メールレター 第239号
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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第239号(2023.2)
発行:鹿児島産業保健総合支援センター
所長 草野 健
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相談員からのメッセージ
疲労をいかに克服するか
産業保健相談員 網谷 東方
(担当分野:メンタルヘルス)
疲労は、身体的な不調に加え、認知能力の低下や注意力の欠如とも関連し、労働者にとって、作業効率の低下や事故のリスクを高める可能性があります。さらに、疲労は慢性的な健康状態のリスクを増加させるだけでなく、欠勤率の上昇と関連しています。
COVID-19の流行をきっかけに増えたテレワークは、生産性の向上が評価される一方で、私生活と仕事の分離の欠如や“Zoom疲れ”などの新たな問題も注目されています。
疲労リスクの管理は、労働者の健康と安全を守り、円滑な組織運営のために重要であり、特にシフト制が採用されることの多い鉱業、石油・ガス、航空、輸送や医療などの業界にとって重要であるといわれています。
そもそも疲労とは何でしょうか。
強度の高い運動時に産生される乳酸は、長い間、疲労物質だと考えられてきました。さらには、日常生活における疲労など、実際にはほとんど乳酸が蓄積していない状況でさえ、乳酸が溜まっていることで疲労しているという説明がなされることがありました。しかしながら、多くの研究の結果、乳酸は疲労の原因ではないという見方が強くなってきています。疲労には、少なくとも身体的疲労と精神的疲労の2つがあります。いずれの疲労においても、活性酸素が中心的な役割を担っているということが分かり、徐々に疲労のメカニズムも解明されてきています。
疲労改善には、軽い運動、栄養補給、音楽、森林浴、様々なリラクセーションやマインドフルネスなどが有効であることは科学的に実証されていますが、最も効果が高いのは、睡眠であると考えられています。定期的に質と量ともに十分な睡眠をとることは、脳と身体を回復させるために不可欠です。そのため、疲れを感じたら、“まずは寝る”ことです。
十分な睡眠時間を確保しても、睡眠時無呼吸症候群やうつ病など、睡眠が得られにくくなる疾患や、糖尿病や慢性疲労症候群など、睡眠をとっても疲労が回復しにくくなる疾患もあります。どうしても疲労が回復しにくいという方は、一度医療機関を受診することをお勧めいたします。
研修セミナーのご案内 (3月開催分 受付中!)
【定 員】14名
【会 場】光健ボイスビル2F
┏―[ 詳細・申込はこちらから ]―――――――――――┓
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お知らせ
<鹿児島産業保健総合支援センター>
【重要】当センターならびに各地域産業保健センターをご利用の皆様へ
当センターならびに各地域産業保健センターで行う各種支援、産業保健サービスについては、国からの補助金により提供されておりますが、活動資金に限りがあり、状況によってはご利用をお受けできない場合があります。
ご利用の皆様には大変ご不便をおかけいたしますが、ご理解の程、よろしくお願い申し上げます。
なお、地域産業保健センターをご利用いただけない場合は、本社・支店等の産業医に協力が得られないか、または健康診断を実施した医療機関等の協力を得てご対応いただくか、検討をお願いいたします。
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。
治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase
治療と仕事の両立支援について
治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、鹿児島産業保健総合支援センターの両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。
▼治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765
医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、新型コロナウイルスの感染状況により、医療機関の相談窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。
メンタルヘルス対策支援について
当センターのメンタルヘルス対策促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。
また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。
▼メンタルへルス対策支援(支援内容、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental
地域産業保健センター(地域窓口)について
各地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。
▼地域産業保健センターのご利用について
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638
<労働者健康安全機構情報>
「令和4年度大雨及び台風等による災害被災者のための心と健康の相談ダイヤル」について(再掲)
フリーダイヤル | 0120-200-826(無料で利用可能) |
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受付日時 | 平日(10 時 00 分~17 時 00 分/土日祝日を除く) |
対象者 | 被災された住民の方(事業者、労働者及びその家族等) |
相談例 | ・人間関係の悩みなどでの強いストレスや不安について ・エコノミークラス症候群などの健康管理や感染対策などの健康不安について |
