お知らせ

メールレター第194号

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            ≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第194号    2019/5/7

               発行:鹿児島産業保健総合支援センター 
                            所長 草野 健
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相談員からのメッセージ confident

食べる楽しみいつまでも!!

産業保健相談員 川越 佳昭  
(鹿児島県歯科医師会 理事
担当分野:産業医学

 2017年日本歯科総合研究機構がNDB(ナショナルデータベース)のレセプトデータ約156万件を解析したところ、50、60、70歳代のどの年代においても、残っている歯の本数が1本ずつ増加するごとにほぼ直線的に1か月あたり医科の医療費が減少していました。つまり歯を1本でも多く残すことで、医科の医療費が少なく、健康であることがわかりました。
歯を失うとよく噛めなくなる。すると早食いになったり、柔らかい食品や糖質の高い麺類を好むようになり、ますます咀嚼や嚥下力が落ち、肉や魚などのタンパク質の摂取量が減少してしまいます。これが糖尿病をさらに悪化させたり、高齢者の低栄養、運動機能の低下、ひいては閉じこもり、骨折などの負のスパイラルへの突入となってしまいます。
近年要介護状態の前状態としてフレイル(虚弱)という言葉が一般的になってきましたが、このフレイルが始まる初期のサインとして口の衰え(オーラルフレイル)が現れることが知られてきました。そしてフレイルは、要介護状態になる原因ではあるが、まだ要介護にはなっておらず、早期に発見し適切な介入を行うことにより、健常者へ戻ることが可能とされています。
歯科医院での定期管理を行い歯の喪失予防を行う。また、たとえ歯を失って義歯を装着すことになっても、しっかり噛んで食事ができる口腔機能を維持することが、少子高齢社会を迎えた日本において人生100年時代を生き残る第1歩になると考えられます。

おすすめ教材(無料貸出し等) book 

当センターでは、産業保健に関する図書、ビデオ・DVDを無料にて閲覧・貸出ができます。ぜひご利用ください。

  おすすめ図書 book

ライン課長・職長のための 化学物質管理
(貸出番号:5-79)

【概要】
1:化学物質管理の基礎知識1
2:化学物質管理の基礎知識2
3:具体的な化学物質管理の知識1
4:具体的な化学物質管理の知識2
5:災害事例に学ぶリスクアセスメント

  おすすめDVDmovie

裁判から学ぶパワーハラスメント判例集
職場のパワハラをエスカレートさせないために

(貸出番号:7-88)

【概要】
パワーハラスメントは、相手の人格や尊厳を侵害する言動です。加害行為がエスカレートするのを放っておくと、うつ病の発症や最悪の場合、自殺という結果を招くこともあります。
職場で起きたパワハラが訴訟にまで発展してしまった事件を紹介して、従業員が行き過ぎた指導や心無い言動をエスカレートすることを防ぎます。

※今月のおすすめ詳細
https://kagoshimas.johas.go.jp/library/library_category/recommend

研修セミナーのご案内 pencil

すべてのセミナーにどなたでもご参加いただけます。
(定員は各セミナー30名、会場は光健ボイスビルです)

5月 ※特に記載のないものは会場 光健ボイスビルです。
11()
14:00-16:00

ABC 意外と身近な酸欠
flag 鹿児島市医師会館(鹿児島市加治屋町3-10)
冨宿 明子*
労働衛生コンサルタント
21(火)
14:00-16:00

ABC 職場の結核対策 徳留 修身*
元・保健所長(鹿児島県及び鹿児島市)
22(水)
14:00-16:00

ABC 「働く人」と不眠症 長友 医継*
医療法人玉水会病院 心療内科部長
27(月)
18:00-20:00

ABC 化学発がん「アスベストと有機溶剤」:労災と公害の視点 堀内 正久*
鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科衛生学・健康増進医学 教授
6月 ※特に記載のないものは会場 光健ボイスビルです。
5(水)
14:00-16:00

