お知らせ

メールレター 第205号

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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第205号
               2020/4/1

   発行:鹿児島産業保健総合支援センター
              所長 草野 健

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相談員からのメッセージ confident

新型コロナウイルス感染予防にもう一手

産業保健相談員 松下 幸誠
         (高見馬場歯科 院長)
(担当分野:産業医学)

2020年3月12日現在、この話題に触れざるを得ない状況です。WHOは、新型コロナウイルス感染のパンデミック宣言を行いました。国内感染者も確実に増えており、この原稿が掲載される頃には大台を突破していることでしょう。「高齢者や基礎疾患のある人で重症化しやすい」のフレーズは、ヒトは常時、感染症との戦いにさらされていること、健康体でいること免疫力を高めておかないといけないことを多くの人々に再認識させるきっかけになっています。手洗い、うがい、マスクは新型コロナウイルスに限らず感染予防の基本中の基本ですが、もう一つ加えていただきたいものがあります。それは、歯磨きです。インフルエンザと歯磨きの効果は、すでにいくつか調査報告されています。ウイルスは単独では生存できないので付着した粘膜細胞内に侵入して増殖します。インフルエンザウイルスは細胞膜をこじ開けるカギの役割を果たす酵素と増殖して隣の細胞に移るために細胞から離れるためのハサミの役割を果たす酵素を使い分け体内でどんどん増殖していきます。コロナウイルスも同様にこの仕組みで感染します。近年、この2つの酵素の働きを促したりウイルスの細胞への侵入を手助けする悪玉歯周病菌の存在が知られるようになってきました。歯周病菌はバイオフィルムという下水道管のぬめりのような集落になっているので抗生剤や消毒液では死滅せず、機械的に擦ること(ブラッシング)で病原性を低くすることができます。口腔内には300~400種類の細菌が存在し、その数は、歯垢1mgに何億も住みつき、糞便よりも多い数です。歯肉からの出血や大量の細菌を飲み込んでいることは、皮膚の傷や潰瘍に汚物を刷り込んだり、口から糞便を飲み込んだりしてるのと同じで、病気にならないはずがありません。ウイルスは炎症で赤みのある粘膜、汚れた口や喉が大好きなのです。抗菌作用のある唾液分泌が低下する睡眠時に細菌数が増加するので就寝前と起床時の歯磨きが効果的です。新型コロナウイルス感染予防には、習慣的な歯磨きと歯科医院での定期的なメンテナンスをお勧めします。

研修セミナーのご案内 pencil

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   産業保健研修会のご案内(4月~5月)

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すべてのセミナーにどなたでもご参加いただけます。
(定員は各セミナー30名、会場は光健ボイスビルです)

機構本部の活動方針に基づき新型コロナウイルス感染症拡大を防止するため、令和2年4月に開催される当センター主催の以下の研修会について、延期または中止することを決定しました
今後、感染の拡大により5月以降の研修会を延期(中止)する場合がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。
(既に申込いただいている方に対しては、メールや電話でご連絡いたします。)

4月 

■■ 延期 ■■
4月16日(木)「職場巡視と労働衛生管理」黒沢先生(日程未定)

■■ 中止 ■■
4月11日(土)「初めて従業員が50人を超えた会社の産業医になったら」冨宿先生
4月20日(月)「障害者を雇用するときに気を付けること」冨宿先生

5月 ※特に記載のないものは会場 光健ボイスビルです。
1(金)
14:00-16:00


ABC 健康診断とその事後措置 小田原 努*
ヘルスサポートセンター鹿児島 所長
11(月)
14:00-16:00


ABC 働き盛りのがん対策 桶谷 薫*
鹿児島県民総合保健センター 所長
13(水)
14:00-16:00


ABC 健康増進法と依存症~喫煙を中心に~ 長友医継*
玉水会病院 心療内科部長
16(土)
14:00-16:00


ABC 職場での熱中症予防対策
※会場:鹿児島市医師会館(鹿児島市加治屋町3-10)
冨宿 明子*
労働衛生コンサルタント
19(火)
14:00-16:00


ABC 職場・施設の結核対策 徳留 修身*
元・保健所長(鹿児島県及び鹿児島市)
22(金)
14:00-16:00


ABC 夜勤者の健康診断、睡眠と肥満 德永 龍子*
鹿児島純心女子大学 名誉教授
25(月)
16:00-18:00


ABC 化学発がん「アスベスト、有機溶剤、たばこ」:労災と公害の視点 堀内 正久*
鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科衛生学・健康増進医学 教授
29(金)
14:00-16:00


