メールレター 第211号
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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第211号
2020/10/1
発行:鹿児島産業保健総合支援センター
所長 草野 健
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相談員からのメッセージ
コロナ禍に思う ―侮ることなく慎重に対処するが望ましい。
産業保健相談員 野添 新一
(担当分野:メンタルヘルス)
コロナ感染について、いままであまり縁のないものと捉えていた。感染状況を今年3月と6月を比すと、細胞変異はあっても重症者等は少ないという情報に安堵していた。しかし「疾病と世界史(上・下)ウィリアム・H.マクニール著、佐々木昭夫訳」にある「病気を引き起こすミクロの生物体に対して人間の知力は何千年もの間ほとんど手探り状態だった」との記録を見るとコロナ軽視は危険だと思う。8月末になると県下の感染者は増加し、加えて「新型コロナウィルスは、インフルエンザ以上に“タフ”で、体外でも三日間ほど?長生き”することや、物の表面などに付着して人体に入り込むので、頻繁な消毒が必要」とある(文藝春秋6月号)。丁度約100年前1920年パンデミックで有名なスペイン風邪では、県内の死者は第1波では少なかったが「第2波では細胞変異によると思われる理由で、死者は半年で県内4810人を数えた。この時、初めて県内でもマスクも使用されたが、第3波では患者の多くは軽症で免疫を獲得していた。」令和2年6月、南日本新聞。
疫病は有史以来世界各地で毎年のように発症、記録史によると中国湖南省では2世紀に初めて発生、以後数年毎に発症し、17,18世紀は4回も発症、沈静化の傾向は18世紀に「人間の食物に肉と畜乳が多くなり、蛋白質の摂取が増えたこと、つまりあらゆる感染症に関してヒトが体内に抗体を作る能力を高めたことにあった。抗体自体が蛋白質であり,蛋白質が提供する化学的な材料で形成され、感染症に対する抵抗力が高まったことによる(疫病と世界史(上・下))」。それでは、日常の食生活で免疫力維持ができていればコロナ感染は心配しないでよいのだろうか。問題は簡単にはいかない。1970年代HIVウィルスによる感染(エイズ)が爆発的に流行、原因は人間の行動様式の変化にあった。つまり、宿主から宿主へのウィルスの移動が容易になっていた。「男性同性愛者間の性的乱交やヘロインの静脈注射その他気分を盛り上げる麻薬の使用増加にあり(現在は低下している)、感染した個人から新しい宿主へウィルスの移動が容易になり、感染を大きく押し上げたのである、結果はまさに目を見張るものだった(疾病と世界史(上・下))」。大切なことは日頃
から(1)食事による高い免疫力の維持と、(2)生活習慣つまり正しい行動様式の形成にあると思う。
研修セミナーのご案内
下記、セミナーはどなたでも参加できます。
参加される皆様は、新型コロナウイルスの感染予防対策(以下URL)にご協力ください。 ⇒ https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/05/kensyu-kai.pdf なお、新型コロナウイルスの感染拡大等によっては、中止または延期させていただくことも考えられますが、その際はご理解をお願い申し上げます。 既にお申込いただいている方に対しては、メールや電話でご連絡いたしますが、ホームページでの確認もお願い申し上げます。
≪ 10月 ≫【定員】14名 【会場】光健ボイスビル2F ※10月17日除く
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◇10月2日(金) 14:00~16:00
「ストレスチェックにおける面接指導の実際」小田原先生
日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位
☆10月7日(水) 14:00~16:00
「測定結果を用いた作業環境の改善提案のポイントと改善事例」東先生
日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位
☆10月8日(木) 14:00~16:00
「うつ病者の病理・診断・治療,そして復職支援」赤崎先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位
☆10月17日(土) 14:00~16:00 ※定員30名
「職場・施設の結核対策」徳留先生
※会場:鹿児島市医師会館 3F大会議室(鹿児島市加治屋町3-10)
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位
☆10月23日(金) 14:00~16:00
「職場風土をかえる保健指導PART1≪高血圧≫」德永先生
日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位
☆10月26日(月) 16:00~18:00
「健診と検診~産業保健におけるこころと体の健康管理」堀内先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位
☆10月28日(水) 14:00~16:00 ※満席
「職場のハラスメントと法」長友先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位
≪ 11月 ≫【定員】14名 【会場】光健ボイスビル2F ※11月28日除く
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◇11月6日(金)14:00~16:00 ※満席
「治療と職業の両立支援対策」小田原先生
日医認定産業医:生涯(更新)2単位
☆11月10日(火) 18:00~20:00
「生活習慣病と運動療法について(症例検討を交えて)」前田先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
☆11月12日(木)14:00~16:00 ※満席
「ストレスマネジメント(マインドフルネス)」網谷先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
☆11月13日(金)14:00~16:00
「夜勤者の健康診断、睡眠と不満」德永先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位
☆11月16日(月)14:00~16:00
「働き盛りのがん対策」桶谷先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
☆11月24日(火) 18:00~20:00
「歯科の視点からの禁煙指導について」市来先生
日医認定産業医::生涯(専門)2単位
☆11月27日(金)14:00~16:00 ※満席
「メンタルヘルス・カウンセリング-Ⅳ〈パワハラ・セクハラ〉
