お知らせ

メールレター 第260号

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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第260号(2024.11)

   発行:鹿児島産業保健総合支援センター
              所長 草野 健
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相談員からのメッセージ

インポスター症候群とPTG(心的外傷後成長)

産業保健相談員 山中 隆夫
(心療内科医)
(担当分野:メンタルヘルス)

タモリは週5日、32年続けたフジテレビ系「笑っていいとも!」を終えるにあたり、「仕事を長続きできたコツは何ですか?」と問われ、「張り切らないこと」「反省しないこと」と答えています。さすがはタモリ。当意即妙、言い得て妙。

ところで、仕事が長続きしない人々には不適応型と過剰適応型の2タイプがあります。前者は文字通り職場内で周囲に適応し難いタイプですが、圧倒的に多いのは後者です。つまり、周囲に合わせ過ぎ、頑張り過ぎて、結局は燃え尽きてしまうタイプで、タモリ語録が役に立つ方々でもあります。

ところが、です。時にこれら周囲の忠告も撥ね退けてしまう過剰適応型の猛者がいます。インポスター症候群と呼ばれています。

かいつまんで、その特徴をあげると次のようになります。
(1)何をホメられても、それを素直に認められず、謙遜を通り越して完全否定を繰返す。
(2)「もっと、もっと」と常に自分を叱咤激励するものの、達成感もなければ、充足感も、満足感もない。
(3)成功したのは、たまたま運が良かったからであって、自分の能力・努力のせいではない。
(4)成功している自分は本当の自分ではない(詐欺師?)。

こんな方、職場におられません? 真面目で仕事一徹の頑張り屋。飽くことなき向上心。一見、理想的な職員に見えます。しかし、上司から「あなたはどんな状況になれたら満足できるのか?」と呆れられた女性職員までいました。どれだけ仕事をしても自分への満足感といったご褒美は皆無なわけですから、結局は疲労ばかりが蓄積し、欠勤、休職へと追い込まれてしまいます。

こういった方々に共通して認められることがあります。子ども時代を劣悪な養育環境のなかで過ごしておられるのです。

具体的には両親(母親が多い)が厳しく、拒否的です。何をしても(テストで100点満点をとってきても)褒められることはなく、「もっとやれ」と責められる日々を送っています。「お前は家には要らない子」「ダメな子」「腐(くっさ)れ子(鹿児島弁)」などと罵られ、叩かれ、育った人も稀ではありません。まさに虐待(DV)です。そのため、「三つ子の魂百までも」で、“満足と休むことを知らない生き方”が続いていたのです。

このため、本症候群の方々の治療にはトラウマの完全消去が不可欠で、特殊な治療技法が必要となります。

そして最終的に治療が成功し終えた時、“満足できない人格”は雲散霧消し、人生を楽しめ、様々なことにチャレンジできるそれに一変してしまいます。これをPTG(心的外傷後成長)と呼んでいます。長年続いたトラウマを乗り越えられた自信がさらなる自信を呼んで、人間的成長を続けていくのでしょう。

まさに「艱難(かんなん) 汝(なんじ)を玉にす」となったのです。

産業保健研修会のご案内(11~1月開催分 受付中!)

┏―[ 産業保健研修会の詳細・申込はこちらから ]―――――┓
 https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
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当センター主催のセミナーのご案内(受付中!)

当センターでは産業保健研修会以外に、事業場向けのセミナーも開催しています。
ホームページにセミナーの専用ページを開設しておりますので、産業保健活動の取組みにお役立てください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/seminar

※以下のセミナーは全て日医認定産業医の単位取得はできません。産業医の皆様におかれましては、予めご了承ください

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メンタルヘルス対策セミナーのご案内【新規ご案内!】
~こころとからだのバランスを整えよう!~

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こころの健康には、個人の資質や能力の他に、身体状況、社会経済状況、住居や職場の環境、対人関係など、多くの要因が影響し、なかでも、身体の状態とこころは相互に強く関係しています。また、こころの健康を保つには多くの要素があり、適度な運動もこころの健康において重要な基礎の一つとなっています。

