メールレター第192号
鹿児島産業保健総合支援センター メールレター第192号 2019/03/01
発行:鹿児島産業保健総合支援センター 所長 草野 健
相談員からのメッセージ
局所排気装置を有効に活用する
産業保健相談員 黒沢 郁夫
(担当分野:労働衛生工学)
有害物質(有機溶剤、特化物、鉛、粉じん)を取り扱う事業所で局所排気装置等を活用した作業環境改善に向けて具体的に検討したいとの意向のある事業所に対しては、当産保センター(略称)は実地相談等(無料)で支援を行っています。今後とも利用されることを担当者として願っています。
局所排気装置は作業環境改善に有効な手段です。すでに局所排気装置を設置して活用している事業所では、維持管理(月次点検、年次点検)を確実に行い継続した性能の確保が重要です。特に囲い式フード、外付け式フード等の制御風速確保は性能の要です。法的に定められた点検項目を実施して性能維持を厳守して下さい。
所で、職場巡視中に、局所排気装置が有効に活用されていないのを見かけることがあります。局所排気装置の外付け式フード(発散源の外にフードがあるもの)から作業位置が離れすぎて有害物を吸い込まない位置で作業者が作業していました。これでは必要経費をかけて設置した局所排気装置の性能が有効に活用されていないことになります。
作業位置は法的に決められた性能(制御風速)が得られるよう、設計時に決められています。微風速計がない場合、実務上、作業位置が適切か否かについては、簡易的にスモークテスター(気流検査器)で発煙した煙がフードに吸込まれているか否かで判断できます。煙が吸い込まれていれば、その作業位置が正しい位置であると眼で見て分かります。このように煙の流れで正しい作業位置を確認することは、作業者にとって理解が確かなものになり、自分自身の健康を守るために必要であることを再認識できます。
今後とも局所排気装置の性能が維持されて有効に活用される様ご指導をお願い致します。
おすすめ教材(無料貸出し等)
当センターでは、産業保健に関する図書、ビデオ・DVDを無料にて閲覧・貸出ができます。
ぜひご利用ください。
★★★おすすめ図書 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ストレスチェックで変わる 会社の未来
(貸出番号:7-146)
【概要】
1:マンガでわかるストレスチェックの効用
2:なぜストレスチェックが義務化されたのか
3:職場環境の改善につなげるには
4:シュミレーションゲームであなたのストレスチェック活用能力を診断
5:便利なツール紹介
★★★おすすめDVD ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
新人・若手社員のセルフケア~ストレスと上手につきあうスキル~
(貸出番号:7-71)
【概要】
●職場の中の様々なストレス
●ネガティブ思考の独り言
●ポジティブ思考のすすめ
●ネガティブ思考の自分を変えるコツ
●相手に働きかけて自分の考えを伝える
●もう一歩先へ
※今月のおすすめ詳細
https://kagoshimas.johas.go.jp/library/library_category/recommend
研修セミナーのご案内
すべてのセミナーにどなたでもご参加いただけます。
(定員は各セミナー30名、場所は光健ボイスビルです)
3月 ※特に記載のないものは会場 光健ボイスビルです。
1(金) 14:00-16:00 |
実 2 |
B/A | ストレスチェック事例検討 | 小田原 努* ヘルスサポートセンター鹿児島 所長 |
---|---|---|---|---|
2(土) 14:00-16:00 |
専 2 |
C/A | 騒音作業者が知っておきたい知識 鹿児島市医師会館(鹿児島市加治屋町3-10) |
冨宿 明子* 労働衛生コンサルタント |
5(火) 14:00-16:00 |
専 2 |
C/A | 職場における喫煙対策 | 徳留 修身* 元・保健所長(鹿児島県及び鹿児島市) |
11(月) 14:00-16:00 |
専 2 |
B/A | 職場での応急手当 最新版 | 冨宿 明子* 労働衛生コンサルタント |
14(木) 14:00-16:00 |
専 2 |
C/A | 作業環境管理について | 黒沢 郁夫* 黒沢労働安全衛生コンサルタント事務所 所長 |
15(金) 15:00-17:00 |
専 2 |
B/A | メンタルヘルス・カウンセリングⅥ 発達障害者(LD、ADHD、ASD)の心理支援
※開催時間を変更いたしました |
久留 一郎* 鹿児島大学 名誉教授 |
19(火) 18:00-20:00 |
専 2 |
