メールレター 第246号
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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第246号(2023.9)
発行:鹿児島産業保健総合支援センター
所長 草野 健
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相談員からのメッセージ
自律的な化学物質管理にむけて その2
産業保健相談員 中甫木 直樹
(なかほぎ労働衛生コンサルタント事務所)
2022年の法令改正をうけて、ラベル表示・SDS等による通知およびリスクアセスメントの義務となる対象物質が、これまで674物質であったものが、2024年4月以降には約2900物質と段階的に大きく増えることとなります。このため多くの事業所の担当者の皆様方、産業医をはじめとする産業保健スタッフの皆様方が、準備と対応をされていることと思います。
法令改正において、新たに義務となったり、あるいは注意が必要となったりする事項を以下にあげます。
- GHS分類済物質の取り扱いがある場合、リスクアセスメントの実施、化学物質管理者の選任が必要となります。GHS分類済物質製造の事業者(※)については、化学物質管理者選任の際、専門的講習の修了者から選任しなければならないので注意されてください。また、GHS分類済物質製造をしていない事業者でも、専門的講習の受講を推奨されております。
※GHS分類済物質の混合物を製造する事業者は、GHS分類済物質の製造事業者に含まれておりますので、留意されてください。 - 労働者のばく露防止措置の方法として、保護具を使用する場合、保護具着用管理責任者の選任が必要となります。
- 直接接触の防止として、皮膚の刺激・傷害性・皮膚吸収による健康障害が起こるおそれがないことが明らかなもの以外の物質取扱い時の防護具の使用が義務となります。すでにGHS分類済み物質以外の物質についても措置義務がかかっていることに留意する必要があります。
- 雇い入れ時等の教育で取り扱う化学物質に関する危険有害性の教育が全業種で必要となります。
- 衛生委員会の付議事項に、従来の付議事項に追加して、自律的な管理の実施状況の調査審議の付議事項が必要となりました。
- GHS分類済物質を、他の容器に移し替えて保管する際にもラベル表示や文書の交付等が必要となります。
化学物質管理者の専門的講習については、中災防の他、関係団体が講習を実施しておりますが、申し込みが集中し、スムーズに受講できない可能性が予測されますので、早めの準備をしていただくようお願いいたします。
今回の法令改正についてのチェックリストを厚生労働省、及び労働安全衛生研究所が作成しております。先に挙げた項目の他にも確認すべき事項、注意すべき事項がありますので、ご確認をお願いいたします。
新たな化学物質規制が 導入されます
https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/content/contents/001277415.pdf
化学物質の自律的な管理へ -産業医向け-(令和5年6月)
https://www.jniosh.johas.go.jp/groups/ghs/doc/manualForDoctors.pdf
参考:中甫木相談員の前回のメッセージは第238号(2023.1)に掲載しています。
研修セミナーのご案内 (9月~11月開催分 受付中!)
