メールレター第190号
鹿児島産業保健総合支援センター メールレター第190号 2019/01/04
発行:鹿児島産業保健総合支援センター 所長 草野 健
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
相談員からのメッセージ
じん肺画像診断におけるCT検査
産業保健相談員 米倉 隆治
(担当分野:産業医学)
じん肺の画像診断は胸部X線のみで行うべきであり、CTは必要ないと考えている先生が多くいらっしゃるようです。しかし、早期病変において、胸部X線写真だけではじん肺の診断が難しいことがよくあります。“産業保健ハンドブック4 じん肺(公益財団法人 産業医学振興財団)”に次のような記載があります。
じん肺症例は多彩な変化を示すため、胸部X線写真の分類に当たって困難に直面する。・・・肺血管の交差部分や切線方向の投影像を粒状影と誤認して・・・。
CTは呼吸器疾患の診断分野において不可欠の手段となっているが、じん肺においても同様である。(CTは)じん肺の陰影の表現に優れており、しかも陰影の病態が理解され易い画像を提供・・・。
0/0、0/1、1/0のいわゆる境界領域のじん肺症に対して、診断の確度を上げるために、CTの適用を積極的に活用することが望まれる。
じん肺に合併した肺がんおよび中皮腫の早期発見および早期治療の必要から、厚生労働省は、平成16(正しくは15)年度より管理区分2以上のじん肺患者に対して、定期的にヘリカルCTを年1回施行することを事業者に義務付けた。
以上、じん肺の正確な診断のために、また合併症である肺がんを早期に見つけsるためにも、胸部X線でじん肺が疑われた患者さんはなるべく早くCTを撮影するsことが必要なようです。
おすすめ教材(無料貸出し等)
当センターでは、産業保健に関する図書、ビデオ・DVDを無料にて閲覧・貸出ができます。
ぜひご利用ください。
★★★おすすめ図書 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
産業保健ハンドブック 改訂16版
(貸出番号:1-312)
【概要】
1:グラフで見る労働衛生
2:最近の産業保健のトピックス
3:職場の労働衛生管理体制
4:労働衛生関係の手続き
5:職業性疾病の予防
6:健康の保持増進
7:事業場外資源の紹介
★★★おすすめDVD ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
防ごう!メタボリック・シンドローム – 内臓脂肪をやっつけろ!-
(貸出番号:4-230)
【概要】
1:メタボ氏の悲惨なる人生
2:メタボリック・シンドロームって何?
3:代謝って何?
4:メタボ氏の変身(1)食事
5:メタボ氏の変身(2)運動
※今月のおすすめ詳細
https://kagoshimas.johas.go.jp/library/library_category/recommend
研修セミナーのご案内
すべてのセミナーにどなたでもご参加いただけます。
(定員は各セミナー30名、場所は光健ボイスビルです)
1月 ※特に記載のないものは会場 光健ボイスビルです。
11(金) 14:00-16:00 |
専 2 |
B/A | 古くて新しい色覚問題 | 冨宿 明子* 労働衛生コンサルタント |
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18(金) 14:00-16:00 |
専 2 |
B/A | メンタルヘルス・カウンセリングⅤ「心的外傷(トラウマ)」の心理支援(パワハラ、セクハラ) | 久留 一郎* 鹿児島大学名誉教授 |
19(土) 14:00-16:00 |
実 2 |
B/A | 酸素欠乏・硫化水素災害の防止(発生原因・場所・措置及び測定「実技」) 鹿児島市医師会館(鹿児島市加治屋町3-10) |
黒沢 郁夫* 黒沢労働安全衛生コンサルタント事務所 所長 |
22(火) 15:00-17:00 |
専 2 |
C/A | 口腔がんについて | 大久保 章朗 大久保歯科口腔外科医院 |
30(水) 14:00-16:00 |
専 2 |
B/A | 身近に起こりうる労災事例を掘り下げる |
冨宿 明子* 労働衛生コンサルタント |
2月 ※特に記載のないものは会場 光健ボイスビルです。
1(金) 14:00-16:00 |
更 2 |
B/A | 治療と職業生活の両立支援対策 | 小田原 努* ヘルスサポートセンター鹿児島 所長 |
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13(水) 14:00-16:00 |
専 2 |
B/A | 「働く人」のストレッサー | 長友 医継* 医療法人玉水会病院 心療内科部長 |
14(木) 14:00-16:00 |
専 2 |
C/A | うつ病・うつ状態の復職支援 -大人の発達障害も含めて- | 赤崎 安昭* 鹿児島大学保健学科 臨床作業療法学講座 教授 |
16(土) 14:00-16:00 |
実 2 |
B | 産業医による職場巡視研修 中越パルプ工業㈱川内工場 ※定員17名 |
冨宿 明子* 労働衛生コンサルタント |
18(月) 18:00-20:00 |
専 2 |
B/A | 健康管理における遺伝的因子をどう考えるか | 堀内 正久* 鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科衛生学・健康増進医学 教授 |
20(水) 14:00-16:00 |
専 2 |
B/A | 産業医として知っておくべき化学物質のリスクアセスメント(その2)~実測値を用いたリスクアセスメント~ | 東 正樹* (株)鹿児島環境測定分析センター 代表取締役 |
27(水) 18:30-20:30 |
更 2 |
B | 働き方改革関連法改正について ~産業保健・産業医関連法の見直しなど~ 鹿児島県医師会館(鹿児島市中央町8-1) ※定員100名 |
