お知らせ

メールレター第187号

 鹿児島産業保健総合支援センター メールレター第187号   2018/10/01
                                             発行:鹿児島産業保健総合支援センター 所長 草野 健

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相談員からのメッセージ confident

医学教育における産業医についての学び

産業保健相談員 堀内 正久
(鹿児島大学衛生学・健康増進医学/鹿児島大学桜ヶ丘地区産業医) 

(担当分野:産業医学)

昨年から、鹿児島産業保健総合支援センターの草野所長のご協力を得て、医学部学生に対して「シャドウイング」という体験型実習の中で、「産業医」について学ぶ機会を設けている。「シャドウイング」は、一般の医療機関以外の保健所や健診機関などで働く医師について学ぶコースである。今までも、座学としての「産業医」の学びはあったが、実習は初めての試みであり、現在試行錯誤中である。
実習と言っても、産業医業務そのものを体験することがやや難しいので、産業医活動のビデオ閲覧やグループ学習としてケーススタディを行っている。実際に産保センターや医療機関の産業保健現場ということで大学の衛生学講座に出向いてもらい、産業保健現場をより身近に感じてもらうという学習となっている。ケーススタディは、腰痛、VDT障害、振動障害、騒音障害の4症例を学んでもらっている。いずれの症例も、産業医がまず行うべきことは何かが最初の問いになっている。症例は異なるが、解答は、すべて「職場巡視」である。相談者を前にして、まずは、働いている現場を確認するということが産業医として必要で、職場巡視を基盤とした作業環境管理や作業管理のアプローチが産業医にとって特徴的ということを理解してもらう学びとなっている。昨今は、ストレスチェックや生活習慣病に対する健康管理業務が産業医にとって必要となっているが、個人の精神的・身体的健康度の判定にとどまらず、環境管理や作業管理に関係する集団としての働き方へのアプローチが求められる。
私が卒業した30年以上前には、産業保健を体系的に学ぶ機会は無かったが、産業医資格を有する医師の割合が2割を超える現状では、学部生の時代から、産業医について学ぶ機会がますます増えるだろう。学部生への教育は、鹿児島県の未来の産業保健の質を高めていくための重要な機会であることを肝に銘じながら教育に携わっていきたいと思う。

おすすめ教材(無料貸出し等) book 

当センターでは、産業保健に関する図書、ビデオ・DVDを無料にて閲覧・貸出ができます。
ぜひご利用ください。

★★★おすすめ図書 book★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
産業医・産業保健スタッフのための ストレスチェック実務Q&A
(貸出番号:7-151)

【概要】
  本書では、どのように集団分析を行い、その集団分析結果をどう読み、どのように職場環境改善
  につなげていくのか、具体的な職場環境改善の手法等について解説しています。

★★★おすすめビデオmovie ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
管理職によるメンタルヘルス― 傾聴するコミュニケーション ―
(貸出番号:7-61)

【概要】
  職場の人間関係をストレス要因にしないためには、コミュニケーション能力を高めることが大切
  です。そのためにとても有効な「傾聴」の技法を、事例を通して分かりやすく解説します。
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研修セミナーのご案内 pencil

すべてのセミナーにどなたでもご参加いただけます。
(定員は各セミナー30名、場所は光健ボイスビルです)

10月

  ☆ 10月 1日(月) 14:00~16:00【冨宿先生】
  「意外と身近な酸欠」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  ☆ 10月 4日(木) 14:00~16:00【赤崎先生】
  「気分障害の特性と治療」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  ☆ 10月 5日(金) 14:00~16:00【小田原先生】
  「治療と職業生活の両立支援対策」
   日医産業医認定単位:生涯(更新)2単位

10月10日(水) 14:00~16:00【長友先生】
  「メンタル不調者の「治療と職業生活の両立支援」」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  ☆ 10月13日(土) 14:00~16:00【東先生】
  「産業医として知っておくべき作業環境測定結果報告書の読み方」
  ※会場:鹿児島市医師会館(鹿児島市加治屋町3-10)
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  ☆ 10月22日(月) 18:00~20:00【堀内先生】
  「健診と検診~産業保健におけるこころと体の健康管理」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