【定 員】20名
【会 場】光健ボイスビル2F
※9/9(土)、9/30(土)、11/18(土)は県医師会館3F 中ホール
┏―[ 詳細・申込はこちらから ]―――――――――――┓
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
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「治療と仕事の両立支援 Webセミナー」のご案内(再掲)
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当センターでは、治療と仕事の両立支援の事業に関する「事業者・人事労務担当者」向けのセミナーを開催します。多くの皆様のご参加をお待ちしております。
日 時 | 令和5年9月26日(火)14時~16時15分 |
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対象者 | 事業者・人事労務担当者となりますが、産業保健スタッフの参加も受付けます |
内 容 | 第1部「治療と仕事の両立支援」に関連する労働法について 講師:鹿児島産業保健総合支援センター 両立支援促進員 第2部 働く女性の健康 ~今、職場でできること~ 講師:鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健専門職(保健師) |
定 員 | 20名 |
申込方法 | HPメールフォーム https://ssl.formman.com/t/BFQf/ |
申込期限 | 令和5年9月19日(火)まで |
開催方法 | オンライン(Zoom使用) ※オンライン研修のため、日医認定産業医研修の単位取得はできません。 |
お知らせ
<鹿児島産業保健総合支援センター>
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。
治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase
治療と仕事の両立支援について
治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、鹿児島産業保健総合支援センターの両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。
▼治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765
医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、、事前予約の状況等により、窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。
メンタルヘルス対策支援について
当センターのメンタルヘルス対策促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。
また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。
▼メンタルへルス対策支援(支援内容、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental
地域産業保健センター(地域窓口)について
各地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。
▼地域産業保健センターについて
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638
職場における熱中症予防対策の徹底について
全国の7月までの死傷者数計(死者・休業4日以上)が過去2番目の多さとなり、特に7月単月では最多となりました。また、例年8月は発生件数が多く、9月においても引き続き、熱中症予防対策に万全を期するため、STOP!熱中症クールワークキャンペーン等に基づき、一層の取り組みを進めていただくようお願いします。
▼職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について(令和3年4月20日付け基発0420第3号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000633853.pdf
▼STOP!熱中症 クールワークキャンペーン
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116133.html
▼環境省:熱中症警戒アラート
https://www.wbgt.env.go.jp/alert.php
衛生管理者向けアンケートご協力のお願いについて
衛生管理者を対象とした支援サービス改善の参考とするため、衛生管理者向け研修会等の支援を行っている全国衛生管理者協議会がアンケートを実施しております。ご協力をお願いいたします。
▼衛生管理者様アンケートへの調査ご協力依頼(PDF)
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2023/08/eiseikanrisya-anke-to.pdf
▼アンケート(所要時間10分)
https://forms.gle/2DFQ1zFT45DWivwr8
▼全国衛生管理者協議会
https://www.jisha.or.jp/eisei-kyogikai/index.html
令和5年度「母性健康管理研修会」の開催について
厚生労働省から委託を受けた一般財団法人女性労働協会が実施する研修会になります。
女性労働者が妊娠・出産を迎えても安心して働き続けられるようにするためには、男女雇用機会均等法や労働基準法に基づく母性健康管理や母性保護の適切な実施が重要です。
研修会では、女性労働者の妊娠・出産に適切に対応できるよう、妊娠中に起こりやすい症状および母性健康管理の法律、制度について専門家が解説します。また、企業がとるべき具体的な対応策について、事例を用いてくわしく解説します。
▼研修会の詳細・お申込
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/kenshu/
<労働者健康安全機構情報>
令和5年度「両立支援コーディネーター基礎研修」の研修日程
令和5年度の両立支援コーディネーター基礎研修は、昨年度に引き続きオンライン形式での開催となります。応募多数の際は先着順ではなく抽選を行いますので、受講を希望される回の募集期間内にご応募ください。
