お知らせ

メールレター第195号

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     ≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第195号   2019/6/3

            発行:鹿児島産業保健総合支援センター 
                        所長 草野 健
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相談員からのメッセージ confident

「働く人」とストレッサー

産業保健相談員 長友 医継  
(医療法人玉水会病院)
担当分野:メンタルヘルス

 アメリカ国立労働安全衛生研究所の職業性ストレスモデルによると、「働く人」のストレッサーには、職場のストレッサーと仕事以外のそれがあります。仕事の量や質などの職場環境や人間関係などの前者への対策はよく検討されていますが、後者へも注意を払う必要があります。

   仕事以外のストレッサーは、家庭生活・社会生活上の問題です。なかでも、人生上の大きな出来事である自分や家族の怪我・病気や死、離婚や結婚、妊娠や出産、介護、子供の結婚・自立、引越しなどは注目されています。

   しかしラザルスは、このような人生上の大きな出来事よりも、日常生活での小さな苛立ち事の積み重ねがストレッサーになり、心身の健康に重大な影響を与えることを指摘しています。小さな苛立ち事とは、通勤時の混雑、親戚・友人・近所と上手くやっていけないこと、大気汚染や近隣騒音などです。

   ストレッサーへの対処法としては、まず、問題点に正面から向き合い、状況の改善を目指す「問題焦点型対処法」があります。しかし、現実社会では、小さな苛立ち事のようにこの方法では対処しきれない事例が多々あります。このような場合、ストレス反応で生じた不安やいらいら感などの情動を軽減することで、ストレスの軽減を図る「情動焦点型対処法」が有効です。

   これには、「働く人」が普段意識しないで行っているスポーツ、旅行、入浴やマッサージなどが相当しますが、臨床の場で治療の一環として用いられている技法の臍下丹田呼吸法や自律訓練法などもあります。

   以上のように、「働く人」のストレスは職場や人生上の大きな出来事にその原因を求めがちですが、日常生活上の苛立ち事にも注意を払い対処法を検討する必要があります。

おすすめ教材(無料貸出し等) book 

当センターでは、産業保健に関する図書、ビデオ・DVDを無料にて閲覧・貸出ができます。ぜひご利用ください。

  おすすめ図書 book

運転手の腰痛と全身振動
(貸出番号:4-87)

【概要】
運転手の腰痛と全身振動
1:海上コンテナとは
2:海上コンテナによる腰痛への取り組み
3:フォークリフトでの取り組み

全身振動の健康への影響
1:人体に伝わる振動
2:海上コンテナにの振動
3:フォークリフトの振動
4:ヨーロッパの取り組み
5:課題

  おすすめDVDmovie

パワーショベルの用途外使用 その作業、ルール違反です!
(貸出番号:0-51)

【概要】
移動式クレーンと違って過負荷防止装置やアウトリガーのないパワーショベルでの吊り荷作業は危険です。このビデオは車両系建設機械の用途外使用について規定した労働安全衛生規則第164条を誰にもわかるように映像で解説しています。

※今月のおすすめ詳細
https://kagoshimas.johas.go.jp/library/library_category/recommend

研修セミナーのご案内 pencil

すべてのセミナーにどなたでもご参加いただけます。
(定員は各セミナー30名、会場は光健ボイスビルです)

6月 ※特に記載のないものは会場 光健ボイスビルです。
5(水)
14:00-16:00

ABC 職場での熱中症予防対策 冨宿 明子*
労働衛生コンサルタント
7(金)
14:00-16:00

ABC <人事管理者のストレス>メンタルヘルス・カウンセリングⅡ ~感情労働・感情管理をめぐって~ 久留 一郎*
鹿児島大学名誉教授
13(木)
14:00-16:00

ABC 労災判定の実際~メンタルヘルス編~ 赤崎 安昭*
鹿児島大学医学部保健学科 教授
15()
14:00-16:00

ABC 物理的因子(騒音・振動・放射線等)のリスク管理
 flag鹿児島市医師会館(鹿児島市加治屋町3-10)
東 正樹*
(株)鹿児島環境測定分析センター 代表取締役
21(金)
14:00-16:00

