お知らせ

メールレター第186号

 鹿児島産業保健総合支援センター メールレター第186号   2018/09/03
                                             発行:鹿児島産業保健総合支援センター 所長 草野 健

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相談員からのメッセージ confident

がん治療の前にはお口の専門的なケアを!!

産業保健相談員 川越 佳昭 
(担当分野:歯科)

日本人の死因一位は「悪性新生物」で、国民の2人に1人ががんにかかる時代です。がんの治療が始まると、がんとは全く関係のないお口の中に色々な副作用が起こることがあります。
抗がん剤や放射線治療によって、お口の粘膜に強い炎症(口腔粘膜炎)が起きたり、唾液の量が減少するなどの副作用が起こると、痛みや乾き(口腔乾燥)、味がわかりにくい(味覚異常)などの合併症が起こり、その結果食欲が低下し、栄養状態が悪化、体力の低下により、肝心のがん治療の継続が困難になることがあります。また、口腔内は常在細菌が多数存在し健康な状態では悪影響を及ぼさない細菌が、感染源となり術後の肺炎などの合併症や創部感染を引き起こすことになります。
がん治療が始まる前にお口の専門的ケアを行っておくことは、これらの副作用や術後の合併症を防ぎ、早期からの経口摂取を可能にし、入院期間の減少による患者様のQOLの向上、さらには医療費の軽減をもたらすことが明らかになってきました。ただ手術までの期間も短く、短期間で口腔内を清潔にすることは困難です。口腔のケアは、専門的なプロフェッショナルケアと個人によるセルフケアとの両輪によって成り立っています。普段からお口の健康に注意を払い、かかりつけ歯科医院での治療や定期的なメンテナンスを受けることがいざという時に大変重要と考えられます。

おすすめ教材(無料貸出し等) book 

当センターでは、産業保健に関する図書、ビデオ・DVDを無料にて閲覧・貸出ができます。
ぜひご利用ください。

★★★おすすめ図書 book★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
心理アセスメント 心理検査のミニマム・エッセンス
(貸出番号:7-157)

【概要】
s本書では、アセスメントに関する概論と心理臨床領域ごとに専門家として知っておきたい心理
検査について歴史的背景から実施・分析方法まで解説。また、実際の臨床場面での事例を通し
て、実践における留意点やコツについて解説しています。

★★★おすすめビデオmovie ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
こうすればできる!職場復帰 -受け入れる職場の心得-
(貸出番号:7-59)

【概要】
長期休業後、職場復帰してきた人の病気が再発してしまうのは何故か?うつ病で休業し復職を果
たした人が、病気を再発させて再び休業してしまう事例を通して、再発しない職場復帰のありか
たを紹介します。
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研修セミナーのご案内 pencil

すべてのセミナーにどなたでもご参加いただけます。
(定員は各セミナー30名、場所は光健ボイスビルです)

9月

  ☆ 9月 1日(土) 14:00~16:00【前田先生】
  「職場における救命救急処置~AEDの使用について~」
  ※会場:鹿児島商工会議所(アイム)ビル(鹿児島市東千石町1-38)
  日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

  ☆ 9月13日(木) 14:00~16:00 【黒沢先生】
  「化学物質リスクアセスメントと作業環境改善の方法」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  ☆ 9月14日(金) 14:00~16:00【久留先生】
  「メンタルヘルス・カウンセリングⅢ
  「対人援助職者」の心理支援(感情管理、感情労働)
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

 9月18日(火) 18:00~20:00【門松先生】
  「産業歯科医の役割」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

 9月21日(金) 14:00~16:00 【德永先生】
  「脳卒中の治療と仕事の両立支援」/THP対象
   日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

  ☆ 9月21日(金) 16:10~17:10【当センター副所長】
  「労働衛生関係法令」/THP対象
   日医産業医認定単位:生涯(更新)1単位

10月

  ☆ 10月 1日(月) 14:00~16:00【冨宿先生】
  「意外と身近な酸欠」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  ☆ 10月 4日(木) 14:00~16:00【赤崎先生】
  「気分障害の特性と治療」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  ☆ 10月 5日(金) 14:00~16:00【小田原先生】
  「治療と職業生活の両立支援対策」
   日医産業医認定単位:生涯(更新)2単位