草野 健 鹿児島産業保健総合支援センター所長 中村 健吾 鹿児島産業保健総合支援センター副所長 |
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★★ 定員50名 ★★
ストレスチェック後の職場環境改善研修会のご案内 ※募集終了
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ストレスチェック制度については、その結果を集団ごとに分析して職場環境改善に活用することが重要であるとされています。しかしながら、職場環境改善の実施率は37%に留まっており、そのような中、国の第13次労働災害防止計画においては、今後5年間で60%に引き上げることが目標に掲げられています。
s当センターでは、ストレスチェック集団分析後の職場環境改善についてその手法を解説し、その後のグループワークで理解を深める研修会を開催します。また『職場環境改善助成金』についても解説いたします。
衛生管理者、メンタルヘルス推進担当者、人事労務担当者など、職場環境改善に取り組む産業保健スタッフの方々のご参加をお待ちしています。
▼ストレスチェック後の職場環境改善研修会(チラシ)※定員に達しましたので、募集を締め切りました
https://kagoshimas.johas.go.jp/shokubakankyoukaizen.pdf
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★★★ 定員100名 ★★★
産業医向け「働き方改革関連法改正研修会」開催のご案内
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日 時:平成31年2月27日(水)18:30~20:30
会 場:鹿児島県医師会館(鹿児島市中央町8番地の1)
テーマ:働き方改革関連法改正について
(1)労働時間法制の見直しについて
講師:鹿児島産業保健総合支援センター 副所長 中村 健吾
(2)産業保健・産業医関連法の見直しについて
講師:鹿児島産業保健総合支援センター 所長s草野 健
単 位:日本医師会認定産業医研修(生涯研修)更新2単位
申込先:https://ssl.formman.com/form/pc/BK24pRyDz9L2PApl/
※各研修会には定員があります。申し込みがないまま当日来られた場合、会場や資料の関係で受講できない場合がありますので必ず申し込みをしてください。
※受講できなくなった場合は必ずご連絡ください。
お知らせ
◆◆鹿児島産業保健総合支援センター情報◆◆
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。
当センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase
メンタルヘルス対策支援のご案内
従業員の心の健康対策への取組方法がわからないという事業場の皆さまへ私たちは、メンタルヘルス対策に取り組もうとする事業場を支援します。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat426
地域産業保健センターのご案内
労働者数50人未満の小規模事業場では、労働者に対する産業保健サービスを充実させることを目的に、地域産業保健センターが設けられています。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638
「治療と職業生活の両立支援対策」(事業者用・患者(労働者)用)のリーフレットのご案内
鹿児島県地域両立支援推進チーム(事務局:鹿児島労働局健康安全課)では、事業者向けと患者(労働者)向けの「事業場における治療と職業生活の両立支援対策」のためのリーフレットを作成しました。
【詳細】
▼事業者向けリーフレット
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/chiryou_jigyousya.pdf
▼患者(労働者)向けリーフレット
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/chiryou_roudousya.pdf
≪参考:鹿児島産業保健総合支援センターが行う両立支援に関する各種支援≫
▼鹿児島産業保健総合支援センターが行う治療と職業生活の両立支援事業内容
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat768
▼治療と職業生活の両立支援申込書(FAX用)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryoritsushien.pdf
▼治療と職業生活の両立支援申込書(ホームページからの申込用)
https://ssl.formman.com/form/pc/CTO2smM6jbkJbePL/
1月~3月の両立支援(出張)相談窓口
当センターでは、センター内の相談窓口のほかに、鹿児島医療センターと鹿児島大学病院に、治療と職業生活のための両立支援出張相談窓口を開設しています。設置状況は次のとおりです。
(1)鹿児島産業保健総合支援センター
s 相談窓口開設日時・・・平日 8:30~17:15
(2)国立病院機構 鹿児島医療センター がん相談支援センター内
s 相談窓口開設日時・・毎月第1・3火曜日 10時~13時
1月の相談日 → 15日(火)
2月の相談日 → 5日(火)・19日(火)
3月の相談日 → 5日(火)・19日(火)
(3)鹿児島大学病院 地域医療連携センター内
ss相談窓口開設日時・・毎月第3木曜日 10時~12時(事前予約が必要です)
1月の相談日 → 17日(木)
2月の相談日 → 21日(木)
3月の相談日 → なし
鹿児島産業保健総合支援センターの産業保健専門職(保健師)および両立支援促進員がそれぞれの医療機関のソーシャルワーカーなどと連携してご相談に応じます。相談は無料です。両立支援に関するお悩み等にについてご相談下さい。
