お知らせ

メールレター 第224号

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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第224号
               2021/11/1

   発行:鹿児島産業保健総合支援センター
              所長 草野 健
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相談員からのメッセージ

コロナ禍と結核

産業保健相談員 徳留 修身
        (担当分野:産業医学)

全国の結核新登録患者数および年末現在の登録者数が結核予防会結核研究所のホームページの「日本の統計(疫学情報センター)」で公表されている。2020年(令和2年)までの統計によると、結核の罹患率(人口十万対)は2015年以降、14.4, 13.9, 13.3, 12.3, 11.5, 10.1となっており、2019年から2020年の減少幅は近年では最大である。しかし、これに新型コロナが関連しているかどうかの判断には注意が必要であろう。

まず新型コロナ対策として「3密」を避けることやマスクの着用などの予防活動が副次効果として感染を防いでいるという見方は急性感染症には成り立つ可能性があるが、これを結核に当てはめるには無理がある。結核では感染から発病まで概ね6か月以上2年程度(その後は減少)の期間があり、しかも発病から受診、診断確定、保健所への届出まで過剰な時間を要する例があるため、感染予防活動の改善がその年の結核の統計に与える影響は限定的であろう。

これに対し新型コロナの蔓延に伴う「受診の抑制」が結核の新登録患者数減少の主な原因であろうという推定もなされている。緊急事態における各種の制限が受診行動の抑制や自粛をもたらしているのであれば、発生件数の減少は報告件数の減少による「見かけの改善」の可能性がある。結核における「受診の遅れ」は重症化をもたらす要因となる。

ここで結核における受診や診断の遅れについて定義を紹介する。症状(咳や痰)の出現から受診までに2ヵ月以上を要した例は「受診の遅れ(Patient’s Delay)」と区分され、労働者の年齢層に該当例が多い傾向がある。受診から診断までに1ヵ月以上を要した例は「診断の遅れ(Doctor’s Delay)」と区分され、皮肉なことに労働者の年齢層での該当例は比較的少ない。受診が遅れて重症化しているため早く診断されやすいことによる。症状出現から診断までに3ヵ月以上を要した例は「発見の遅れ(Total Delay)」とされ、労働者の年齢層に該当例が多い。受診や発見の遅れは重症化と感染拡大のリスクを高めるため、啓発の強化と受診しやすい労働環境の整備は産業保健における課題の一つであろう。

研修セミナーのご案内

下記、セミナーはどなたでも参加できます。
参加される皆様は、新型コロナウイルスの感染予防対策(以下URL)にご協力ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2020/05/kensyu-kai.pdf

≪ 11月 ≫【定員】14名【会場】光健ボイスビル2F ※11/13を除く
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11月4日(木)14:00~16:00
「うつ病について-復職支援プログラムも含めて-」赤崎先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

11月9日(火)18:00~20:00 ※満席
「循環器疾患と職場の健康対策について」前田先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

11月12日(金)14:00~16:00 ※満席
「復職支援と両立支援」小田原先生
日医認定産業医:生涯(更新)2単位

11月13日(土)14:00~16:00 ※定員30名
「職場の結核対策」徳留先生
※会場:鹿児島県医師会3F中ホール(鹿児島市中央町8-1)
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

11月18日(木)14:00~16:00
「知っておきたい職場の安全管理と安全配慮義務」黒沢先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

11月22日(月)14:00~16:00 ※満席
「私はこのような職場巡視をしています」冨宿先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

11月26日(金)14:00~16:00
「職場風土をかえる適正飲酒保健指導」德永先生
日医認定産業医:生涯(実地)2単位

11月30日(火)18:00~20:00 ※満席
「歯周病とメタボリックシンドローム~歯周病の予防と悪化防止~」門松先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

≪ 12月 ≫【定員】14名【会場】光健ボイスビル2F ※12/11を除く
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☆12月7日(火)14:00~16:00
「作業環境測定への個人サンプリング法の導入と溶接ヒュームの測定手順」東先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆12月7日(火)16:10~17:10
「労働衛生関係法令」当センター副所長
日医認定産業医:生涯(更新)1単位