B/A | 職場で起こった循環器疾患について | 前田 雅人* 鹿児島大学教育学部保健体育学科s教授 |
4月 ※特に記載のないものは会場 光健ボイスビルです。
13(土) 14:00-16:00 ※単位申請中 |
専 2 |
ABC | 職業性胆管がんとは何だったのか 鹿児島市医師会館(鹿児島市加治屋町3-10) |
冨宿 明子* 労働衛生コンサルタント |
---|---|---|---|---|
18(木) 14:00-16:00 ※単位申請中 |
専 2 |
ABC | 石綿の基礎知識(種類・解体・廃棄) | 黒沢 郁夫* 黒沢労働安全衛生コンサルタント事務所 所長 |
19(金) 14:00-16:00 ※単位申請中 |
更 2 |
AB | 治療と職業生活の両立支援対策 | 小田原 努* ヘルスサポートセンター鹿児島 所長 |
26(金) 14:00-16:00 ※単位申請中 |
専 2 |
ABC | <対人関係障害者>のメンタルヘルス・カウンセリングⅠ~自閉症スペクトラム(ASD)をめぐって~ | 久留 一郎* 鹿児島大学 名誉教授 |
定 員 :30名
講師*印:当センター産業保健相談員
※各研修会には定員があります。申し込みがないまま当日来られた場合、会場や資料の関係で受講できない場合がありますので必ず申し込みをしてください。
※受講できなくなった場合は必ずご連絡ください。
お知らせ
◆◆鹿児島産業保健総合支援センター情報◆◆
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。
当センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase
メンタルヘルス対策支援のご案内
従業員の心の健康対策への取組方法がわからないという事業場の皆さまへ私たちは、メンタルヘルス対策に取り組もうとする事業場を支援します。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat426
地域産業保健センターのご案内
労働者数50人未満の小規模事業場では、労働者に対する産業保健サービスを充実させることを目的に、地域産業保健センターが設けられています。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638
「治療と職業生活の両立支援対策」(事業者用・患者(労働者)用)のリーフレットのご案内
鹿児島県地域両立支援推進チーム(事務局:鹿児島労働局健康安全課)では、事業者向けと患者(労働者)向けの「事業場における治療と職業生活の両立支援対策」のためのリーフレットを作成しました。
【詳細】
▼事業者向けリーフレット
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/chiryou_jigyousya.pdf
▼患者(労働者)向けリーフレット
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/chiryou_roudousya.pdf
≪参考:鹿児島産業保健総合支援センターが行う両立支援に関する各種支援≫
▼鹿児島産業保健総合支援センターが行う治療と職業生活の両立支援事業内容
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat768
▼治療と職業生活の両立支援申込書(FAX用)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryoritsushien.pdf
▼治療と職業生活の両立支援申込書(ホームページからの申込用)
https://ssl.formman.com/form/pc/CTO2smM6jbkJbePL/
3月~5月の両立支援(出張)相談窓口
当センターでは、センター内の相談窓口のほかに、鹿児島医療センターと鹿児島大学病院に、治療と職業生活のための両立支援出張相談窓口を開設しています。設置状況は次のとおりです。
(1)鹿児島産業保健総合支援センター
相談窓口開設日時・・・平日 8:30~17:15
(2)国立病院機構 鹿児島医療センター がん相談支援センター内
相談窓口開設日時・・毎月第1・3火曜日 10時~13時
3月の相談日 → 5日(火)・19日(火)
4月の相談日 → 2日(火)・16日(火)
5月の相談日 → 7日(火)・21日(火)
(3)鹿児島大学病院 地域医療連携センター内
相談窓口開設日時・・毎月第3木曜日 10時~12時(事前予約が必要です)
3月の相談日 → ありません
4月の相談日 → 18日(木)
5月の相談日 → 16日(木)