今回、当センターでは、事業場におけるメンタルへルス対策のセルフケアへの取り組みとして「こころとからだのバランス」をテーマにしたセミナーを開催します。

セミナーを通じた健康教育などを実施していただく参考の機会として参加してみませんか。お申し込みをお待ちしています。

日 時 令和6年11月22日(金)14時00分~16時10分
会 場 マリンパレスかごしま 4Fカトレア(鹿児島市与次郎2-8-8)
対象者 事業者、人事労務担当者、産業保健スタッフなど
内 容
  • 第1部
    テーマ:心の整え方~ストレスフリーな生活への第一歩~
    講 師:鹿児島産業保健総合支援センター メンタルヘルス対策・両立支援促進員(産業カウンセラー)
  • 第2部
    テーマ:体が変わると心が変わる
    講 師:鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員(健康運動指導士)
  • その他
    テーマ:「働く人と職場における勤務間インターバル制度の価値」
    講 師:厚生労働省 令和6年度 勤務間インターバル制度研修講師派遣事業
定 員 30名(定員に達し次第締切)
申 込
方 法
メールフォーム https://ssl.formman.com/t/qLRH/
令和6年11月15日(金)までにお申し込みください。

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

▼「さんぽセンターWebひろば」の専用ページ
https://www.johas.go.jp/Portals/0/sanpocenter/webhiroba.html

治療と仕事の両立支援について

治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、当センターのメンタルヘルス対策・両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。

▼治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765

医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、事前予約の状況等により、窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。

▼「治療と仕事の両立支援」の専用ページ
https://www.ryoritsushien.johas.go.jp/blackjack/

メンタルヘルス対策支援について

当センターのメンタルヘルス対策・両立支援促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。

また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。

▼メンタルへルス対策支援(支援内容、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental

運動指導等支援について

健康で安心して働ける職場環境の形成を支援するという産業保健の観点から、運動指導等を通じた労働者の健康保持増進について取り組むため、産業保健相談員(健康運動指導士)による個別訪問支援等を実施しています。事業場が行う健康教育等において、是非、ご活用ください。

▼運動指導等支援(支援内容、申込フォーム)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/undou

地域産業保健センター(地域窓口)について

各地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。

▼地域産業保健センターについて
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638

<労働者健康安全機構情報>

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
▼「生活習慣病」について
https://www.research.johas.go.jp/seikatsu2018/index.html
▼「メンタルヘルス」について
https://www.research.johas.go.jp/mental2018/index.html
▼「アスベスト」について
https://www.research.johas.go.jp/asbesto2018/
▼「治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル」について
★両立支援コーディネーターマニュアルはこちら
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1047/Default.aspx
★両立支援コーディネーターについて知りたい方はこちら
https://www.research.johas.go.jp/ryoritsucoo/
▼「病職歴データベースを活用した研究」について
https://www.research.johas.go.jp/bs/

<厚生労働省情報>

化学物質による労働災害防止のための新たな規制について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html

転倒予防・腰痛予防の取組について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html

<鹿児島労働局情報>

鹿児島県内の労働災害発生状況

◯令和6年発生分(9月末)
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/jirei_toukei/toukei/saigaitoukei_jirei.html

最新の業種別労働災害発生状況
⇒「令和6年における業種別労働災害発生状況」をクリック

過労死等防止対策推進シンポジウムのご案内【再掲】

毎年11月は「過労死等防止啓発月間」です。
近年、働き過ぎやパワーハラスメント等の労働問題によって多くの方の尊い命が失われ、また心身の健康が損なわれ深刻な社会問題となっています。
本シンポジウムでは有識者や過労死で亡くなられた方のご遺族等にもご登壇をいただき、過労死等防止対策推進法施行から10年、改めて過労死等の現状や課題、防止対策について考えます。

事業者、人事労務担当者ほか、メンタルへルス専門の医師や産業医、看護師・保健師、衛生管理者などの産業保健スタッフの方々も是非ご参加ください。
参加は無料ですが、事前申込が必要です。

【日 時】令和6年11月20日(水)14:00~16:00(受付13:30~)
【会 場】TKPガーデンシティ鹿児島中央 3F薩摩ホール
(鹿児島市中央町26-1 南国アネックス)
【内 容】
<基調講演>
「労働者に認められがちな 精神疾患の病態と治療刑事精神鑑定の経験も踏まえて」
講師:赤崎 安昭 氏(鹿児島大学医学部保健学科・同大学院保健学研究科 教授)

