お知らせ

メールレター 第234号

■■■sanpo■■■■■■■■■■■■■■■■■■
≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第234号(2022.09)

   発行:鹿児島産業保健総合支援センター
              所長 草野 健
■■■■■■■■■■■■■■■■kagoshima■■■

相談員からのメッセージ

「褒める」と「感謝」

産業保健相談員 春日井 基文
(担当分野:メンタルヘルス)

先日の管理職向けの研修会で「ほめ言葉が人を動かす」という話がありました。「指導(注意)」よりも「褒める」ほうが部下は満足感や達成感を得られ,成果が出やすいので上司は効果的な褒め方を学び実践することが必要という趣旨です。私は講師の説明を聞きながら「ほめ言葉が人を動かす」について,つらつらと考えを巡らせていました。

太平洋戦争当時の日本海軍の最高指揮官であった山本五十六の名言に「やってみせ,言って聞かせて,させてみせ,ほめてやらねば,人は動かじ」とあるように,「褒める」ことは人を動かす有効な方法です。しかし,アドラー心理学で有名なアルフレッド・アドラーは「行動するたびに叱られ,褒められて育った人間は,叱られるか,褒められるかしないと行動しなくなる。よくできたねと褒める必要は無い。ただ,ありがとうと感謝を伝えるだけでいい。感謝される喜びを知れば,自ら進んで周囲に貢献しようとする人間になる」と述べています。

「褒めて人を動かす」という「上から目線」の効果的な褒め方を実践して短期的に成果が出たとしても,「感謝」という「対等な目線」で相手に敬意を払い,信頼関係を構築しなければ,長期的な人材育成は難しいかもしれません。また,「褒める」ことで相手をコントロールしようとする下心が見透かされるような気もします。ポジティブフィードバックをするのであれば,「褒める」よりは成功体験を相手に語ってもらって,そのことに「感謝」を伝えるほうが相手の成長を促し,幸福感を高めると思います。気づくと研修会は終わりを迎え,講師への感謝の気持ちとして参加者は拍手をしていました。

実は山本五十六の名言には続きがあります。「やってみせ,言って聞かせて,させてみせ,ほめてやらねば,人は動かじ。話し合い,耳を傾け,承認し,任せてやらねば,人は育たず。やっている,姿を感謝で見守って,信頼せねば,人は実らず」。

研修セミナーのご案内

下記、セミナーはどなたでも参加できます。参加される皆様は、新型コロナウイルスの感染予防対策(以下URL)にご協力ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/05/kensyu-kai.pdf

【定 員】14名
【会 場】光健ボイスビル2F ※9/24(土)・10/22(土)を除く

┏―[ 詳細・申込 ]――――――――――――――――――――┓
 https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
┗―――――――――――――――――――――――――――――┛

―[ 9月 ]――――――――――――――――――――――――――――――

9月8日(木)14:00~16:00 ※満席
「行動変容を促すためのコミュニケーション」網谷先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

9月15日(木)14:00~16:00
「知っておきたい職場の安全管理と安全配慮義務(安全管理者含む)」黒沢先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

9月16日(金)14:00~16:00
「人事管理職者のストレス:メンタルヘルス・カウンセリング―3
~感情労働・感情管理、感情の商品化をめぐって~」久留先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

9月20日(火)18:00~20:00
「禁煙支援について(歯科の視点から)」市来先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

9月24日(土)14:00~16:00 ※定員30名
「職場における救急救命処置」前田先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位
※会場:鹿児島県医師会3F中ホール(鹿児島市中央町8-1)

9月30日(金)14:00~16:00
「障害者を雇用するときに気を付けること」冨宿先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

―[ 10月 ]――――――――――――――――――――――――――――――

10月6日(木)14:00~16:00
「うつ病の病態・治療・職場復帰-事例検討も含めて-」赤崎先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

10月7日(金)14:00~16:00
「ストレスチェックと高ストレス面接の実際」小田原先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位

10月12日(水)14:00~16:00
「「働く人」と睡眠」長友先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

10月17日(月)14:00~16:00
「働く方々の健康を守るために
産業医からのアドバイス(新型コロナ感染症対策を含め)」桶谷先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