☆12月9日(木)14:00~16:00
「ストレスマネジメント(呼吸法および自律訓練法)」網谷先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆12月11日(土)14:00~16:00 ※定員30名
「高齢者を雇用するときに気を付けること」冨宿先生
※会場:鹿児島県医師会3F中ホール(鹿児島市中央町8-1)
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

☆12月17日(金)14:00~16:00
「ハラスメントのメンタルヘルス・カウンセリング-Ⅳ
~パワハラ、セクハラ(トラウマ・PTSD)をめぐって~」久留先生
日医認定産業医:生涯(専門)2単位

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◇…産業医対象
●…産業保健スタッフ対象
☆…産業保健スタッフ・産業医対象
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▼詳細・申込
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335

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「過労死等防止対策推進シンポジウム」のご案内

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近年、働き過ぎやパワーハラスメント等の労働問題によって多くの方の尊い命や心身の健康が損なわれ深刻な社会問題となっています。
シンポジウムでは、有識者や過労死で亡くなられた方のご遺族にもご登壇をいただき、過労死等の現状や課題、防止対策について探ります。

日時 令和3年12月3日(金)13:30~15:30(13:00~受付開始)
場所 TKPガーデンシティ鹿児島中央 3F薩摩ホール
(鹿児島市中央町26-1 南国アネックス)
内容 基調講演「メンタルヘルスと働き方改革」
山本 勲 氏(慶應義塾大学商学部 教授)

過労死遺族による体験談発表
桐木 弘子 氏(東九州過労死等を考える家族の会 代表)

▼シンポジウム案内・FAX申込
https://www.p-unique.co.jp/karoushiboushisympo/pdf/kagoshima.pdf
▼ポータルサイト(厚生労働省HP)より申込
https://www.p-unique.co.jp/karoushiboushisympo/

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。電話やホームページからもお気軽にご相談ください。(オンラインによる相談も可能です。)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

治療と仕事の両立支援について

治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、鹿児島産業保健総合支援センターの両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)

また、両立支援促進員が、事業場を訪問して事業場内の支援体制、勤務・休暇制度、各種規程等の整備、両立支援に関する教育など両立支援制度の導入に向けた支援を行うほか、患者(労働者)からの申出を受け、就労継続や職場復帰に関する事業場との調整支援を行います。

両立支援に関する相談、各種支援は無料です。
○治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765

なお、医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、新型コロナウイルスの感染状況により、医療機関の相談窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。

メンタルヘルス対策支援について

当センターのメンタルヘルス対策促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し「心の健康づくり計画」の策定、相談体制の整備、職場環境の把握と改善、管理監督者向けや若年労働者(含む全社員)向けのメンタルヘルス教育・研修、メンタルヘルス不調者の職場復帰支援など、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。

また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental

地域産業保健センター(地域窓口)について

鹿児島県内7か所に地域産業保健センター(地域窓口)を設置し、労働者数50人未満の小規模事業場に対する健康相談、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638

<労働者健康安全機構情報>

「令和3年7月豪雨災害被災者のための心と健康の相談ダイヤル」について(再掲)

「令和3年7月豪雨災害被災者のための心と健康の相談ダイヤル」

フリーダイヤル 0120-200-826
※全国どこからでも、携帯電話やPHSからも無料で利用可能

  • 受付日時 平日(10 時 00 分~17 時 00 分/土日祝日を除く)
  • 対象者 被災された住民の方(事業者、労働者及びその家族等)
    相談例:人間関係の悩みなどでの強いストレスや不安について
        エコノミークラス症候群などの健康管理や感染対策などの健康不安について

令和3年度両立支援コーディネーター基礎研修開催のご案内(再掲)

第8回、第9回の研修日程が公開されています。募集開始は12月20日からです。
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1968/Default.aspx

事業場における保健師・看護師の活動実態に関する調査報告書について

令和2年度の調査報告が掲載されています。
https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/pdf/hokenshitou_katsudojittai_chosahokokusho.pdf

