お知らせ

メールレター第182号

鹿児島産業保健総合支援センター メールレター第182号   2018/05/02

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  発行:鹿児島産業保健総合支援センター 所長 草野 健

 

 

 

相談員からのメッセージ confident

慢性・遷延化したうつ病症例(発達障害併存例)に遭遇した時留意すべきこと

産業保健相談員 野添 新一
(担当分野:メンタルヘルス)

Y男さん(43歳)はこれまで約8年間うつ病の繰り返しで休職中であったが、「会社から来年3月までに職場復帰できない場合、自然退職」との通告を受けたとX年12月の受診時に不安な面持ちで話す。
Yさんは幼児期に父親・母親から虐待を受けながら育ち、中・高校でも対人関係が上手くいかず、孤立的、対人回避傾向で休職中は「音などへの過敏性と過食による肥満もあった」と話す。高校卒業後、現在の会社へ就職、8s年前、女性職員が多い職場の副班長へ昇格、女性だけの職場のためか不安・緊張が強く、夜多汗があり2回も着替えていた。同時に職務上のことで上司によるパワハラを受けて体調を崩した後うつ病による休職の繰り返しとなった。以上のような病歴を聴くだけで、Yさんのうつ病が通常とは異なることや「発達障害による引きこもり併存例」であることを鑑別できよう。
そこでWAIS-Ⅲを施行、ASD(自閉性スペクトラム症),ADHD (注意欠陥多動性障害)の併存例と診断し、ストラテラ(ADHDに有効)による治療を開始した。X+1年12月、この1年間休むことなく勤められたことを共に喜び合い、15カ月後の現在も発達不全による障害に向き合いながら適応性の向上に努めている。
現在、大人の発達障害・発達不全は文明化や少子化・核家族化が進むにつれて増えているが、幼少期の問題は見逃されやすく、入学や就職など大人社会に入って問題が顕在化して紹介されるか、自ら疑って受診する例が増えている。症例に関わる人はこれらを単に医療問題として軽視せず、職場における対人不全などの特性がないかどうかも注意すべきである。加えて長期例では治療者・職場関係者との連携ないし情報交換に努めることも必須である。留意すべきこととして、症状悪化で服薬を開始しても、病状が改善し、いざ復帰しようとすると上司や職場関係者などとの過去の出来事が想い出されて(想像力の障害)、不安緊張が再燃悪化し、(再発)休職を繰り返しやすい。慢性例における多面的配慮が求められる。

おすすめ教材(無料貸出し等) book 

当センターでは、産業保健に関する図書、ビデオ・DVDを無料にて閲覧・貸出ができます。
ぜひご利用ください。

★★★おすすめ図書 book ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
よくわかる 労災補償と裁判~安全配慮義務と安全衛生管理~

(分類:2-203,中央労働災害防止協会, 2016年発行, 175頁)

 

【概要】
  安全衛生スタッフ必読!
●どこまでやれば安全配慮義務をつくしたことになる?
●安全衛生スタッフも刑事責任を問われる?
●労災保険が給付されれば損害賠償はしなくて良い?など
  百戦錬磨の弁護士が疑問に答えます!働く人のストレスの現状 

★★★おすすめビデオmovie ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
新規入場時教育 入場初日を甘く見るな!
(分類:7-8,労働基準調査会 健康事業部)

【内容】
死傷災害全体の約4割が入場7日以内に発生し、その6割が入場初日に集中しているのです。入場初日は、昨日までの現場とは異なる隠された危険が一杯だということを検証し、それゆえの「新規入場時教育」であることを悲惨な災害を通して訴えていきます
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研修セミナーのご案内 pencil

すべてのセミナーにどなたでもご参加いただけます。
(定員は各セミナー30名、場所は光健ボイスビルです)

5月

11日(金)14:00~16:00【冨宿先生】
 「身近に起こりうる労災事例を掘り下げる」
 日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

17日(木)14:00~16:00【東先生】
「産業医として知っておくべき化学物質のリスクアセスメント(その1)
 ~SDSの読み方と数理モデル~」
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  18日(金)14:00~16:00【久留先生】
「メンタルヘルス・カウンセリングⅠ
「対人関係障害」の心理支援(発達障害:ASD)」
 日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

 21日(月)14:00~16:00【冨宿先生】
「労働者が実践しやすい熱中症対策」
 日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

23日(水)14:00~16:00【長友先生】
「うつ病への対応① -診断、治療、紹介-」
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

6月

  9日(土) 13:30~15:30【徳留先生】
※会場:鹿児島市医師会館(鹿児島市加治屋町3-10)
「職場における喫煙対策」日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

14日(木) 14:00~16:00【赤崎先生】
「労働災害の判定基準-メンタルヘルス編-」
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

18日(月) 14:00~16:00【冨宿先生】
「騒音作業者が知っておきたい知識」
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

21日(木) 14:00~16:00【河村先生】
「治療と就労の両立支援について」
日医産業医認定単位:生涯(更新)2単位

  22日(金) 14:00~16:00【德永先生】
「生活習慣病予防のための食事・運動指導」/ THP対象研修会
日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