10月19日(水)14:00~16:00 ※満席
「職場における”これからの”化学物質等管理のあり方
~厚生労働省検討会報告より~」東先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

10月19日(水)16:10~17:10 ※満席
「労働衛生関係法令」当センター副所長
日医認定産業医:生涯(更新)1単位

10月22日(土)14:00~16:00 ※定員30名
「眼に関する話題」冨宿先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位
※会場:鹿児島県医師会館3F中ホール(鹿児島市中央町8-1)

10月24日(月)18:00~20:00
「職域における食と健康:食事摂取基準とその利用」堀内先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

10月31日(月)14:00~16:00
「古くて新しい色覚問題」冨宿先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

治療と仕事の両立支援について

治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、鹿児島産業保健総合支援センターの両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)

また、両立支援促進員が、事業場を訪問して事業場内の支援体制、勤務・休暇制度、各種規程等の整備、両立支援に関する教育など両立支援制度の導入に向けた支援を行うほか、患者(労働者)からの申出を受け、就労継続や職場復帰に関する事業場との調整支援を行います。

両立支援に関する相談、各種支援は無料です。
○治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765

なお、医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、新型コロナウイルスの感染状況により、医療機関の相談窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。

メンタルヘルス対策支援について

当センターのメンタルヘルス対策促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し「心の健康づくり計画」の策定、相談体制の整備、職場環境の把握と改善、管理監督者向けや若年労働者(含む全社員)向けのメンタルヘルス教育・研修、メンタルヘルス不調者の職場復帰支援など、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。

また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental

メンタルヘルス対策支援の申込については、当センターホームページの申込フォームまたは当センターホームページ掲載の「メンタルヘルス対策支援申込書」に所要事項を記入しFAX送信によりお申込ください。
(電話、郵送、メールでは受付しておりません。)

地域産業保健センター(地域窓口)について

労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638

<労働者健康安全機構情報>

令和4年度両立支援コーディネーター基礎研修開催のご案内

令和3年度に引き続きオンライン形式での研修を開催いたします。研修日程等の詳細については、機構本部ホームページにてご確認ください。

https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/2126/Default.aspx

産業保健関係助成金についてのお知らせ(令和4年8月30日公表)

令和4年度産業保健関係助成金の実施の可否については検討中としておりましたが、現時点において、実施の目途は立っていない状況です。
今後、申請の受付を行う場合には、改めてお知らせいたします。

https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1251/Default.aspx

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html

▼「勤労者医療フォーラム」について
https://www.research.johas.go.jp/kinrouforum/forumA.html

<厚生労働省情報>

令和4年度職場のメンタルヘルスシンポジウム開催について

令和4年度「職場のメンタルヘルスシンポジウム~管理監督者をいたわる組織づくり~」を、2022年10月4日(火)にオンラインで開催します(参加無料)。
今回のシンポジウムでは、基調講演と企業での取組事例を通じて、管理監督者をいたわる組織づくりを考えていきます。

https://kokoro.mhlw.go.jp/mental_sympo/2022/

9月は「職場の健康診断実施強化月間」です

https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000980141.pdf

令和4年度「全国労働衛生週間」について

あなたの健康があってこそ 笑顔があふれる健康職場」をスローガンに、10月1日から7日まで令和4年度全国労働衛生週間を実施します。
9月1日から30日は準備期間となります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26899.html

職場における熱中症予防対策の徹底について

全国における令和4年の熱中症による死傷災害の発生状況(速報値)は、7月までの死傷者数(休業4日以上)が過去5年で最多となっています。
職場における熱中症予防対策の更なる徹底をお願いします。

▼熱中症予防のための情報・資料サイト
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25950.html
▼職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000633853.pdf
▼STOP!熱中症クールワークキャンペーン
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116133.html
▼マスク着用について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00001.html

化学物質による労働災害防止のための新たな規制について(再掲)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25984.html

歯科健康診断結果報告に係る省令改正について(再掲)

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220428K0010.pdf

転倒予防・腰痛予防の取組について(再掲)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html

令和4年度「『見える』安全活動コンクール」を実施します(再掲)

https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzenproject/concour/index.html

