お知らせ

メールレター 第212号

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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第212号
               2020/11/2

   発行:鹿児島産業保健総合支援センター
              所長 草野 健

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相談員からのメッセージ 

令和元年度の「過労死等の労災補償状況」について

産業保健相談員 前田 雅人
        (担当分野:産業医学)

 令和2年6月26日に令和元年度の過労死等の労災補償状況について厚生労働省から発表されたので,内容について取りまとめてお伝えしたいと思います。

脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況の請求件数は昨年度より59件増の936件となり,請求件数と支給決定件数の多い業種は「運輸業,郵便業」,「卸売業,小売業」,多い職種は「輸送・機械運転従事者」,「専門的・技術的職業従事者」でした。年齢は「50~59歳」,「60歳以上」,「40~49歳」の順に,中高年に多い傾向がみられ,時間外労働については,「評価期間1か月」の「120時間以上~140時間未満」が最も多く,「評価期間2~6か月における1か月平均」では「80時間以上~100時間未満」に多くみられる結果となりました。脳・心臓疾患については,特に「運輸業,郵便業」,「卸売業,小売業」に関わる中高年の労働者について,長時間の時間外労働を避けるように強く指導する必要性を感じました。

一方,精神障害に関する事案の労災補償状況の請求件数は2,060件で昨年度より240件増し,先に述べた脳・心臓疾患の2倍以上でした。しかも未遂を含む自殺件数は202件でした。請求件数と支給決定件数の多い業種は「医療,福祉」,「製造業」,職種は「専門的・技術的職業従事者」,「事務従事者」でした。年齢は「40~49歳」,「30~39歳」,「20~29歳」の順であり,脳・心臓疾患と異なり若い労働者に多く,時間外労働も1か月平均「20時間未満」が最も多い結果でした。関連する出来事としては「(ひどい)嫌がらせ,いじめ,又は暴行を受けた」,「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」などがあり,職場環境の問題が大きく,産業医が如何に関わっていけるか,考えさせられるデータでした。

令和2年度は新型コロナ感染症による自粛等の影響が出てくるでしょうから,特に精神障害に関する労災状況の変化に注目してみたいと思います。

研修セミナーのご案内 

下記、セミナーはどなたでも参加できます。

参加される皆様は、新型コロナウイルスの感染予防対策(以下URL)にご協力ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/05/kensyu-kai.pdf

なお、新型コロナウイルスの感染拡大等によっては、中止または延期させていただくことも考えられますが、その際はご理解をお願い申し上げます。

土曜日開催の産業保健研修会について

当日13時までは「鹿児島産業保健総合支援センター(099-252-8002)」に直接連絡可能ですが、13時以降は、センターや各会場へ連絡されても取次ぎができませんのでご注意ください。なお、各会場へのご連絡はお控えください。

当日キャンセル等のご連絡はメールでお願いいたします。また、会場を間違うケースが多発していますので、事前に確認のうえお越しください。
メールアドレス:info@kagoshimas.johas.go.jp

≪ 11月 ≫【定員】14名 【会場】光健ボイスビル2F ※11月28日除く
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◇11月6日(金)14:00~16:00 ※満席
「治療と職業の両立支援対策」小田原先生
日医認定産業医:生涯(更新)2単位

☆11月10日(火) 18:00~20:00 ※満席
「生活習慣病と運動療法について(症例検討を交えて)」前田先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆11月12日(木)14:00~16:00 ※満席
「ストレスマネジメント(マインドフルネス)」網谷先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆11月13日(金)14:00~16:00 ※満席
「夜勤者の健康診断、睡眠と肥満」德永先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位

☆11月16日(月)14:00~16:00 ※満席
「働き盛りのがん対策」桶谷先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆11月24日(火) 18:00~20:00
「歯科の視点からの禁煙指導について」市来先生
日医認定産業医::生涯(専門)2単位

☆11月27日(金)14:00~16:00 ※満席
「メンタルヘルス・カウンセリング-Ⅳ〈パワハラ・セクハラ〉
~トラウマ(心的外傷 PTSD)をめぐって~」久留先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆11月28日(土)14:00~16:00 ※定員30名
「知っておきたい職場の安全管理」黒沢先生
※会場:鹿児島市医師会館 3F大会議室(鹿児島市加治屋町3-10)
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

 

≪12月≫【定員】14名 【会場】光健ボイスビル2F ※12月19日除く
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☆12月3日(木) 14:00~16:00 ※満席
「「不安」を主症状とする人たちの治療の実際」赤崎先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆12月9日(水) 14:00~16:00 ※満席
「発達障害者の就労上の困難性」長友先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆12月11日(金) 14:00~16:00 ※満席
「職場風土をかえる保健指導PART2≪適正飲酒≫」德永先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位

☆12月15日(火) 14:00~16:00
「化学物質のリスクアセスメント(1)
~SDSの読み方と数理モデルを用いたリスクアセスメント~」東先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位

☆12月19日(土) 14:00~16:00 ※定員30名
「ストレスチェックの集団分析をどう生かすか」冨宿先生
※会場:鹿児島市医師会館 3F大会議室(鹿児島市加治屋町3-10)
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆12月21日(月)16:00~18:00
「職域における食と健康」堀内先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

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◇…産業医対象
●…産業保健スタッフ対象
☆…産業保健スタッフ・産業医対象
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▼詳細
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
▼全国で開催される「日医認定産業医研修会情報一覧」が確認できます。
http://jmaqc.jp/sang/designated_training/search.php

