お知らせ

メールレター 第222号

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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第222号
               2021/9/1

   発行:鹿児島産業保健総合支援センター
              所長 草野 健

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相談員からのメッセージ

「SNSとコロナ禍に潜む諸問題」

産業保健相談員 野添 新一
        (担当分野:メンタルヘルス)

社会混乱の一つにSNSの拡大・氾濫が作用しているのではないか。特に、価値・判断の未熟な若年者に及ぼす影響は大きいと思われる。オリンピックで活躍した選手にも「死ね」とか「人間やめろ」といった誹謗・中傷のメッセージがあるらしい。気になるのは大切な親、特に母親との情報交換の機会が減っていることだと思う。日常診療でそのようなケースに直面することは多い。バス・電車に乗り込むと殆どの若者はすぐ携帯を手にして集中し続けるのをよく目にする。思春期前後の若者にとってこの時期は、親や近親者と対話の機会を得ながら「前頭前野」の発達・成長を促す大切な時期である。この機会があって将来の人付き合いはスムースとなるが、不足した場合はやがて引きこもりや不登校へと発展する。携帯による対面不足の影響が増えて、それらが我が国「15-39歳の若者54万人の引きこもりの増加」に関わっていなければよいが。

もう一つは我が国におけるコロナ感染症の急増で1月、5月の7,8千人に比し8月初めには1万5千人へ激増、東京もオリンピックの影響もあるが1日5千人に増えた。誘因はインド由来のデルタ株で、しかも感染力が強く今は地方にまで拡大している。「1918年初めてインフルエンザワクチンを作れたが、ウィルス自体は極めて不安定で、化学構造をしばしば変化させる性質を持っているため、問題は複雑化した。前の年に受けたワクチンが人体の血液中に作った抗体など歯が立たなくなってしまったウィルスによって、新たに広範な疫病的流行が始まることは、ほぼ確実となった(W・Hマクニール:疫病と世界史下)」。世界で率先してワクチンを国民に接種したイスラエルで昨今3回目のワクチン接種を開始したが、ワクチン効果は絶対的なものではない。病原微生物も現代医療の発達した時代では存亡の危機にあり抵抗せざるを得ないからである。感染ウィルスは人類出現以前から続いており、医療技術が発展した今日にあってもワクチン予防による過信は禁物である。感染理由は人流拡大が大きいゆえ、ウィルスの特性をよく知って各自自粛に努めるのが賢明であろう。

研修セミナーのご案内

産業保健研修会等の中止について(お詫び)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、8月に県独自の「緊急事態宣言」が発令され、また、9月12日まで本県が政府の「まん延防止等重点措置」の対象地域に指定されたことを踏まえ、9月12日までに開催される下記の産業保健研修会については、受講者及び関係者の健康を考慮し、やむなく中止することとしました。

■9月 4日(土)14:00~16:00 職場における救急救命処置について
■9月10日(金)14:00~16:00 夜勤者の肥満・生活習慣病予防
■9月11日(土)14:00~16:00 病気を抱えながら働く労働者のためにできること

なお、今後の研修会についても、緊急事態宣言の延長等により中止(延期)する場合がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。
(既に申込いただいている方に対しては、メールや電話でご連絡いたします)


下記、セミナーはどなたでも参加できます。
参加される皆様は、新型コロナウイルスの感染予防対策(以下URL)にご協力ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/05/kensyu-kai.pdf

なお、新型コロナウイルスの感染拡大等によっては、中止または延期させていただくことも考えられますが、その際はご理解をお願い申し上げます。

≪ 9月 ≫【定員】14名 【会場】光健ボイスビル2F ※9/4、9/11を除く
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☆9月17日(金)14:00~16:00 ※満席
「人事管理職者のストレス:メンタルヘルス・カウンセリング-Ⅲ
~感情労働・感情管理、感情の商品化をめぐって~」久留先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆9月21日(火)18:00~20:00
「歯科の視点から 禁煙支援について」市来先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆9月29日(水)14:00~16:00 ※満席
「ストレスチェックの集団分析結果をどう生かすか」冨宿先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

 

≪ 10月 ≫【定員】14名 【会場】光健ボイスビル2F ※10/16を除く
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☆10月 8日(金)14:00~16:00
「ストレスチェックと高ストレス面接の実際」小田原先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位