10月10日(水) 14:00~16:00【長友先生】
  「メンタル不調者の「治療と職業生活の両立支援」」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  ☆ 10月13日(土) 14:00~16:00【東先生】
  「産業医として知っておくべき作業環境測定結果報告書の読み方」
  ※会場:鹿児島市医師会館(鹿児島市加治屋町3-10)
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  ☆ 10月22日(月) 18:00~20:00【堀内先生】
  「健診と検診~産業保健におけるこころと体の健康管理」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

10月24日(水) 14:00~16:00【徳留先生】
  「職場における喫煙対策」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

10月26日(金) 14:00~16:00 【德永先生】
  「糖尿病治療継続と仕事の両立支援」/THP対象
   日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

☆…産業医対象で、産業医認定単位があります。
…産業保健スタッフですが、産業医認定単位はあります。
《管理監督者向け》「治療と職業生活の両立支援」・「心の健康づくり」合同研修会

産業医学研修会ではありません。
【対象者】鹿児島県内の事業主・管理監督者・衛生管理者・衛生推進者・ 産業保健健スタッフなど

【日 程】
 ■平成30年10月16日(火)薩摩川内地区会場(ホテルオートリ)
          13:30~16:30 ※13:00受付開始

 ■平成30年10月22日(月)霧島地区会場(霧島商工会議所)
          13:30~16:30 ※13:00受付開始

 ■平成30年10月30日(火)鹿児島地区会場(マリンパレスかごしま)
          13:30~16:30 ※13:00受付開始

 ■平成30年11月1日(木)奄美地区会場(奄美文化センター)
          13:30~16:30 ※13:00受付開始

詳細・FAX申込用紙(PDF)】
  https://kagoshimas.johas.go.jp/about/goudou-annai-ryomen.pdf
申込みフォーム
  https://ssl.formman.com/form/pc/xu9XV3XBUqpfP7uf/
※各研修会には定員があります。申し込みがないまま当日来られた場合、
会場や資料の関係で受講できない場合がありますので必ず申し込みを
してください。受講できなくなった場合は必ずご連絡ください。

お知らせ sign01

◆◆鹿児島産業保健総合支援センター情報◆◆
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

当センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/otoiawase/contact.html

メンタルヘルス対策支援のご案内

従業員の心の健康対策への取組方法がわからないという事業場の皆さまへ私たちは、メンタルヘルス対策に取り組もうとする事業場を支援します。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/mental/cat426/work.html

地域産業保健センターのご案内

労働者数50人未満の小規模事業場では、労働者に対する産業保健サービスを充実させることを目的に、地域産業保健センターが設けられています。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/cat638/post_15.htm

治療と職業生活の両立支援事業

当センターでは、両立支援に関する各種支援を無料で提供しています。ぜひご活用ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/cat765/cat768/post_18.html

9月~11月の両立支援(出張)相談窓口

当センターでは、センター内の相談窓口のほかに、鹿児島医療センターと鹿児島大学病院に、治療と職業生活のための両立支援出張相談窓口を開設しています。設置状況は次のとおりです。

(1)国立病院機構 鹿児島医療センター がん相談支援センター内
        相談窓口開設日時・・毎月第1・3火曜日 10時~13時
          9月の相談日 → 4日(火)・18日(火)
          10月の相談日 → 2日(火)・16日(火)
          11月の相談日 → 6日(火)・20日(火)

(2)鹿児島大学病院 地域医療連携センター内
        相談窓口開設日時・・毎月第3木曜日 10時~12時(事前予約が必要です)
          9月の相談日 → 20日(木)
          10月の相談日 → 18日(木)
          11月の相談日 → 18日(木)

