お知らせ

メールレター 第220号

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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第220号
               2021/7/5

   発行:鹿児島産業保健総合支援センター
              所長 草野 健

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相談員からのメッセージ

「赤血球は口ほどにモノを云い」

産業保健相談員 山中 隆夫
        (担当分野:メンタルヘルス)

ストレスチェックが盛んに行われている産業保健の現場では首をかしげたくなることが起こる。

事前に配布された調査票では、「頭痛がする」「食欲がない」「眠れない」「意欲がわかない」「体がきつい」などといった(うつ状態の可能性さえ疑われそうな)愁訴がるる記されているにも拘らず、肝腎のストレスチェック表には何も記されていないのだ。怪訝に思って調査票の症状を本人に確かめてみると、「治りました」「今はありません」と判を押したような返答が返ってくる。当然、結果は正常範囲内となるのだが、“何等か”を警戒して、ものが言えなかったようなのだ。言わば、三猿(見ざる、聞かざる、言わざる)を余儀なくされたようなのだ。

このような時、産業医スタッフが職場ストレスの有無を見つける手段は他にないものであろうか?

信頼性の高いストレスマーカーとしては従来からストレス学説(全身適応症候群)の元祖とされるH.セリエに由来するコルチゾールの測定がある。しかし、これでは金も時間もかかるので、すぐすぐ現場には用立てられない。

では、すでになされているルーチンな臨床検査データのなかで、簡単に代替できるものは他にないのであろうか?

それがあるのである。末梢血中のRBC,Hb,Htである。

これらの数値が増多傾向を示すとき、つまりは(相対的)赤血球増多症状態にある時はストレスの関与が疑われ、かつては内科学のバイブルとされた「セシル内科学(医学書院)」ではガイスベック症候群とか、ストレス性赤血球増多症として記載されている。もちろん“真正”と異なり“相対的”なものなので特別な治療は必要ないとされている。

確かに治療は不要なのであろうが、実はこの病態の有無・程度はストレスマーカーとして使い得るのである。その理由(機序)はストレス学の古典的学説である「キャノンの緊急反応(情動・副腎髄質系反応)」において、キャノンは生体は危機に直面した時、「闘争か逃走か」といった緊急事態に備えるため、交感神経系を興奮させ、瞳孔の散大、心臓機能(心拍、心拍出量、血圧)の増強、血糖値の上昇、血液濃縮、赤血球・血小板の増加が起こることを明らかにしたことにある。この際の赤血球増加こそが血液濃縮による“相対的赤血球増多”ということになる。

このような次第で、産業保健の職場健診において、特定の職場、あるいは部署のスタッフが一様に赤血球増多の傾向を示すとき、ストレス過多の状態にあることを疑う必要がある。事実、筆者はかつて某社の某部署の男性職員にこの傾向が顕著なことから、部下を次々に病気にさせては”病院送り”にしてしまう超パワハラ上司の存在を探り得た経験がある。職員は地獄のような日々のストレスに文字通り“血の気が多くなっていた”のである。

研修セミナーのご案内

下記、セミナーはどなたでも参加できます。

参加される皆様は、新型コロナウイルスの感染予防対策(以下URL)にご協力ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/05/kensyu-kai.pdf

なお、新型コロナウイルスの感染拡大等によっては、中止または延期させていただくことも考えられますが、その際はご理解をお願い申し上げます。

土曜日開催の研修会について
令和3年4月から土曜日の研修会場は、第12川北ビルBOIS鹿児島と鹿児島県医師会館の2か所になります。
日程により会場が異なりますので、事前にご確認の上、ご参加くださいますようお願い申し上げます。
また、当日13時以降は、センターや各会場へ連絡されても取次ぎができませんのでご注意ください。なお、各会場へのご連絡はお控えください。

 

≪ 7月 ≫【定員】14名【会場】光健ボイスビル2F ※7/10、7/17を除く
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☆7月9日(金)14:00~16:00 ※満席
「検査異常者の改善行動を促す保健指導」德永先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位

☆7月10日(土)14:00~16:00 ※THPレベルアップ研修 ※満席
「健康づくりのための運動指導について」前田先生
 ※会場:鹿児島県医師会4F大ホール(鹿児島市中央町8-1)
日医認定産業医:生涯(実地)2単位

☆7月10日(土)16:10~17:10 ※THPレベルアップ研修 ※満席
「労働衛生関係法令」当センター副所長
※会場:鹿児島県医師会4F大ホール(鹿児島市中央町8-1)
日医認定産業医:生涯(更新)1単位