  26日(火) 18:00~20:00【門松先生】
「歯周病とメタボリックシンドローム」
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  ☆…産業医対象で、産業医認定単位があります。 
  …産業保健スタッフですが、産業医認定単位はあります。

お知らせ sign01

◆◆鹿児島産業保健総合支援センター情報◆◆
  産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

当センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。

詳細https://kagoshimas.johas.go.jp/about/otoiawase/contact.html

メンタルヘルス対策支援のご案内

従業員の心の健康対策への取組方法がわからないという事業場の皆さまへ私たちは、メンタルヘルス対策に取り組もうとする事業場を支援します。
詳細https://kagoshimas.johas.go.jp/about/mental/cat426/work.html

地域産業保健センターのご案内

労働者数50人未満の小規模事業場では、労働者に対する産業保健サービスを充実させることを目的に、地域産業保健センターが設けられています。
詳細
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/cat638/post_15.htm

治療と職業生活の両立支援事業

当センターでは、両立支援に関する各種支援を無料で提供しています。ぜひご活用ください。

詳細https://kagoshimas.johas.go.jp/about/cat765/cat768/post_18.html

両立支援出張相談窓口

当センターでは、国立病院機構 鹿児島医療センター内に設置していた「両立支援出張相談窓口」に加え、4月から鹿児島大学病院内にも「両立支援出張相談窓口」を設置しました。両立支援出張相談窓口の設置状況は次のとおりです。

(1)国立病院機構 鹿児島医療センター がん相談支援センター内
         相談窓口開設日時・・毎月第1・3火曜日 10時~13時
            5月の相談日 → 1日(火)・15日(火)
            6月の相談日 → 5日(火)・19日(火)
(2)鹿児島大学病院 地域医療連携センター内
         相談窓口開設日時・・毎月第3木曜日 10時~12時(事前予約が必要です)
            5月の相談日 → 17日(木)
            6月の相談日 → 21日(木)

鹿児島産業保健総合支援センターの両立支援促進員がそれぞれの医療機関のソーシャルワーカーなどと連携してご相談に応じます。相談は無料です。両立支援に関するお悩み等にについてご相談下さい。

詳細
▼両立支援出張相談窓口
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritsushienmadoguchi.pdf
▼鹿児島医療センター内(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-iryousennta.pdf
▼鹿児島大学病院地域医療連携センター内(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-kadaibyoin.pdf

治療と仕事の両立支援に関する診療報酬の新設について

平成30年3月5日付け厚生労働省告示第43号「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」により、治療と仕事の両立支援に関する診療報酬として、「療養・就労両立支援指導料」が新設されました。この診療報酬は、がんと診断された患者(産業医が選任されている事業場に就労している者に限る。)について、保健医療機関の意思が就労の状況を考慮して療養上の指導を行うとともに、その患者の同意を得て、産業医に対し、病状、治療計画、就労上の措置に関する意見等のその患者の就労と仕事の両立に必要な情報を文書により提供した上で、その産業医から助言を得て治療計画の見直しを行った場合に、6か月に1回に限り算定することができます。
詳細
▼H30.3.28付け基安発0328第9号
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/H30.3.28dai9gou.pdf
▼平成30年3月5日付け厚生労働省告示第43号「診療報酬の算定方法の
一部を改正する件」(抜粋~「B001-9 療養・就労両立支援指導料」)
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=519653&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000196288.pdf

治療と仕事の両立支援取組事例集をアップしました

詳細https://kagoshimas.johas.go.jp/information/ryouritsushien-torikumi.pdf

◆◆◆厚生労働省情報◆◆◆
「治療と仕事の両立支援ナビ」ポータルサイト(再掲)

詳細https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/

「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書

報告書では、職場におけるパワーハラスメントが減少していない現状と検討会において職場のパワーハラスメント防止対策を前に進めるべきということで意見が一致したことを踏まえて、今後は、労働政策審議会において、本検討会で議論された対応案や、現場で労使が対応すべき職場のパワーハラスメントの内容や取り組む事項を明確化するためのものの具体的内容について、議論、検討が進められ、厚生労働省において所要の措置が講じられることが適当であることが提言されました。

詳細
▼厚生労働省広報
  http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=242371
▼報告書
  http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11910000-Koyoukankyoukintoukyoku-Koyoukikaikintouka/0000201236.pdf
▼報告書参考資料
  http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11910000-Koyoukankyoukintoukyoku-Koyoukikaikintouka/0000201239.pdf

2018年4月から第13次労働災害防止計画がはじまります(再掲)

厚生労働省は、過労死やメンタルヘルス不調への対策の重要性が増していることや、就業構造の変化及び労働者の働き方の多様化を踏まえ、労働災害を少しでも減らし、安心して健康に働くことができる職場の実現に向け、国、事業者、労働者等の関係者が目指す目標や重点的に取り組むべき事項を定めた 2018年4月~2023年3月までの5年間を計画期間とする「第13次労働災害防止計画」を2018年2月28日に策定し、3月19日に公示しました。

詳細
 ★第13次労働災害防止計画(2018年~2022年)
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=241959
  ★第13次労働災害防止計画について
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=241961