10月24日(水) 14:00~16:00【徳留先生】
  「職場における喫煙対策」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

10月26日(金) 14:00~16:00 【德永先生】
  「糖尿病治療継続と仕事の両立支援」/THP対象
   日医産業医認定単位:生涯(実地)2単位

11月

  ☆ 11月 5日(月) 14:00~16:00【冨宿先生】
  「産業医になったらここをチェック」
  日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  ☆ 11月15日(木) 14:00~16:00 【黒沢先生】
  「職場巡視と労働衛生管理」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

11月16日(金) 14:00~16:00【久留先生】
  「メンタルヘルス・カウンセリングⅣ
  「出社拒否」の心理支援(自我・自己の混乱、ハーディネス)」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

  11月20日(火) 18:00~20:00【前田先生】
  「生活習慣病と運動療法について」/THP対象
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

11月27日(火) 18:00~20:00【市来先生】
  「歯科の視点からの禁煙指導について」
   日医産業医認定単位:生涯(専門)2単位

☆…産業医対象で、産業医認定単位があります。
…産業保健スタッフですが、産業医認定単位はあります。

【詳細・お申込み】
  https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335

《管理監督者向け》「治療と職業生活の両立支援」・「心の健康づくり」合同研修会

産業医学研修会ではありません。
【対象者】鹿児島県内の事業主・管理監督者・衛生管理者・衛生推進者・ 産業保健健スタッフなど

【日 程】
 ■平成30年10月16日(火)薩摩川内地区会場(ホテルオートリ)
          13:30~16:30 ※13:00受付開始

 ■平成30年10月22日(月)霧島地区会場(霧島商工会議所)
          13:30~16:30 ※13:00受付開始

 ■平成30年10月30日(火)鹿児島地区会場(マリンパレスかごしま)
          13:30~16:30 ※13:00受付開始

 ■平成30年11月1日(木)奄美地区会場(奄美文化センター)
          13:30~16:30 ※13:00受付開始

詳細・FAX申込用紙(PDF)】
  https://kagoshimas.johas.go.jp/about/goudou-annai-ryomen.pdf
申込みフォーム
  https://ssl.formman.com/form/pc/xu9XV3XBUqpfP7uf/
※各研修会には定員があります。申し込みがないまま当日来られた場合、
会場や資料の関係で受講できない場合がありますので必ず申し込みを
してください。受講できなくなった場合は必ずご連絡ください。

お知らせ sign01

◆◆鹿児島産業保健総合支援センター情報◆◆
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

当センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

メンタルヘルス対策支援のご案内

従業員の心の健康対策への取組方法がわからないという事業場の皆さまへ私たちは、メンタルヘルス対策に取り組もうとする事業場を支援します。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat426

地域産業保健センターのご案内

労働者数50人未満の小規模事業場では、労働者に対する産業保健サービスを充実させることを目的に、地域産業保健センターが設けられています。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638

治療と職業生活の両立支援事業

当センターでは、両立支援に関する各種支援を無料で提供しています。ぜひご活用ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat768

10月~12月の両立支援(出張)相談窓口

当センターでは、センター内の相談窓口のほかに、鹿児島医療センターと鹿児島大学病院に、治療と職業生活のための両立支援出張相談窓口を開設しています。設置状況は次のとおりです。
(1)鹿児島産業保健総合支援センター
         相談窓口開設日時・・・平日 8:30~17:15

(2)国立病院機構 鹿児島医療センター がん相談支援センター内
         相談窓口開設日時・・毎月第1・3火曜日 10時~13時
            10月の相談日 → 2日(火)・16日(火)
            11月の相談日 → 6日(火)・20日(火)
            12月の相談日 → 3日(火)・17日(火)

(3)鹿児島大学病院 地域医療連携センター内
         相談窓口開設日時・・毎月第3木曜日 10時~12時(事前予約が必要です)
            10月の相談日 → 18日(木)
            11月の相談日 → 18日(木)
            12月の相談日 → 20日(木)

鹿児島産業保健総合支援センターの産業保健専門職(保健師)および両立支援促進員がそれぞれの医療機関のソーシャルワーカーなどと連携してご相談に応じます。相談は無料です。両立支援に関するお悩み等にについてご相談下さい。