☆10月11日(月)14:00~16:00
「産業医面談-事例集-」桶谷先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆10月14日(木)14:00~16:00
「行動変容を促すためのコミュニケーション」網谷先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆10月16日(土)14:00~16:00 ※定員30名
「職場のトラブルメーカーにはこう対処しています」冨宿先生
 ※会場:鹿児島県医師会3F中ホール(鹿児島市中央町8-1)
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆10月20日(水)14:00~16:00
「産業医として知っておくべき作業環境測定結果報告書の読み方」東先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位

☆10月20日(水)16:10~17:10
「労働衛生関係法令」当センター副所長
日医認定産業医:生涯(更新)1単位

☆10月22日(金)14:00~16:00
「職場風土をかえる高血圧保健指導」德永先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位

☆10月25日(月)18:00~20:00
「職域における食と健康:食事摂取基準とその利用」堀内先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆10月27日(水)14:00~16:00
「「働く人」におけるメンタルヘルスと自殺」長友先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

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◇…産業医対象
●…産業保健スタッフ対象
☆…産業保健スタッフ・産業医対象
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▼詳細・申込

産業保健研修会予定表・お申込み(9月~11月)

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。電話やホームページからもお気軽にご相談ください。(オンラインによる相談も可能です。)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

治療と仕事の両立支援について

治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、鹿児島産業保健総合支援センターの両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)

また、両立支援促進員が、事業場を訪問して事業場内の支援体制、勤務・休暇制度、各種規程等の整備、両立支援に関する教育など両立支援制度の導入に向けた支援を行うほか、患者(労働者)からの申出を受け、就労継続や職場復帰に関する事業場との調整支援を行います。

両立支援に関する相談、各種支援は無料です。
○治療と仕事の両立支援(支援内容など)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat768
○両立支援申込み
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat767
○両立支援(出張)相談窓口一覧
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/02/ryouritsushien-madoguchi.pdf

なお、医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、9月12日まで中止いたします。また、新型コロナウイルスの感染状況によっては、医療機関の相談窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。

メンタルヘルス対策支援

当センターのメンタルヘルス対策促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し「心の健康づくり計画」の策定、相談体制の整備、職場環境の把握と改善、管理監督者向けや若年労働者(含む全社員)向けのメンタルヘルス教育・研修、メンタルヘルス不調者の職場復帰支援など、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。

また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat426

地域産業保健センター(地域窓口)について

鹿児島県内7か所に地域産業保健センター(地域窓口)を設置し、労働者数50人未満の小規模事業場に対する健康相談、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。
○事業内容
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat639
○各センター所在地、利用申込み
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat640

<労働者健康安全機構情報>

「令和3年7月豪雨災害被災者のための心と健康の相談ダイヤル」について

「令和3年7月豪雨災害被災者のための心と健康の相談ダイヤル」

フリーダイヤル 0120-200-826
※全国どこからでも、携帯電話やPHSからも無料で利用可能

  • 受付日時 平日(10 時 00 分~17 時 00 分/土日祝日を除く)
  • 対象者 被災された住民の方(事業者、労働者及びその家族等)
    相談例:人間関係の悩みなどでの強いストレスや不安について
        エコノミークラス症候群などの健康管理や感染対策などの健康不安について

令和3年度両立支援コーディネーター基礎研修開催のご案内(再掲)

令和2年度に引き続きオンライン形式での研修開催になります。
第3回、第4回の募集は9月6日までとなっています。
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1968/Default.aspx

オンラインによる医師の面接指導を実施するに当たっての留意事項(再掲)

https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/johoteikyo/tabid/1942/Default.aspx

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

○労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html

<厚生労働省情報>

9月は「職場の健康診断実施強化月間」です!

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20331.html

令和2年「労働安全衛生調査(実態調査)」について

令和2年の労働安全衛生調査では、事業所が行っている労働災害防止活動及び安全衛生管理の実施状況等の実態並びにそこで働く労働者の仕事や職業生活における不安やストレス、受動喫煙等の実態について調査が行われました。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r02-46-50b.html

令和3年度「全国労働衛生週間」を10月に実施(再掲)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19768.html

令和3年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施中!(再掲)

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000747102.pdf

令和3年度「『見える』安全活動コンクール」の実施等について(再掲)

https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzenproject/concour/index.html

長時間労働が疑われる事業場に対する令和2年度の監督指導結果を公表します

時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象に、労働基準監督署が実施した監督指導の結果が公表されました。
https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000667303.pdf

