お知らせ

メールレター 第208号

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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第208号
               2020/7/1

   発行:鹿児島産業保健総合支援センター
              所長 草野 健

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相談員からのメッセージ confident

致命率の定義と解釈における注意点

産業保健相談員 徳留 修身
         (産業医、元・鹿児島市保健所長)
(担当分野:結核対策、喫煙対策)

新たに出現した感染症については生命への脅威を示す致命率(case fatality rate, 致死率)が注目される。わが国における結核の致命率は約10%という表現を長く使ってきた。年間の死亡件数が患者発生数の約10分の1であったことによる。

疫学辞典(日本疫学会訳、日本公衆衛生協会)によると致命率は分母を「特定の期間にある疾患に罹患した者の数」、分子を「同じ期間内にその疾患により死亡した者の数」として通常は%で示している。これは「割合」ではなく死亡発生と患者発生との頻度を対比させた指標と見ることができる。「割合」ならば分子は分母の一部分だが、致命率の場合は必ずしもそうではない。分子の「死亡」には期間より以前に発病した者が含まれ、期間内の発病者でも期間の終了後に死亡する例もありうる。発病から死亡までの日数により、「観察期間」の設定が値を大きく左右することがある。新たに出現した感染症の致命率は流行の初期で低く、終息が近づくと特に高くなる可能性もある。

2018年におけるわが国では結核の「死亡数」÷「新登録患者数」から致命率14.1%と推定される。個別の患者の生死を追跡しておらず、年間の結核死亡の頻度と結核患者発生の頻度とを対比させておりあくまでも推定値である。結核統計の年次変動は前年比数%程度でほぼ安定しているため、この推定値は有用である。ちなみにその20年前の1998年については致命率7.9%であった。その後の致命率の上昇は、患者の中でも死亡リスクの高い高齢者の割合が増大したことが大きな要因であろう。

現在世界を震撼させている新型コロナ肺炎については、同時期(同一期間)の死亡件数と感染者数とを対比させても意義は少ないように思われる。この疾病については治療の対象となった患者(発病者)を個別に追跡し生存率を把握するほうが適切であろう。

研修セミナーのご案内 pencil

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産業保健研修会再開のお知らせ(再掲)

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新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止または延期していました産業保健研修会を6月から再開しています。
当センターでは、皆様が安心して参加できるように、次のような新型コロナウイルスの感染予防対策を講じて実施することとしております。

1 研修会場でのソーシャルディスタンスの確保
2 「手洗い」、「手指消毒」、「マスク着用」、「体温測定」のお願い
3 風邪の症状のある方などの参加取り止めや自粛のお願い
4 研修前の机、椅子、ドアノブ等の消毒の実施
5 研修途中に休憩時間を設け、換気の実施
6 講師用演台に「飛沫感染防止パーテーション」の設置

参加される皆様は、新型コロナウイルスの感染予防対策(以下URL)にご協力ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/05/kensyu-kai.pdf

また、研修会はどなたでもご参加できますが、当面の間、ソーシャルディスタンスを確保するため「光健ボイスビル」の定員を10名に制限させていただきます。
10名を超える場合は「キャンセル待ち」として受付けます。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大等によっては、中止または延期させていただくことも考えられますが、その際はご理解をお願い申し上げます。
既に、お申込いただいている方に対しては、メールや電話でご連絡いたしますが、ホームページでの確認もお願い申し上げます。

▼詳細・お申込み
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335

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産業保健研修会のご案内(7月~8月)

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下記、セミナーはどなたでも参加できます。

≪ 7月 ≫ 【定員】10名 【会場】光健ボイスビル2F ※7月17日除く
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☆7月8日(水) 14:00~16:00 ※満席
「職業性ストレスとその対処法」長友先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆7月16日(木) 14:00~16:00 ※満席
「知っておきたい職場の安全管理」黒沢先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆7月17日(金) 14:00~16:00 ※満席
「新型コロナ感染症(COVID-19)への心理的対応と支援をめぐって」久留先生
※会場:鹿児島県民交流センター東棟4F 大研修室第3(鹿児島市山下町14-50)
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆7月21日(火) 14:00~16:00
「受動喫煙ゼロをめざして」徳留先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆7月27日(月) 16:00~18:00
「職域における身体活動と健康」堀内先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆7月29日(水) 14:00~16:00 ※満席
「職場での応急手当」冨宿先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

≪ 8月 ≫【定員】10名 【会場】光健ボイスビル2F
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☆8月5日(水) 14:00~16:00
「今も起こっている職業がん」冨宿先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆8月17日(月) 14:00~16:00
「働く女性の健康」桶谷先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

◇8月19日(水) 14:00~16:00
「産業医として知っておくべき作業環境測定結果報告書の読み方」東先生
日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

☆8月26日(水) 14:00~16:00 ※満席
「職場における災害時のこころのケア」長友先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆8月28日(金) 14:00~16:00 ※満席
「がんに罹患しないための養生法」德永先生
日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

