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メールレター 第209号

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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第209号
               2020/8/3

   発行:鹿児島産業保健総合支援センター
              所長 草野 健

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相談員からのメッセージ confident

致命率の定義と解釈における注意点

産業保健相談員 山中隆夫
         (心療内科医)
(担当分野:メンタルヘルス)

「帰り路(みち) 主婦の仮面に 付け替える」

これは、仕事帰りには職場で付けていた企業戦士用の仮面を家庭用のお母さんのそれに付け替えることの日常を詠んだ川柳である(原典は十余年前の毎日新聞の万能川柳?)。

この句は実はK.G.ユングが提唱したペルソナ(仮面)の特徴と重要性を見事に言い表している。つまり、私たちは、意識すると否とに関わらず、地位や役割、場面に応じて態度や行動を代えている。職場では課長や係長といった職階に応じた顔、家庭では親(父・母)、夫(妻)、祖父母に対する子ども、などといった複数の顔を状況に応じて付け替えている、というのだ。そしてユングはまた、「その顔(仮面)を上手に着脱できるようになることが極めて大切である」とも説いている。

しかし、子どもたちを診る心療内科の現場から機能不全に傾いた家庭の状況を見るならば、帰宅後も職場での仮面を脱がず、そのまま家庭でも付けっぱなしの“仕事親”をみることが少なくない(着たきり雀?)。

この場合、家庭のなかにいるのはお父さん、お母さんではなく、堅苦しく、命令調の「企業戦士」「学校、病院の先生」「警察官や自衛官」「公務員」などがそのままどーんと居るのである。いるだけでなく、職場の「べきべき主義(思考)」がそのまま家庭の鉄則として持ち込まれているのだ。「頑張らないとイケナイ。負けてはイケナイ。完璧でなければナラナイ」…である。

だが、このように「○○すべきだ」と子どもたちは学校だけでなく、家庭でまでも叱咤激励されても、そうそう達成できるはずはなく、日頃の失敗の積み重ねは自責感、罪悪感、学習性絶望感を招き、果ては自律神経失調症、うつ病、心身症(全身の疼痛を訴える線維筋痛症がなぜか最近は多い感じ)から不登校、ひきこもりへと発展・増悪していく。

したがって、このようなケースに進展しないためには、前記した川柳の主婦のように、家庭では親用のペルソナにつけ換えられるようになるだけでも、家庭と職場は“All for One(職場は家庭のために 家庭は職場のために)”の良循環な関係になれるのではないか、と臨床経験から愚考するのである。

最後に、経験した面白いケースを紹介してみよう。

Mさんは自営業をしている46歳のお父さん。
口やかましく、いつも「お父さんは子どもの頃は頑張り屋で,成績優秀、通知表はいつもオール5だった」が口癖で、常日頃、小4の子どもには猛勉強を強いていた。しかしM父さんの特訓とは裏腹に息子さんの成績は低下の傾向をたどるばかり。ついには登校も渋るようになっていった。この最悪の状況に陥ってもなお、M父さんはいつもの自慢の説教話と強要を繰り返すばかりであった。

事ここに至って、常日頃の父子の状況を黙って見聞きしていた祖母(Mさんの実母)が思い切った行動に出た。

そっと孫を呼び、長年大事に保管していた“あるもの”を見せたのである。それはMさんの子ども時代の通知表であった。内容は目を覆わんばかりの“アヒルの行列(オール2)”よりも悪いイッチニ イッチニのオンパレード。

以後、メッキが剥げてガックリ来たM父さんは得意の説教ができなくなり、逆に重しが取れて欣喜雀躍(小躍り)した息子さんは元気を取り戻していったのだった。

「あーすべきだ」「こうしちゃいけない」というものの中からは人は育たない気がする(こども、孫への接し方について)まさに、あの(故)樹木希林さんの名言通りの経過であった。

研修セミナーのご案内 pencil

下記、セミナーはどなたでも参加できます。

≪ 8月 ≫【定員】10名 【会場】光健ボイスビル2F
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☆8月5日(水) 14:00~16:00
「今も起こっている職業がん」冨宿先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆8月17日(月) 14:00~16:00
「働く女性の健康」桶谷先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

◇8月19日(水) 14:00~16:00
「産業医として知っておくべき作業環境測定結果報告書の読み方」東先生
日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

