メールレター 第231号
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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第231号
2022/6/1
発行:鹿児島産業保健総合支援センター
所長 草野 健
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相談員からのメッセージ
鹿児島県内の労働災害死傷者数について
産業保健相談員 前田 雅人
(担当分野:産業医学)
4月の鹿児島労働局の発表によると、令和3年の鹿児島県内の労働災害による死傷者数(休業4日以上)は2256人であり、前年の2100人から156人増(7.4%増)であり、死者数は22人で前年の14人から8人も増えた(57.1%増)。死傷者数、死亡者数はともに過去10年で最多であり、死亡者数に至っては、「第13次労働災害防止計画」(平成30年度~令和4年度)にて目標としていた15人以内を超えてしまっている。また死傷者数についても平成29年度比5%以上(毎年1%ずつ)減少させることが目標であったが、平成30年度以降は増加傾向となっており、目標の達成が難しい状況である。この要因の一つに新型コロナ感染症があり、令和3年は新型コロナウイルス感染者による死傷者数が148人であった。労働災害の事故別にみると令和3年は、「転倒」が514人(22.8%)、「墜落・転落」が387人(17.2%)、「動作の反動・無理な動作」が348人(15.4%)であり、年齢別にみると60歳以上の被災者が702人(31.1%)と最も多く、次に50歳台503人(22.3%)、40歳台413人(18.3%)と年齢が高くなるほど死傷災害の発生件数が増えている。労働災害防止のためにこれらの情報の労働者への周知と環境整備等の対策強化が必要と考える。厚労省では職場での転倒・腰痛予防対策として、「滑り」、「つまずき」、「踏み外し」、「腰痛」の予防ポイントを挙げ、また動画でも紹介している。さらに、高齢者の就労状況や業務の内容等の実情に応じた、実施可能な対策を例示している。わかりやすい内容であり、ぜひ参考にしていただきたい。
(2022年4月26日鹿児島労働局定例記者会見資料 令和4年4月分)
研修セミナーのご案内
下記、セミナーはどなたでも参加できます。
参加される皆様は、新型コロナウイルスの感染予防対策(以下URL)にご協力ください。
⇒ https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/05/kensyu-kai.pdf
≪ 6月 ≫【定員】14名【会場】光健ボイスビル2F ※6/11を除く
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☆6月2日(木)14:00~16:00 ※満席
「心の癖を知る-メンタルヘルス問題解消をめざして-」赤崎先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位
☆6月8日(水)14:00~16:00 ※満席
「「働く人」と解離性障害」長友先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
☆6月11日(土)14:00~16:00 ※満席
「測定結果を用いた作業環境の改善提案のポイントと改善事例」東先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位
※会場:第12川北ビルBOIS鹿児島8F(鹿児島市上之園町24-2)
☆6月21日(火)18:00~20:00 ※満席
「産業歯科医の役割~歯科医師による特殊健康診断~」門松先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
☆6月27日(月)18:00~20:00 ※満席
「職域における身体活動:具体的な工夫を考える」堀内先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
☆6月29日(水)14:00~16:00 ※満席
「どこからがパワハラ?」冨宿先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
≪ 7月 ≫【定員】14名【会場】光健ボイスビル2F ※7/30を除く
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☆7月8日(金)14:00~16:00
「健診結果異常者を受容共感する保健指導」徳永先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位
☆7月15日(金)14:00~16:00 ※満席
「ハラスメントのメンタルヘルス・カウンセリング―2
~パワハラ、セクハラ(トラウマ・PTSD)をめぐって~」久留先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
☆7月19日(火)14:00~16:00
「タバコのない職場環境」徳留先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
☆7月21日(木)14:00~16:00
「粉じんの有所見者数の現状と防止対策」黒沢先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
☆7月30日(土)14:00~16:00 ※定員25名
「居眠りする従業員にどう対応するか」冨宿先生
※会場:第12川北ビルBOIS鹿児島8F(鹿児島市上之園町24-2)
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
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◇…産業医対象
●…産業保健スタッフ対象
☆…産業保健スタッフ・産業医対象
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▼詳細・申込
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
お知らせ
<鹿児島産業保健総合支援センター>
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。
治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase
治療と仕事の両立支援について
治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、鹿児島産業保健総合支援センターの両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
また、両立支援促進員が、事業場を訪問して事業場内の支援体制、勤務・休暇制度、各種規程等の整備、両立支援に関する教育など両立支援制度の導入に向けた支援を行うほか、患者(労働者)からの申出を受け、就労継続や職場復帰に関する事業場との調整支援を行います。
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。
○治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765
なお、医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、新型コロナウイルスの感染状況により、医療機関の相談窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。
メンタルヘルス対策支援について
当センターのメンタルヘルス対策促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し「心の健康づくり計画」の策定、相談体制の整備、職場環境の把握と改善、管理監督者向けや若年労働者(含む全社員)向けのメンタルヘルス教育・研修、メンタルヘルス不調者の職場復帰支援など、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。
また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental
メンタルヘルス対策支援の申込については、当センターホームページの申込フォームまたは当センターホームページ掲載の「メンタルヘルス対策支援申込書」に所要事項を記入しFAX送信によりお申込ください。
