メールレター 第240号
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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第240号(2023.3)
発行:鹿児島産業保健総合支援センター
所長 草野 健
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相談員からのメッセージ
楽しく働く
産業保健相談員 岡村 俊彦
(鹿児島県立短期大学 教授)
(担当分野:労働衛生工学)
人はなぜ働くのか,働く動機=ワークモチベーションは3つに大別されます。まずは経済的な動機,簡単にいえばお金のためです。自分や家族がより良い生活を継続的におこなっていくために,なるべく多くの収入を安定的に得るということです。
二番目は自己実現の動機です。自分の持っている能力をどこかで発揮したいという気持ちです。うまくいった仕事の結果そのものが働く人に取っての報酬であり,自分の能力が伸びている,成長していることを実感する,ということもこの動機に入ります。
三番目は社会的繋がりを持ちたいという動機です。働く以上,同僚や上司や部下,お客さん,取引相手といった人との繋がりは必ずでてきます。もちろん人間関係が働くことにネガティブな影響を与えることも多いのですが,それでも誰かが喜んでくれる,誰かと助けあうといった社会的な繋がりをもつことが働く理由になることも少なくありません。
自己実現動機や社会的動機が優先され,経済的動機がないがしろにされる職場は「やりがい搾取」にも繋がり,長い目でみるといい職場とはいえなくなります。一方で経済的動機だけが優先されると,働くことそのものへの幸福感は下がります。この3つの動機付けがバランス良くあるのが理想の職場であるともいえます。
どうせ働くなら楽しく働きたい,と誰もが思うことでしょう。仕事をする時の幸福感が仕事の結果に好影響を及ぼすことは多くの研究結果からも明らかです。たまには,「自分は楽しく働いているか」,「自分の職場は楽しいか」をワークモチベーションの視点から見直してみるのもいいでしょう。
研修セミナーのご案内 (3月~5月開催分 受付中!)
【定 員】3月まで:14名 / 4月以降:20名
【会 場】光健ボイスビル2F ※5/20(土)は除く
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お知らせ
<鹿児島産業保健総合支援センター>
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。
治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase
治療と仕事の両立支援について
治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、鹿児島産業保健総合支援センターの両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。
▼治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765
医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、新型コロナウイルスの感染状況により、医療機関の相談窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。
メンタルヘルス対策支援について
当センターのメンタルヘルス対策促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。
また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。
▼メンタルへルス対策支援(支援内容、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental
地域産業保健センター(地域窓口)について
各地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。
▼地域産業保健センターのご利用について
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638
<労働者健康安全機構情報>
「令和4年度大雨及び台風等による災害被災者のための心と健康の相談ダイヤル」について(再掲)
フリーダイヤル | 0120-200-826(無料で利用可能) |
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受付日時 | 平日(10 時 00 分~17 時 00 分/土日祝日を除く) |
対象者 | 被災された住民の方(事業者、労働者及びその家族等) |
相談例 | ・人間関係の悩みなどでの強いストレスや不安について ・エコノミークラス症候群などの健康管理や感染対策などの健康不安について |
労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。
▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
▼「病職歴調査を活用した研究」について
https://www.research.johas.go.jp/bs/
<厚生労働省情報>
「賃金引き上げ特設ページ」について
賃金引き上げに関する企業の好取組事例、平均的な賃金額の検索機能及び賃金引き上げに向けた支援策を掲載した、「賃金引き上げ特設ページ」を開設しました。
賃金引き上げに向けた環境整備等において、ご活用ください。
https://pc.saiteichingin.info/chingin/
「職場におけるハラスメント対策シンポジウム」のアーカイブ動画掲載について
ポータルサイト「あかるい職場応援団」では、令和4年12月7日に開催された職場におけるハラスメント対策シンポジウムのアーカイブ動画を掲載しています。
当日、視聴できなかった方など、どなたでもご覧になることができますので、シンポジウムの復習や研修などにご活用ください。
その他、ポータルサイト内では、ハラスメント対策に関する様々な資料や動画教材等が掲載されていますので、社内研修などに広くご活用ください。
○シンポジウム動画
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/symposium
○あかるい職場応援団
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
化学物質による労働災害防止のための新たな規制について(再掲)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html
転倒予防・腰痛予防の取組について(再掲)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html
<鹿児島労働局情報>
鹿児島県内の労働災害発生状況
○ 令和4年発生分(1月末速報)
□ 死亡者数は11人で、前年同期比で11人(50.0%)減少。
□ 休業4日以上の死傷者数は4,161人で、前年同期比で1,975人(90.3%)増加。
○ 令和5年発生分(1月末速報)
□死亡者数は0人で前年同期と同じ。
□休業4日以上の死傷者数は136人で、前年同期比で61人(81.3%)増加。
死傷者数のうちコロナ罹患者は71人、コロナ罹患者を除く死傷者数との比較では、前年同期比で9人(12.2%)の減少。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r4saigai_2023-0214-2.pdf
「労働災害ピークアウト運動」に取り組みます!(再掲)
< 中央労働災害防止協会情報 >
セミナー「健康づくり・メンタルヘルスケア」の開催について
中央労働災害防止協会では、「健康づくり・メンタルヘルスケア~こうすれば上手くいくハラスメント対策~」をオンライン(オンデマンド配信)で開催します。配信期間は2月27日~3月24日。内容は、ハラスメントと問題点、求められる対策・措置、パワハラ事案における留意事項となっており、参加は無料です。
https://www.jisha.or.jp/seminar/health/h3980_anti_harassment.html
<一般財団法人 女性労働協会情報>
令和4年度「母性健康管理研修会」のオンデマンド配信について
令和4年10月20日、11月17日、12月9日に開催された「母性健康管理研修会」の動画配信になります。配信期間は令和5年3月31日(予定)まで、参加は無料です。
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/kenshu/
<新型コロナウイルス関連情報>
職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(日本渡航医学会)
昨年12月27日に公表された第6版では、各章の改訂がなされるとともに、第9章として罹患後症状(いわゆる後遺症)への対応が新たに追加されています。
https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html
新型コロナウイルス・季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00003.html
新型コロナウイルスに関連するQ&A(厚生労働省)
▼企業の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
▼労働者の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html
編集後記
産業保健総合支援センターとなってからの9年目が終わる月になりました。私の所長在任も来月からは10年目に入ります。加齢とともに月日の流れを早く感じるのは当然ですが、それにしても昨今の目まぐるしく相次ぐ自然現象・社会現象には感覚が麻痺あるいは鈍くなりそうです。
2014年に産業保健推進センター、地域産業保健センター、メンタルヘルス対策支援センターの3事業を統合し、47都道府県に産業保健総合支援センターが設置されました。翌年にはストレスチェック制度が開始され、2016年には「両立支援」対策、2019年には「働き方改革」と産業保健関連の新施策が続きました。
COVID-19パンデミックの中、産業医の権限が強化されましたが職務範囲と内容も増加しました。負担の重くなった産業保健活動は、診療活動を本業とする多くの嘱託産業医にとってその業務遂行は厳しさを増しています。物価上昇に対応して賃金増加の動きも出ていますが、多くの小規模零細規模企業の労働者にまで及ぶのか、また産業医の得られる報酬も見合うものになるのか、大いに気が揉めています。
経済の動向にも十分に注目しながら、付加価値増加ではない個々の労働者の実質労働生産性が向上するような産業保健活動を追求すべきと考えています。