メールレター 第241号
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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第241号(2023.4)
発行:鹿児島産業保健総合支援センター
所長 草野 健
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相談員からのメッセージ
「働く人」と自動車運転
産業保健相談員 長友 医継
(医療法人玉水会病院)
(担当分野:メンタルヘルス)
「働く人」にとって、仕事上でも通勤においても運転免許証はなくてはならない資格と言っても過言ではないでしょう。鹿児島県のような公共交通機関が充分ではない地方においてはなおさらです。
高齢者の交通事故が多いことを背景に高齢者の運転免許証の更新が厳格化され、現在、75歳以上の高齢者の免許証更新時には認知機能検査が実施されています。その結果、自動車事故が減少してきたことが報告されています。
それでも最近も高齢者による悲惨な自動車事故が発生しています。大方が認知症が疑われる事例であり、一見、「働く人」には関係がないように思われます。しかし、認知症は高齢者だけが罹患する疾患ではありません。65歳未満で発症する認知症は若年性認知症と称され、「働き盛りの認知症」working age dementiaともいわれます。18~64歳人口における人口10万人当り47.6人、推定発症年齢の平均は、51.3±9.8歳と推計されています。このようなことから認知機能検査の対象年齢の引き下げの必要性も指摘されています。
ところで、道路交通法には運転の欠格事由があり、その疾患として認知症を始め以下があげられています。即ち、統合失調症、てんかん、再発性の失神、無自覚性の低血糖症、そううつ病、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害、その他の精神障害(急性一過性精神病性障害、持続性妄想性障害等)、脳卒中、アルコール依存症です。但し、これらは相対的欠格事由ですので、詳細は法律を確認してください。
そして、これらの一定の病気などに罹っているドライバーを診察した医師が、自動車などの運転に支障があると思われる場合、診察結果を公安委員会に任意に届け出ることができる制度(一定の病気等に係る医師による任意の届出制度、平成26年6月1日施行)があります。なお、この行為は守秘義務違反にはなりません。
研修セミナーのご案内 (4月~6月開催分 受付中!)
【定 員】20名
【会 場】光健ボイスビル2F ※5/20(土)、6/3(土)は県医師会館3F 中ホール
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お知らせ
<鹿児島産業保健総合支援センター>
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。
治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase
治療と仕事の両立支援について
治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、鹿児島産業保健総合支援センターの両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。
▼治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765
医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、、事前予約の状況等により、窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。
メンタルヘルス対策支援について
当センターのメンタルヘルス対策促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。
また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。
▼メンタルへルス対策支援(支援内容、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental
地域産業保健センター(地域窓口)について
各地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。
▼地域産業保健センターについて
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638
<労働者健康安全機構情報>
労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。
▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
▼「生活習慣病」について
https://www.research.johas.go.jp/seikatsu2018/index.html
▼「アスベスト」について
https://www.research.johas.go.jp/asbesto2018/
<厚生労働省情報>
化学物質による労働災害防止のための新たな規制について
化学物質による労働災害を防止するため、令和4年5月31日に労働安全衛生規則等の一部が改正され、令和5年4月1日以降、新たな規制が順次始まります。
新たな規制では、化学物質関係の特別規制(有機則、特化則等)の対象外であった有害な化学物質を主な対象として、国によるばく露の上限となる基準の策定、危険性・有害性情報の伝達の整備拡充等を前提に、事業者がリスクアセスメントの結果に基づき、ばく露防止のための措置を適切に実施していくことが求められます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html
2023年4月から第14次労働災害防止計画が始まります
「労働災害防止計画」とは、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画です。
