お知らせ

メールレター 第244号

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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第244号(2023.7)

   発行:鹿児島産業保健総合支援センター
              所長 草野 健
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相談員からのメッセージ

使いやすい道具とは

産業保健相談員 岡村 俊彦
(鹿児島県立短期大学 教授)
(担当分野:労働衛生工学)

仕事でも普通の生活でも我々はさまざまな道具を使います。では,使いやすい道具,というのはどういうものでしょうか?使いやすさ(ユーザビリティ)と便利さ(ユーティリティ)は似ているようで違います。便利な道具というのは,その道具で何ができるか,どういう機能を持っているのか,ということですが,使いやすさというのは使う人(ユーザー)にとってその機能がうまく使えるようにできているか,ということです。

使いやすいものを考えるということはユーザーがどのようにその道具と接しているかというヒューマンインターフェイス(UI)を考えることになります。優れたヒューマンインターフェイスには(1)わかりやすい表示,(2)自然な操作,(3)表示と操作が連携という3つの視点があります。一つ目の表示とは,視覚,聴覚など五感を使ってユーザーに認知しやすくなっているかということです。二つ目の操作とは,手や指などユーザーの身体形状や関節の動きに無理なく自然に使えるか,ということです。三つ目の連携とは,ユーザーがその道具を見て(触って),期待通りに操作すればその機能を使えるようになっているか,ということです。使いやすい道具は,早くできて,正確にできて,疲れにくく,安全で,使い方を覚えやすい(忘れにくい)ものであり,「楽して」,「いい仕事」ができます。

近年はユーザーが道具を使って得られる体験,UX(ユーザーエクスペリエンス)という概念も注目されています。とくにスマホのアプリなど,ソフトウェアを含めた道具の「使いやすさ」はユーザーの満足度に直結するものです。皆さんも道具選びの際は機能だけでなく「使いやすさ」に注目してみてはいかがでしょうか?

研修セミナーのご案内 (7月~9月開催分 受付中!)

【定 員】20名
【会 場】光健ボイスビル2F
※7/22(土)、8/26(土)、9/9(土)、9/30(土)は県医師会館3F 中ホール
※7/29(土)は県医師会館4F 大ホール

┏―[ 詳細・申込はこちらから ]―――――――――――┓
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
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働く人の「こころ」と「からだ」の健康づくりセミナー
~コラボヘルスと事業場の取組事例~ 開催のご案内(再掲)

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日 時 令和5年7月25日(火)14時~16時
場 所 鹿児島県医師会館 3階中ホール2 (鹿児島市中央町8-1)
内 容 第1部「事業場における労働者の健康保持増進のための指針の解説」
講師:鹿児島産業保健総合支援センター 副所長
第2部「事業場におけるコラボヘルスの推進」
講師:全国健康保険協会 鹿児島支部 企画総務部 保健グループ 職員
第3部「事業場における取組事例」
講師:事業場 産業保健スタッフ
対象者 事業者、衛生管理者、人事労務担当者など
定 員 65名(先着順となります)
受講料 無料
申込期限 令和5年7月18日(火)まで
申込方法 HPメールフォーム https://ssl.formman.com/t/rtbm/

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メンタルヘルス対策セミナー
~ハラスメントのない職場づくりを目指して~ 開催のご案内(再掲)

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日 時 令和5年8月4日(金)14時~16時
場 所 マリンパレスかごしま(鹿児島市与次郎2丁目8-8)
対象者 事業者、衛生管理者、人事労務担当者など
内 容 第1部「これだけは知っておきたい!事業場のハラスメント対策」
第2部「セルフケア~自分の健康は自分で守ろう~」
定 員 30名(先着順となります)
受講料 無料
申込期限 令和5年7月28日(金)まで
申込方法 HPメールフォーム https://ssl.formman.com/t/qLRH/

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

治療と仕事の両立支援について

治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、鹿児島産業保健総合支援センターの両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。

▼治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765

医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、、事前予約の状況等により、窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。

メンタルヘルス対策支援について

当センターのメンタルヘルス対策促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。

また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。

▼メンタルへルス対策支援(支援内容、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental

地域産業保健センター(地域窓口)について

各地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。

▼地域産業保健センターについて
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638

<労働者健康安全機構情報>

令和5年度「両立支援コーディネーター基礎研修」の研修日程

令和5年度の両立支援コーディネーター基礎研修(第1回~第3回)の日程が決定しました。昨年度に引き続きオンライン形式での開催となります。
応募多数の際は先着順ではなく抽選を行いますので、受講を希望される回の募集期間内にご応募ください。現在、第1回目の募集は終了しましたが、第2回と第3回の募集期間は、7月19日13時から8月1日17時までとなっています。
※第4回以降の日程(同規模開催を予定)については、後日公開を予定しております。詳細については、労働者健康安全機構ホームページの「両立支援コーディネーター基礎研修」ページをご覧ください。
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/2126/Default.aspx

