メールレター 第237号
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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第237号(2022.12)
発行:鹿児島産業保健総合支援センター
所長 草野 健
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相談員からのメッセージ
親は無くとも子は育つ
産業保健相談員 野添 新一
(担当分野:メンタルヘルス)
昭和11年から13年にかけて生まれた子供たちは戦争末期となり親を失った症例は多い。私は昭和13年生まれ、私の姉は昭和11年生まれで戦争で父親を、病気で母親をいずれも戦争末期に失った。小生の妻の従妹A氏は昭和11年生まれであるが、戦争末期に幼くして父親を結核で、母親を他の病気で失ったが、今年は戦後80年を迎える。来年になると私共も満80年を迎えることになる。昭和20年6月鹿児島市は激しい空襲に見舞われ、姉は学童、私は当時6歳であった。感染症の病床にあった母を置いて自分は自宅のあった武町から防空壕のある田上へと向かって歩いていた。途中、爆撃を受けて行倒れている人や爆撃を受け死亡前後にある人たちを見ながら進んだが、それ以外のことは全く記憶にない。以後、田舎へ引っ越したが、爆撃で我が家を含め市内はほぼ全滅し、同8月15日に終戦となった。私と姉はその後、働きながら市内にある夜間高校へ、そしてそれぞれの進路へと進んだ。A氏は親戚一同の援助を受けて国立大学を卒業、一流会社へ就職した後管理職となり退職した。幼少時、親はいても仕事やその他で密接なつながりができない場合もあるが、存在自体が子供には安心感を与えているようだ。むしろ、思春期から青年期を日々どのように考え生きてきたかが大事ではないかと思う。日常の飲食の問題に加えて将来の方向性を探っていく時期、つまり親から離れて自立していく年頃は重要である。
私共姉を含めて戦争によって両親を失い子供だけ取り残された人たちも多い。親はなくとも様々な人たちのおかげで子供は成長し、来年にはあの時以来80年を迎えることになる。80代半ばまで生存できたのは早世した両親の二倍以上生きたことになるが、幼児期に親を亡くしても子供が80歳以上生存できる例は多く、成長期を含めて様々な人々の尽力による賜であろう。
研修セミナーのご案内 (12月~2月開催分 受付中!)
【定 員】14名
【会 場】光健ボイスビル2F ※12/17を除く
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https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
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お知らせ
<鹿児島産業保健総合支援センター>
【重要】当センターならびに各地域産業保健センターをご利用の皆様へ
当センターならびに各地域産業保健センターで行う各種支援、産業保健サービスについては、国からの補助金により提供されておりますが、活動資金に限りがあり、状況によってはご利用をお受けできない場合があります。
ご利用の皆様には大変ご不便をおかけいたしますが、ご理解の程、よろしくお願い申し上げます。
なお、地域産業保健センターをご利用いただけない場合は、本社・支店等の産業医に協力が得られないか、または健康診断を実施した医療機関等の協力を得てご対応いただくか、検討をお願いいたします。
治療と仕事の両立支援相談窓口を新たに開設します
当センターでは、「公益社団法人 出水郡医師会広域医療センター」及び「鹿児島県立大島病院」の2医療機関と令和4年12月1日に治療と仕事の両立支援事業実施に係る協定を締結し、令和4年12月以降「両立支援相談窓口」を開設します。開設の日時は、次のとおりになります。
○公益社団法人 出水郡医師会広域医療センター
日時:毎月 第1火曜日 10:00~12:00(事前予約制)
場所:出水郡医師会広域医療センター 地域医療連携室内がん相談支援センター
電話:0996-73-1311(代表)
○鹿児島県立大島病院
日時:随時開設(事前予約制)※申込後に日程調整いたします。
場所:鹿児島県立大島病院 地域医療連携室
電話:0997-52-3611(代表)
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。
治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase
治療と仕事の両立支援について
治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、鹿児島産業保健総合支援センターの両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。
▼治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765
医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、新型コロナウイルスの感染状況により、医療機関の相談窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。
メンタルヘルス対策支援について
当センターのメンタルヘルス対策促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。
また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。
▼メンタルへルス対策支援(支援内容、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental
地域産業保健センター(地域窓口)について
各地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。
▼地域産業保健センターのご利用について
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638
<労働者健康安全機構情報>
令和4年度産業保健関係助成金について(令和4年11月9日公表)
令和4年度の産業保健関係助成金は未定とされておりましたが、現在受付を停止している産業保健関係助成金については廃止となります(今後の申請は受け付けできないことになります)。
今後は、産業保健関係助成金に替わる新たな助成金が運用される見込みです。
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1251/Default.aspx
令和4年度両立支援コーディネーター基礎研修開催のご案内
昨年度に引き続きオンライン形式での研修となっています。第6回、第7回の研修日程等が公開されていますので、機構本部ホームページにてご確認ください。