厚生労働省は、中小事業者なども含め、事業場の規模、雇用形態や年齢等によらず、どのような働き方においても、労働者の安全と健康が確保されていることを前提として、多様な形態で働く一人ひとりが潜在力を十分に発揮できる社会を実現に向け、国、事業者、労働者等の関係者が重点的に取り組むべき事項を定めた2023年4月~2028年3月までの5年間を計画期間とする「第14次労働災害防止計画」を2023年3月8日に策定しました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197308.html
令和5年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施します
職場における熱中症予防対策を徹底するため、令和5年5月から9月まで、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施します。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31485.html
第74回全国労働衛生週間スローガンの募集について
多くの方に「労働衛生」についての意識を深めていただくために、毎年10月に行われている全国労働衛生週間のスローガンを募集します。
募集期間は、令和5年4月1日~4月30日までです。
https://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p20230323-01.html
一人親方等の安全衛生対策について
労働安全衛生規則等の改正により、令和5年4月1日から、作業を請け負わせる一人親方等や、同じ場所で作業を行う労働者以外の人に対しても、労働者と同等の保護が図られるよう、新たに一定の措置を実施することが事業者に義務付けられます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/newpage_00008.html
ポータルサイト「あかるい職場応援団」について
ポータルサイト「あかるい職場応援団」では、職場のハラスメント対策に関する様々な資料や動画教材等が掲載されています。
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
「賃金引き上げ特設ページ」について(再掲)
https://pc.saiteichingin.info/chingin/
<鹿児島労働局情報>
鹿児島県内の労働災害発生状況
○ 令和4年発生分(令和5年2月末速報)
□ 死亡者数は11人で、前年同期比で11人(50.0%)減少。
□ 休業4日以上の死傷者数は4,381人で、前年同期比で2,160人(97.3%)増加。
死傷者数のうちコロナ罹患者は2,352人、コロナ罹患者を除く死傷者数との比較では、前年同期比で44人(2.1%)の減少。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r4saigai_2023-0317-2.pdf
○ 令和5年発生分(2月末速報)
□死亡者数は1人で前年同期と同じ。
□休業4日以上の死傷者数は352人で、前年同期比で80人(29.4%)増加。
死傷者数のうちコロナ罹患者は149人、コロナ罹患者を除く死傷者数との比較では、前年同期比で9人(4.2%)の減少。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r5saigai_2023-0313-2.pdf
鹿児島県SAFE協議会について
労働災害による死傷者数は、第三次産業(特に小売業及び社会福祉施設)を中心に増加傾向にあり、特に転倒災害や腰痛等といった、労働者の作業行動を起因とする労働災害(いわゆる「行動災害」)の増加が課題となっています。
鹿児島労働局では、小売業を営む多店舗展開企業及び複数の介護施設を展開する法人を対象に、県内で波及効果が期待されるリーディングカンパニー等を構成員とする「鹿児島県小売業SAFE協議会」及び「鹿児島県介護施設SAFE協議会」を立
ち上げ、構成員の安全衛生管理の好事例等を管内事業場へ水平展開する等、労働安全衛生に対する機運醸成を図ることとしています。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/anzen_eisei/anzen/2023-0303-3.html
<新型コロナウイルス関連情報>
新型コロナウイルスに関連するQ&A(厚生労働省)
▼企業の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
▼労働者の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html
職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(日本渡航医学会)
https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html
編集後記
今年度は、当センターも産業保健推進センター、メンタルヘルス対策支援センター、地域産業保健センターの3事業を統合して現在の産業保健総合支援センターとなってから10年目になります。新年度となれば官公庁だけでなく多くの職場でも人事異動や新人を迎えての構成員変更が行なわれます。構成メンバーに殆ど変更のない職場もありますが、人事面の変更が大きければ職場環境も変化します。作業環境も作業態様も経済状況と国内外の政治状況の動向で大きく影響されますので、産業医や産業保健スタッフのみでの対処には限界がありますが、可能な限り働きやすい職場環境構築の努力を続けることは重要で、そのためには職場の人間関係も大きな要点となります。
職場での人的環境は、作業環境管理と作業管理の両面から捉えて行くことが必須ですが、単独作業や管理監督者でない限り殆どの労働者は上司同僚を選ぶことはできません。どのような人間関係を構築するかが重要な課題となりますが、誰もが良好な協調性を持っているとは限りません。
最近ではメンタル障害のある人が程度の差を問わず増加しているようです。プレゼンティーズムの増加も指摘されていますが、軽度の認知障害も無視できない産業保健課題になっています。これらは軽度の障害であっても作業能率の低下だけでなく作業内容によっては対処すべき危険因子でもあります。
誰もがその時の心身の健康状態と能力に応じて、意義と価値を見出して作業できる条件を整えていくことは産業保健の基本的課題と考えています。