<過労死遺族による体験談発表>

※鹿児島会場の詳細と申し込みについてはこちら
https://www.mhlw.go.jp/karoshi-symposium/page_kagoshima.html

<情報提供>

鹿児島県保健福祉部高齢者生き生き推進課及び
鹿児島県若年性認知症支援コーディネーターからのご案内

64歳以下で認知症と診断された若年性認知症本人や家族の思いを受け止め、関係する方々が連携して支えることができたら地域で共に生きる力になるのではないかと思います。

本人の「自分に出来る事を頑張りたい」「社会とつながっていたい」「役に立ちたい」そんな思いを関係機関の皆さまと一緒に考える機会になればと思います。

「若年性認知症のチーム支援~当事者の思いを多職種連携で支える~」

【日 時】 令和6年12月13日(金)13時30分から16時 (受付13時~)
【場 所】 カクイックス交流センター(かごしま県民交流センター)大ホール
【対 象】 行政・医療・介護・障害福祉の関係者、企業などの雇用人事関係者など
【方 法】 ハイブリッド方式【会場参加(定員100名)・Zoomによる参加】
【内 容】
  • 若年性認知症の相談支援の現状とチーム支援について
    鹿児島県若年性認知症支援コーディネーター
  • セッション
    ・当事者の思い
    ・家族の思い
    ・地域包括支援センター(出水市・さつま町)の立場から

助言とまとめ
鹿児島大学病院基幹型認知症疾患医療センター 副センター長 石塚 貴周 先生

【参加申し込み方法】
○本セミナーは事前申込制となっております。
下記URLより電子申請でお申し込みください。
《申込電子申請用 URL》https://shinsei.pref.kagoshima.jp/Xr6f5jlq
○申し込み期限:令和6年12月2日(月)

《セミナーのお問合せ先》
◆鹿児島県若年性認知症支援コーディネーター
若年性認知症支援相談窓口
電話(099)251-4010 携帯 080-8561-9321

◆鹿児島県高齢者生き生き推進課
認知症・生活支援係
電話(099)286-2698

健康かごしま21普及推進会議~日本健康会議 in 鹿児島~のご案内
【鹿児島県保健福祉部健康増進課】

新たな県健康増進計画「健康かごしま21」の効果的な周知を行い、県民の健康増進を推進するため、講演や事例発表などを行う「健康かごしま21普及推進会議~日本健康会議in鹿児島~」を開催します!

家庭や職場での健康づくりに役立つ情報を紹介しますので、是非ご参加ください。

【日 時】 令和6年11月27日(水)14時~16時30分
【会 場】 鹿児島県庁 講堂(行政庁舎2階)(住所:鹿児島市鴨池新町10番1号)
≪オンライン併用≫
【内 容】 以下のURLより鹿児島県ホームページを参照ください
【定 員】 県民、企業、医療・保険団体、行政機関など、どなたでも参加いただけます
200名(参加費無料)
【申込方法】

所長コラム

総選挙が終わり「永田町」には激震が走っている。「民意」をどう解釈するか議論が喧しい。政治の在り様は労働現場にも大きな影響を与える。今回の投票率も50数%に止まるそうだが、4割超の棄権者の声をどう解釈するか。間接民主主義の政治システムではこれらの棄権者は与党を支持したと見做されることを、どれ程の棄権者は理解しているだろうか。現状に対する「否」ではなく全て「諾」となることを真に承知しているのか。

産業保健に関わる我々も各種の調査結果を参考にすることが多い。しかし、多くの調査が対象を洩れなく全例把握していることは稀。その結果で全体を把握すること、把握した心算になることは誤った解釈を惹起しかねない。把握し易い現象よりも表に現われない中に真に取り組むべき問題が潜むことは常にある。働く人々の健康と安全を保持増進する活動では、隠されている問題や「声なき声を聞く」姿勢が必須。表面的な事象のみで判断することは厳に戒めるべきことである。

昨今の最賃値上げは、非正規を含め労働者にとっては朗報と言えるが、小規模零細規模事業場にとっては死活問題。事業場が倒産しては労働者の健康どころではない。地場の零細事業主からの「公的産業保健支援活動よりも金を!」という声は切実。

そんな中で産業保健活動はどうあるべきか。「永田町」や「霞ヶ関」に頼らない活動をどう創り上げていくか、悩ましい日々が続く。