なお、第6回、第7回に係る募集期間は、12月6日13時~12月19日17時までとなっています。https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/2126/Default.aspx
「令和4年度大雨及び台風等による災害被災者のための心と健康の相談ダイヤル」について(再掲)
フリーダイヤル | 0120-200-826(無料で利用可能) |
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受付日時 | 平日(10 時 00 分~17 時 00 分/土日祝日を除く) |
対象者 | 被災された住民の方(事業者、労働者及びその家族等) |
相談例 | ・人間関係の悩みなどでの強いストレスや不安について ・エコノミークラス症候群などの健康管理や感染対策などの健康不安について |
労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。
▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
▼「両立支援コーディネーターマニュアル」について
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1047/Default.aspx
▼「両立支援コーディネーター」について
https://www.research.johas.go.jp/ryoritsucoo/
<厚生労働省情報>
令和4年度治療と仕事の両立支援シンポジウムについて
令和4年度の治療と仕事の両立支援シンポジウムについては、「トライアングルで支える治療と仕事の両立」をテーマにオンライン配信で開催されます。参加は無料です。
〇企業向けシンポジウム
日 時:令和4年12月19日(月)13:30~15:30
〇医療機関向けシンポジウム
日 時:令和4年12月15日(木)13:30~15:30
また、経営層の方や働いている方への基調講演、トークセッションが、ポータルサイト「治療と仕事の両立支援ナビ」で令和4年11月22日(火)から配信されていますので、こちらもご覧ください。
https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/symposium/2022/
職場におけるハラスメント対策シンポジウムについて
厚生労働省では、12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定め、ハラスメントのない職場づくりを推進するため、集中的な広報・啓発活動を実施します。
その一環として、12月7日(水)13時30分~15時に「職場におけるハラスメント対策シンポジウム」をオンラインで開催します。参加は無料です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29238.html
化学物質による労働災害防止のための新たな規制について(再掲)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html
転倒予防・腰痛予防の取組について(再掲)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html
<鹿児島労働局情報>
鹿児島県内の労働災害発生状況
○ 令和4年(10月末速報)
□ 死亡者数は9人で、前年同期比で10人(52.6%)減少。
□ 休業4日以上の死傷者数は3,343人で、前年同期比で1,638人(96.1%)増加。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r4saigai_2022-1110-1.pdf
「労働災害ピークアウト運動」に取り組みます!(再掲)
<一般財団法人 女性労働協会情報>
令和4年度「母性健康管理研修会(第3回:12月9日開催)」について
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/kenshu/
<新型コロナウイルス関連情報>
新型コロナウイルス・季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00003.html
新型コロナウイルスに関連するQ&A(厚生労働省)
▼企業の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
▼労働者の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html
編集後記
以前より指摘されていたことであるが、我が国の時間当り労働生産性の低さが一部マスメディアや政治家の間でも漸く話題になり始めたようである。経済指標としてGDPを主とすることにも経済学者を中心に疑問視する声も上がり始めたとか。モノとコトを同じ指標で評価すること自体にも根本的に問題があると思われる。
AI等の進歩により多くの労働から人間が解放される、との予測のもとで、「働き方改革」もさらに容易に進展するという予想もある。しかし農林水産業の多くや土建業等の労働から人間が解放される日は当分到来しそうにはない。となれば、一部の高度プロフェッショナル該当者などの情報を操る側の人間にはバラ色でも、人間社会の基盤を支える労働者には「働き方改革」の恩恵が及ぶ日は何時来るのか、大いに疑問である。
GDPを指標とする労働生産性が低い我が国だが、貨幣価値に換算されなくても使用価値などの生活の質向上に資する生産効率はどうなのだろうか。働き方改革の本丸は、生活の質向上には繋がらない労働時間をなくして行くことにあると思っている。
産業保健活動は、作業環境管理を為した上で作業管理を行ない、この二つが確実に行なわれて健康管理が実効性あるものになる。経済活動においても第1次産業の基盤の上に第2次産業があり、それらを基としてのサービス業や情報産業などの第3次産業である。1次・2次産業の労働構造改革こそ何よりも優先されるべきである。
「働き方改革」や「両立支援」などそれ自体としては極めて有意義な労働政策が出されているが、今年度は産業保健活動総合支援事業計画策定後に、予算削減が決定され、下半期の事業活動資金が全国的に不足する事態となり、計画通りの事業執行ができなくなった。この国の性なのか、皺寄せは常に末端・地方が被る。こうして犠牲を強いられる側の声が中央に届くことが稀であることも常態になっているようだ。産業保健の第一線で活動する方々には大いに迷惑を掛けることになってしまった。2022年が終わるに際して、この稿を借りて陳謝させて頂く。
決して無策ではなく、また心あるスタッフも少なくない行政府だが、労働現場も極一部を除き、改善が見られるとは言い難い。各種の施策等の恩恵を受けている部門は極一部に限られているようだ。あまねく国民の隅々にまで恩恵が及ぶような社会から次第に遠ざかるように感じられてならない。
それでも、産業保健に関わる者としては所与の条件にどんなに不満があろうとも、また、COVID19パンデミックやウクライナ戦争等に加えて気象の大きな変動など未曽有の事象が相次いで様々な活動が困難になってはいるが、そのような状況の中で可能な限りできることを為していくのみ。