労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。
▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
▼「病職歴調査を活用した研究」について
https://www.research.johas.go.jp/bs/
<厚生労働省情報>
令和4年度「治療と仕事の両立支援オンライン地域セミナー」
令和5年2月6日を皮切りに、全国3エリアにおける事業者や医療機関による事例表・ディスカッションがライブ配信されます。
また、ポータルサイト「治療と仕事の両立支援ナビ」では、事前配信として基調講演及びトークセッションを配信しています
https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/symposium/2022/
全国安全週間スローガンの募集について
広く国民のみなさまに「安全」についての意識を深めていただくために、毎年7月に行われている全国安全週間のスローガンを募集しています。
募集期間は、令和5年1月23日(月)~2月20日(月)【当日消印有効】です。
https://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p20230123-01.html
令和3年度「喫煙環境に関する実態調査」の結果を公表します
この調査は、平成30年7月に成立した「健康増進法の一部を改正する法律」が令和2年4月に全面施行された後の状況を調査し、施行後5年を経過した場合において、更なる対策の必要性を検討するための基礎資料を得ることを目的としたもので、今回で3回目となります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30463.html
「新たな化学物質規制を踏まえた自律的な化学物質管理促進セミナー」の動画配信について(再掲)
▼セミナー概要等
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27800.html
▼セミナー動画(労働安全衛生総合研究所ウェブサイト)
https://www.jniosh.johas.go.jp/groups/ghs/movies.html#mizuhoSeminar
化学物質による労働災害防止のための新たな規制について(再掲)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html
転倒予防・腰痛予防の取組について(再掲)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html
<鹿児島労働局情報>
鹿児島県内の労働災害発生状況
○ 令和4年(12月末速報)
□ 死亡者数は11人で、前年同期比で10人(47.6%)減少。
□ 休業4日以上の死傷者数は4,027人で、前年同期比で1,941人(93.0%)増加。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r4saigai_2023-0112-1.pdf
「労働災害ピークアウト運動」に取り組みます!(再掲)
<一般財団法人 女性労働協会情報>
令和4年度「母性健康管理研修会」のオンデマンド配信について
令和4年10月20日、11月17日、12月9日に開催された「母性健康管理研修会」について、ご要望にお応えしてオンデマンドによる動画配信をお届けします。
配信期間は令和5年3月31日(予定)まで、参加は無料です。
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/kenshu/
<新型コロナウイルス関連情報>
職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(日本渡航医学会)
昨年12月27日に第6版が公表されました。
第6版では各章の改訂がなされるとともに、第9章として罹患後症状(いわゆる後遺症)への対応が新たに追加されています。
https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html
新型コロナウイルス・季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00003.html
新型コロナウイルスに関連するQ&A(厚生労働省)
▼企業の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
▼労働者の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html
編集後記
3年経過しても終息の見えないコロナ禍に1年経過しても終わらないロシアによるウクライナ戦争に加え、物価高が継続する中での大雪。社会階層で「倦み」が強まっているようです。
テレワークは自宅でも可能なことから、一部では労働者一人当たりの生産性が高まっていると評価する向きもありますが、1次産業等の実質生産性はむしろ低下し、唯でさえ低い食料自給率をさらに押し下げる要因となっているようです。
「コロナ疲れ」も一部では目立つようになり、感染予防策も特に欧米の影響か「緩んで」来ているようです。2類相当から5類への引き下げが日程に上っていますが、労働現場がどうなるのか、大いに危惧されます。
在宅勤務可能な職種でも、規制がなく労働時間管理ができない働き方では多くの人にとっては無視できない心身の疲労の原因になることも心配です。数字に現れない健康障害が増大することも予想されます。
産業保健に携わる者としては、表に現れない健康阻害要因にも十分に目を配り、極力作業場から有形無形のストレス要因を排除・最小化するような措置も重要です。同時に、個々の働く人の心身の回復策も助言・指導することも重要です。
終わりのない災厄はない、ことを信じて倦まず弛まず日々の活動に鋭意努力したいものです。