ABC 職場での熱中症予防対策 冨宿 明子*
労働衛生コンサルタント
7(金)
14:00-16:00

ABC <人事管理者のストレス>メンタルヘルス・カウンセリングⅡ ~感情労働・感情管理をめぐって~ 久留 一郎*
鹿児島大学名誉教授
13(木)
14:00-16:00

ABC 労災判定の実際~メンタルヘルス編~ 赤崎 安昭*
鹿児島大学医学部保健学科 教授
15()
14:00-16:00

ABC 物理的因子(騒音・振動・放射線等)のリスク管理
 flag鹿児島市医師会館(鹿児島市加治屋町3-10)
東 正樹*
(株)鹿児島環境測定分析センター 代表取締役
21(金)
14:00-16:00

ABC 生活習慣改善のための声掛けアプローチ法 德永 龍子*
鹿児島純心女子大学 名誉教授
25(火)
18:00-20:00

ABC 口腔がんについて 大久保 章朗
大久保歯科口腔外科医院

flair 定 員 :30名
  講師*印:当センター産業保健相談員

※各研修会には定員があります。申し込みがないまま当日来られた場合、会場や資料の関係で受講できない場合がありますので必ず申し込みをしてください。
※受講できなくなった場合は必ずご連絡ください。

お知らせ

★ ★ 鹿児島産業保健総合支援センター ★ ★

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

当センターでは、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

メンタルヘルス対策支援のご案内

従業員の心の健康対策への取組方法がわからないという事業場の皆さまへ私たちは、メンタルヘルス対策に取り組もうとする事業場を支援します。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental

地域産業保健センターのご案内

労働者数50人未満の小規模事業場では、労働者に対する産業保健サービスを充実させることを目的に、地域産業保健センターが設けられています。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat640

「治療と職業生活の両立支援対策」(事業者用・患者(労働者)用)のリーフレットのご案内

鹿児島県地域両立支援推進チーム(事務局:鹿児島労働局健康安全課)では、事業者向けと患者(労働者)向けの「事業場における治療と職業生活の両立支援対策」のためのリーフレットを作成しました。
詳細
▼事業者向けリーフレット
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/chiryou_jigyousya.pdf
▼患者(労働者)向けリーフレット
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/chiryou_roudousya.pdf

≪参考:鹿児島産業保健総合支援センターが行う両立支援に関する各種支援≫
▼鹿児島産業保健総合支援センターが行う治療と職業生活の両立支援事業内容
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765
▼治療と職業生活の両立支援申込書(FAX用)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryoritsushien.pdf
▼治療と職業生活の両立支援申込書(ホームページからの申込用)
https://kagoshimas.johas.go.jp/entry_sheet/johas-coexistence_01

地域産業保健センターでは登録保健師を募集しています

鹿児島産業保健総合支援センターの地域窓口である
○ 姶良・伊佐地域産業保健センター
(霧島市隼人町内山田1-6-62 姶良地区医師会内)
○ 南薩地域産業保健センター
(南さつま市加世田村原1-3-13 南薩医師会内)
○ 曽於地域産業保健センター
(曽於市大隅町月野894 曽於医師会立病院内)

の3つの地域産業保健センターでは、それぞれのセンターに登録していただき、
保健師として活動していただける保健師を募集しています。

お問い合わせは、鹿児島産業保健総合支援センター(TEL:099-252-8002 仮山)まで。
https://kagoshimas.johas.go.jp/s3_image/information/kyujin-hokenshi.pdf

5月~7月の両立支援(出張)相談窓口

当センターでは、センター内の相談窓口のほかに、鹿児島医療センターと鹿児島大学病院に、治療と職業生活のための両立支援出張相談窓口を開設しています。設置状況は次のとおりです。
(1)鹿児島産業保健総合支援センター
         相談窓口開設日時・・・平日 8:30~17:15

(2)国立病院機構 鹿児島医療センター がん相談支援センター内
         相談窓口開設日時・・毎月第1・3火曜日 10時~13時
               5月の相談日 → 7日(火)・21日(火)
               6月の相談日 → 4日(火)・18日(火)
               7月の相談日 → 2日(火)・16日(火)