鹿児島産業保健総合支援センターの産業保健専門職(保健師)および両立支援促進員がそれぞれの医療機関のソーシャルワーカーなどと連携してご相談に応じます。相談は無料です。両立支援に関するお悩み等にについてご相談下さい。
【詳細】
▼両立支援出張相談窓口
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/madoguchiitiran.pdf
▼鹿児島医療センター内(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-iryousennta.pdf
▼鹿児島大学病院地域医療連携センター内(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-kadaibyoin.pdf
▼鹿児島産業保健総合支援センター 相談窓口(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-sanpo.pdf
地域産業保健センターでは登録保健師を募集しています。
鹿児島産業保健総合支援センターの地域窓口である
○ 姶良・伊佐地域産業保健センター(霧島市隼人町内山田1-6-62 姶良地区医師会内)
○ 南薩地域産業保健センター(南さつま市加世田村原1-3-13 南薩医師会内)
○ 曽於地域産業保健センター(曽於市大隅町月野894 曽於医師会立病院内)
の3つの地域産業保健センターでは、それぞれのセンターに登録していただき、保健師として活動していただける保健師を募集しています。
お問い合わせは、鹿児島産業保健総合支援センター(TEL:099-252-8002 仮山)まで。
https://kagoshimas.johas.go.jp/s3_image/information/kyujin-hokenshi.pdf
鹿児島産業保健総合支援センターでは嘱託職員を募集しています。
鹿児島産業保健総合支援センターでは、
○ 常勤の保健師(産業保健専門職) 1名 詳細はこちら↓
クリックしてkyijin-sangyohoken.pdfにアクセス
○ 非常勤の職員(労働衛生専門職) 1名 詳細はこちら↓
クリックしてkyujin-ryoritsu.pdfにアクセス
を募集しています。
ハローワークを通じての応募となりますので、ハローワークの求人情報をご確認の上、ご応募ください。
◆◆◆労働者健康安全機構情報◆◆◆
労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。
○インターネットを用いたメンタルへルスチェックシステム「Mental-Rosai」を開発しました。
http://www.research.johas.go.jp/22_mental/thema01_index.html
このシステムは、利用者が職場や自宅でも手軽にセルフチェック(ストレスへの気づき)を行うことができ、回答者の中からメンタル不調者を早期に発見することができるため医療機関への受診を促すことが可能となります。セルフチェック後には、メール相談やメンタルヘルスのポータルサイトにアクセスするページを用意しており、困りごとや生じた疑問をすぐに調べることができます(メール相談件数 8,334件(平成29年度))。
なお、「Mental-Rosai」の利用を希望される方はIDとパスワードが必要になりますので、以下のサイトでご確認ください。
https://www.yokohamah.johas.go.jp/medical/mhc/MentalRosai.pdf
お問い合わせ先 独立行政法人労働者健康安全機構
横浜労災病院 勤労者メンタルヘルス研究センター
○「予防医療モデル事業」についてのご紹介です。
全国の治療就労両立支援センター(部)で、勤労者の健康確保を図るため、過労死に係る生活習慣病、勤労女性特有の健康障害等の発症予防及び憎悪の防止に関する予防医療活動を通じて集積した事例の分析・評価等により、以下の5つのテーマに基づき効果的な『予防法・指導法』の開発に取り組み、全国の事業場へ普及することを目的としています。
【テーマ1】
生活習慣に伴う疾患(メタボリックシンドローム、高血圧、喫煙、飲酒など)
【テーマ2】
作業動作に伴う運動機能障害(関節痛、腰痛、頸肩腕症候群など)
【テーマ3】
高齢勤労者特有の健康障害(ロコモティブ症候群、サルコペニアなど)
【テーマ4】
勤労女性特有の健康障害(更年期、ライフステージ、勤務形態など)
【テーマ5】
ストレス又は不眠(睡眠障害など)
これらの5テーマの研究から得られた予防法・指導法は当機構ホームページ上にて閲覧できます。
研究成果については、こちらからご覧いただけます。
https://www.johas.go.jp/yobomodel/tabid/1012/Default.aspx