(電話、郵送、メールでは受付しておりません。)
地域産業保健センター(地域窓口)について
労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638
<労働者健康安全機構情報>
令和4年度両立支援コーディネーター基礎研修開催のご案内
令和3年度に引き続きオンライン形式での研修を開催いたします。研修日程等の詳細については、機構本部ホームページにてご確認ください。
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/2126/Default.aspx
産業保健関係助成金についてのお知らせ(令和4年5月17日公表)
令和3年度産業保健関係助成金につきましては、想定を上回る申請があったことから令和4年4月22日(金)をもって受付を停止致しました。
現在、助成金全体の申込件数が非常に多くなっていますので、支給決定及び振込みまで時間を要しております。
こうした状況を踏まえ、厚生労働省において、令和4年度産業保健関係助成金の実施の可否について検討しております。検討の結果、実施しない場合もあり、また、実施する場合においても、前年度までと比較し、受付可能な申
請件数の大幅な縮小となる可能性がありますので、あわせてご承知おきください。
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1251/Default.aspx
労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。
▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
▼予防医療モデル事業について
https://www.research.johas.go.jp/yobou/
▼「リハビリテーション」について
https://www.research.johas.go.jp/22_riha/index.html
<厚生労働省情報>
令和3年の労働災害発生状況について
厚生労働省では、このたび、令和3年の労働災害発生状況の概要を取りまとめました。死亡者数、休業4日以上の死傷者数は共に前年から増加しました。
▼報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25944.html
▼概要資料
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/dl/b21-16.pdf
▼分析資料
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/dl/s21-16.pdf
6月は全国安全週間準備期間です
令和4年度の全国安全週間は「安全は 急がず焦らず怠らず」をスローガンに7月1日~7日に実施されますが、6月1日~30日までは準備期間となります。
本週間中や準備期間等に取り組む実施事項については、実施要綱をご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000928568.pdf
令和4年度「エイジフレンドリー補助金」について
エイジフレンドリー補助金は、高齢者が安心して安全に働くことができるよう、中小企業事業者による職場環境の改善等の安全衛生対策の実施に対する補助を行う目的で、令和2年度に創設されたものです。
令和4年度も申請受付が開始されましたので、働く高齢者を対象とした職場環境の改善等にご活用ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html
2022年世界禁煙デー「5月31日~6月6日は「禁煙週間」です」
5月31日は世界禁煙デーです。令和4年度の禁煙週間のテーマは、「たばこの健康影響を知ろう!~若者への健康影響について~」です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202210_00009.html
令和4年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」(再掲)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24043.html
転倒予防・腰痛予防の取組について(再掲)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html
<鹿児島労働局情報>
鹿児島県内の労働災害発生状況
○令和4年(4月末速報)
□ 死亡者数は3人で、前年同期比で4人(57.1%)減少。
□ 休業4日以上の死傷者数は822人で、前年同期比で315人(62.1%)増加。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r4saigai_2022-0510-6.pdf
<新型コロナウイルス関連情報>
新型コロナウイルス感染症に関する健康や医療相談の情報(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kenkou-iryousoudan.html#h2_1
新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000927280.pdf
新型コロナワクチンについて(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html
新型コロナウイルスに関連するQ&A(厚生労働省)
▼企業の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
▼労働者の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html
職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(日本渡航医学会)
https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html
編集後記
6月は水無月、旧暦では夏の盛りで水が欲しい時期だったようだが、新暦6月は風水害の多発し易い時期。それに加え、暑さへの順応が不十分なうちに暑熱に晒されて熱中症が多発し易い時期でもある。政府もマスク着用の徹底による熱中症を危惧して柔軟な着用を喧伝し始めている。特に児童生徒中心に配慮を呼び掛けているが、産業保健の立場からは作業現場が心配である。
15歳から65歳未満が生産年齢人口として扱われているが、特に中小零細事業場では65歳超の労働者が増加している。正規職員ではない常勤・非常勤を問わずに65歳超だけでなく中には75歳以上のいわゆる後期高齢者の作業者も増加している。高齢者ほど、気候変化への順応力は鈍いので、この時期には体調を崩すものが少なくない。
コロナ禍に加えウクライナの戦争はグローバル化が進行している現在では日本の経済状況にも大きなダメージであり、円安もあり賃金上昇を伴わない物価高の進行は貧富格差・富偏在の拡大を増幅するが、労働による健康障害は社会的弱者にこそ皺寄せされ易い。ここ数年高齢者の労災の増加も顕著である。高齢労働者の健康障害防止策も種々提案されているが、なかなかに減少する傾向はみられない。
生産年齢人口として扱われるのが65歳未満ということは、各種の作業環境管理や作業管理も65歳未満を中心として検討されていることを意味しているが、今日では75歳超でも肉体的作業を伴う労働現場で働く後期高齢者すら少なくない。小規模・零細規模の事業場では大規模事業場のように作業環境を改善する費用の捻出も不景気の中では困難。そうした状況下では対策実行を提言するのではなく、個々の実情に応じた具体的実行可能な対策を産業保健スタッフも事業とともに追求する姿勢が不可欠。
過去に殆ど経験のない状況に日本も世界も突入している。このような状況では、マニュアルは決してそのままでは効果を得られることはない。マニュアルを踏まえてもそれに捉われることなく、労働による健康障害を未然に防ぎむしろ働くことでより健康になる方策を現場に即して追求する姿勢が不可欠。
高齢者ほど個人差が大きい、ということは医学的には常識だが、高齢者のみならず現在では若年者でも個人差が拡大し、それに伴い事業場間の差も大きくなっている。産業保健課題に百点満点の答えはなく60点でもOKと言われたりするが、その60点の答えを一つ一つ積み重ねることが重要である。