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8月29日(土)日医認定産業医研修会 集中講座【5単位】

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【定 員】100名 ※有効期限が迫っている産業医を優先
【会 場】鹿児島県医師会館4F 大ホール
【対象者】産業医のみ

14:00~16:00 : 専門2単位
:「医療機関の産業医」
ヘルスサポート鹿児島 冨宿明子

16:00~17:30 : 実地1.5単位
: メンタルヘルスについて(仮)
医療法人玉水会 玉水会病院 心療内科 長友医継

17:30~19:00 : 専門1.5単位
: 脳卒中予防について(仮)
鹿児島医療センター脳卒中センター長、脳血管内科部長 松岡秀樹

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◇…産業医対象
●…産業保健スタッフ対象
☆…産業保健スタッフ・産業医対象
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▼詳細
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
▼全国で開催される「日医認定産業医研修会情報一覧」が確認できます。
http://jmaqc.jp/sang/designated_training/search.php

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健総合支援事業のPR動画について

当センターが行う各種事業の取り組みについて「のんさん」が紹介する動画を公開しています。
https://kagoshimas.johas.go.jp

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

当センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

7月~9月の両立支援(出張)相談窓口のご案内

両立支援(出張)相談窓口の設置状況は次のとおりです。
なお、医療機関における両立支援(出張)相談窓口では、新型コロナウイルス感染症の状況によっては、中止の可能性があります。

  1. 鹿児島産業保健総合支援センター
    相談窓口開設日時・・平日 8:30~17:15
  2. 国立病院機構 鹿児島医療センター がん相談支援センター
    相談窓口開設日時・・毎月第1・3火曜日 10時~13時
    7月の相談日 → 7日(火)・21日(火)
    8月の相談日 → 4日(火)・18日(火)
    9月の相談日 → 1日(火)・15日(火)
  3. 鹿児島大学病院 地域医療連携センター
    相談窓口開設日時・・毎月第3木曜日 10時~12時(事前予約が必要です)
    7月の相談日 → 16日(木)
    8月の相談日 → 20日(木)
    9月の相談日 → 17日(木)
  4. 鹿児島市立病院 がん相談支援センター
    相談窓口開設日時・・・・毎月第4木曜日 10時~12時
    7月の相談日 → なし
    8月の相談日 → 27日(木)
    9月の相談日 → 24日(木)
  5. 済生会川内病院 がん相談支援センター
    相談窓口開設日時・・毎月第2木曜日 10時~12時
    ※上記日時以外でも、事前予約の場合は日程調整のうえ対応します
    7月の相談日 →  9日(木)
    8月の相談日 → 13日(木)
    9月の相談日 → 10日(木)
  6. 川内市医師会立市民病院 患者サポートセンター
    相談窓口開設日時・・毎月第4木曜日 13時~15時(事前予約が必要です)
    7月の相談日 → なし
    8月の相談日 → 27日(木)
    9月の相談日 → 24日(木)

鹿児島産業保健総合支援センターの産業保健専門職(保健師)および両立支援促進員がご相談に応じます。
相談は無料です。両立支援に関するお悩み等についてご相談ください。

事業場内での両立支援教育、体制の整備、規定等の整備、勤務・休暇制度の整備、両立支援の進め方についても、両立支援促進員が事業場を訪問してアドバイスを行いますので、ご利用ください。

詳細
▼両立支援出張相談窓口

https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/02/ryouritsushien-madoguchi.pdf
▼鹿児島医療センターがん相談支援センター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/05/ryoritu-iryousenta.pdf
▼鹿児島大学病院地域医療連携センター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/05/ryoritu-kadasibyoin.pdf
▼鹿児島市立病院がん相談支援センター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/02/ryoritsushien-shiritsubyoin-web.pdf
▼済生会川内病院がん相談支援センター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/10/ryouritsushien-sendaibyouin.pdf
▼川内市医師会立市民病院患者サポートセンター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/10/ryouritsushien-sendaishiminbyouin.pdf

▼治療と仕事の両立支援申込み
ホームページから
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat767
FAXから
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/03/ryoritusien-mousikomi-ura.pdf

▼メンタルヘルス対策支援
鹿児島産業保健総合支援センターでは、メンタルヘルス対策に取り組もうとする事業場を支援しています。事業場にメンタルヘルス対策促進員が訪問して、「心の健康づくり計画」の策定、体制の整備、職場環境の把握と改善、管理監督者向けの研修、若年労働者(含む全社員)向けの研修などの支援を行っています。

https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat426

<労働者健康安全機構情報>

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

○労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html

「職場における新型コロナウイルス感染症予防対策を推進するためのポイント」の動画教材を公開しています!