ABC 〈メンタルヘルス・カウンセリングのいろいろ〉-Ⅰ~「傾聴」、「受容」をめぐって~ 久留 一郎*
鹿児島大学 名誉教授

※講師*印:当センター産業保健相談員
※各研修会には定員があります。申し込みがないまま当日来られた場合、会場や資料の関係で受講できない場合がありますので必ず申し込みをしてください。
※受講できなくなった場合は必ずご連絡ください。

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健総合支援事業のPR動画について

当センターが行う各種事業の取り組みについて「のんさん」が紹介する動画を公開しています。
https://kagoshimas.johas.go.jp

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

当センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

4月~6月の両立支援(出張)相談窓口のご案内

令和2年4月より鹿児島市立病院に両立支援(出張)相談窓口を開設しました。
両立支援(出張)相談窓口の設置状況は次のとおりです。
なお、医療機関における両立支援(出張)相談窓口では、新型コロナウイルス感染症の状況によっては、中止の可能性があります。

  1. 鹿児島産業保健総合支援センター
    相談窓口開設日時・・平日 8:30~17:15
  2. 国立病院機構 鹿児島医療センター がん相談支援センター
    相談窓口開設日時・・毎月第1・3火曜日 10時~13時
    4月の相談日 → 7日(火)・21日(火)
    5月の相談日 → 19日(火)
    6月の相談日 → 2日(火)・16日(火)
  3. 鹿児島大学病院 地域医療連携センター
    相談窓口開設日時・・毎月第3木曜日 10時~12時(事前予約が必要です)
    4月の相談日 → 16日(木)
    5月の相談日 → 21日(木)
    6月の相談日 → 18日(木)
  4. 鹿児島市立病院 がん相談支援センター
    相談窓口開設日時・・・・毎月第4木曜日 10時~12時
    4月の相談日 → 23日(木)
    5月の相談日 → 28日(木)
    6月の相談日 → 25日(木)
  5. 済生会川内病院 がん相談支援センター
    相談窓口開設日時・・毎月第2木曜日 10時~12時
    ※上記日時以外でも、事前予約の場合は日程調整のうえ対応します
    4月の相談日 →  9日(木)
    5月の相談日 → 14日(木)
    6月の相談日 → 11日(木)
  6. 川内市医師会立市民病院 患者サポートセンター
    相談窓口開設日時・・毎月第4木曜日 13時~15時(事前予約が必要です)
    4月の相談日 → 23日(木)
    5月の相談日 → 28日(木)
    6月の相談日 → 25日(木)

鹿児島産業保健総合支援センターの産業保健専門職(保健師)および両立支援促進員がご相談に応じます。
相談は無料です。両立支援に関するお悩み等についてご相談ください。

事業場内での両立支援教育、体制の整備、規定等の整備、勤務・休暇制度の整備、両立支援の進め方についても、両立支援促進員が事業場を訪問してアドバイスを行いますので、ご利用ください。

詳細
▼両立支援出張相談窓口

https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/02/ryouritsushien-madoguchi.pdf
▼鹿児島医療センターがん相談支援センター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/05/ryoritu-iryousenta.pdf
▼鹿児島大学病院地域医療連携センター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/05/ryoritu-kadasibyoin.pdf
▼鹿児島市立病院がん相談支援センター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/02/ryoritsushien-shiritsubyoin-web.pdf
▼済生会川内病院がん相談支援センター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/10/ryouritsushien-sendaibyouin.pdf
▼川内市医師会立市民病院患者サポートセンター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/10/ryouritsushien-sendaishiminbyouin.pdf

▼治療と仕事の両立支援申込み
ホームページから
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat767
FAXから
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/03/ryoritusien-mousikomi-ura.pdf

<労働者健康安全機構情報>

令和2年度上半期(4月~9月)両立支援コーディネーター基礎研修日程

令和2年度上半期(4月~9月)両立支援コーディネーター基礎研修の日程を公開しました。
令和2年度下半期(10月~3月)の日程は、6月1日(月)に公開される予定となっています。
令和2年度は、鹿児島県内での開催予定はありません。九州地方では、7月4日(土)に福岡市で、下半期(10月~3月)に佐賀県、大分県、宮崎県(令和2年10月23日(金)宮崎市内のひまわり荘で開催予定です。)での開催が予定されています。

https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1426/Default.aspx

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

○労災疾病等医学研究普及サイト

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

○労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html

○「脊椎・脊髄損傷」について
https://www.research.johas.go.jp/22_sekizui/index.html

<厚生労働省情報>

新型コロナウイルス感染症に関する情報

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた労働安全衛生法に基づく健康診断の実施等に係る対応の一部改正について(情報提供)