☆7月17日(土)14:00~16:00 ※定員30名
「職場での応急手当(救急蘇生法を除く)」冨宿先生
※会場:鹿児島県医師会3F中ホール(鹿児島市中央町8-1)
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆7月20日(火)14:00~16:00
「喫煙対策の推進」徳留先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆7月30日(金)14:00~16:00 ※満席
「境界性人格障害(BPD)とメンタルヘルス・カウンセリング-Ⅱ
~巻き込み、打ち負かしに苦慮する家族、同僚、上司をめぐって~」久留先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

 

≪ 8月 ≫【定員】14名 【会場】光健ボイスビル2F ※8/28を除く
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☆8月3日(火)14:00~16:00
「測定結果を用いた作業環境の改善提案のポイントと改善事例」東先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位

☆8月5日(木)14:00~16:00 ※満席
「「性格」と「人格」について
-メンタルヘルス問題の予防の視点から-」赤崎先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位

☆8月16日(月)14:00~16:00
「新型コロナ感染症と産業医(4月12日と同じ)」桶谷先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆8月19日(木)14:00~16:00
「毒物劇物の管理及び石綿建築物の解体による健康障害防止」黒沢先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆8月23日(月)18:00~20:00
「健診と検診:職場健診をデザインする」堀内先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆8月25日(水)14:00~16:00
「「働く人」のライフサイクルとメンタルヘルス」長友先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆8月28日(土)14:00~16:00 ※定員30名
「今も起こっている職業がん」冨宿先生
※会場:鹿児島県医師会3F中ホール(鹿児島市中央町8-1)
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

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◇…産業医対象
●…産業保健スタッフ対象
☆…産業保健スタッフ・産業医対象
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▼詳細
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

当センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。(オンラインによる相談も可能です。)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

地域窓口(地域産業保健センター)の登録保健師を募集しています。

鹿児島産業保健総合支援センターの地域窓口である
○ 姶良・伊佐地域産業保健センター
○ 南薩地域産業保健センター
○ 曽於地域産業保健センター

の3つの地域産業保健センターでは、それぞれのセンターに登録いただき、登録センターの地域内で活動していただける保健師を募集しています。
募集内容等については、下記を参照ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2021/05/2021-chisanpo-kyujin.pdf

詳しくは、鹿児島産業保健総合支援センター(099-252-8002 新盛)まで。

両立支援(出張)相談窓口のご案内

両立支援(出張)相談窓口の設置状況は次のとおりです。
なお、医療機関における両立支援(出張)相談窓口では、新型コロナウイルス感染症の状況によっては、中止の可能性があります。

▼両立支援(出張)相談窓口一覧
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/02/ryouritsushien-madoguchi.pdf

鹿児島産業保健総合支援センターの産業保健専門職(保健師)および両立支援促進員がご相談に応じます。
相談は無料です。両立支援に関するお悩み等についてご相談ください。(オンラインによる相談も可能です。)

事業場内での両立支援教育、体制の整備、規定等の整備、勤務・休暇制度の整備、両立支援の進め方についても、両立支援促進員が事業場を訪問してアドバイスを行いますので、ご利用ください。

▼治療と仕事の両立支援申込み
ホームページから
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat767
FAXから
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/03/ryoritusien-mousikomi-ura.pdf

メンタルヘルス対策支援

鹿児島産業保健総合支援センターでは、メンタルヘルス対策に取り組む事業場の支援を行っています。当センターのメンタルヘルス対策促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し「心の健康づくり計画」の策定、相談体制の整備、職場環境の把握と改善、管理監督者向けや若年労働者(含む全社員)向けのメンタルヘルス教育・研修、メンタルヘルス不調者の職場復帰支援など、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。
また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。

https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat426

<労働者健康安全機構情報>

令和3年度両立支援コーディネーター基礎研修開催のご案内

令和2年度に引き続きオンライン形式での研修開催を予定しています。
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1968/Default.aspx

【動画解説】オンラインによる医師の面接指導を実施するに当たっての留意事項(再掲)

https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/johoteikyo/tabid/1942/Default.aspx

ポータルサイト「さんぽセンターWebひろば」を開設しました!(再掲)

https://www.johas.go.jp/Portals/0/sanpocenter/webhiroba.html

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

○労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html

<厚生労働省情報>

令和3年度「全国安全週間」(7月1日~7日)

令和3年度スローガン「持続可能な安全管理 未来へつなぐ安全職場」
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000766270.pdf

令和3年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施中!