ABC 生活習慣改善のための声掛けアプローチ法 德永 龍子*
鹿児島純心女子大学 名誉教授
25(火)
18:00-20:00

ABC 口腔がんについて 大久保 章朗
大久保歯科口腔外科医院
7月 ※特に記載のないものは会場 光健ボイスビルです。
3(水)
14:00-16:00

AB 安全衛生委員会での衛生講話ネタを蔵出し・上半期 冨宿 明子*
労働衛生コンサルタント
5(金)
14:00-16:00

AB ストレスチェック制度における事例検討
小田原 努*
ヘルスサポートセンター鹿児島 所長
6()
14:00-16:00
県医師会
主催
AC
THP
健康づくりのための運動指導について
会場:鹿児島県医師会館(鹿児島市中央町8-1)
産業医の方は鹿児島県医師会(FAX:099-254-8129)へ直接お申込みください
前田 雅人*
鹿児島大学教育学部保健体育科 教授
桑原 祐一
㈱ニチガスクリエートアーバン・ウェルネス・クラブエルグ 健康運動指導士
6()
16:10-17:10
県医師会主催
AC
THP 
労働衛生関係法令~産業医の機能強化に関する安衛法改正~
会場:鹿児島県医師会館(鹿児島市中央町8-1)
産業医の方は鹿児島県医師会(FAX:099-254-8129)へ直接お申込みください
勝田 清人
鹿児島産業保健総合支援センター副所長
10(水)
14:00-16:00

ABC メンタルヘルス不調者にみられる精神症状 長友 医継*
医療法人玉水会病院 心療内科部長
18(木)
14:00-16:00

ABC 職場巡視と労働衛生管理 黒沢 郁夫*
黒沢労働安全衛生コンサルタント事務所 所長
22(月)
18:00-20:00

ABC 職域における身体活動と健康 堀内 正久*
鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科衛生学・健康増進医学 教授
23(火)
14:00-16:00

ABC 職場の喫煙対策 徳留 修身*
元・保健所長(鹿児島県及び鹿児島市)
31(水)
14:00-16:00

AB 安全衛生委員会での衛生講話ネタを蔵出し・下半期 冨宿 明子*
労働衛生コンサルタント

※講師*印:当センター産業保健相談員
※各研修会には定員があります。申し込みがないまま当日来られた場合、会場や資料の関係で受講できない場合がありますので必ず申し込みをしてください。
※受講できなくなった場合は必ずご連絡ください。

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

当センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

地域産業保健センターでは登録保健師を募集しています

鹿児島産業保健総合支援センターの地域窓口である
○ 姶良・伊佐地域産業保健センター
(霧島市隼人町内山田1-6-62 姶良地区医師会内)
○ 南薩地域産業保健センター
(南さつま市加世田村原1-3-13 南薩医師会内)
○ 曽於地域産業保健センター
(曽於市大隅町月野894 曽於医師会立病院内)

の3つの地域産業保健センターでは、それぞれのセンターに登録していただき、
保健師として活動していただける保健師を募集しています。

お問い合わせは、鹿児島産業保健総合支援センター(TEL:099-252-8002 仮山)まで。
https://kagoshimas.johas.go.jp/s3_image/information/kyujin-hokenshi.pdf

6月~8月の両立支援(出張)相談窓口

当センターでは、センター内の相談窓口のほかに、鹿児島医療センターと鹿児島大学病院に、治療と職業生活のための両立支援出張相談窓口を開設しています。設置状況は次のとおりです。
(1)鹿児島産業保健総合支援センター
         相談窓口開設日時・・・平日 8:30~17:15

(2)国立病院機構 鹿児島医療センター がん相談支援センター内
         相談窓口開設日時・・毎月第1・3火曜日 10時~13時
               6月の相談日 → 4日(火)・18日(火)
               7月の相談日 → 2日(火)・16日(火)
               8月の相談日 → 6日(火)・20日(火)

(3)鹿児島大学病院 地域医療連携センター内
         相談窓口開設日時・・毎月第3木曜日 10時~12時(事前予約が必要です)
               6月の相談日 → 20日(木)
               7月の相談日 → 18日(木)
               8月の相談日 → 15日(木)