詳細
▼両立支援出張相談窓口
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/madoguchiitiran.pdf
▼鹿児島医療センター内(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-iryousennta.pdf
▼鹿児島大学病院地域医療連携センター内(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-kadaibyoin.pdf
▼鹿児島産業保健総合支援センター 相談窓口(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-sanpo.pdf

 

◆◆◆労働者健康安全機構情報◆◆◆
平成30年度産業保健関係助成金のお知らせ(再掲)

https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1253/Default.aspx

平成30年度両立支援コーディネーター基礎研修の追加開催のご案内

詳細
▼平成30年度両立支援コーディネーター基礎研修の追加開催のご案内
https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/kinrosyashien/pdf/20180921ryoritu.pdf
▼平成30年度両立支援コーディネーター基礎研修(熊本会場)
https://www.kumamotos.johas.go.jp/documents/H30/s20180920.html

◆◆◆厚生労働省情報◆◆◆
「治療と仕事の両立支援ナビ」ポータルサイト(再掲)

https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/

事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン(再掲)

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000204436.pdf

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について

各種リーフレット、法律・政令・省令・告示・公示等の条文等、様式をご覧いただけます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html

熱中症による死亡数 人口動態統計(確定数)

詳細
▼年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死亡数の年次推移
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/necchusho17/dl/nenrei.pdf
▼都道府県別にみた熱中症による死亡数の前年比較
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/necchusho17/dl/kenbetsu.pdf

労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針

https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/000343667.pdf

◆◆◆鹿児島労働局情報◆◆◆
平成30年の労働災害発生状況(H30.8月速報)

○ 死亡者数は6人で、前年同期で6人(50.0%)減。
○ 休業4日以上の死傷者数は1,125人で、前年同期比と同数。

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/H30saigai_2018-0910-4.pdf

所長よりひと言 pen

災害ともいえる酷暑の夏も彼岸が過ぎると自然が帳尻を合わせるかのように急激に秋めいてきました。それにしても、今年の夏は相次ぐ風水害に地震と多くの人命が失われ追い打ちを掛けるように炎暑が襲いました。このような災害は尊い人命の喪失に止まらず生産資材の損失にも大きいものがあります。
思えば、この列島は太古の昔から自然災害と向き合ってきました。祖先たちは自然に対峙し、それを克服するのではなく共生の方途を追及してきたようです。大自然を征服し従えるという発想は人間の驕りに過ぎないようです。
風水害、地震、火山爆発等の自然災害は何時でも何処でも起き得る列島に私たちは生活と労働を営んでいます。科学の進歩で予知研究はかなり進んできましたが、所詮予知は確率論です。起こり得ることは何時か必ず起こる、という認識に立つ必要があります。
そのような観点から、現今の「働き方改革」を観ずると環境の恒常性を前提に成り立っているように感じられます。地球上の一生命体に過ぎないヒトが地球環境に影響を及ぼしたなら、その復元は可能なのか。それとも人間如きが加えた影響なぞ地球にとっては何時でも修復できる僅少のレベルなのか。飽くなき経済成長の果てには取り返しのつかない地球環境の破壊が待っていると思うのが杞憂ではないと感じるのは私一人のみではないと思います。これからは、物質的成長ではなく、古来の日本人がこの列島で育んできた自然に沿いながらその恩恵も害も受け入れて持続安定した社会を築く発想に学ぶ必要があるようです。
今、何のために働くのかを問い直す必要があると考えます。「働く」という日本語は「ハタ(傍)」を「ラク(楽)」にする意味とか。英語のworkは仕事、laborは労働という日本語に対応するようです。「仕事する」でも「労働」でもなくハタラクこと自体に大きな価値を認めるのは日本人の特性と思われます。働き方改革の最も肝心な点は、傍(ハタ)を楽(ラク)にすることのない作業を放逐する、少なくとも減らすことにあるように思います。
相次ぐ災害の被災地に多くのボランティアが駆け付けてハタラいています。彼ら彼女らこそまさに日本人的に価値ある働きをしています。