【詳細】
▼両立支援出張相談窓口
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/madoguchiitiran.pdf
▼鹿児島医療センター内(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-iryousennta.pdf
▼鹿児島大学病院地域医療連携センター内(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-kadaibyoin.pdf
▼鹿児島産業保健総合支援センター 相談窓口(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-sanpo.pdf
治療と仕事の両立支援対策の推進について(再掲)
【詳細】
▼治療と仕事の両立支援の総合対策
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/ryouritsushien-sougoutaisaku.pdf
▼治療と仕事の両立支援の総合的対策の解説
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/ryouritsushien-kaisetsu.pdf
◆◆◆労働者健康安全機構情報◆◆◆
労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。
【詳細】
▼労災疾病等医学研究普及サイト
http://www.research.johas.go.jp/index.html
▼「メタボローム」について
http://www.research.johas.go.jp/metabolome/
▼「糖尿病の両立支援」について
▽研究報告
http://www.research.johas.go.jp/22_ryoritsu/themaB01.html
▽研究結果
http://www.research.johas.go.jp/22_ryoritsu/themaB02.html
◆◆◆厚生労働省情報◆◆◆
第13回医師の働き方改革に関する検討会 資料
○ 第12回の議論のまとめ(医師の研鑚と労働時間の考え方について)
○ 時間外労働規制のあり方について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02802.html
第14回医師の働き方改革に関する検討会 資料
○ 働き方改革に関連する医療提供に関する各種検討状況の報告
・民間保険会社が医療機関に求める診断書等の簡素化等に関する研究会関係
・医道審議会看護師特定行為・研修部会関係
○ 時間外労働規制のあり方について
・追加的健康確保措置について
・医療提供体制の改革について(医師偏在対策等の取組)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02931.html
第15回医師の働き方改革に関する検討会 資料
○ 働き方改革に関連する医療提供に関する各種検討状況の報告
・上手な医療のかかり方を広めるための懇談会について
○ 時間外労働規制のあり方について
○ その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02979.html
「医師の働き方改革に関する検討会」が医師の労働時間短縮に向けた取組を緊急アピール
<緊急対策の項目>
(1)医師の労働時間管理の適正化に向けた取組
(2)36協定の自己点検
(3)既存の産業保健の仕組みの活用
(4)タスク・シフティング(業務の移管)の推進
(5)女性医師等に対する支援
(6)医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取組
【詳細】
▼厚生労働省広報
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02920.html
▼医師の労働時間短縮に向けて
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000456411.pdf
▼医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000456412.pdf
「過重労働解消相談ダイヤル」の相談結果公表
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000144103_00001.html
「女性の職業生活における活躍の推進及び職場のハラスメント防止対策等の在り方について」
【詳細】
▼厚生労働省広報
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073981_00001.html
▼女性の職業生活における活躍の推進及び職場のハラスメント防止対策等の在り方について(建議)
https://www.mhlw.go.jp/content/000454577.pdf
「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」報告書
厚生労働省の「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」が勤務間インターバル制度の普及促進に向けた報告書を公表しました。
【報告書のポイント】
1 勤務間インターバル制度」は、労働者の終業時刻から、次の始業時刻の
間に一定時間の休息を設定する制度であり、労働者の生活時間や睡眠時
間を確保し、健康な生活を送るために重要な制度であること。
2 制度の普及に向けた課題として、制度の認知度が低いことや中小企業等が
導入する際の手順が分からないことが挙げられること。