<鹿児島労働局情報>

鹿児島県内の労働災害発生状況

令和4年(7月末速報)
□死亡者数は5人で、前年同期比で9人(64.3%)減少。
□休業4日以上の死傷者数は1,604人で、前年同期比で564人(54.2%)増加。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r4saigai_2022-0810-1.pdf

鹿児島県内の労働衛生の現況について

令和4年度全国労働衛生週間の実施に向けて、鹿児島県内の労働衛生に関する統計、労働衛生対策の重点事項を示した「労働衛生の現況」を公開しています。

▼労働衛生の現況
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2022-0830-7.pdf
▼全国労働衛生週間実施要綱、説明会日程表
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/anzen_eisei/eisei/eiseiweek_2022-0810-4.html

職場における熱中症に最大限の注意を!!

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2022-0712-4_leaflet.pdf

<全国労働衛生団体連合会>

令和4年度「心とからだの健康推進運動」の実施について

https://www.zeneiren.or.jp/cgi-bin/pdfdata/20220816_ke.pdf

<新型コロナウイルス関連情報>

新型コロナウイルス感染症に関する健康や医療相談の情報(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kenkou-iryousoudan.html#h2_1

新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/000927280.pdf

新型コロナワクチンについて(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html

新型コロナウイルスに関連するQ&A(厚生労働省)

▼企業の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
▼労働者の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html

職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(日本渡航医学会)

https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html

編集後記

「秋来ぬと 眼には清かに見えぬども 風の音にぞ驚かれぬる」という歌が思い出される時候になりました。最近の夏は過去経験したことのないような暑熱で、昔からの気象に関する言い伝えや俚諺が全く通用しないような「夏」になっています。熱中症予防を政府も声高に呼びかけていますが、救急搬送も増加しているようです。既に残暑という時季になっていますが、この時季は朝晩に若干の涼しさを感じることや湿度の低下等にもよって熱中症がむしろ増える時季です。

治療対象となる熱中症だけでなく、明確に自覚し得ない程度の脱水やうつ熱状態では作業能力は大きく低下すると考えられます。産業保健推進の立場からは、表象化されないレベルの心身の健康状態低下にも気を配る必要を強く感じます。

働く人の労働に起因する健康障害を予防するために、種々の「エビデンス」に基づくマニュアルやガイドラインが出されていますが、健康障害予防の要諦は個々人の行動と事業場の就業措置の在り様です。マニュアル・ガイドライン等は科学的根拠に基づいていてもそれは数値化された統計データです。個々の人も事業場も数値化されない特質を必ず抱えています。上から目線の表現は柔らかでも結局「~~するべし」というような指導は、個別に寄り添うものではありません。「相談員のメッセージ」にもあるように、対象の変容を望むなら基本は信頼関係構築です。

労働に伴う付加価値のみに価値を置く市場原理絶対の新自由主義資本主義経済では、マルクスの資本論を俟たずとも労働が疎外されるのは必然です。只でさえ作業能率の低下するこの時季です。資本主義経済からみれば地下資源に極めて乏しい日本の風土では、その経済上の世界的地位が低下するのも当然で、その日本が再度経済大国を目指すのには大きな疑問を感じています。それよりも貧富格差を縮小する方向に国としての方針を向けるべきと思っています。

パンデミックも第7波の真只中、ロシアのウクライナ侵略も先行きが見えず食料・エネルギー源の貿易量も低下し世界的インフレの進行で「経済復興」の道筋が不透明な状況です。パンデミック対策も経済活動との両立を目指す方針のようですが、感染症蔓延に対する対策が根本的におかしいと感じています。感染症対策の基本は「うつされない」注意ではなく「うつさない」こと「誰もが感染源にはならない」ことこそが基本。感染症はどんなに意を払っても「うつされる」ことを完全に忌避することは不可能です。

表彰化されてなくても本人の自覚以上に作業能率は低下し、数字に現れないレベルでの心身の健康障害は進んでいると考えるべきです。産業保健推進の立場からは、そのような視点も持って対処すべき、と考えます。