独立行政法人労働者健康安全機構では、「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」を公表した一般社団法人日本渡航医学会及び公益社団法人日本産業衛生学会の協力を得て、職場における新型コロナウイルス感染症予防対策を進める上でのポイントを解説するビデオを制作しました。

https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/johoteikyo/tabid/1764/Default.aspx

令和2年度産業保健関係助成金のお知らせ

令和2年度からは、標準的労働者に比べて就労時間が短い副業・兼業労働者に対する健康診断の実施を促進することを目的に、「副業・兼業労働者の健康診断助成金」を新たに取扱うこととなりました。

職場における労働者の健康管理等のために、ぜひご活用ください。

【助成金の種類】

<厚生労働省情報>

令和2年度の熱中症予防行動について

https://www.mhlw.go.jp/content/000633494.pdf

職場における熱中症予防に関する講習会のご案内

https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/content/contents/000653466.pdf

心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11494.html

「事業場におけるメンタルヘルス対策の取組事例集」を公表しました

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055195_00007.html

令和元年度「過労死等の労災補償状況」を公表しました

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11975.html

<鹿児島労働局情報>

令和元年度11月「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果を公表しました

 https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-0623-2_20200623b.pdf

監督実施事業場の 3 分の 2 で法令違反(令和元年)

鹿児島労働局は、令和元年に、管内の労働基準監督署(鹿児島、川内、鹿屋、加治木、名瀬)が実施した監督指導及び書類送検の実施結果を公表しました。

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-0623-2_20200623a.pdf

令和元年・令和2年の労働災害発生状況

令和2年(5月末速報)
□ 死亡者数は7人で、前年に比べ3人(75%)増。
□ 休業4日以上の死傷者数は647人で、前年に比べ46人(7.7%)増。

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r2saigai_2020-0609-1.pdf

<新型コロナウイルス関連情報>

新型コロナウイルス感染症に関する情報(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大防止に向けた職場における対応について(鹿児島労働局要請)

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-0410-1.pdf

新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた労働安全衛生法等に基づく健康診断の実施等に係る対応について(鹿児島労働局)

▼詳細
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-0605-1.pdf

▼新型コロナウイルスに関連するQ&A(企業の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html

生活を支えるための支援のご案内

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000625689.pdf
※随時更新される可能性があります。

新型コロナウイルス情報~個人と企業に求められる対策~(日本渡航医学会情報)

https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html

新型コロナウイルス(COVID-19)への対応について(日本環境感染学会)

http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=328

「企業向け新型コロナ対策情報」が配信されています!(OHサポート株式会社)

http://www.oh-supports.com/corona.html

編集後記

梅雨のさなかでも最高気温が30度を超える日が続いています。真夏の酷暑が思いやられます。コロナ対策の一環としてマスク着用が要請され屋内だけでなく街路でも多くの人がマスク着用をしていますが、唯でさえ熱中症が心配な今夏に、マスク着用すれば熱中症発症の危険は増大します。大いに危惧されます。

人体内で産生される熱の放散の最大は不感蒸泄ですが、呼気による口鼻からの放散も大きいので、その放散が出来ないとなればうつ熱の危険は大きくなります。屋外で風があり人が密集していない場所ならマスクは不要の筈。それ以前に、マスク着用の意味・意義がどれほど理解されているのか疑問に感じています。マスクはN95等を除けばウィルス侵入を防御することは出来ず飛沫拡散防止咽喉頭の湿度保全の効果しかありません。本来、ウィルス等を保有する者だけが着用すれば感染拡大防止には十分です。問題は、新型コロナでは不顕性感染者がどれほどいるのか不明で且つ不顕性感染者がどれほどの感染力を持つのか不明なこと。そのような状況では誰もがウィルス保有者の可能性があることを前提にするしかないことです。その為他者に感染させないためのマスクですが、どんな時に飛沫が多量に飛散するのかを十分に理解して貰うことが重要と思います。

静かに会話する時の日本語の飛沫は多言語に比べて少ないとの説もありますが、咳・クシャミ時には多量の飛沫が発生しますし、叫んだり大声を出したりすれば当然飛沫は増えます。そのような場面を避けられないのであればマスクは必須ですが、静かに発声少なく作業するのであればマスクなしでも、と思ったりしています。いずれにしても、熱中症の危険を犯してまでマスク厳守するのは考えものです。

 

コロナ禍で気になることの一つに、働き方の見直しがあります。テレワークを政府は推奨していますが、小規模零細規模の製造業でのテレワーク導入は極めて困難です。事務作業で押印作業の見直しも話題に上っています。確かに押印のためだけに出勤するなど無駄と思われますが、それ以前の問題として事務処理の煩雑さがあります。報告・連絡・相談は組織で仕事をする上での基本ですが、報・連・相すべてを文書化することは生産性の上からも無駄と思います。細かな報・連・相の手順を規定することは管理する側を楽にはしますが、作業者にとっては生産性を落としストレスを増すだけです。その方面の改革は個々の事業場ではそれなりに取り組んでいる所もありますが、何よりも行政システムの改革が必要と強く感じています。COVID19によるパンデミックを期に、押印廃止やテレワークを糧に社会全体で働く人の立場での改革が進むことを願っています。