☆8月26日(水) 14:00~16:00 ※満席
「職場における災害時のこころのケア」長友先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆8月28日(金) 14:00~16:00 ※満席
「がんに罹患しないための養生法」德永先生
日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

≪ 9月 ≫ 【定員】10名 【会場】光健ボイスビル2F ※9月5日除く
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☆9月5日(土) 14:00~16:00 ※定員15名
「職場における救急救命処置について」前田先生
※会場:鹿児島商工会議所ビル 4Fアイムホール(鹿児島市東千石町1-38)
日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

☆9月10日(木) 14:00~16:00 ※満席
「ストレスマネジメント(自律訓練法、漸進的筋弛緩法)」網谷先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆9月17日(木) 14:00~16:00
「粉じんによる健康障害防止」黒沢先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆9月25日(金) 14:00~16:00
「メンタルヘルス・カウンセリング-Ⅲ
〈人事管理者のストレス〉~感情労働・感情管理をめぐって~」久留先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆9月29日(火) 18:00~20:00
「歯周病とメタボリックシンドローム」門松先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

◇9月30日(水) 14:00~16:00
「闘病しながら働けるように医師がすべきこと」冨宿先生
日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

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◇…産業医対象
●…産業保健スタッフ対象
☆…産業保健スタッフ・産業医対象
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▼詳細
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
▼全国で開催される「日医認定産業医研修会情報一覧」が確認できます。
http://jmaqc.jp/sang/designated_training/search.php

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8月29日(土)日医認定産業医研修会 集中講座【5単位】

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【定 員】100名 ※有効期限が迫っている産業医を優先
【会 場】鹿児島県医師会館4F 大ホール
【対象者】産業医のみ

14:00~16:00 : 専門2単位
:「医療機関の産業医」
ヘルスサポート鹿児島 冨宿明子

16:00~17:30 : 実地1.5単位
: メンタルヘルスについて(仮)
医療法人玉水会 玉水会病院 心療内科 長友医継

17:30~19:00 : 専門1.5単位
: 脳卒中予防について(仮)
鹿児島医療センター脳卒中センター長、脳血管内科部長 松岡秀樹

[申込・問合先] 鹿児島県医師会 TEL:099-254-8121

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健総合支援事業のPR動画について

当センターが行う各種事業の取り組みについて「のんさん」が紹介する動画を公開しています。
https://kagoshimas.johas.go.jp

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

当センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

8月~10月の両立支援(出張)相談窓口のご案内

両立支援(出張)相談窓口の設置状況は次のとおりです。
なお、医療機関における両立支援(出張)相談窓口では、新型コロナウイルス感染症の状況によっては、中止の可能性があります。

  1. 鹿児島産業保健総合支援センター
    相談窓口開設日時・・平日 8:30~17:15
  2. 国立病院機構 鹿児島医療センター がん相談支援センター
    相談窓口開設日時・・毎月第1・3火曜日 10時~13時
    8月の相談日 → 4日(火)・18日(火)
    9月の相談日 → 1日(火)・15日(火)
    10月の相談日 → 6日(火)・20日(火)
  3. 鹿児島大学病院 地域医療連携センター
    相談窓口開設日時・・毎月第3木曜日 10時~12時(事前予約が必要です)
    8月の相談日 → 20日(木)
    9月の相談日 → 17日(木)
    10月の相談日 → 15日(木)
  4. 鹿児島市立病院 がん相談支援センター
    相談窓口開設日時・・・・毎月第4木曜日 10時~12時
    8月の相談日 → 27日(木)
    9月の相談日 → 24日(木)
    10月の相談日 → 22日(木)
  5. 済生会川内病院 がん相談支援センター
    相談窓口開設日時・・毎月第2木曜日 10時~12時
    ※上記日時以外でも、事前予約の場合は日程調整のうえ対応します
    8月の相談日 → 13日(木)
    9月の相談日 → 10日(木)
    10月の相談日 →  8日(木)
  6. 川内市医師会立市民病院 患者サポートセンター
    相談窓口開設日時・・毎月第4木曜日 13時~15時(事前予約が必要です)
    8月の相談日 → 27日(木)
    9月の相談日 → 24日(木)
    10月の相談日 → 22日(木)

鹿児島産業保健総合支援センターの産業保健専門職(保健師)および両立支援促進員がご相談に応じます。
相談は無料です。両立支援に関するお悩み等についてご相談ください。

