お知らせ

メールレター第193号

鹿児島産業保健総合支援センター メールレター第193号 2019/04/01  
発行:鹿児島産業保健総合支援センター 所長 草野 健

 

  

相談員からのメッセージ confident

前屈みはダメ ~ボディメカニクスで負担軽減~

産業保健相談員 岡村 俊彦
(鹿児島県立短期大学 教授
担当分野:労働衛生工学)

 ご存じの方も多いとは思いますが,「ボディメカニクス」とは人間の運動機能を力学的に捉え,身体への負担を軽減する技術のことで,看護・介護作業でよく取り入れられています。例えば,力が必要な看護作業の場合,膝を曲げ,腰を落として患者さんなどになるべく近づくことで,特に腰部への負担を軽減します。大腿筋などなるべく力を発揮できる筋肉を使う,足先を動作方向に向ける事でひねりを少なくする,てこの原理を使う,といった原則もあります。少ない力で無理なく作業ができるので,作業者の負担軽減や事故防止だけではなく看護・介護される側の負担が少なくなることも特徴です。
   ボディメカニクスは看護・介護を仕事とする人だけのものではありません。自宅などで介護をする人にはもちろん,荷物などの物体を扱うなど,筋力を必要とするあらゆる場面で活用できます。人間の重心はおへそのあたりにありますが,重量物を持っている場合,その重量物と人間の中間に重心は移動し,それを作業者の体で支えることになります。この際も重量物になるべく近づく,腰を落とすといったボディメカニクスを利用することで,負担の軽減が可能になります。負担を軽減するための道具や器具を使うことも有効です。ここでは解説しきれませんが,インターネットで検索すれば,動画を含め,ボディメカニクスに関する分かりやすいサイトが見つかりますので,特に腰痛に悩む人などは,一度ご覧になってください。とりあえず,もっともシンプルものをひとつ。
  【前屈みにならない】
   これだけでも心がけてもらえれば,日々の仕事,生活がだいぶ楽になりますよ。

おすすめ教材(無料貸出し等) book 

当センターでは、産業保健に関する図書、ビデオ・DVDを無料にて閲覧・貸出ができます。
ぜひご利用ください。

  おすすめ図書 book

実践 心の健康づくり 職場のメンタルヘルス対策事例集
(貸出番号:7-121)

【概要】
1:メンタルヘルス指針に示された取り組み事項別事例
  1)心の健康づくり計画の作成
  2)職場環境等の把握および改善
  3)相談体制の整備および個別の相談対応
       ~その他
2:メンタルヘルス対策の活動事例(事例1~9)
3:参考資料

  おすすめDVDmovie

ヒヤリハットから学ぶ 新人作業員のための危険予知
(貸出番号:0-168)

【概要】
このビデオは建設業の新人作業員への教育におすすめのビデオです。新人作業員が不安全行動を繰り返し、ヒヤリハットを見過ごしたために大きな災害へと発展した事例を紹介しています。

※今月のおすすめ詳細
https://kagoshimas.johas.go.jp/library/library_category/recommend

研修セミナーのご案内 pencil

すべてのセミナーにどなたでもご参加いただけます。
(定員は各セミナー30名、会場は光健ボイスビルです)

4月 ※特に記載のないものは会場 光健ボイスビルです。
13()
14:00-16:00

ABC 職業性胆管がんとは何だったのか
flag 鹿児島市医師会館(鹿児島市加治屋町3-10)
冨宿 明子*
労働衛生コンサルタント
18(木)
14:00-16:00

ABC 石綿の基礎知識(種類・解体・廃棄) 黒沢 郁夫*
黒沢労働安全衛生コンサルタント事務所 所長
19(金)
14:00-16:00

2
AB 治療と職業生活の両立支援対策 小田原 努*
ヘルスサポートセンター鹿児島 所長
26(金)
14:00-16:00

ABC <対人関係障害者>のメンタルヘルス・カウンセリングⅠ~自閉症スペクトラム(ASD)をめぐって~ 久留 一郎*
鹿児島大学 名誉教授
5月 ※特に記載のないものは会場 光健ボイスビルです。
11()
14:00-16:00

