お知らせ

メールレター 第230号

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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第230号
               2022/5/2

   発行:鹿児島産業保健総合支援センター
              所長 草野 健
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相談員からのメッセージ

化学物質の有所見について

産業保健相談員 小田原 努
(担当分野:産業医学)

今年3月に「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」の答申がなされ、有機溶剤や特定化学物質等の化学物質管理の取り扱いが替わることがアナウンスされました。今後、化学物質の管理は事業所の自律管理となり、自らがおこなったリスク管理に基づき、ばく露防止措置を選択し、健康診断項目も健診を行う医師や産業医の判断によって決まることになります。特に健康診断に関しては、来年度より直近3回の作業環境測定結果が管理区分1と問題なく、直近3回の健康診断においてその物質による所見がなく、検査項目も異常なければ、健康診断の頻度が年2回から1回に緩和されることになります。

ここで、注意したいのはこの有所見の考え方です。特殊健康診断における有所見とは、その物質のばく露によって疑われる自覚症状や他覚症状の事であり、例えば有機溶剤業務に従事していて、腰痛だけがある場合は有所見とはなりません。健康診断では、その物質で起こりえる検査異常や、症状があった場合、問診によりばく露状況や、化学物質の取り扱い頻度、局所排気装置の使用状況や、保護具の着用状況も判断材料にして、二次検査を行うことになります。よくある間違いは、脂肪肝なのに、有機溶剤健診での肝障害を有所見としてしまうこと等です。二次健診で、有所見の判断を行う際には、事業所の担当者から作業環境測定結果を聞いたり、作業管理の状況も確認する必要も今後ありそうです。

研修セミナーのご案内

下記、セミナーはどなたでも参加できます。
参加される皆様は、新型コロナウイルスの感染予防対策(以下URL)にご協力ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/05/kensyu-kai.pdf

≪ 5月 ≫【定員】14名【会場】光健ボイスビル2F ※5/14を除く
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☆5月13日(金)14:00~16:00 ※満席
「健康診断とその事後措置」小田原先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位

☆5月14日(土)14:00~16:00 ※満席
「病気を抱えながら働く労働者のためにできること」冨宿先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
※会場:第12川北ビルBOIS鹿児島8F(鹿児島市上之園町24-2)

☆5月17日(火)14:00~16:00
「職場・施設の結核対策」徳留先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆5月19日(木)14:00~16:00 ※満席
「産業医・衛生管理者による職場巡視」黒沢先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位

☆5月27日(金)14:00~16:00 ※満席
「発達障害(ASD)のメンタルヘルス・カウンセリングーⅠ
~空気の読めない人間(自閉スペクトラム症)との関係をめぐって~」久留先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆5月30日(月)14:00~16:00
「職場での熱中症予防対策」冨宿先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

≪ 6月 ≫【定員】14名【会場】光健ボイスビル2F ※6/11を除く
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☆6月2日(木)14:00~16:00 ※満席
「心の癖を知る-メンタルヘルス問題解消をめざして-」赤崎先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位

☆6月8日(水)14:00~16:00
「「働く人」と解離性障害」長友先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆6月11日(土)14:00~16:00 ※定員25名
「測定結果を用いた作業環境の改善提案のポイントと改善事例」東先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位
 ※会場:第12川北ビルBOIS鹿児島8F(鹿児島市上之園町24-2)

☆6月21日(火)18:00~20:00
「産業歯科医の役割~歯科医師による特殊健康診断~」門松先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆6月27日(月)18:00~20:00
「職域における身体活動:具体的な工夫を考える」堀内先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆6月29日(水)14:00~16:00 ※満席
「どこからがパワハラ?」冨宿先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

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◇…産業医対象
●…産業保健スタッフ対象
☆…産業保健スタッフ・産業医対象
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▼詳細・申込
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

治療と仕事の両立支援について

治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、鹿児島産業保健総合支援センターの両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)

また、両立支援促進員が、事業場を訪問して事業場内の支援体制、勤務・休暇制度、各種規程等の整備、両立支援に関する教育など両立支援制度の導入に向けた支援を行うほか、患者(労働者)からの申出を受け、就労継続や職場復帰に関する事業場との調整支援を行います。

両立支援に関する相談、各種支援は無料です。
○治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765

なお、医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、新型コロナウイルスの感染状況により、医療機関の相談窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。

メンタルヘルス対策支援について

当センターのメンタルヘルス対策促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し「心の健康づくり計画」の策定、相談体制の整備、職場環境の把握と改善、管理監督者向けや若年労働者(含む全社員)向けのメンタルヘルス教育・研修、メンタルヘルス不調者の職場復帰支援など、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。

また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental

メンタルヘルス対策支援の申込については、当センターホームページの申込フォームまたは当センターホームページ掲載の「メンタルヘルス対策支援申込書」に所要事項を記入しFAX送信によりお申込ください。
(電話、郵送、メールでは受付しておりません。)

メンタルヘルス対策促進員の支援を受け「心の健康づくり計画助成金」を利用する場合、当該助成金の利用対象は予算の範囲内で、申込受付順(申込書の着順)とさせていただきます。また、令和4年度から助成金の申請受付期間等が変更となりますので、当センターと調整のうえ、支援を受けてください。