事業場内での両立支援教育、体制の整備、規定等の整備、勤務・休暇制度の整備、両立支援の進め方についても、両立支援促進員が事業場を訪問してアドバイスを行いますので、ご利用ください。

詳細
▼両立支援出張相談窓口

https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/02/ryouritsushien-madoguchi.pdf
▼鹿児島医療センターがん相談支援センター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/05/ryoritu-iryousenta.pdf
▼鹿児島大学病院地域医療連携センター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/05/ryoritu-kadasibyoin.pdf
▼鹿児島市立病院がん相談支援センター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/02/ryoritsushien-shiritsubyoin-web.pdf
▼済生会川内病院がん相談支援センター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/10/ryouritsushien-sendaibyouin.pdf
▼川内市医師会立市民病院患者サポートセンター(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/10/ryouritsushien-sendaishiminbyouin.pdf

▼治療と仕事の両立支援申込み
ホームページから
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat767
FAXから
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2019/03/ryoritusien-mousikomi-ura.pdf

▼メンタルヘルス対策支援
鹿児島産業保健総合支援センターでは、メンタルヘルス対策に取り組もうとする事業場を支援しています。事業場にメンタルヘルス対策促進員が訪問して、「心の健康づくり計画」の策定、体制の整備、職場環境の把握と改善、管理監督者向けの研修、若年労働者(含む全社員)向けの研修などの支援を行っています。

https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat426

<労働者健康安全機構情報>

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

○労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
○「アスベスト(平成21年~平成25年)」について
https://www.research.johas.go.jp/22_asbesto/
○「医療従事者の安全(平成30年開始研究)」について
https://www.research.johas.go.jp/anzen2018/index.html

「令和2年7月豪雨被災者のための心の相談ダイヤル」及び「令和2年7月豪雨被災者のための健康相談ダイヤル」を設置しました!

独立行政法人労働者健康安全機構では、被災された住民の方(事業者、労働者及びその家族等)からのメンタルヘルスに関する相談及び健康に関する相談に応じるため、「令和2年7月豪雨被災者のための心の相談ダイヤル」及び「令和2年7月豪雨被災者のための健康相談ダイヤル」を設置しました。

「令和2年7月豪雨被災者のための心の相談ダイヤル」(令和2年7月30日~)
  • フリーダイヤル 0120-200-826
    全国どこからでも、携帯電話やPHSからも無料で利用可能
  • 受付日時 平日(10時00分~17時00分/土日祝日を除く)
  • 対 象 者 被災された住民の方(事業者、労働者及びその家族等)
  • 相 談 例:人間関係の悩みなどでの強いストレスや不安について
「令和2年7月豪雨被災者のための健康相談ダイヤル」(令和2年7月30日~)
  • フリーダイヤル 0120-730-230
    全国どこからでも、携帯電話やPHSからも無料で利用可能
  • 受付日時 月・水(13時00分~17時00分/祝日を除く)
  • 対 象 者 被災された住民の方(事業者、労働者及びその家族等)
  • 相 談 例:エコノミークラス症候群などの健康管理や感染対策などの健康不安について

「職場における新型コロナウイルス感染症予防対策を推進するためのポイント」の動画教材を公開しています!(再掲)

https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/johoteikyo/tabid/1764/Default.aspx

<厚生労働省情報>

保健衛生業及び陸上貨物運送事業に対する腰痛予防対策講習会が開催されます!

腰痛予防対策講習会案内(社会福祉施設及び医療保健業)
https://www.mhlw.go.jp/content/000645909.pdf

腰痛予防対策講習会案内(陸上貨物運送事業)
https://www.mhlw.go.jp/content/000645910.pdf

令和2年度「全国労働衛生週間」を10月に実施

厚生労働省では10月1日から1週間、令和2年度「全国労働衛生週間」を実施します。また、今年のスローガンは、「みなおして 職場の環境 からだの健康」に決定されました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12193.html

労働者災害補償保険法の改正について~複数の会社等で働かれている方への保険給付が変わります~

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/rousaihukugyou.html

「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」を改正しました

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12521.html

<鹿児島労働局情報>

令和2年7月豪雨の影響による特別労働相談窓口(解雇、休業等)を開設しました

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/madoguchi_annai/soudan/2020-0713-1.html

