシステムの研究を行いましたが、発症後1年半までの復職率は46.2%であり、経時的には発症3ヵ月前後と1年半前後の二つにピークがあることが認められました。研究結果の詳細は次のとおりです。
詳細⇒ http://www.research.johas.go.jp/22_riha/past03.html
2「病職歴調査を活用した研究」
昭和59年から全国労災病院では入院患者さんを対象に病職歴調査を実施しており、その研究成果を“病職歴調査”に掲載しています。その中の神宮司誠也医師による「労災病院の入院時病職歴データとリンクした、試験的退院後職場復帰調査」では、入院時に調査した職場復帰に関する調査と退院後6ヶ月後に実施した職場復帰アンケートの結果について報告しており、現在、対象病院を広げて研究が継続されています。
この研究は機構が実施している治療と就労両立支援事業にも関連し、データ数が増えることで、どの職種やどの病気の方が復職支援を希望しているか、など今後の治療と就労両立支援事業に役立てることができます。詳細は次のとおりです。
詳細⇒ 病職歴調査 http://www.research.johas.go.jp/bs/
★★メンタルヘルス対策支援のご案内★★
従業員の心の健康対策への取組方法がわからないという事業場の皆さまへ
私たちは、メンタルヘルス対策に取り組もうとする事業場を支援します。
詳細⇒https://kagoshimas.johas.go.jp/about/mental/cat426/work.html
★★地域産業保健センターのご案内★★
労働者数50人未満の小規模事業場では、労働者に対する産業保健サービスを充実させることを目的に、地域産業保健センターが設けられています。
詳細⇒https://kagoshimas.johas.go.jp/about/cat638/post_15.html
所長よりひと言
1月は日本全国強烈な寒波に襲われ、鹿児島でもインフルエンザが猖獗に近い状態でした。異常気象が常態になったような最近で、寒暖差の激しさに体調を崩す人が続出しています。私の関知する事業場は何処も職場の感染症対策に追われているようです。特に鹿児島等の地方では求人難で、ただでさえ高齢化している職場は益々高齢労働者への負担が強くなっており、健康管理がより重要になっています。
さて、「働き方改革」の各対策が本格化し始めました。当センターにとっては平成30年度の最も大きな課題は「治療と職業生活の両立支援」となりそうです。この対策の実効性を挙げるためには、実に多くの課題をクリアする必要があります。対象疾患もさることながら、事業場の理解と主治医の理解をどう獲得するかが問題となります。過去、種々の事業場向けのセミナーや研修等を実施してきていますが、殆どの会合に事業場トップが出席することは稀です。産業保健課題は事業場トップの姿勢に影響を受けますが、今回の対策は特にトップの姿勢・考え次第という面が強いものです。如何にトップの理解を得ていくか、当センターからの直接的働きかけとともに、現場の産業医や産業保健スタッフの働きかけに期待したいと思っています。
一方、主治医の理解も極めて重要となります。特に先端医療を担っている主治医にとっては「治療」が最優先です。多くの主治医にとっては、働くことが治療の障害になるのは徹底的に避けたいところです。治療に当たってどういう職務で、どういう働き方が治療の妨げになるのか、は関心があっても治療によってどのような作業なら可能か、またどういう条件が整えば作業能率を下げないで済むか、等は関心の外であることが多いと思われます。主治医への研修も必須ですが、それをどのように行うか、誰が行うか等も悩ましい問題です。
4月以降、当センターもスタッフを増やす方向で中央では検討しています。陣容の強化は歓迎ですが、案のみで詳細は未だ予断を許さない状況です。半分ほど期待して状況の推移を見守りたいと思っています。