令和3年5月1日から9月30日まで「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」が実施されています。7月は重点取組期間となっています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000747102.pdf

石綿障害予防規則及び関連法令の改正について

石綿含有珪藻土製品の流通事案を受け、その再発防止のため、当該製品に石綿が含有されていないことの確認等について法令で義務付けるものです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/sekimen/other/pamph/index_00005.html

令和2年度「過労死等の労災補償状況」について

過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害について、令和2年度の労災補償状況が公表されました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19299.html

令和3年度厚生労働省委託事業「ラベル・SDS活用促進事業」について

労働災害を防止するために一定の危険・有害性のある化学物質の取扱いに対して、リスクアセスメントの実施や、譲渡提供時に容器へのラベル表示が義務化されています。テクノヒル(株)が令和3年度の厚生労働省委託事業「ラベル・SDS活用促進事業」の受託者として、無料電話相談や事業場への訪問支援を実施しています。

○ 化学物質管理の無料相談窓口のご案内
https://www.technohill.co.jp/telsoudan/
○「化学物質のリスクアセスメント」訪問支援のご案内
https://www.technohill.co.jp/rabel_sds/

有害物ばく露防止対策補助金のご案内

特定化学物質障害予防規則が改正され、2022年4月から、屋内で金属アーク溶接等作業を実施する事業者は、溶接ヒュームの濃度測定結果に応じ、換気装置の風量の増加その他必要な措置を講じなければならないこととなりました。
法令の適用を前に、溶接ヒューム濃度の測定を行う事業者に費用の一部を支援する「有害物ばく露防止対策補助金」が創設され、令和3年7月1日から申請受付が開始されます。

▼有害物ばく露防止対策補助金の概要
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17832.html
▼補助金申請窓口(全衛連ホームページ)
http://www.zeneiren.or.jp

<鹿児島労働局情報>

「チェスト!緊急ゼロ災運動」に取り組みます!(再掲)

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/news_topics/topics/2021-0510-2.html

令和3年の労働災害発生状況

○令和3年(5月末速報)
□ 死亡者数は11人で、前年同期比で4人(57.1%)増。
□ 休業4日以上の死傷者数は682人で、前年同期比で35人(5.4%)増。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r3saigai_2021-0611-1.pdf

< 日本労働安全衛生コンサルタント会情報 >

エイジフレンドリー補助金のご案内

令和3年度も申請受付が開始されました。働く高齢者を対象とした職場環境の改善等にご活用ください。
申請期間 令和3年6月11日~令和3年10月末日
https://www.jashcon-age.or.jp/

<新型コロナウイルス関連情報>

新型コロナワクチン職域接種について(鹿児島県)

https://www.pref.kagoshima.jp/ae06/documents/vaccine-syokuiki.html

職域接種に関するお知らせ(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_shokuiki.html

新型コロナワクチンについて(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html

新型コロナウイルスに関連するQ&A(厚生労働省)

○企業の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
○労働者の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html

職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(日本渡航医学会)(再掲)

https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html

編集後記

過去幾度となく繰り返されて来ているものの、今を生きる殆どの日本人にとっては今回のパンデミックは初めての体験。清潔好きで大勢順応傾向の強い日本人の特性もあり、欧米に比べCOVID19死亡数は桁違いに少なく推移している。

一方で、昨年は3密回避で各種の検診・健診控えが拡がった。特に緊急事態宣言が出されると、殆どの健診が中止・延期となったが、その後も首都圏や大都市圏での緊急事態宣言や感染拡大状況報道のたびに健診控えが拡大。厚労省も3ヶ月から6ヶ月の実施時期遅れを容認するなど、健診施設受診や集団検診受診がコロナを恐れて忌避される傾向が顕著になった。

本県でも、各健診施設の実績をみると、地方自治体実施の特定健診・住民健診は3割以上減少し安衛法健診も特定健診ほどではないにしても大幅に減少し、密を避けるためにと健診施設や集団での受診ではなく、近隣の医療機関での個別受診とした事業場も少なからずあるようだ。健診施設や検診会場でのクラスター発生は皆無のようだが・・・

がん検診は、がん腫にもよるが検診間隔1年が原則。検診間隔が延びればそれだけ早期発見率が減少し救命率が低下する。安衛法健診も検診間隔延長は、職業性疾患も過重労働による健康障害も、また仕事に関連するあらゆる健康障害もさらには生活習慣病全般も、その早期発見は遅れ早期対策ができない事となる。

コロナ対策により健診活動がおろそかになることは看過できない事態である。