メールレター 第226号
■■■sanpo■■■■■■■■■■■■■■■■■■
≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第226号
2022/1/4
発行:鹿児島産業保健総合支援センター
所長 草野 健
■■■■■■■■■■■■■■■■kagoshima■■■
****************************************************
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
****************************************************
相談員からのメッセージ
歯科から骨粗鬆症患者を発見する
産業保健相談員 門松秀司
(担当分野:産業医学)
現在、大腿骨骨折をもつ患者は20万人おり、5年生存率は50%といわれています。
その原因の多くは骨粗鬆症患者であり、特に閉経後骨粗鬆症患者は、骨折するまで自覚症状がないため、医科を受診する機会が少ないようです。
しかしながら、社会の更なる高齢化に伴い、骨粗鬆症に起因した骨折による患者の生活の質は低下、寝たきり患者の増加、死亡率の上昇にて、医療費の増大が予想されるため、早急な対応が迫られています。
潜在的な骨粗鬆症患者(低骨密度患者)を早期に発見し、医科の専門医への受診を促すため、アンケートによるスクリーニング法や特定健診における簡易的な検査が現在では主流になっており、その検査精度、対象者の反応が極めて低いといわれております。
潜在的患者は,骨粗鬆症の早期発見のために積極的に病院を受診する機会は少ないが、歯科治療、特に歯周病等のメンテナンスのために歯科を受診する機会は多いと考えられます。
多くの歯科医院では治療に際し、顎全体が総覧できるパノラマX線写真により、歯やその周囲の歯槽骨を診断しています。
現在、松本歯科大学歯科放射線学講座 田口明教授は広島大学在任中、産科婦人科との共同研究により,歯科パノラマX線写真で観察される下顎の皮質骨の粗鬆化が、閉経後骨粗鬆症患者のスクリーニングに極めて有用であることを明らかにしました。
この報告は、2004年米国レントゲン学会雑誌12月号に掲載され、パノラマX線写真によるスクリーニング能力が医科でのアンケートによるスクリーニング能力と同等であることが示されました。
このことが骨粗鬆症のスクリーニングに活用されれば、早期発見・早期治療に役立ち、医療費削減に有用と思われます。現在、広島県特に呉市において歯科治療のために撮影されたパノラマX線写真により多くの閉経後骨粗鬆症患者をスクリーニングし、歯科から医科へ潜在的な骨粗鬆症患者(低骨密度患者)を紹介する体制が整っており、鹿児島県においても現在、骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ) 医科歯科連携シートを作成し、今後とも活用していく予定です。
研修セミナーのご案内
下記、セミナーはどなたでも参加できます。
参加される皆様は、新型コロナウイルスの感染予防対策(以下URL)にご協力ください。
⇒ https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/05/kensyu-kai.pdf
≪ 1月 ≫【定員】14名【会場】光健ボイスビル2F ※1/29を除く
:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:
☆1月14日(金)14:00~16:00 ※満席
「夜勤者の肥満・生活習慣病予防」德永先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位
☆1月18日(火)18:00~20:00 ※満席
「オーラルフレイルと口腔機能低下症について」貞村先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
☆1月21日(金)14:00~16:00 ※満席
「ストレスチェックと高ストレス面接の実際」小田原先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位
☆1月24日(月)18:00~20:00
「職域において「体質」をどう考え、利用するか」堀内先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
☆1月26日(水)14:00~16:00 ※満席
「健康経営とプレゼンティズム」長友先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
☆1月29日(土)14:00~16:00 ※定員30名
「粉じんの有所見者数の現状と防止対策」黒沢先生
※会場:鹿児島県医師会3F中ホール(鹿児島市中央町8-1)
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
≪ 2月 ≫【定員】14名【会場】光健ボイスビル2F
:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:
☆2月3日(木)14:00~16:00 ※満席
「大人の「発達障害」の特徴と対応」赤崎先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
☆2月15日(火)14:00~16:00
「喫煙対策の推進」徳留先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
☆2月17日(木)14:00~16:00
「酸素欠乏・硫化水素中毒の発生原因、事例、対策」黒沢先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位
☆2月21日(月)14:00~16:00
「夜に働く労働者の健康管理」冨宿先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
☆2月25日(金)14:00~16:00 ※満席
「カサンドラ症候群とメンタルヘルス・カウンセリング-Ⅴ
