お知らせ

メールレター 第210号

■■■sanpo■■■■■■■■■■■■■■■■■■
≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第210号
               2020/9/1

   発行:鹿児島産業保健総合支援センター
              所長 草野 健

■■■■■■■■■■■■■■■■kagoshima■■■

相談員からのメッセージ confident

アルコール依存症の成因と診断と治療

産業保健相談員 竹元 隆洋
        (担当分野:メンタルヘルス)

(1)アルコール依存症の成因
アルコールは脳をマヒさせ快気分がおこるので、また飲みたいとくり返しの行動が起こります。快気分の時は脳の側坐核でドーパミンという神経伝達物質が大量に出ます。しかし、それをくり返していると、ドーパミンを受け取る細胞(受容体)は感受性が低下して、快気分がにぶくなりもう少し飲みたいと1合(180ml)が2合さらに3合と飲酒量が増加してきます。3合飲んでも平気で正常な状態に近い状態になっている人に酒を止めさせると、飲酒しないことがかえって異常事態となって、離脱(禁断)症状が出現してきます。軽い症状では、気分のイライラ、不眠、強い衝動的飲酒欲求がおこるため、なかなか酒を止めことが出来なくなります。こうして飲酒行動をコントロールできなくなると、依存症に突入していきます。

(2)アルコール依存症の診断
WHOの国際疾病分類(ICD-10)によれば、①飲酒量増加(耐性の強化)②衝動的(強迫的)飲酒欲求③飲酒行動をコントロールできない④飲酒中心(最優先)の思考・行動⑤飲酒抑制の障害と過量飲酒による明確な有害を否認して飲酒する⑥離脱症状の出現。以上の6項目のうち、この1年以内に3項目以上あればアルコール依存症と診断されます。

(3)アルコール依存症の治療
外来通院治療、入院治療、自助グループに参加して、個人療法(内観療法、認知行動療法)や集団療法(患者や家族の教育指導、グループミーティングなど)を実施します。治療の第1段階は多くの患者が否認していますので「病識を自覚」。第2段階は自己を振り返って「汝自身を知れ」から自己変容。第3段階は考え方(特に人間関係)の変化が行動の変化さらに生活習慣の変化そして新しい人生の変化になります。

研修セミナーのご案内 pencil

下記、セミナーはどなたでも参加できます。

参加される皆様は、新型コロナウイルスの感染予防対策(以下URL)にご協力ください。
⇒ https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/05/kensyu-kai.pdf

なお、新型コロナウイルスの感染拡大等によっては、中止または延期させていただくことも考えられますが、その際はご理解をお願い申し上げます。
既にお申込いただいている方に対しては、メールや電話でご連絡いたしますが、ホームページでの確認もお願い申し上げます。

≪ 9月 ≫【定員】10名 【会場】光健ボイスビル2F ※9月5日除く
:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:

☆9月5日(土) 14:00~16:00 ※満席
「職場における救急救命処置について」前田先生
※会場:鹿児島商工会議所ビル 4Fアイムホール(鹿児島市東千石町1-38)
日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

☆9月10日(木) 14:00~16:00 ※満席
「ストレスマネジメント(自律訓練法、漸進的筋弛緩法)」網谷先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆9月17日(木) 14:00~16:00
「粉じんによる健康障害防止」黒沢先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆9月25日(金) 14:00~16:00  ※満席
「メンタルヘルス・カウンセリング-Ⅲ
〈人事管理者のストレス〉~感情労働・感情管理をめぐって~」久留先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆9月29日(火) 18:00~20:00
「歯周病とメタボリックシンドローム」門松先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

◇9月30日(水) 14:00~16:00
「闘病しながら働けるように医師がすべきこと」冨宿先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

≪ 10月 ≫【定員】10名 【会場】光健ボイスビル2F ※10月17日除く
:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:
◇10月2日(金) 14:00~16:00
「ストレスチェックにおける面接指導の実際」小田原先生
日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

☆10月7日(水) 14:00~16:00
「測定結果を用いた作業環境の改善提案のポイントと改善事例」東先生
日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