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健総合支援事業のPR動画について

当センターが行う各種事業の取り組みについて「のんさん」が紹介する動画を公開しています。
https://kagoshimas.johas.go.jp

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

当センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

両立支援(出張)相談窓口のご案内

両立支援(出張)相談窓口の設置状況は次のとおりです。
なお、医療機関における両立支援(出張)相談窓口では、新型コロナウイルス感染症の状況によっては、中止の可能性があります。

▼両立支援(出張)相談窓口一覧
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/02/ryouritsushien-madoguchi.pdf

鹿児島産業保健総合支援センターの産業保健専門職(保健師)および両立支援促進員がご相談に応じます。
相談は無料です。両立支援に関するお悩み等についてご相談ください。

事業場内での両立支援教育、体制の整備、規定等の整備、勤務・休暇制度の整備、両立支援の進め方についても、両立支援促進員が事業場を訪問してアドバイスを行いますので、ご利用ください。

▼治療と仕事の両立支援申込み
ホームページから
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat767
FAXから
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/03/ryoritusien-mousikomi-ura.pdf

メンタルヘルス対策支援

鹿児島産業保健総合支援センターでは、メンタルヘルス対策に取り組もうとする事業場を支援しています。事業場にメンタルヘルス対策促進員が訪問して、「心の健康づくり計画」の策定、体制の整備、職場環境の把握と改善、管理監督者向けの研修、若年労働者(含む全社員)向けの研修などの支援を行っています。

https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat426

<労働者健康安全機構情報>

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

○労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
○「メンタルヘルス(平成30年度開始研究)」について
https://www.research.johas.go.jp/mental2018/index.html

「職場における新型コロナウイルス感染予防対策を推進するためのポイント」をリニューアルしました!

https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/johoteikyo/tabid/1764/Default.aspx

 

<厚生労働省情報>

マンガでわかる働く人の安全と健康(教育用教材)を掲載しました

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13668.html

11月は「過労死等防止啓発月間」です

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13557.html

「過重労働解消キャンペーン」を11月に実施します

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign.html

 

<鹿児島労働局情報>

令和元年度 長時間労働が疑われる事業場に対する立入調査結果を公表

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-1020-5_1.pdf
▼別添「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果」
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-1020-5_2.pdf
▼別紙「令和2年度過重労働解消キャンペーンの概要」
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-1020-5_3.pdf

令和2年の労働災害発生状況

令和2年(9月末速報)
□ 死亡者数は14人で、前年に比べ5人(55.6%)増。
□ 休業4日以上の死傷者数は1325人で、前年に比べ3人(0.2%)減。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r2saigai_2020-1012-2.pdf

<新型コロナウイルス関連情報(再掲)>

新型コロナウイルス感染症に関する情報(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大防止に向けた職場における対応について(鹿児島労働局要請)

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-0410-1.pdf

新型コロナウイルスに関連するQ&A(企業の方向け)(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html

生活を支えるための支援のご案内

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000625689.pdf
※随時更新される可能性があります。

新型コロナウイルス情報~個人と企業に求められる対策~(日本渡航医学会情報)

https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html

新型コロナウイルス(COVID-19)への対応について(日本環境感染学会)

http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=328

「企業向け新型コロナ対策情報」が配信されています!(OHサポート株式会社)

http://www.oh-supports.com/corona.html

編集後記

以前から鹿児島の春秋は短いのですが、今年の秋は一段と短い気がします。紅葉狩りに絶好の時期ですが、コロナ禍の中では以前のように気楽に出かけることも出来にくい状況が続いています。街中のコスモスや夜の公園の虫の声に秋を強く感じています。

今年度に入ってから各種健診が延期になっていましたが、その分がこの時期に集中して実施されています。感染防止の観点から1日の受け入れ数を絞りながらも年度当初の遅れを取り戻すために、土日返上や健診班増加など健診機関は相当の苦労を強いられているようです。産業医にとっても就労判定や健診後の面接指導が集中する傾向があるようです。苦労が察
せられます。

今年は、昨年の健診との期間が1年よりも大幅に伸びている事業場も多くなっているようです。健診間隔が拡がれば疾患発見がそれだけ遅れる危険性があります。法令上の義務ではないがん検診も徐々に実施する事業場が増えていますが、がん検診にとっては健診間隔の拡大は早期がん発見率の低下を惹起し、死亡率減少効果を低下させますが、一般の健康診断については、疾患発見の遅れだけでなく健康状態の年次推移の観察に苦労することになります。例年以上に健診自体の精度向上と同時に判定精度も上げる必要があります。

また、コロナストレスも無視できないレベルにまで拡がっているようです。唯でさえ「強欲資本主義」の中での自由競争という名の弱肉強食経済でストレスフルな社会にあって、さらなる大きなストレス要因の出現です。ストレスチェックの結果判定も例年以上に難しさがある上に、集団分析の年次推移の分析は解釈に苦労させられる状況です。このコロナ禍はあらゆる社会生活の分野に及んでいて産業保健活動も大きく影響を受けていますが、それだけにメンタルヘルス対策・働き方改革・両立支援等の労働衛生施策の重要性は増しています。

産業保健活動は感染拡大防止と同時に進める必要がありますから、地域ごとならぬ事業場ごとの対応が必要です。手洗い励行や器具部品等の清潔保持活動は、コロナ禍でなくても好ましいことです。殊更に「新しい生活様式」などと言うまでもなく、日本人の本来有する清潔好き・几帳面さ・助け合いの精神性こそ今一度重視し尊重することこそ肝要と思います。