~空気の読めない人間(自閉スペクトラム症)との関係をめぐって~」久留先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
———————————————————-
◇…産業医対象
●…産業保健スタッフ対象
☆…産業保健スタッフ・産業医対象
———————————————————-
▼詳細・申込
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
――――――――――――――――――――――――――――――――――
第84回労働衛生研究会 ~働く人の健康を考える~ の開催について
――――――――――――――――――――――――――――――――――
鹿児島労働衛生研究会は、「労働衛生コンサルタントとこれを目指す人々との研修・交流会」として、四半期に1回、テーマを決めて研修会を開催するとともに、働く人の健康に関する情報交換も行っています。
本年度4回目の労働衛生研究会を下記のとおり開催します。参加費は無料です。
・日 時 令和4年1月28日(金) 19:15~20:45
・場 所 鹿児島市勤労者交流センター(よかセンター)多目的ホール
(鹿児島市中央町10番地 キャンセビル8階 099-285-0003)
・テーマ 働く女性と月経
・講 師 崎濱 ミカ 氏(鹿児島大学病院 周産母子センター 助教)
お知らせ
<鹿児島産業保健総合支援センター>
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。
治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase
治療と仕事の両立支援について
治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、鹿児島産業保健総合支援センターの両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
また、両立支援促進員が、事業場を訪問して事業場内の支援体制、勤務・休暇制度、各種規程等の整備、両立支援に関する教育など両立支援制度の導入に向けた支援を行うほか、患者(労働者)からの申出を受け、就労継続や職場復帰に関する事業場との調整支援を行います。
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。
○治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765
なお、医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、新型コロナウイルスの感染状況により、医療機関の相談窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。
メンタルヘルス対策支援について
当センターのメンタルヘルス対策促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し「心の健康づくり計画」の策定、相談体制の整備、職場環境の把握と改善、管理監督者向けや若年労働者(含む全社員)向けのメンタルヘルス教育・研修、メンタルヘルス不調者の職場復帰支援など、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。
また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental
地域産業保健センター(地域窓口)について
労働者数50人未満の小規模事業場に対する健康相談、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638
<労働者健康安全機構情報>
労働安全衛生総合研究所(JNIOSH)からのお知らせ
~安衛法関係政省令改正により、国内の化学物質管理が抜本的に見直しとなります~
(検討会報告書のポイント)
- 危険性、有害性が確認された全ての物質に対して、国が定める管理基準の達成を求め、達成のための手段は指定しない方式に大きく転換していきます。
- 企業規模や業種に関わらず、少しでも危険有害性がある化学物質を扱う場合はその全ての事業場で「化学物質管理者」の選任が新たに義務となる見込みです。
- 将来的に特化則や有機則の対象物質を自律管理制度に移行することも提言されており、従来の特殊健康診断や、新規に自律管理対象となる物質の健康診断については、これから議論が進められていく見込みです。
- 直近では、まずはラベル・SDSの交付対象物質が236物質ほど増える見込みです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099635_00002.html
※今後、数年かけて現在の674物質から約2900物質に規制は拡大予定。
▼検討会報告書の概要については、以下のサイトよりご確認が可能です。
https://www.jniosh.johas.go.jp/groups/ghs/arikataken_report.html
▼検討会報告書に基づく、労働安全衛生法関係政省令の改正提案について、以下動画サイトにて、概要動画の視聴が可能となっております。
https://youtu.be/BTYUo5hw2JA
【本件に関する問い合わせ先】
労働安全衛生総合研究所 化学物質情報管理研究センター
cimr-toiawase@h.jniosh.johas.go.jp
事業場における保健師・看護師の活動実態に関する調査報告書について(再掲)
https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/pdf/hokenshitou_katsudojittai_chosahokokusho.pdf
労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。
○労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
○メタボロームについて
https://www.research.johas.go.jp/metabolome/