☆10月8日(木) 14:00~16:00
「うつ病者の病理・診断・治療,そして復職支援」赤崎先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆10月17日(土) 14:00~16:00 ※定員30名
「職場・施設の結核対策」徳留先生
※会場:鹿児島市医師会館 3F大会議室(鹿児島市加治屋町3-10)
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆10月23日(金) 14:00~16:00
「職場風土をかえる保健指導PART1≪高血圧≫」德永先生
日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

☆10月26日(月) 16:00~18:00
「健診と検診~産業保健におけるこころと体の健康管理」堀内先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆10月28日(水) 14:00~16:00 ※満席
「職場のハラスメントと法」長友先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

———————————————————-
◇…産業医対象
●…産業保健スタッフ対象
☆…産業保健スタッフ・産業医対象
———————————————————-
▼詳細
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
▼全国で開催される「日医認定産業医研修会情報一覧」が確認できます。
http://jmaqc.jp/sang/designated_training/search.php

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健総合支援事業のPR動画について

当センターが行う各種事業の取り組みについて「のんさん」が紹介する動画を公開しています。
https://kagoshimas.johas.go.jp

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

当センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

9月~11月の両立支援(出張)相談窓口のご案内

両立支援(出張)相談窓口の設置状況は次のとおりです。
なお、医療機関における両立支援(出張)相談窓口では、新型コロナウイルス感染症の状況によっては、中止の可能性があります。

  1. 鹿児島産業保健総合支援センター
    相談窓口開設日時・・平日 8:30~17:15
  2. 国立病院機構 鹿児島医療センター がん相談支援センター
    相談窓口開設日時・・毎月第1・3火曜日 10時~13時
    9月の相談日 → 1日(火)・15日(火)
    10月の相談日 → 6日(火)・20日(火)
    11月の相談日 → 17日(火)
  3. 鹿児島大学病院 地域医療連携センター
    相談窓口開設日時・・毎月第3木曜日 10時~12時(事前予約が必要です)
    9月の相談日 → 17日(木)
    10月の相談日 → 15日(木)
    11月の相談日 → 19日(木)
  4. 鹿児島市立病院 がん相談支援センター
    相談窓口開設日時・・・・毎月第4木曜日 10時~12時
    9月の相談日 → 24日(木)
    10月の相談日 → 22日(木)
    11月の相談日 → 26日(木)
  5. 済生会川内病院 がん相談支援センター
    相談窓口開設日時・・毎月第2木曜日 10時~12時
    ※上記日時以外でも、事前予約の場合は日程調整のうえ対応します
    9月の相談日 → 10日(木)
    10月の相談日 →  8日(木)
    11月の相談日 → 12日(木)
  6. 川内市医師会立市民病院 患者サポートセンター
    相談窓口開設日時・・毎月第4木曜日 13時~15時(事前予約が必要です)
    9月の相談日 → 24日(木)
    10月の相談日 → 22日(木)
    11月の相談日 → 26日(木)

鹿児島産業保健総合支援センターの産業保健専門職(保健師)および両立支援促進員がご相談に応じます。
相談は無料です。両立支援に関するお悩み等についてご相談ください。

事業場内での両立支援教育、体制の整備、規定等の整備、勤務・休暇制度の整備、両立支援の進め方についても、両立支援促進員が事業場を訪問してアドバイスを行いますので、ご利用ください。

詳細
▼両立支援出張相談窓口

https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/02/ryouritsushien-madoguchi.pdf
▼鹿児島医療センターがん相談支援センター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/05/ryoritu-iryousenta.pdf
▼鹿児島大学病院地域医療連携センター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/05/ryoritu-kadasibyoin.pdf
▼鹿児島市立病院がん相談支援センター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/02/ryoritsushien-shiritsubyoin-web.pdf
▼済生会川内病院がん相談支援センター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/10/ryouritsushien-sendaibyouin.pdf
▼川内市医師会立市民病院患者サポートセンター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/10/ryouritsushien-sendaishiminbyouin.pdf

▼治療と仕事の両立支援申込み
ホームページから
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat767
FAXから
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/03/ryoritusien-mousikomi-ura.pdf