鹿児島産業保健総合支援センターの両立支援促進員がそれぞれの医療機関のソーシャルワーカーなどと連携してご相談に応じます。相談は無料です。両立支援に関するお悩み等にについてご相談下さい。

詳細
▼両立支援出張相談窓口
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/madoguchiitiran.pdf
▼鹿児島医療センター内(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-iryousennta.pdf
▼鹿児島大学病院地域医療連携センター内(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-kadaibyoin.pdf
▼鹿児島産業保健総合支援センター 相談窓口(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-sanpo.pdf

 

<労働者健康安全機構情報>

治療と仕事の両立支援に関する特別マンガが公開されました!~もしも「サラリーマン金太郎」が中小企業の社長だったら…~

https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/topics/ryoritsushien_kintaro2019.pdf

平成31年度上半期(7月~9月)両立支援コーディネーター基礎研修日程

https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1358/Default.aspx
※7月~9月開催分の受付が開始されます。受付期間は、6月3日(月)13時から6月7日(金)17時まで、結果通知は、6月17日(月)10時以降、メールで通知されます。

※令和元年11月に鹿児島でも開催されます。下半期(10月~3月)の日程、開催場所は、6月3日に機構HPに公表されます。

令和元年度産業保健関係助成金のお知らせ

令和元年度からは、新たに「治療と仕事の両立支援助成金(環境整備コース)」と「治療と仕事の両立支援助成金(制度活用コース)」を加えることとなりました。職場における労働者の健康管理等のために、ぜひご活用ください。

【助成金の種類】
・治療と仕事の両立支援助成金(環境整備コース)
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1382/Default.aspx

・治療と仕事の両立支援助成金(制度活用コース)
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1385/Default.aspx

・「ストレスチェック」実施促進のための助成金
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1390/Default.aspx

・職場環境改善計画助成金(Aコース)
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1393/Default.aspx

・職場環境改善計画助成金(Bコース)
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1396/Default.aspx

・職場環境改善計画助成金(建設現場コース)
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1399/Default.aspx

・心の健康づくり計画助成金
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1402/Default.aspx

・小規模事業場産業医活動助成金(産業医コース)
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1404/Default.aspx

・小規模事業場産業医活動助成金(保健師コース)
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1407/Default.aspx

・小規模事業場産業医活動助成金(直接健康相談環境整備コース)
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1410/Default.aspx

※職場環境改善計画助成金の現行制度(平成30年度と同要件)の運用は、令和元年6月30日(実施対象期間)をもって終了することから、申請期間は9月30日までとなっています。
※職場環境改善計画助成金の新制度の運用は、令和元年7月を予定しています。後日、機構HPに掲載予定です。

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

○労災疾病等医学研究普及サイト

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。
https://www.research.johas.go.jp/index.html

 

<厚生労働省情報>

第一種衛生管理者免許試験について

保健衛生に関する学科を専攻して卒業し、労働衛生に関する講座又は学科目を修めた方は試験が免除されます。

(免許を受ける場合は最寄りの都道府県労働局にお問い合せください。)  https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/eiseikanrisha/

平成30年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)が公表されました

平成30年における職場での熱中症による死亡者数は28人と、平成29年と比べて2倍となっています。死傷者数(死亡者数と休業4日以上の業務上疾病者数を加えた数)は、1,178人と前年の2倍を超えています。熱中症による年間の死傷者数は、近年400~500人台でしたが、1,000人を超えたのは、過去10年間で最多となっています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04759.html

平成30年の労働災害発生状況(全国)を公表

平成30年の労働災害による死亡者数は909人(対前年比7.1%減)であり、過去最少となりました。一方、休業4日以上の死傷者数は127,329人(対前年比5.7%増)と3年連続で増加しました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04685.html

<鹿児島労働局情報>

平成30年の労働災害発生状況(確定)~第13次労働災害防止計画の初年度目標達成~

平成30年の鹿児島県における労働災害発生状況は、休業4日以上の死傷者数が1,936人で、前年より25人(1.3%)減少しており、2年連続の減少となりました。

一方、死亡者数は13人で、前年より8人(38.1%)減少しています。

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/news_topics/houdou/2019-0423-2.html

平成31年の労働災害発生状況

○平成31年(4月末速報)
□ 死亡者数は2人で、前年に比べ1人(33.3%)減。
□ 休業4日以上の死傷者数は433人で、前年に比べ38人(8.1%)減。

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/H31saigai_2019-0510-7.pdf

鹿児島働き方改革推進支援センターを開設しました!