○メンタルへルスについて
https://www.research.johas.go.jp/mental2018/index.html
○勤労者医療フォーラムについて
https://www.research.johas.go.jp/kinrouforum/forumB.html
第6回勤労者医療フォーラムについて(令和4年2月13日開催)
https://www.chubuh.johas.go.jp/information/detail/info_detail__921.html
<厚生労働省情報>
職場における労働衛生基準が変わりました
~照度、便所、救急用具等に係る改正を行いました~
令和3年12月1日に「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令」が公布され、職場における一般的な労働衛生基準が見直されました。
https://www.mhlw.go.jp/content/000857961.pdf
健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます
治療と仕事の両立の観点から、より柔軟な所得保障ができるよう健康保険法等が改正され、令和4年1月1日から、同一のケガや病気に関する傷病手当金の支給期間が、支給開始日から通算して1年6か月に達する日まで対象となります。
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000857062.pdf
令和3年度「治療と仕事の両立支援オンライン地域セミナー」
令和4年1月14日を皮切りに、全国6エリアにおける事業者や医療機関による事例発表・ディスカッションがライブ配信されます。
https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/symposium/2021/#sec04
働く人のメンタルへルス・ポータルサイト「こころの耳」
相談窓口の案内、セルフチェック、職場のメンタルへルス対策取組事例など、働く人のメンタルへルスに関するコンテンツを紹介しています。
https://kokoro.mhlw.go.jp/
保健衛生業及び陸上貨物運送事業向け腰痛予防サイト(再掲)
職場における化学物質管理に関するオンライン講習会(再掲)
▼講習会概要
https://www.technohill.co.jp/technohill/r3_kousyuukai_info/
▼化学物質管理に関する相談等のご案内【テクノヒル株式会社】
https://www.technohill.co.jp
<鹿児島労働局情報>
令和3年の労働災害発生状況
○令和3年(11月末速報)
□ 死亡者数は20人で、前年同期比で6人(42.9%)増。
□ 休業4日以上の死傷者数は1886人で、前年同期比で165人(9.6%)増。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r3saigai_2021-1210-2.pdf
鹿児島県の最低賃金について
▼鹿児島県特定(産業別)最低賃金が令和3年12月16日及び17日に改定されました。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2021-1217-6.pdf
▼鹿児島県最低賃金リーフレット
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2021-0921-1_2021leaflet.pdf
<新型コロナウイルス関連情報>
新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000788485.pdf
新型コロナワクチンについて(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html
新型コロナウイルスに関連するQ&A(厚生労働省)
▼企業の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
▼労働者の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html
職場における新型コロナウイルス感染症対策のための業種・業態別マニュアル(日本産業衛生学会)
https://www.sanei.or.jp/?mode=view&cid=444
職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(日本渡航医学会)
https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html
編集後記
明けましておめでとう御座います。諸外国に比べると低い感染率で推移していた日本ですが、昨年末来オミクロンという新変異株が出現し拡がる気配を示しています。正月といっても昭和の頃のような風情は消えて久しいなかでも、昨年・今年とパンデミックによって正月風景は一変してしまったようです。皆様にはどんな新年を迎えられたでしょうか。
新型コロナパンデミックは未だに終息の気配が見えません。そんな中でも経済成長率は低いとはいえマイナスではなくプラスだとか。増加する貧困層の労働環境が大いに気になります。特に中小零細事業場では非正規雇用者の雇い止めも増え、生活のために複数のパート労働をこなす人たちの労働時間管理がどうなっているのか。仄聞する限りでは、困窮層は特に女性に多く死語となっていたと思っていた「欠食児童」も増えているとか。
パンデミックも三年目に入ります。100年前とは比較にならないほど医学医療は進歩しているにも関わらず、また発生早々に原因がSARS-COV-2というウィルスであると判明したにも関わらず終息の兆しする見えないことに医学の末席に連なる者として「歯痒い」思いを禁じ得ません。また、産業医の一人としても産業保健活動の停滞に有効な対策を打てないことにも忸怩たる思いでいます。
パンデミック三年目の今年こそ、労働生産性向上に資する産業保健活動に尽力し、働き方改革が実効性を持ち、「ハタラク」ことが「喜び」であり「健康増進に寄与する」ものとなるよう強く願っています。