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/2126/Default.aspx
がん分野勤労者医療フォーラムの開催について
労働者健康安全機構(東京労災病院)では、がんにおける治療と就労の両立支援の取組状況を踏まえて、今後の両立支援のあり方を検討する「がん分野勤労者医療フォーラム」を次のとおり開催します。
このセミナーでは、厚生労働省、東京都大田区内の企業、医療機関及び労働者健康安全機構(産業保健総合支援センター・労災病院)より両立支援の取組状況を講演のうえ、各演者による両立支援に係る現状と課題についてのパネルディスカッションを行います。
両立支援に関係する医療従事者、産業医・産業保健スタッフ、企業関係者など皆様のご参加をお待ちしております。
【事前申し込み制・参加無料】
【日時】令和5年9月30日(土)13時00分~15時45分
【開催形式】Web・会場のハイブリッド開催
(1) オンライン→【Zoom】(先着500名)
(2) 会場→TKP Luz大森カンファレンスセンター(近隣者優先:30名)
【詳細と申込はこちらから】https://www.tokyor.johas.go.jp
労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。
▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
▼「生活習慣病」について
https://www.research.johas.go.jp/seikatsu2018/index.html
▼「メンタルヘルス」について
https://www.research.johas.go.jp/mental2018/index.html
▼「アスベスト」について
https://www.research.johas.go.jp/asbesto2018/
また、当機構では、じん肺健康診断に従事する医師を対象として、必要な法制度の知識及び専門技術の修得を目的とした「じん肺診断技術研修」を年1回開催しております。
この研修では、長年じん肺の研究に従事した複数のじん肺専門医師が講師を務め、研究で得た最新の知見や診断技術等を織り交ぜた講義を行っております。
令和5年度の「じん肺診断技術研修」につきましては、11月30日(木)~12月1日(金)の2日間で開催予定です。
詳細は、当機構のホームページにて掲載予定です。
また、当機構の「労災疾病等医学研究普及サイト」において、令和4年度に開催した研修の様子などを紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
▼「じん肺診断技術研修」について
https://www.research.johas.go.jp/jinpaikenshu/
<厚生労働省情報>
令和5年度「全国労働衛生週間」を10月に実施します
10月1日(日)から7日(土)まで、令和5年度「全国労働衛生週間」を実施します。今年のスローガンは、「目指そうよ二刀流 こころとからだの健康職場」です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34356.html
9月は「職場の健康診断実施強化月間」です!
労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断の実施、その結果についての医師の意見聴取及びその意見を踏まえた就業上の措置の実施について、事業者の皆様に改めて徹底していただくことを促すため、毎年9月を「職場の健康診断実施強化月間」と位置付け、集中的・重点的な指導を行っています。
【報道発表資料】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34664.html
■令和5年度職場のメンタルヘルスシンポジウム「中小企業におけるメンタルヘ
ルス対策~労働者への支援が企業価値につながる~」開催のご案内(厚生労働省
委託事業「一般社団法人日本産業カウンセラー協会こころの耳運営事務局」)
令和5年10月10日(火)に、中小企業の人事労務担当者や経営者の皆様を中心にお役立ていただけるシンポジウムがオンラインにより開催されます。
参加無料ですので、参加を希望される場合は以下のURLよりお申し込みください。
シンポジウムの内容も確認いただけます。
【こころの耳(シンポジウム案内)URL】
https://kokoro.mhlw.go.jp/mental_sympo/2023/
<鹿児島労働局情報>
鹿児島県内の労働災害発生状況
○令和5年発生分(7月末速報)
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/jirei_toukei/toukei/saigaitoukei_jirei.html
最新の業種別労働災害発生状況
⇒「令和5年における業種別労働災害発生状況」をクリック
編集後記
数千年前から積み重ねられてきた先達の「智慧」も効力を発揮できないような現象が自然界・人間界問わず世界中至るところで頻発しているが、その一因が飽くなき利益増大・利便性増加への欲求に基づく経済活動にあるのは間違いなさそうだ。「自然」を改変・破壊してでも技術革新を繰り返して「発展」を目指すことは、労働現場では作業者の理解できない機器や物質等のブラックボックスが増加に繋がり職業性ストレスは増強一方となる。
職業性ストレスの大きな要点の一つに「疎外された労働」が挙げられるが、労働力が資本の一部として使用者=資本家に売り渡されること自体が既に疎外性を持つ中で、作業にブラックボックスが多ければ労働疎外は益々大きく増大することになる。日常生活の場でも情報技術が進歩し各種情報機器が普及し、経済格差や世代間意識格差なども拡がる等ストレスの多い社会の中にさらに職業性ストレスも加わればメンタル障害者が増えるのは当然といえる。
職場におけるメンタルヘルス対策の基本は、労働現場から意味を見いだせない作業や危険度を理解できない作業をなくし、ブラックボックスを極力減らし、安全・安心が担保された有意義な作業のみで成り立つ事業を追求することにあると思われる。そのためにも、自然を人間のために破壊してでも利用するという思想ではなく、また人間中心の「自然との共生」でもなく、「自然の恵み」を自然の摂理に従って享受するという謙虚な姿勢が不可欠であろう。