鹿児島産業保健総合支援センターの産業保健専門職(保健師)および両立支援促進員がそれぞれの医療機関のソーシャルワーカーなどと連携してご相談に応じます。相談は無料です。両立支援に関するお悩み等にについてご相談下さい。

詳細
▼両立支援出張相談窓口
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/madoguchiitiran.pdf
▼鹿児島医療センター内(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-iryousennta.pdf
▼鹿児島大学病院地域医療連携センター内(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-kadaibyoin.pdf
▼鹿児島産業保健相談支援センター 相談窓口(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-sanpo.pdf

 

 

◆◆◆労働者健康安全機構情報◆◆◆
平成30年度産業保健関係助成金のお知らせ(再掲)

https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1253/Default.aspx

「第12回じん肺診断技術研修」のお知らせ

じん肺健康診断等に携わる産業医等の医師を対象とした「第12回じん肺診断技術研修」を開催します。本研修をすべて受講しますと、日本医師会認定産業医制度に係る認定単位9.5単位(生涯単位のみ)のほかに、日本職業・災害医学会が認定する労災補償指導医制度の認定単位2単位(選択単位 業務上疾病の労災補償)も取得することができます。

詳細
▼第12回じん肺診断技術研修の開催について
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/H30.08.01-01.pdf
▼第12回じん肺診断技術研修日程表
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/H30.08.01-02.pdf
▼日本医師会認定産業医研修会 第12回じん肺診断技術研修 受講申込書
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/H30.08.01-03.pdf
▼冊子「じん肺合併症 続発性気管支炎・続発性気管支拡張症の診断・治療
と症例」(平成29年3月)及びじん肺健康診断等の解説書「よくわかるじsss ん肺健康診断」(平成29年5月)
http://www.research.johas.go.jp/jinpai2015/index.html

9月は「職場の健康診断実施強化月間」です

http://ehimes.johas.go.jp/wp/news/3498/

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

詳細
▼労災疾病等医学研究普及サイト
http://www.research.johas.go.jp/index.html
▼新たに開始した研究テーマ(3領域10テーマ)
http://www.research.johas.go.jp/new30/

◆◆◆厚生労働省情報◆◆◆
「治療と仕事の両立支援ナビ」ポータルサイト(再掲)

https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/

事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン(再掲)

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000204436.pdf

平成30年度「全国労働衛生週間」を10月に実施します(再掲)

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000170527_00001.html

自動車運転者を使用する事業場に対する平成29年の監督指導、送検等の状況を公表

厚生労働省は、全国の労働局や労働基準監督署が、平成29年にトラック、バス、タクシーなどの自動車運転者を使用する事業場に対して行った監督指導や送検等の状況について取りまとめ、公表しました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00652.html

長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果が公表されました

https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000342612.pdf

裁量労働制の運用の適正化に向けた自主点検の結果が公表されました

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00768.html

ストレスチェックの実施者に必要な研修を修了した歯科医師・公認心理師を追加

平成30年8月9日、労働安全衛生規則の一部を改正する省令が公布・施行されました。
【改正の主な内容】
ストレスチェックの実施者に、検査を行うために必要な知識についての
研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師及び公認心
理師(※)を追加する。
(※)公認心理師とは、公認心理師法(平成27年9月16日公布、平成29年9月15日施行)に基づく国家資格であり、公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、心理に関する相談や助言、指導等を行うことを業とする者をいいます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00760.html

ストレスチェック検査等指針が改正されました

心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針

https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000346613.pdf

平成30年度「『見える』安全活動コンクール」

厚生労働省では本年9月3日から、労働災害防止に向けた事業場・企業 (以下「事業場等」という。)の取組み事例を募集・公開し、国民からの投票等により優良事例を選ぶ平成30年度「『見える』安全活動コンクール」を実施します。
 詳細
▼報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00976.html
▼「『見える』安全活動コンクール」特設ページ
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzenproject/concour/oubo.html
▼あんぜんプロジェクト周知用リーフレット
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzenproject/leaflet_2018.pdf