(3)鹿児島大学病院 地域医療連携センター内
         相談窓口開設日時・・毎月第3木曜日 10時~12時(事前予約が必要です)
               5月の相談日 → 16日(木)
               6月の相談日 → 20日(木)
               7月の相談日 → 18日(木)

鹿児島産業保健総合支援センターの両立支援促進員がそれぞれの医療機関のソーシャルワーカーなどと連携してご相談に応じます。相談は無料です。両立支援に関するお悩み等にについてご相談下さい。

詳細
▼両立支援出張相談窓口
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/madoguchiitiran.pdf
▼鹿児島医療センター内(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-iryousennta.pdf
▼鹿児島大学病院地域医療連携センター内(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-kadaibyoin.pdf
▼鹿児島産業保健総合支援センター 相談窓口(リーフレット)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/ryouritusien-sanpo.pdf

 

◆ ◆ ◆ 労働者健康安全機構情報 ◆ ◆ ◆

産業保健総合支援センターが行う各種事業の取り組みについて「のんさん」が紹介する動画を作成しました!

https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/johoteikyo/tabid/1367/Default.aspx

平成31年度上半期(7月~9月)両立支援コーディネーター基礎研修日程

https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1358/Default.aspx
※6月までの受付は終了しています。

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

○労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html

○睡眠時無呼吸症候群について
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中の無呼吸や低呼吸により睡眠が分断され睡眠障害をきたし、日中の眠気や疲労感などの症状を伴う症候群です。

就労中の眠気は、作業の中断、効率の低下、車両事故等を起こしやすくなることが分かっています。また放置していると高血圧、脳血管障害、虚血性心疾患、糖尿病などを引き起こします。

これらの罹患率は不明とされており、適切な治療方法により産業災害防止や循環器疾患、生活習慣病予防に有効と考えられました。

従いまして、本研究では最新の疫学調査による罹患者数の把握、診断率の精度を上げる方法、適切な治療について検証を行い、総合的な研究に取り組みました。
研究の詳細は、こちらをご覧ください。
https://www.research.johas.go.jp/sas/thema01.html

○治療と仕事の両立支援について
平成29年3月に政府が決定した「働き方改革実行計画」において、「病気の治療と仕事の両立を社会的にサポートする仕組みを整え、病を患った方々が、生きがいを感じながら働ける社会を目指す」と記載されました。

労働者健康安全機構では、「勤労者医療」を推進する組織として、勤労者の職業生活とその過程で患う様々な病とを、いかに両立させていくかという課題について、以前から労災疾病等医学研究の一環として研究を重ねてきました。
研究成果については、こちらをご覧ください。
https://www.research.johas.go.jp/22_ryoritsu/index.html

研究結果として、医療機関と職場との間で医療情報や職場情報を提供し、仲介・調整の役割をする「コーディネーター」という存在。その重要性と必要性を見いだしました。この研究の知見を活かし、平成26年10月から事業化し、各労災病院でコーディネーターを中心とした両立支援の実践を開始しました。

「両立支援コーディネーター」については、こちらをご覧ください。
https://www.research.johas.go.jp/22_ryoritsu/coordinator.html

 

◆ ◆ ◆ 厚生労働省情報 ◆ ◆ ◆

「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」及び「企業・医療機関連携マニュアル」の改訂について

詳細
▼ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000490701.pdf
ガイドラインの名称が、「職業生活」から「仕事」に変更されています。

▼企業・医療機関連携マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000490886.pdf

「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」が改正されました!

https://www.mhlw.go.jp/content/000498824.pdf

平成31年度「全国安全週間」を7月に実施します

厚生労働省では7月1日から1週間、「全国安全週間」を実施します。また、平成31年度のスローガンは、
「新たな時代に PDCA みんなで築こう ゼロ災職場」に決定されました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04061.html

「医師の働き方改革に関する検討会」が「報告書」を取りまとめました

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04271.html

伐木作業等の安全対策の規制が変わります!~ 伐木作業等を行うすべての業種が対象 ~

厚生労働省は、伐木作業等における労働災害を防止するために、労働安全衛生規則の一部を改正し、伐木作業等における安全対策を強化しました。

林業、土木工事業や造園工事業など、業種にかかわらず、伐木作業等を行うすべての業種が対象となります。

https://www.mhlw.go.jp/content/000490976.pdf

 