ABC 意外と身近な酸欠
flag 鹿児島市医師会館(鹿児島市加治屋町3-10)
冨宿 明子*
労働衛生コンサルタント
21(火)
14:00-16:00

ABC 職場の結核対策 徳留 修身*
元・保健所長(鹿児島県及び鹿児島市)
22(水)
14:00-16:00

ABC 「働く人」と不眠症 長友 医継*
医療法人玉水会病院 心療内科部長
27(月)
18:00-20:00

ABC 化学発がん「アスベストと有機溶剤」:労災と公害の視点 堀内 正久*
鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科衛生学・健康増進医学 教授

flair 定 員 :30名
  講師*印:当センター産業保健相談員

※各研修会には定員があります。申し込みがないまま当日来られた場合、会場や資料の関係で受講できない場合がありますので必ず申し込みをしてください。
※受講できなくなった場合は必ずご連絡ください。

お知らせ

★ ★ 鹿児島産業保健総合支援センター ★ ★

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

当センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

メンタルヘルス対策支援のご案内

従業員の心の健康対策への取組方法がわからないという事業場の皆さまへ私たちは、メンタルヘルス対策に取り組もうとする事業場を支援します。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental

地域産業保健センターのご案内

労働者数50人未満の小規模事業場では、労働者に対する産業保健サービスを充実させることを目的に、地域産業保健センターが設けられています。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat640

「治療と職業生活の両立支援対策」(事業者用・患者(労働者)用)のリーフレットのご案内

鹿児島県地域両立支援推進チーム(事務局:鹿児島労働局健康安全課)では、事業者向けと患者(労働者)向けの「事業場における治療と職業生活の両立支援対策」のためのリーフレットを作成しました。
詳細
▼事業者向けリーフレット
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/chiryou_jigyousya.pdf
▼患者(労働者)向けリーフレット
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/chiryou_roudousya.pdf

≪参考:鹿児島産業保健総合支援センターが行う両立支援に関する各種支援≫
▼鹿児島産業保健総合支援センターが行う治療と職業生活の両立支援事業内容
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765
▼治療と職業生活の両立支援申込書(FAX用)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryoritsushien.pdf
▼治療と職業生活の両立支援申込書(ホームページからの申込用)
https://kagoshimas.johas.go.jp/entry_sheet/johas-coexistence_01

4月~6月の両立支援(出張)相談窓口

当センターでは、センター内の相談窓口のほかに、鹿児島医療センターと鹿児島大学病院に、治療と職業生活のための両立支援出張相談窓口を開設しています。設置状況は次のとおりです。
(1)鹿児島産業保健総合支援センター
         相談窓口開設日時・・・平日 8:30~17:15

(2)国立病院機構 鹿児島医療センター がん相談支援センター内
         相談窓口開設日時・・毎月第1・3火曜日 10時~13時
               4月の相談日 → 2日(火)・16日(火)
               5月の相談日 → 7日(火)・21日(火)
               6月の相談日 → 4日(火)・18日(火)

(3)鹿児島大学病院 地域医療連携センター内
         相談窓口開設日時・・毎月第3木曜日 10時~12時(事前予約が必要です)
               4月の相談日 → 18日(木)
               5月の相談日 → 16日(木)
               6月の相談日 → 20日(木)

鹿児島産業保健総合支援センターの産業保健専門職(保健師)および両立支援促進員がそれぞれの医療機関のソーシャルワーカーなどと連携してご相談に応じます。相談は無料です。両立支援に関するお悩み等にについてご相談下さい。

詳細
▼両立支援出張相談窓口
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/madoguchiitiran.pdf
▼鹿児島医療センター内(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-iryousennta.pdf
▼鹿児島大学病院地域医療連携センター内(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-kadaibyoin.pdf
▼鹿児島産業保健総合支援センター 相談窓口(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-sanpo.pdf

 

◆ ◆ ◆ 労働者健康安全機構情報 ◆ ◆ ◆

平成31年度上半期(4月~9月)両立支援コーディネーター基礎研修日程

https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1358/Default.aspx

両立支援コーディネーター基礎研修都道府県別受講者数

https://www.research.johas.go.jp/ryoritsucoo/jyukosha.html

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

【詳細】
▼運動器外傷機能再建
http://www.research.johas.go.jp/undouki2018/
▼早期復職
http://www.research.johas.go.jp/souki2018/
▼労災疾病等医学研究普及サイト
http://www.research.johas.go.jp/index.html

 

◆ ◆ ◆ 厚生労働省情報 ◆ ◆ ◆

第20回医師の働き方改革に関する検討会 資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03930.html