なお、申請期間中でも助成金支給申請の受付を終了する場合がありますので、ご理解いただきますようお願いいたします。

地域産業保健センター(地域窓口)について

労働者数50人未満の小規模事業場に対する健康相談、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638

<労働者健康安全機構情報>

令和4年度産業保健関係助成金のお知らせ

労働者健康安全機構では、職場における健康管理等にご活用いただけるよう、以下の産業保健関係助成金を取り扱っています。

・ストレスチェック実施促進のための助成金
・心の健康づくり計画助成金
・職場環境改善計画助成金(事業場コース、建設現場コース)
・小規模事業場産業医活動助成金
(産業医コース、保健師コース、直接健康相談環境整備コース)
・治療と仕事の両立支援助成金(環境整備コース、制度活用コース)
・副業・兼業労働者の健康診断助成金
・事業場における労働者の健康保持増進計画助成金

令和4年度からは、各助成金の申請受付期間等が大きく変更されております。
詳しくは、助成金ごとの手引書等によりご確認ください。
https://www.johas.go.jp/tabid/2048/Default.aspx

令和3年度産業保健活動総合支援事業アウトカム調査報告書を掲載しました

https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/eap/download/R3sanpo_outcomehoukoku.pdf

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
▼予防医療モデル事業について
https://www.research.johas.go.jp/yobou/
▼「じん肺(中間報告)」について
https://www.research.johas.go.jp/22_jinpai/
https://www.research.johas.go.jp/jinpai2018/index.html

<厚生労働省情報>

令和4年度「全国安全週間」を7月に実施!

厚生労働省では7月1日から1週間、「全国安全週間」を実施します。また、令和4年度のスローガンは、「安全は 急がず焦らず怠らず」に決定されました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25200.html

治療と仕事の両立支援に関する診療報酬の改定について

平成30年度に新設された「療養・就労対象両立支援指導料」について、令和4年度診療報酬改定において、治療と仕事の両立を推進する観点から、対象となる疾患、企業側の連携先、情報通信機器を用いて行った場合の点数、相談支援体制について追加されました。
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2022/04/040408-1.pdf

令和4年度における建設業の安全衛生対策の推進について

https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000921853.pdf

令和4年度における林業の安全対策の推進について

https://kagoshimas.johas.go.jp/information/r4-ringyo

若年性認知症における治療と仕事の両立に関する手引きについて(再掲)

https://www.mizuho-ir.co.jp/case/research/pdf/r03mhlw_kaigo2021_01.pdf

「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて」について(再掲)

https://www.mhlw.go.jp/content/000917251.pdf

「パワーハラスメント防止措置」が中小企業の事業主にも義務化されます!(再掲)

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000855268.pdf

転倒予防・腰痛予防の取組について(再掲)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html

令和4年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施します(再掲)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24043.html

職場における労働衛生基準が変わりました

https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000905329.pdf

保健衛生業及び陸上貨物運送事業向け腰痛予防サイト(再掲)

https://yotsu-yobo.com/

<鹿児島労働局情報>

令和3年の労働災害発生状況

○令和3年(確定値)
□ 死亡者数は22人で、前年同期比で8人(57.1%)増加。
□ 休業4日以上の死傷者数は2256人で、前年同期比で156人(7.4%)増加。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r3saigai_2022-0426-9.pdf

○令和4年(3月末速報)
□ 死亡者数は2人で、前年同期比で3人(60.0%)減少。
□ 休業4日以上の死傷者数は546人で、前年同期比で179人(48.8%)増加。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r4saigai_2022-0426-9.pdf

<新型コロナウイルス関連情報>

感染拡大防止へのご協力をお願いいたします!(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku.html

新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/000927280.pdf

新型コロナワクチンについて(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html

新型コロナウイルスに関連するQ&A(厚生労働省)

▼企業の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
▼労働者の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html

職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(日本渡航医学会)

https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html

編集後記

ここ数年、労働安全衛生に関する法令の改訂が相次いでいる。産業構造の変化や就労形態の変容に伴い労働行政がそれらに対応していくのは当然とはいえる。しかも日本は法治国家であり憲法に基づいて策定される法令である限り、それらに従うのは国民の義務でもある。労働者の健康と安全を守り作業場の健全な在り様を目指しての各種の改訂ではあるが、それにしても次々と出されると現場は戸惑わざるをえない。

化学物質については最初から敬遠する産業医も一部いるようだが、化学式や個々の有害性を熟知することが求められているのではなく、GHS上有害性があるとされる全ての物質にSDSが発行されるのは当然であり、要はSDSに基づいてリスクアセスメントをしっかり行へば良いだけのこと。長時間労働管理も健康障害リスクを事前に把握するための活動を確実に行っていれば、微細な法令変更も特に問題はないと考える。

最近の頻繁な法令変更は、急速な産業構造変容とそれに伴う作業態様の変化に対応するためのものであるが、今後は益々AIやロボット・アンドロイドの活用が拡大されるであろうが、働く人に重要なことは個々の労働の意味を働く人自身が理解し感得することである。その為には付加価値ではなく使用価値の増大こそ目的とすべきだが・・・

長期化するパンデミックの中でコロナ対策にはダレと諦めさえ見える状況に加えウクライナの戦争で世界経済も大きなダメージを受けているが、人々の生活は1日の休みもなく続いていく。産業保健活動も一切立ち止まれないということである。