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
▼「生活習慣病」について
https://www.research.johas.go.jp/seikatsu2018/index.html
▼「アスベスト」について
https://www.research.johas.go.jp/asbesto2018/
▼「メンタルヘルス」について
https://www.research.johas.go.jp/mental2018/index.html

★「早期復職」について
○現在、がんはわが国における死因のトップであり、2~3人に1人は生涯の間にがんと診断されます。また、がんと診断された方の3人に1人は就労可能な年齢でがんと診断されており、がんと診断された後も仕事を続ける勤労者は、今後増えることが予想されています。

○がん患者さんが復職するために最も重要なことは、体力の維持・増進とされており、そのためには「運動療法」と「食事療法」が効果的であると考えられています。

○平成30年7月から開始した本研究(「消化器癌(食道癌、胃癌、大腸癌)手術患者における蛋白質の補充と運動療法が骨格筋の増加に及ぼす影響に関する研 究」)は、がん治療のために手術を受ける患者さんを対象として、持久力や筋力を強化する「運動療法」と、最適な蛋白質を摂取する「食事療法」を手術前から一定期間実施します。退院後9週目まで血液検査や体力測定等を行うとともに、復職の状況を調査します。

○復職を目指すがん患者さんに対して、「運動療法」と「栄養療法」を行い、持久力や筋力の効率的な改善ができれば、患者さんの早期復職とキャリア維持および職業生活の維持に大きく寄与することができると考えています。

○中間報告として、令和4年6月までに予定登録数の50症例を収集し、統計解析を実施しています。令和5年度中に研究成果を取りまとめる予定です。

○本研究の詳細については、「労災疾病等医学研究普及サイト」をご覧ください。
https://www.research.johas.go.jp/souki2018/index.html

<厚生労働省情報>

「建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画」が変更されました

建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律に基づき、6月13日、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画の変更が、閣議決定されました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33559.html

令和5年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」が実施

厚生労働省は5月29日、2022年の職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確報値)を発表しました。職場での熱中症による死傷者(死亡および休業4日以上の業務上疾病者)数は827人、うち死亡者数は30人となっています。過去10年間の死傷者数をみると、2013年~17年は400~500人台で推移しており、記録的猛暑となった2018年(1,178人)に最多を記録して以降、変動があるものの減少しています。

18年以降の発生状況について、業種別では建設業、製造業で多く、年齢別では全体の約5割を50歳以上が占めています。また、あわせて実施中の「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」(5月31日から9月30日まで)について、周知しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33275.html
▼令和4年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001100761.pdf
▼「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施要綱
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001100767.pdf
▼リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001100768.pdf

令和4年労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)の概況

主要産業における労働災害の発生状況を明らかにすることを目的とした調査の令和4年分が公表されました。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/22/

<鹿児島労働局情報>

鹿児島県内の労働災害発生状況

○令和5年発生分(5月末速報)
□死亡者数は6人で前年同期より3人(100%)減少。
□休業4日以上の死傷者数は1,081人で、前年同期比で24人(2.3%)増加。
死傷者数のうちコロナ罹患者は389人、コロナ罹患者を除く死傷者数との比較では、前年同期比で36人(5.5%)の増加。

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r5saigai_2023-0612-4.pdf

編集後記

人工知能(AI)の進歩には凄まじいものがある。ICTの発達による情報革命(デジタル革命)と言われた第3次産業革命に続く第4次産業革命の時代に入っているようだ。

創造的でない仕事の大部分は機械が担うようになるだけでなく人体改造にまで及びポストヒューマン時代も予想されるようになった。情報機器の急速な発展と多様化は、その変化について行けない高齢労働者にはその使用自体が大きなメンタルストレスになる。労働現場で使用される機器のみでなく、業務上使用される用語もカタカナ語が氾濫し置き去りにされる者も多数現出する恐れもある。

デジタル化できる情報の整理・分析やその後の最適解の判断はAIが遥かに迅速・正確にできるようになり、マニュアル(手順や指針)に従う作業ならAIが遥かに高い確実性で実施できる。そうなった時ヒトは何をするのか。AIに隷属しその指示に従って仕事するか、それともAIに指示し活用する立場になるか。

欧州的思想では労働は本来苦役で何らかの対価を得るためのものであったが、日本には労働はそれ自体が喜びであり目的という思想があった。手順や指針のみに従う作業であれば労働自体に価値や喜びを見出すことは困難。それらの作業は機械化して、数値化できない要素、人間の感性や工夫を重視する作業に重点を移すことが職業性ストレス軽減の最も効果的対策である。

高齢者だけでなく情報技術(IT)関連に“弱い”人たちを切り捨てないためにも、手順や指針を絶対視しない姿勢を広めたいものである。