▼メンタルヘルス対策支援
鹿児島産業保健総合支援センターでは、メンタルヘルス対策に取り組もうとする事業場を支援しています。事業場にメンタルヘルス対策促進員が訪問して、「心の健康づくり計画」の策定、体制の整備、職場環境の把握と改善、管理監督者向けの研修、若年労働者(含む全社員)向けの研修などの支援を行っています。

https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat426

<労働者健康安全機構情報>

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

○労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
○「生活習慣病」テーマ(平成30年度開始)について
http://www.research.johas.go.jp/seikatsu2018/
○「脳・心臓疾患」について
https://www.research.johas.go.jp/22_nou/

「令和2年度両立支援コーディネーター基礎研修」開催のご案内について

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、今年度の集合形式での研修は中止し、オンライン形式での研修開催を予定しております。
なお、研修日程等の詳細につきましては、8月下旬から9月上旬に機構ホームページ上に公開いたしますので、ご確認いただきますようよろしくお願いいたします。
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1830/Default.aspx

「メンタルヘルスの治療と仕事の両立支援シンポジウム」のご案内

「心の病気と付き合いながら働くこと」をテーマにメンタルヘルスの治療と仕事の両立支援シンポジウムが、開催されます。参加費は無料で、新型コロナ対策のためライブ配信でも開催いたします。

日 時:令和2年9月18日(金)13時00分~17時10分
会 場:フクラシア東京ステーション
所在地:千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル5階
主 催:独立行政法人労働者健康安全機構

https://www.tokyor.johas.go.jp/

「職場における新型コロナウイルス感染症予防対策を推進するためのポイント」の動画教材を公開しています!(再掲)

https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/johoteikyo/tabid/1764/Default.aspx

<厚生労働省情報>

石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行について

厚生労働省では、「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会」の議論を踏まえ、建築物、工作物及び船舶の解体工事及び改修工事における石綿等へのばく露による健康障害を防止するため、石綿障害予防規則等について改正を行うとともに、改正石綿則に基づく告示の制定を行いました。

【令和2年8月4日付け基発0804第2号】
https://www.mhlw.go.jp/content/000656249.pdf
【パンフレット(解体改修工事受注者用)】
https://www.mhlw.go.jp/content/000656330.pdf
【パンフレット(解体改修工事発注者用)】
https://www.mhlw.go.jp/content/000656331.pdf

令和2年度「『見える』安全活動コンクール」を実施します

厚生労働省報道発表ページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12637.html

「『見える』安全活動コンクール」特設ページ
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzenproject/concour/oubo.html

令和2年度「全国労働衛生週間」を10月に実施(再掲)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12193.html

「エイジフレンドリー補助金」のご案内について

エイジフレンドリー補助金は、高齢者者が安心して安全に働くことができるよう、中小企業事業者による職場環境の改善等の安全衛生対策の実施に対し補助を行うもので、本年度新たに創設されました。

厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html

日本労働安全衛生コンサルタント会ホームページ
https://www.jashcon-age.or.jp/

「職場の健康診断実施強化月間」の実施に関する協力依頼について

【令和2年8月21日付け基発0821第4号】
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/08/R2.8.21_0821-4.pdf
【別添1】
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/08/betten1.pdf
【別添2】
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/08/betten2.pdf
【別添3】
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/08/betten3.pdf

 

<鹿児島労働局情報>

令和2年の労働災害発生状況

令和2年(7月末速報)
□ 死亡者数は11人で、前年に比べ4人(57.1%)増。
□ 休業4日以上の死傷者数は980人で、前年に比べ32人(3.4%)増。

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r2saigai_2020-0811-2.pdf

< 全国労働衛生団体連合会 >

令和2年度「心とからだの健康推進運動」の実施について

『健診を 受けて守ろう 心とからだ いつも元気に 快適に』を運動標語にして、9月1日から9月30日までの1か月間、全国一斉に健康診断ならびにメンタルヘルス対策の重要性についての普及啓発運動が実施されます。

【実施要綱】
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/08/R2.kenkosuishin.pdf
【リーフレット】
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/08/keihatsu.pdf