▼局長通達(令和2年3月11日付改正基発0311第3号)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/03/7eacf9332009113e94b98120cf397dfd.pdf
▼新型コロナウイルスに関連するQ&A(企業の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html

新型コロナウイルス感染症による小学校等の臨時休業に対応する保護者支援等に関するコールセンターの設置を開始します

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10164.html

都道府県労働局、労働基準監督署・ハローワークにおける新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けた取り組みについて

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10127.html

「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」の改正について

▼ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000590836.pdf

▼留意事項
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/03/chainsaw-guideline.pdf

「林業の作業現場における緊急連絡体制の整備等のためのガイドライン」の改正について

▼ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000590798.pdf

▼留意事項
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/03/ringyou-guideline.pdf

「個人サンプリング法による作業環境測定及びその結果の評価に関するガイドライン」を策定しました

▼詳細
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09446.html

▼ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000595744.pdf

労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質による健康障害を防止するための指針」が改正されました

指針
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000591934.pdf

令和2年度「全国安全週間」を7月に実施

▼詳細
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10181.html

▼令和2年度全国安全週間実施要綱
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000608020.pdf

▼高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン
(エイジフレンドリーガイドライン)
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000609494.pdf

令和2年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施します

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10430.html

<鹿児島労働局情報>

新型コロナウイルス感染症の影響による特別労働相談窓口を拡充しました

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/madoguchi_annai/soudan/2020-0214-1.html

令和元年の労働災害発生状況

○令和元年(12月末 未確定値)

  •  死亡者数は15人で、前年同期で2人(15.4%)増。
    業種別では、建設業6人(前年4人)、製造業2人(前年1人)、農林業2人(前年3人)、清掃・と畜業2人(前年1人)、陸上貨物運送事業1人(前年0人)、商業1人(前年0人)、その他の事業1人(前年0人)。
  •  休業4日以上の死傷者数は1,968人で、前年同期比で66人(3.5%)増。
    主な業種別では、製造業381人(前年364人)、建設業302人(前年292人)、陸上貨物運送事業180人(前年193人)、農林業99人(前年86人)、商業276人(前年267人)、保健衛生業281人(前年268人)、接客娯楽業116人(前年101人)、清掃・と畜業79人(前年73人)。

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/H31saigai_2020-0310-4.pdf

<日本渡航医学会情報>

新型コロナウイルス情報~個人と企業に求められる対策~

https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html

編集後記

新型コロナ対策の真只中で令和2年度が始まりました。例年この時期は出会いと旅立ちが相次気分一新される頃です。しかし残念ながらオリンピックを始め各種行事の中止・延期が相次いでいますが、欧米諸国の爆発的流行をみると終息時期の推定すらできない状況です。そんな中、各種の虚偽情報がインターネットや一部マスメディア上で飛び交っているようですが、惑わされる人が出ないよう私達医師も尽力すべきです。

2月末以来、事業場でのコロナ対策に関する相談が連日のようにありました。人の触れる個所の頻繁な消毒と全職員の徹底した手洗いと、自分が感染源とならない為のマスク着用、という助言をどの事業場もそのまま受け入れてくれました。幸いなことに鹿児島はコロナ感染者は一人だけですが(4月1日現在)、これは他には保有者がいないということではないということも理解して貰えたようです。

私見ですが、多くの国に比較して日本には感染者(発症者)も少なく致死率の低い要因は、政府の対策の効果ではなく環境面の衛生状態の良さや国民の清潔さが最大と思っています。それに加えて第一線で活動する一般の医師や医療職のレベルの高さが大きいと思っています。新型コロナとの闘いが何時まで続くか分かりませんが、いずれ何らかの形で決着すると思いますが、産業保健に関わる医師として気掛かりは経済への影響です。

経済動向は直接労働者の健康に響きます。小企業・零細企業の倒産増加もですが、漸やく本格化の兆しが見え始めた「働き方改革」がどうなるか。各種両立支援や長時間労働規制等の対策が崩れていくのか、或いは逆にこの機に一気に進むのか。ある意味、働き方を見直す大きな契機になる可能性もあります。そうなればとの微かな希望も持っています。

いずれにしても、臨床にも関わる医師としてだけでなく産業保健の立場からも強く注視する覚悟です。