~トラウマ(心的外傷 PTSD)をめぐって~」久留先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
☆11月28日(土)14:00~16:00 ※定員30名
「知っておきたい職場の安全管理」黒沢先生
※会場:鹿児島市医師会館 3F大会議室(鹿児島市加治屋町3-10)
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
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◇…産業医対象
●…産業保健スタッフ対象
☆…産業保健スタッフ・産業医対象
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▼詳細
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
▼全国で開催される「日医認定産業医研修会情報一覧」が確認できます。
http://jmaqc.jp/sang/designated_training/search.php
お知らせ
<鹿児島産業保健総合支援センター>
産業保健総合支援事業のPR動画について
当センターが行う各種事業の取り組みについて「のんさん」が紹介する動画を公開しています。
https://kagoshimas.johas.go.jp
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。
当センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase
両立支援(出張)相談窓口のご案内
両立支援(出張)相談窓口の設置状況は次のとおりです。
なお、医療機関における両立支援(出張)相談窓口では、新型コロナウイルス感染症の状況によっては、中止の可能性があります。
▼両立支援(出張)相談窓口一覧
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/02/ryouritsushien-madoguchi.pdf
鹿児島産業保健総合支援センターの産業保健専門職(保健師)および両立支援促進員がご相談に応じます。
相談は無料です。両立支援に関するお悩み等についてご相談ください。
事業場内での両立支援教育、体制の整備、規定等の整備、勤務・休暇制度の整備、両立支援の進め方についても、両立支援促進員が事業場を訪問してアドバイスを行いますので、ご利用ください。
▼治療と仕事の両立支援申込み
ホームページから
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat767
FAXから
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/03/ryoritusien-mousikomi-ura.pdf
メンタルヘルス対策支援
鹿児島産業保健総合支援センターでは、メンタルヘルス対策に取り組もうとする事業場を支援しています。事業場にメンタルヘルス対策促進員が訪問して、「心の健康づくり計画」の策定、体制の整備、職場環境の把握と改善、管理監督者向けの研修、若年労働者(含む全社員)向けの研修などの支援を行っています。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat426
<労働者健康安全機構情報>
労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。
○労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
○「勤労世代肝疾患」について
https://www.research.johas.go.jp/kinrou2018/index.html
○第2期「筋・骨格系疾患」分野について
https://www.research.johas.go.jp/22_kin/index.html
「令和2年度両立支援コーディネーター基礎研修」開催のご案内について(再掲)
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1830/Default.aspx
令和2年度(第25回)産業保健調査研究発表会の開催について
労働者健康安全機構では、地域の産業保健活動の活性化を図るため、各都道府県に設置している産業保健総合支援センターにおいて、産業保健に関する調査研究を実施しています。
令和2年度産業保健調査研究発表会は、各産業保健総合支援センターが令和元年度に実施した調査研究について、発表会の開催等を通じてさらに検討を深めるとともに、研究内容を広く一般に公表することにより成果の普及を図ることを目的に開催するものです。
企業の方、一般の方のご参加をお待ちしております。
なお、参加料は無料ですが、FAXまたはメールによる事前申込みが必要です。
〇 日 時:令和2年11月13日(金)13:30~16:00
〇 開催方法:WEB会議
〇 申込み期限:令和2年10月23日(金)
https://www.johas.go.jp/index/tabid/595/Default.aspx?itemid=972&dispmid=1466
<厚生労働省情報>
令和元年「労働安全衛生調査(労働環境調査)」の結果を公表します
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r01-46-50.html
じん肺法施行規則等の一部を改正する省令の施行について
▼【令和2年8月28日付け基発0828第1号】
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200903K0010.pdf
▼【リーフレット】
https://www.mhlw.go.jp/content/000673005.pdf
令和2年度「全国労働衛生週間」を10月に実施(再掲)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12193.html
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定しました
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13266.html
▼「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和2年9月1日改定版)(概要)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000665402.pdf
▼「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和2年9月1日改定版)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000665413.pdf