平成29年「労働安全衛生調査(実態調査)」の結果

詳細
▼報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/h29-46-50_houdou.pdf
▼平成29年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/h29-46-50_gaikyo.pdf

◆◆◆鹿児島労働局情報◆◆◆
平成30年の労働災害発生状況(H30.7月速報)

○ 死亡者数は6人で、前年同期で2人(25.0%)減。
○ 休業4日以上の死傷者数は952人で、前年同期比で1人(0.1%)増。

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/H30saigai_2018-0809-2.pdf

鹿児島県最低賃金が改定されました

鹿児島労働局長は、鹿児島県最低賃金を1時間あたり761円とすることを決定しました。平成30年10月1日より発効します。

詳細
▼鹿児島労働局
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/news_topics/topics/2018-0827-1.html
▼鹿児島県の最低賃金(チラシ)
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/saitin.pdf

所長よりひと言 pen

とっくに立秋を過ぎ9月ともなると流石に朝晩の風は秋を感じさせますが、日中の猛暑は残暑というには過酷に感じます。鹿児島の今夏は、記録でみると最高気温35度超の日数は例年より多いとは言えなかったようですが、それでも熱中症の救急搬送件数は過去最多だったようです。各メディアも連日熱中症対策を呼びかけ産業保健現場でも関係者が取り組みを強化した効果なのか、重症・死亡例の件数は昨年よりも減少したようです。WBGTの活用なども功を奏したことが考えられます。しかし、熱中症とまでは至らずとも高温多湿環境下での作業能率は大きく低下します。例え労災や重大なミスに直結しなくても健康状態へのダメージは不可避です。それらへの対策として、特に屋外作業については様々なグッズが考案・市販されて購入使用している事業場も少なくありません。産業保健活動の目的からは重症軽症を問わず、熱中症自体を予防する一次予防の成果を上げたいものです。
鹿児島は農業県と言われ、以前は農家人口も大きな割合を占めていましたが、昔ながらの農家は夏の日中は野良仕事をしないものでした。圃場での作業は日の出前後と日の入り前後の比較的気温の低い風のある時間帯のみに行っていたものです。しかも、圃場にはお茶等の飲料を持参し、帽子も頭髪と帽子との間に空気の流れる空間を確保したものを使用していました。何世代にも亘って培われ伝えられてきた「知恵」です。このような「知恵」の数々は今日の産業現場にも工夫・応用されることが必要と感じます。特にWBGTにより「運動中止」レベルにある日中の屋外作業には、作業休止時間設定までをも視野に入れた考慮がなされて然るべきと考えます。
働き方改革が本来目指すべきは、一人当たり労働生産性の向上ではなく時間当たり生産性の向上です。同時に生産性や意義を作業者自身が感じないような作業を減少させる・無くすことです。労働時間の短縮は身体的には“楽”ですが、メンタル面では時間よりも作業の質が重要です。作業の難易度や困難度を問題にする向きもありますが、大きなストレス要因となるものは直接的にも間接的にも生産性を感じることのできない作業を強制されることです。
我が国で起こっている人口減少という現象は、過去数千年間続いた人類社会の加速度的拡大発展の終焉を示唆するものとの学説もあります。地球資源の限界が明確に露呈された今、加速度的増大から平衡乃至下降へと転じるのは、地球上の種としての人類が辿るべき当然の帰結と思われます。目指すべきは右肩上がりの「成長」ではない、というより「富」の増大は少なくとも我が国や先進諸国では不要といえます。経済成長ではなく「安定平衡」社会を構築すべき時代に差し掛かっているようです。私たちも両立支援やストレスチェック等の諸政策もそのような視点に立って運用すべき時と思います。少なくとも私達産業保健現場に関わる者は堕落しきったかのような中央官庁の指示に盲従するのではなく、例え「蟷螂の斧」と揶揄されようとも現場の状況に応じた現場からの視点で働く人々の健康の保持増進に資する活動をしたいものです。