平成30年度「全国安全週間」を7月に実施します

【平成30年度のスローガン】
新たな視点でみつめる職場 創意と工夫で安全管理
惜しまぬ努力で築くゼロ災

詳細http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=241967

「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンの実施

厚生労働省では、昨年に引き続き全国の大学生等を対象に、特に多くの新入学生がアルバイトを始める4月から7月までの間、労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施します

詳細
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000200929.html

第4回勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会配付資料

詳細http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=242663

平成30年度地方労働行政運営方針が公表されました

各都道府県労働局においては、この運営方針を踏まえつつ、各局内の管内事情に即した重点課題・対応方針などを盛り込んだ行政運営方針が策定され、計画的な行政運営が図られる予定です。
詳細
▼平成30年度地方労働行政運営方針(概要)
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10401000-Daijinkanbouchihouka-Chihouka/houdouhappyousiryou.pdf
▼平成30年度地方労働行政運営方針
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10401000-Daijinkanbouchihouka-Chihouka/30gyouunn.pdf

労働基準監督署に「労働時間改善指導・援助チーム」を編成

厚生労働省では、4月1日から全国の労働基準監督署に、働く方々の労働条件の確保・改善を目的とした「労働時間改善指導・援助チーム」(2班)が編成されました。「労働時間相談・支援班」では全国の労働基準監督署内に「労働時間相談・支援コーナー」を設置するなどし、主に中小企業の事業主の方に対し、法令に関する知識や労務管理体制についての相談への対応や支援を行います。
  「調査・指導班」では、任命を受けた労働基準監督官が、長時間労働を是正するための監督指導を行います。厚生労働省では、こうした取組を通じて労働時間の改善などを促し。働き方回アックの推進を図ることとしています。
詳細
▼広報
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000199557.html
▼リーフレット
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/0000199552.pdf

看護師・精神保健福祉士の方がストレスチェックの実施者になるための研修

ストレスチェックの実施者は、医師、保健師又は厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師若しくは精神保健福祉士です。看護師・精神保健福祉士に対する研修(実施者になるために必要な研修※)に関する情報は次のとおりです。
  ※3年以上労働者の健康管理等の業務に従事した経験を有する看護師又は精神保健福祉士は、研修を受けなくても実施者となることができます。
詳細http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150601-1.pdf

◆◆◆労働者健康安全機構情報◆◆◆
平成30年度両立支援コーディネーター基礎研修日程

詳細https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/kinrosyashien/pdf/kisoken_0323.pdf

治療と仕事の両立支援ポータルサイトの運用を始めました

詳細https://www.ryoritsushien.johas.go.jp/index.html

所長よりひと言 pen

厳冬が短期間で終わり例年より早く始まった春も足早に過ぎて、早々と夏が訪れました。異常気象という言葉が陳腐に聞こえるような近頃の天候です。寒い冬の年の夏は猛暑になる傾向で梅雨も雨が多いとか。自然災害が思いやられます。
さて、中央省庁の言葉も無いぐらいの不祥事続きにはうんざりですが、その所為で「働き方改革」がどうなるか心許ない状況です。メンタルヘルス対策、過重労働対策、治療と職業生活の両立支援、と矢継ぎ早の政策が打ち出されてきていますが、これらの根本的解決には日本人の労働生産性の問題が存在しています。一部では終身雇用制から職能給制への移行が急務で、旧来の勤務先への帰属意識や義務感に頼る日本人の心性を変えるべき、との論が出ています。勤勉で生真面目で忠誠心が強い、という「美徳」は21世紀の経済には時代遅れで通用しない、との主張です。
確かに以前より時間当たり労働生産性は低い水準でしたが、今ではG7諸国の最下位です。働き方改革は、この時間当たり生産性の向上なしには、種々の問題の解決にはならないと考えますが、その一方で個々の労働者の健康問題の解決に直接には結びつかなくとも日本企業の国際競争力強化やさらなる経済成長には効果的である、との意見もあります。その結果として個々の労働者にもプラスになるのだという論のようです。
しかし、地球資源の限界が明確に露呈した以上、誰かの犠牲なしには現状パラダイムでの経済成長は不可能と思われます。成長ではなく持続可能性の向上こそが重要であり、そのためには時間当たり生産性向上が急務です。労働人口が減少していく社会では働ける者は誰でもその能力に応じて価値産生の作業に従事して欲しいものです。
今、取り組むべきは非生産的な作業を極力排し、従事する者すべてがその「仕事」に意義や価値を見出すようにすることです。過重労働とは身体的に過度な作業をすることだけではなくメンタル面への負荷も問題です。 特にメンタル面の負荷は時間よりも作業の生産性により依存します。何の役にも立たないと感じるような作業は短時間でも大きなストレスです。そのような作業はゼロには出来ないものですが、それでも限りなく減らすことが重要です。そのように国の経済政策も路線変更して欲しいと願っていますが、逆に動いているようです。
政府に物申したいことは多々ありますが、労働現場は一刻も休むことなく動いています。現場としては、種々の政策・対策を少しでも働く人々のお役に立てるように知恵を絞っていこうと思っています。