地域別最低賃金が改定されます。

鹿児島県の地域別最低賃金は時間給821円となります。
発効年月日は令和3年10月2日です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

 

<鹿児島労働局情報>

令和3年の労働災害発生状況

○令和3年(7月末速報)
□ 死亡者数は14人で、前年同期比で3人(27.3%)増。
□ 休業4日以上の死傷者数は1040人で、前年同期比で60人(6.1%)増。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r3saigai_2021-0811-3.pdf

職場における新型コロナウイルスの感染拡大防止対策相談コーナーについて

【受付内容】
職場における新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための対策に関すること

【担当窓口】
鹿児島労働局労働基準部健康安全課
TEL 099-223-8279
受付時間:8:30~17:15(月~金。ただし、祝日・年末年始を除く)
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/corona_shien.html

< 全国労働衛生団体連合会>

令和3年度「心とからだの健康推進運動」の実施について

http://www.zeneiren.or.jp/cgi-bin/pdfdata/20210816_ko.pdf

<新型コロナウイルス関連情報>

職場における新型コロナウイルス感染症対策のための業種・業態別マニュアル(日本産業衛生学会)

https://www.sanei.or.jp/?mode=view&cid=444

新型コロナワクチン職域接種について(鹿児島県)

https://www.pref.kagoshima.jp/ae06/documents/vaccine-syokuiki.html

職域接種に関するお知らせ(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_shokuiki.html

新型コロナワクチンについて(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html

新型コロナウイルスに関連するQ&A(厚生労働省)

○企業の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
○労働者の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html

職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(日本渡航医学会)(再掲)

https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html

編集後記

SARSCOV-2の感染者数の増加は爆発的様相を呈している。感染拡大防止対策はワクチン頼みの状況になっているが、相手はウィルス。変異株はデルタに次いでラムダ株も出現。今後もさらに変異を繰り返していくと思われる。感染拡大防止策と経済維持発展活動は二律背反的であり極めて困難な課題。

ここで問われるべきは、経済発展・成長の在り様であろう。在宅勤務や時差出勤などで「密」を避ける作業形態の推進が盛んに喧伝されたが、通常就労形態を変更できた事業場は僅か。第3次産業の一部でかつ大規模事業場のみで可能であり、多くの1次産業2次産業特に小規模零細規模の事業場では望むべくもないもの。

経済は「富」を生産するもの。富とは人々の生活を豊かにするもの。それがいつの間にか「利潤の増大」=「富」となっているようだ。労働は原材料等を利用価値・使用価値あるものにする活動であり生活の糧を得るのみでなく生活の質を向上させる真の富を創り出すもの。自己を含めた周囲の人々を豊かにするものであれば労働自体は「喜び」そのものであるが、生活を維持する糧を得ることのみが目的であれば、労働は苦役そのもの。

過重労働対策が労働時間と身体的強度のみに注目するようでは、過重労働による自殺を含めた健康障害を防止することはできないと思われる。このパンデミックをむしろ好機として経済活動の在り様を、周囲の者の役には立たず楽にすることもない、真の意味の「富」の増大に結びつかない作業を極力廃止し、付加価値ではなく使用価値・利用価値が増大することに価値を置く方向に舵を切るべきであろう。生産性とは利潤の増大で計るべきものではなく、真の意味の「富」の増大で計られるべきである。

ゼロ次予防という概念が産業保健分野から提出されていたが、最近注視が弱まっているようだ。感染症対策のゼロ次予防は感染源を無くすことだが、それが不可なら感染予防という一次予防が重要となる。同時に重症化予防という二次予防も必須。しかし、過重労働による健康の障害は、真に効果ある「働き方改革」でゼロ次予防が可能である。そのためには個別事業場の取り組みだけでなく社会全体としての経済システムの変容が必要となる。

最低賃金が来月から引き上げられる。本県も時給821円となるが、非正規労働者が大半を占めるようでは経済的格差解消には程遠く、過重労働による健康障害の減少にも職業性ストレスからくるメンタル障害減少にも簡単には結びつかないであろうが、今回の最賃上昇幅は近年にない高い水準であり、今後に大いに期待したい。同時に、厳しい経営状況に陥る可能性の高い地方の小規模零細規模事業体への分厚い手当も強く望まれる。

コロナ禍では対面活動が大きく制限されるので、産業保健活動の在り様も大きく変容せざるを得ない。終息までの臨時措置ではなくその後も応用できる産業保健活動を模索する好機と捉える視点も必要であろう。