働き方改革の実現に向けて、「鹿児島働き方改革推進支援センター」が設置されました。

鹿児島働き方改革推進支援センターでは、様々な関係機関と連携し、労務管理・企業経営等の専門家による電話相談や企業訪問相談等を完全無料で実施されます。

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/hatarakikata.html

2019年度(令和元年度)鹿児島労働局行政運営方針について

2019年度(令和元年度)鹿児島労働局行政運営方針が策定されています。

鹿児島労働局の行政目標は、「働き方改革の推進」、「人材確保支援の推進」、「安心して安全に働ける労働環境の確保のために」です。

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2019-0524-2_2019.pdf

編集後記

   一月前に終了した平成は自然災害に加え人災まで多い時代でした。自然災害の発生は、何百年あるいは何千年か先は兎も角、今のところ人間の力での予防は出来ないものの、自然災害による被害を減少させる「減殺」は可能です。人災の発生予防とともに減殺対策にも尽力したいものです。特に職業生活の場においては、利潤追求よりも優先して行われるべきことと思っています。

   「健康経営」が漸く普及し始めました。提唱されてから既に数年が経過していますが、言葉のみは地方の中小零細事業場にも周知されるようになりましたが、何らかの健康経営としての取り組みは一部の大規模事業場に留まっているようです。健康経営はその概念を理解し事業場内体制を構築すれば、それなりに産業本のみでなく事業場の運営上にも有効なものと考えています。

   一方、「組織の健康」が一時提唱されました。いつの間にか忘れ去られているようです。「健康経営」が言われだしてから「組織の健康」は格別に唱える必要性が薄れたということでしょうか。

   私見ですが、「健康経営」がシステムとその運用方法であるのに対し、「組織の健康」は組織を構成する人間の組織や事業の運営姿勢に深く関わるものと思います。「健康経営」は好事例提示やマニュアル作成が容易ですが、「組織の健康」は組織を構成する者の意識に強く関わることから、マニュアル化は困難なようです。組織自体が健康であるということは、WHOの健康定義に沿えば、社会的に有用な事業を為し、従業員皆が業務に誇りを持ち、そして事業運営が好調であること、となります。ハードルが高いのでしょうか。

   デュボスが言うように健康とは、「不完全な人間が作った不完全な世の中を、より苦痛少なく渡っていくための方便」としても、苦痛な作業であってもその中に価値を見出せばその苦痛は減少から喜びに転ずることも可能です。組織の健康とはその構成員がその作業に喜びを感じるような組織の在りようと思います。その為には、これも全くの私見ですが、権限と責任のバランスが良く、権限の大きい者ほど良く働くという職場の風土作りこそが肝要です。さらに、意識の在りようとしては、権限に応じて考え方の正しさが大きいことも必須です。正しい考えを定義することは不可能ですが、ここで言う考え方の正しさとは単純に「利他心-利己心」のことです。利己心のない人間はいませんが、上に立つ者ほど、利他が利己より大きい必要があります。畢竟、組織の健康とは上に立つ者の姿勢に強く影響されるものと言えます。そのことが、この言葉・概念が捨て去られた要因とすれば、情けないことであり、この社会の現在の延長上には希望がないと感じられてなりません。西郷隆盛の言葉とされる「地位も名誉も金も要らない」という精神の強さにしたって権限も大きいことが理想です。そのような社会を作るためには、先ずは眼前の経営に苦労している中小零細企業にこそ、健全な精神・姿勢を持つように働きかけるべきと考えています。

   令和となった今こそ、草の根からの運動・潮流を作りたいものです。