「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」バージョンアッププログラムの公開(再掲)

https://stresscheck.mhlw.go.jp/

改正労働安全衛生法のリーフレットが公表されました

https://www.mhlw.go.jp/content/000484079.pdf

平成31年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施します

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03739.html

オルトートルイジンによる膀胱がんを業務上疾病として明確化されます

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03867.html

 

◆ ◆ ◆ 鹿児島労働局情報 ◆ ◆ ◆

平成30年・平成31年の労働災害発生状況(速報)

詳細
○平成30年(確定数は4月以降となります)
□死亡者数は13人で、前年に比べ8人(38.1%)減。
□休業4日以上の死傷者数は1,902人で、前年に比べ40人(2.1%)減。

○平成31年(2月末速報)
□死亡者数は2人で、前年に比べ1人(100.0%)増。
□休業4日以上の死傷者数は189人で、前年に比べ12人(6.8%)増。

【詳細】
▼平成30年の労働災害発生状況
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/H30saigai_2019-0312-1.pdf
▼平成31年の労働災害発生状況
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/H31saigai_2019-0312-1.pdf
▼労働災害統計・事例
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/jirei_toukei/toukei/saigaitoukei_jirei.html

編集後記

   新採用や新任の者を迎えて、陣容が一新する月です。どこの職場でも毎年この時期は、その部署の新人もいて新年度の事業準備に慌ただしい雰囲気が漂うもののようです。特に今年は30年振りの改元の年です。元号は漢の武帝が始めたものとか。元祖は中国ですが、今では世界で日本だけのものとなっています。日本書紀によれば7世紀の「大化」が最初の元号とか(私は書紀の記述を余り信用しないことにしていますが……)。いずれにしても千数百年続いている元号です。日本だけのものですが、元号が改まることは国民の意識や生活に少なからず影響を与えると考えられ、一つの節目になると思います。
   閑話休題。本年度から「働き方改革」が本格化します。労働関係法令も多岐に亘り変わります。本センターもそれに併せてということではないですが、若干陣容が変化します。如何なる苦労も厭わず業務を的確に遂行してくれた中村健吾副所長が労働局に異動し、代わりに勝田清人労災認定指導官が新副所長に就任します。また、両立支援担当労働衛生専門職の末吉朋保健師が諸般の事情や都合により退職します。正職員と嘱託を合わせて僅か6名の陣容ですが、6月には保健師1名を加えて(予定)の今後の活動です。
   既に、大規模事業場では長時間労働規制や産業医活動強化など取り組んでいるところが少なくないのですが、中小零細事業では対策におわれているところが多いようです。小規模事業への法令適用は2年間の猶予がありますが、97%以上が50人未満事業場である本県では「様子見」のような事業場もあるようです。
   幾度となく述べさせて貰っていますが、職業性ストレスの最たるものは労働時間そのものの長さではなく価値生産のない労働です。労働人口減少は留まるところを知らないかのごとく進行しています。労働人口の減少は社会全体の生産力減少となりますから、その対策は労働者一人当たりの生産力を高めることですが、そのためには機械化・合理化の強化推進が望まれますが、同時に労働時間延長を否定するなら単位労働時間当たりの生産性を挙げることになります。時間当たりの労働生産性向上には業務の効率化もさることながら、何よりも生産性のない作業を極力ゼロに近づけることに尽きます。
   日本航空を立て直した稲盛和夫さんの哲学は事業運営上のみでなく大いに参考になるし参考にすべきと思います。その業績をみると西郷隆盛の「上に立つものは下の者が『気の毒だ』と思うほど努力すべき」という言葉を思い出します。リーダー層の質の低下が指摘されて久しいですがこれは日本だけでなく世界的にも多くの国で似た状況のようです。しかし日本だけではないというのは何の免罪符にもなりません。望ましいリーダーは一定の枠内で自由に各自が能力を発揮して働けるように組織を運用する者です。リード力を補うために管理は一切しないことです。私自身もそのことを肝に銘じ各種の指示命令等に「私心なかしか」と自問するように心がけています。尤も残念ながら未だに稲盛さんのようには出来ないでいることに常に忸怩たるものを感じています。
   何はともあれ、新年度の始まりです。「働き方改革」を良い未来を築く一助となるように運用して行きたいものです。