<新型コロナウイルス関連情報>

新型コロナウイルス感染症に関する情報(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大防止に向けた職場における対応について(鹿児島労働局要請)

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-0410-1.pdf

新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた労働安全衛生法等に基づく健康診断の実施等に係る対応について(鹿児島労働局)

▼詳細
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-0605-1.pdf

▼新型コロナウイルスに関連するQ&A(企業の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html

生活を支えるための支援のご案内

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000625689.pdf
※随時更新される可能性があります。

新型コロナウイルス情報~個人と企業に求められる対策~(日本渡航医学会情報)

https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html

新型コロナウイルス(COVID-19)への対応について(日本環境感染学会)

http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=328

「企業向け新型コロナ対策情報」が配信されています!(OHサポート株式会社)

http://www.oh-supports.com/corona.html

編集後記

猛暑というより酷暑と形容したい日々が続いています。地球史からは3万年程前の氷河期後の間氷期であり地球表面温度が最も高くなる時期に近づいているとも言えますが、それに人為的な温暖化が加わっているのでしょうか。

危惧していた以上に熱中症が多発しています。コロナ対策のマスク着用は熱中症のリスクを格段に増加させますから、感染拡大防止と熱中症予防の同時実施に苦慮している事業場も多いようです。気象庁の予報では少なくとも今月中半までは猛暑が続くとか。暑さも彼岸までとはいかないようですが、それでも早朝などは「風の音にぞ驚かれぬる」感が無きにしも非ず、です。しかし、秋風が立つ頃から夏バテが増加します。今年は気象状況だけでも夏バテ増加の条件が強いのにコロナ疲れも加わり例年以上に夏バテ対策に追われそうです。

首相が交代します。独裁制社会と異なり民主制社会では政権与党が変らなければ劇的に政治状況が変わることはないでしょうが、産業保健にとっては無視できない変化もあり得ます。産業保健活動は経済状況にその在り様は大きく影響されます。前号でも述べましたが、経済とは本来経世済民の意味であり、歴史的に「民」の生活を安定させる営みが経世済民です。経済とは人々の生活を保障し、安定化させる活動のことですが、現実は利潤追求の活発化高度化のことを意味しているようです。「窮死事小、失節事大」という言葉があります。貧窮や餓死も問題だがそれ以上に礼節を失うことが重大な問題である、というような意味で清王朝雍正帝のころに朱子学の一派が称えた思想と言われています。現代に当て嵌めれば国民生活よりも大企業の利益や株価・GDP等で測れる国益が重要ということになります。

そのような立場からの産業保健政策ではないと願いたいところですが、両立支援対策にしろ働き方改革にしろ、「経済発展」のための労働力確保が最大の眼目であり働く人々の生活が楽になることは波及効果で、ということではないことを信じたいものです。

労働力人口減少が少子化の中で急速に進行し、労働力を確保することはこの国にとって喫緊の大きな課題ですが、その為には働きやすい環境で事業を容易に推進できるような産業構造へ転換することと、時間当たり労働生産性を向上することです。それとともに少子化解決のためには女性が子供を産みやすく、若年者家族が子育てやすい社会環境が必須です。株価やGDPから景気は上向いていると指摘されますが、実質賃金は低下し非正規雇用のみ増加しています。複数の仕事をこなして辛うじて生活を支えている零細事業場の労働者も少なくありません。剰えコロナ禍で倒産や統計に現れない廃業休業の事業場も増加し、また何とか事業継続していても雇止めは日常化しつつあるようです。

私達産業保健活動に従事する者は表に現れる50人以上の事業場や50人未満でも地産保を利用する事業場の実情は把握し易いのですが、絶対的多数を占める零細事業場での産業保健の実態把握は困難で、過半の労働者の実態を詳らかにはできないままです。コロナ禍で働き方改革等に伴う産業保健活動もその成果も正当に評価することが難しくなっています。コロナ禍が落ち着いた頃には産業保健課題が噴出してくるのではと危惧しています。

今後は、貨幣価値に換算されない価値にも重きをおいた経済活動をと願っています。