3 普及促進に向けて、検討会報告書の別添としてとりまとめた「勤務間イン
ターバル制度導入に向けたポイント」や導入事例集の周知、助成金による
支援を進めていくことが重要であること。
【詳細】
▼報告書概要
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000462015.pdf
▼報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000462016.pdf
外国人労働者の労働災害を正確に把握するための「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」の諮問と答申
【詳細】
▼諮問文
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000463632.pdf
▼答申文
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000463633.pdf
▼労働者死傷病報告の様式改正について
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000463635.pdf
◆◆◆鹿児島労働局情報◆◆◆
平成30年の労働災害発生状況(H30.11月速報)
○ 死亡者数は13人で、前年同期で4人(23.5%)減。
○ 休業4日以上の死傷者数は1,627人で、前年同期で14人(0.9%)減。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/H30saigai_2018-1210-6.pdf
鹿児島県の特定最低賃金が改正されました
○ 自動車(新車)小売業最低賃金
1時間あたり821円s 発効日 平成30年12月28日
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/news_topics/topics/2018-1128-4_1.html
○ 電子部品・デバイス・電子回路、電気機械器具、情報通信機械器具製造業最低賃金
1時間当たり788円s 発効日 平成30年12月28日
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/news_topics/topics/2018-1128-4_2.html
◆◆◆中央労働災害防止協会◆◆◆
平成30年度 年末年始無災害運動の実施
【スローガン】 みんなで感謝の総点検 笑顔で迎える 年末年始
【実施期間】 平成30年12月15日~平成31年1月15日
【詳細】
▼中央労働災害防止協会
https://www.jisha.or.jp/campaign/musaigai/
▼平成30年度 年末年始無災害運動実施要領
https://www.jisha.or.jp/campaign/musaigai/youryou.html
▼年末年始無災害運動リーフレット
https://www.jisha.or.jp/campaign/musaigai/pdf/musaigai_leaflet2019.pdf
編集後記
明けましておめでとうございます。平成最後の正月をどのように迎えられたでしょうか。
元号が改まるということは、少なくとも我が国にとっては大きな節目の年と言えると思います。日本の元号が変わっても他の国には格段の影響はないのでしょうが、日本人にとっては新天皇を戴くだけでなく社会生活の様々な面で小さくても無視できない変化が予想されます。
s私にとっても産業保健総合支援センター所長を拝命して5回目の正月ですが、この間に所長として何ほどの働きが出来たかと思うと忸怩たるものがあります。それでも今年は「働き方改革」元年、ある意味で真価が問われることと思い改めて気を引き締め直しているところです。
産業保健活動は経済状態に常に強く影響を受けますが、その経済の見通しが極めて立て難い現状です。世界中に蔓延する自国利益中心主義と市場原理主義に基づく自由競争社会ではどの国も統治機能強化に動き、弱者切り捨てが跋扈し易いのは当然の帰結です。我が国では米国流の新自由主義経済に同調するような経済政策に傾いていますが、世界に先駆けての長寿社会且つ労働人口減少社会になっています。自由競争の「負け組」にならないためには労働人口が減少するなら労働者一人当たりの生産力を増加する必要があり、その結果が過重労働となっています。過重労働だけでなく競争に勝ち抜くためには利潤の大部分を投資と内部留保に充てて賃金を抑えることになり易いのは資本側の安易な対策です。
「働き方改革」の要諦は、過重労働抑制もですがより根本的な課題はストレス要因の減少にあります。長時間の労働はそれ自体がストレス要因ですが、さらに大きな要因は当該労働に何らの意義や生産性を感じないことにあります。最も重要な対策の要諦は、生産性の無い労働時間を減らして時間当たりの生産性を上げることにあります。それは企業・社会に加え労働者個人にとっても同じです。
各事業場にとっては長時間労働を減少しても事業経営が悪化しないことが一番の関心事です。政府の政策は問題点だらけで、特に地方の小企業・零細企業にとっては課題が多すぎ且つ大きすぎる嫌いがありますが、現場に対応する私たちは単に政策を批判するのみで済ますことはできません。出来得ることをあらゆる関係スタッフと協力して見つけ出し実行する必要があります。
産業医としての30年近い経験から言えることは、事業場における各作業の業務分析を行い、直接的にも間接的にも生産性のない作業を極力排除するか、排除出来なければ最大限に効率化することです。今こそ3管理の徹底が必要と思っています。3管理の徹底は労働生産の効率化の要諦です。同時に、単一事業場では対応できないような生産性に結びつかない監査対応業務や管理のための管理業務の簡素化・軽減化も社会全体として追及したいものです。そのような活動を私たちが行うことが当に「働き方改革」元年となり得るものと考えます。