情報通信機器を用いた労働安全衛生法第17条、第18条及び第19条の規定
に基づく安全委員会等の開催について
【令和2年8月27日付け基発0827第1号】
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200901K0020.pdf
10月は「年次有給休暇取得促進期間」です
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13665.html
11月は「過労死等防止啓発月間」です
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13557.html
「過労死等防止対策推進シンポジウム」の実施
鹿児島会場は、令和2年12月4日(金)に実施予定ですが、詳細についてはホームページでご確認ください。
https://www.p-unique.co.jp/karoushiboushisympo/
「働く高齢者のための安全衛生管理セミナー」が開催されます(厚生労働省委託事業)
▼【労働調査会ホームページ】
https://age-friendly.chosakai.ne.jp/
▼【リーフレット】
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-0918-2_20201207.pdf
<鹿児島労働局情報>
鹿児島県最低賃金が改定されました
鹿児島労働局長は、鹿児島県最低賃金を1時間あたり793円とすることを決定し、令和2年10月3日より発効することとなりました。
鹿児島県の最低賃金(チラシ)
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-0902-2_20201003.pdf
令和2年の労働災害発生状況
令和2年(8月末速報)
□ 死亡者数は11人で、前年に比べ2人(22.2%)増。
□ 休業4日以上の死傷者数は1157人で、前年に比べ18人(1.6%)増。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r2saigai_2020-0909-1.pdf
<新型コロナウイルス関連情報(再掲)>
新型コロナウイルス感染症に関する情報(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大防止に向けた職場における対応について(鹿児島労働局要請)
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-0410-1.pdf
新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた労働安全衛生法等に基づく健康診断の実施等に係る対応について(鹿児島労働局)
▼詳細
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-0605-1.pdf
▼新型コロナウイルスに関連するQ&A(企業の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
生活を支えるための支援のご案内
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000625689.pdf
※随時更新される可能性があります。
新型コロナウイルス情報~個人と企業に求められる対策~(日本渡航医学会情報)
https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html
新型コロナウイルス(COVID-19)への対応について(日本環境感染学会)
http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=328
「企業向け新型コロナ対策情報」が配信されています!(OHサポート株式会社)
http://www.oh-supports.com/corona.html
編集後記
彼岸以来朝晩の風は秋そのものとなりましたが、日中の残暑には厳しいものがあり熱中症への警戒は解けそうになく夏バテにも注意が必要な気候です。只でさえコロナ禍でメンタルストレスが増大している中、近年にはない気候や豪雨に台風と自然災害が相次ぎ、労働現場も今までにないような困難な課題を抱えさせられています。
コロナ対策や自然災害処理で労働環境とそれへの対処条件は過去にない厳しい条件を突き付けているようです。産業保健活動もマニュアル通りに行える事業場は、少なくとも本県のような小規模・零細規模事業場が大半を占めるような地区には殆どないと言えそうです。
感染拡大防止策の根本は3密を避け、誰もがウィルス保有者であるとの仮定の基に他者にウィルスを撒き散らさないことですが、そのためにテレワークやリモートコミュニケーション等のカタカナで表記される活動が推奨されていますが、一次二次産業の大部分や運送業・サービス業等には適用し難い方法です。大きな話題となっている「経済復興」ですが、情報産業や金融業に加えて観光や各種の娯楽文化事業を中心としたものが多く、経世済民の主体である筈の生産業・製造業の「復興」の話題は滅多に耳に入ってきません。「情報産業やその他の第三次産業の成長がひいては一次二次産業の成長の糧となる」という理屈のようですが、そのような理屈が通るような状況は既に消失していると考えます。少子化が加速しつつあり労働人口減少は当分継続します。情報通信機器や人工知能の性能が向上しその活用が進んでも、農業や水産業の大半はその恩恵に浴することは多くないと思われます。むしろ、電子機器での代替が困難な労働現場では過重労働が常態化する恐れを感じます。
このコロナ禍の中で新たに感じたことですが、過重労働は、過酷な労働条件や長時間労働のみではない、という感慨です。身体的に負荷の大きい労働も拘束時間の長い労働もまたストレスフルな職場環境も大きな過重労働ですが、何よりも意義・意味を見出せない労働を強制されることが一番の過重労働ではないでしょうか。
感染拡大防止のために、労働者への身体的心理的負担の増加が強制されている気配を強く感じます。社会的活動のあらゆる場面での新方式が呼びかけられていますが、それが職場環境の働き易さの追求と逆行するようなことは何とか避けたいものです。
産業保健関連スタッフの方々の多くが「働き方改革」と「感染防止策」の狭間で戸惑っているように感じます。一次二次産業を中心とする実体経済を底辺で支える人々の健康保持増進に何が必要なのか、基本に立ち返って追求することを今回のコロナ禍は示唆していると感じています。経済活動の構造を根底から変革する、全てを貨幣価値に換算して評価する基本構造からの転換が何とか出来ないものか、と考える日々です。
今回の新型コロナもいつかは落ち着くでしょうが、止まるところを知らない環境破壊の進展では、今後も繰り返しパンデミックに見舞われると予想されます。今回こそその時のための大きな教訓とすべきです。