◆◆◆厚生労働省情報◆◆◆
第18・19回医師の働き方改革に関する検討会 資料
〇 時間外労働規制のあり方について
〇 その他
【詳細】
▼第18回
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03549.html
▼第19回
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03683.html
「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」バージョンアッププログラムの公開
https://stresscheck.mhlw.go.jp/
「治療と仕事の両立支援ナビ」ポータルサイト
https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/
3月は自殺対策強化月間です
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000483418.pdf
平成31年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施します
厚生労働省は、職場における熱中症※1予防対策の一層の推進を図るため、労働災害防止団体などと連携し「STOP!熱中症 クールワークキャンペー
ン」を実施します。このキャンペーンは平成31年4月を準備期間とし5月から9月まで行います。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03739.html
平成31年4月27日から5月6日までの10連休に関してよくある質問
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03581.html
◆◆◆鹿児島労働局情報◆◆◆
平成30年・平成31年の労働災害発生状況(速報)
【詳細】
▼平成30年の労働災害発生状況
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/H30saigai_2019-0213-3.pdf
▼平成31年の労働災害発生状況
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/H31saigai_2019-0213-3.pdf
▼労働災害統計・事例
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/jirei_toukei/toukei/saigaitoukei_jirei.html
編集後記
今冬は桜島の冠雪も見ないままに終わりそうです。豪雪被害に見舞われた北国の方々の苦労は察するに余りありますが、産業保健の立場からは彼の地の産業保健スタッフには私達には分かり難い余分な苦労もありそうです。
私達医師は医師法第1条で「国民の健康水準の向上と公衆衛生の普及」が医師の任務として定められています。産業保健活動の対象は「働く人」ですから、乳幼児・児童・生徒・学生以外の入院療養中以外の殆どの国民が対象ということです。日本人は基本的に報酬如何に関わらず「世の中のお役に立つ」こと自体に価値を置く国民性を強く持っています。決して賃金労働だけで社会が成り立っているのではありません。然しながら、昨今の産業保健関係の対策は賃金労働者中心に偏っているように見受けられます。労働法関係の法令は確かに賃金労働のための法令ですから、そこに着目する改革が被雇用者重心になるのは頷けます。それでも個人的に気になるのは農業労働です。
我が国の農業は米国等とは大きく異なり、小規模多品目自営農業が中心です。自営農は被雇用者ではないので労働法制の枠外になり易いのですが、全ての農業労働者にも労災補償制度の適用を、というILO勧告に基づき幾らかの制度が整備されました。しかし、殆どの農業者が適応外のままです。本来なら、今回の働き方改革の対象に農業労働も包含すべきなのに、と思ってしまいます。事業主でもあるという点では小さな商店主達も同様ですが、こうした階層が日本の経済を下支えしてきたことは間違いないでしょう。
労働人口が減少する中では、大小の企業群だけでなくむしろ自営業者へのダメージの方が大きいことも考えられます。こうした状況では女性が安心して妊娠出産できる、したくなる環境を整えるとともに一人当たりではなく時間当たりの生産性向上こそが追及されるべきです。今こそ、生産性のないあるいは乏しい作業時間の減少こそが追及されるべき課題と考えています。価値ある労働は多くの日本人にとって慶びでこそあれ、決してストレス要因にはならないと信じています。