◆ ◆ ◆ 鹿児島労働局情報 ◆ ◆ ◆

平成30年・平成31年の労働災害発生状況(速報)

○平成30年(確定)
□ 死亡者数は13人で、前年に比べ8人(38.1%)減。
□ 休業4日以上の死傷者数は1,936人で、前年に比べ25人(1.3%)減。
□ 業種別では、製造業370人(対前年7人減)、建設業294人(対前年18人減)、運輸交通業222人(対前年33人増)、商業268人(対前年17人増)、保健衛生業282人(対前年1人増)、接客娯楽業105人(対前年10人減)。
□ 事故の型別では、転倒456人(23.6%)、墜落・転落404人(20.9%)、動作の反動・無理な動作229人(11.8%)、はさまれ・巻き込まれ216人(11.2%)、切れ・こすれ125人(6.5%)。

○平成31年(3月末速報)
□ 死亡者数は2人で、前年に比べ1人(33.3%)減。
□ 休業4日以上の死傷者数は311人で、前年に比べ6人(2.0%)増。

編集後記

平成時代が幕を閉じました。令和時代が始まりましたが、世に倣って30年余の平成時代を振り返ってみたいと思います。

「平らかに成る」との希望・願望が強く込められた平成という元号でした。7世紀の大化以来平成まで247の元号がありますが、いずれもその時代の「あってほしい」という願いが込められて来ましたが、多くはそれらの願いとは相反する時代だったようです。

さて、平成はその名に相応しい時代だったでしょうか。ただの1度も戦争をせず、国家の名において外地で他国の人を殺傷することが皆無であったことは、一部の覇権主義的な集団・人を除き世界的に高く評価されています。その意味では平和憲法の精神が達成されていたとも言えそうです。然しながら、この30年間は天災・人災が相次いだ時代でもありました。また、昭和の時代に青年期を過ごした者としては、平成が進むにつれて不自由さを感じるようになったのも事実です。便利さの進展とともに一方では目には見えないながらも各種の“壁”を感じ「面倒臭さ」と「窮屈さ」を覚えることが多くなりました。産業保健分野に限り回顧すると、平成2年に日本医師会認定産業医が発足しています。平成5年には都道府県産業保健推進センター設置が開始され、同時に地域産業保健センターの設置も始まりました。本県も8年には産業保健推進センターが設置され当初は当時の鮫島県医師会長が所長を兼任されましたが、11年には松下敏夫名誉教授が所長に就任しています。12年には県労働局が設置され、翌13年には厚生省と労働省が合併し厚労省が発足しています。この間に産業保健対策として安衛法は何度も改正を繰り返し、過労死対策やメンタル対策等、矢継ぎ早といえるほどの政策が打ち出されてきました。それに対応して産業医の要件も厳格化され、産保センターの機能も問題視され、一時は47都道府県には不要として全国15センターまで縮小されたりしています。

1980年代初頭までに日本の時間当たり労働生産性は世界トップでしたが、平成の30年間で欧米諸国の後塵を拝するようになり今やOECD加盟国36カ国中20位(主要先進7カ国中最下位)に甘んじています。それでも労働者一人当たりの生産性が低くないということは、如何に生産に結びつかない作業時間が多いのか、という問題を提起していると思います。

国内と言わず世界レベルでの経済格差が拡大したのが平成という時代だったように感じます。地球という限られた資源の中で資本の増大をのみ目的とする自由主義的資本主義経済としては当然の帰結と思いますが、そのことを思い知ることのできた平成時代だったのでしょうか。残念なのは、それでも資本と富の増大を絶対的価値として追求する層が縮小どころか増大するように見えることです。各種各層の問題が顕在化した平成時代に続く令和の時代は、それらの問題に根底から取り組むべきであるし、単なる願望に終わらせることなく令月風和を満喫できるような時代にしたいものです。