令和2年の労働災害発生状況

令和2年(6月末速報)
□ 死亡者数は8人で、前年に比べ3人(60%)増。
□ 休業4日以上の死傷者数は806人で、前年に比べ49人(6.5%)増。

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r2saigai_2020-0717-1.pdf

< 日本作業環境測定協会 >

第34回(令和2年度)全国作業環境測定・評価推進運動が全国的に展開されます!

https://www.jawe.or.jp/sokutei/suishin.html

<新型コロナウイルス関連情報>

新型コロナウイルス感染症に関する情報(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大防止に向けた職場における対応について(鹿児島労働局要請)

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-0410-1.pdf

新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた労働安全衛生法等に基づく健康診断の実施等に係る対応について(鹿児島労働局)

▼詳細
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-0605-1.pdf

▼新型コロナウイルスに関連するQ&A(企業の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html

生活を支えるための支援のご案内

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000625689.pdf
※随時更新される可能性があります。

新型コロナウイルス情報~個人と企業に求められる対策~(日本渡航医学会情報)

https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html

新型コロナウイルス(COVID-19)への対応について(日本環境感染学会)

http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=328

「企業向け新型コロナ対策情報」が配信されています!(OHサポート株式会社)

http://www.oh-supports.com/corona.html

編集後記

COVID19によるパンデミックは、世界規模でみれば第一波ですら沈静化どころかピークすら見えない状況です。我が国で第二波になっているとか緊急事態宣言を発布する状況ではないとか、医療供給体制が逼迫している、していないとか、様々な見解が飛び交っています。国際的にもワクチンなど米中を始めとして先々の市場確保を目指すように開発競争が激化しています。また、新型ウィルスであるだけに不明な点が多いことから、限定地域や限定集団のデータでの仮設・推論が医学界でも手柄争いのように報告されています。今回のような新型ウィルスによるパンデミックに対しては全人類が立場や思想・信条を超え、ましてや目先の利害や得失になぞ一切捉われることなく協力しなければ犠牲者の数が膨大になることは避けられないと考えます。尤も、世界至る所でアウトブレークが発生すれば、ウィルス自体がオーバーシュートして自然に鎮静化する可能性もあり得ます。自分だけはコロナ禍から逃れられると思っている一部の「今だけ、金だけ、自分だけ」と思っている大資本家達がそれを望んで仕掛けているのか、とも邪推したくなります。

ここ鹿児島でも先月集団感染が2か所で発生しました。市中感染も拡大する恐れがあります。マスク着用と「3密」回避が感染拡大防止策として現在取り得る最善の方策ですが、その為のICTを活用した遠隔活動として在宅勤務やTV会議、リモート講義等が盛んにマスメディアで話題になっています。情報関連産業などでは比較的容易にその様式の導入が出来ますが、特に製造業では簡単にはいかないようです。鹿児島は小規模零細規模の事業場が大部分ですから、政府の推奨するような労働環境を構築するのは業種的にも資金的にも極めて困難です。また、3密回避も建屋の大きさを考えれば限界があります。マスク着用やアクリル板での仕切り、出入り口でも消毒薬配置に検温器具配置など様々な工夫が凝らされています。しかし、これらは当該事業場の従業員だけが遵守するだけでは十分でなく、その施設の利用者に加え、通勤時の交通機関車内や歩行中の人込みなど、あらゆる個所に感染リスクがあります。さらに、飛沫吸入を防げても設備や器具物品に付着したウィルス含有飛沫が手指を介して口や眼等の粘膜から侵入することもあります。頻繁な手洗いが必要ですが、その手洗いを容易にできる時間的環境的整備も必要になります。

過度のCOVID19を恐れることより、働く現場では出来る範囲で出来ることを確実に実行するとともに、少量のウィルス暴露では発症しないように免疫力を保持することです。免疫力を向上させることは容易ではありませんが、低下を避けることは可能です。その為には生活リズムを整え「正しい」食生活と十分な睡眠に効果的な休養が必要です。また、このコロナ禍で危惧されるストレス性のメンタル障害増加にも大いに留意が必要です。

コロナ禍で産業保健に要求される課題は、感染拡大防止策とともに免疫力保持のために生活の質を保障する活動と考えています。

経済も大事といいますが、経済とは元来経世済民の意味だったはず。国民の生活の質向上なしの経済は、真の意味の経済ではないと思うのは私だけでしょうか。