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

○労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
○「病職歴調査」について
http://www.research.johas.go.jp/bs/index.html
○「令和2年度入院患者病職歴基礎解析」について
https://www.research.johas.go.jp/bs/doc/20210402.pdf
○「職業関連癌」について
https://www.research.johas.go.jp/shokugyo2018/index.html
○「生活習慣病」について
https://www.research.johas.go.jp/seikatsu2018/index.html
○ 平成29年度までのアスベスト研究について
https://www.research.johas.go.jp/asbesto2015/
○ 現在のアスベスト研究の詳細について
https://www.research.johas.go.jp/asbesto2018/
○「勤労世代肝疾患」について
https://www.research.johas.go.jp/kinrou2018/index.html

<厚生労働省情報>

11月は「過労死等防止啓発月間」です

厚生労働省では、11月を「過労死等防止啓発月間」と定め、過労死等をなくすためにシンポジウムやキャンペーンなどの取組を行います。この月間は、「過労死等防止対策推進法」に基づくもので、過労死等を防止することの重要性について国民の自覚を促し、関心と理解を深めるため、毎年11月に実施しています。

【報道発表資料】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20865.html
【過重労働解消キャンペーン特設ページ】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign.html

令和3年度治療と仕事の両立支援シンポジウムについて

令和3年度もオンライン配信で開催されます。
https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/symposium/2021/

脳・心臓疾患の労災認定基準を改正しました(再掲)

【報道発表資料】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21017.html
【改正概要】
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000832041.pdf
【改正通達 本文】
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000832042.pdf

「ラベルでアクション」ツールについて

令和3年度 厚生労働省委託事業「ラベル・SDS活用促進事業B(普及・教育)」 の受諾先であるテクノヒル株式会社より、労働災害防止のための「ラベルで アクション」ツールが提供されています。

○ラベルでアクションリーフレット
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2021/10/label.pdf
○絵表示確認表カード
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2021/10/kakunincard.pdf
○化学物質管理に関する相談等のご案内【テクノヒル株式会社】
https://www.technohill.co.jp

<鹿児島労働局情報>

令和3年の労働災害発生状況

○令和3年(9月末速報)
□ 死亡者数は19人で、前年同期比で5人(35.7%)増。
□ 休業4日以上の死傷者数は1410人で、前年同期比で85人(6.4%)増。

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/r3saigai_2021-1011-2.pdf

<新型コロナウイルス関連情報>

新型コロナワクチン接種後の副反応への対応方法(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/000830259.pdf

職場における新型コロナウイルス感染症対策のための業種・業態別マニュアル(日本産業衛生学会)

https://www.sanei.or.jp/?mode=view&cid=444

職域接種に関するお知らせ(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_shokuiki.html

新型コロナワクチンについて(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html

新型コロナウイルスに関連するQ&A(厚生労働省)

○企業の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
○労働者の方向け
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html

職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(日本渡航医学会)

https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html

編集後記

今回の衆議院選挙は自公政権継続が選択されたと言えるであろうが、投票率6割にも満たない選挙がどれ程「民意」を反映しているのであろうか。「選挙」による民主主義は文明発祥以来数千年~1万年を経て獲得した最良の社会制度といえるが、民主主義がその良さを発揮するには少数意見・反対意見を尊重し採り入れる姿勢が不可欠である。その対極にある国・政府が増加する傾向にあるが、我が国がその轍を僅かでも踏まないことを願わずにははいられない。

COVID-19襲来以来産業保健活動の在り様も少なくない影響を受けてきたが、密を避けITを駆使する、職場でのワクチン集団接種など各々の事業場の状況に応じてそれなりに工夫が為されてきたようだ。

産業保健の目的は、労働による健康障害を予防することにあるが、理想的にはむしろ「働くことでより健康になる」にある。そのためには3管理・5管理を確実に実施することが重要だが、同時に医師は「国民の公衆衛生普及と健康水準向上」という責務があることからも特に産業医は産業社会の在り様にまで視点を拡げる必要がある。

日本の特殊出生率は1.4にも満たず、概ね2.0前後の欧米諸国に比べかなり低い値で推移している。出生率の低下は将来の労働人口の減少を意味する。それは、産業の在り方を大きく変化させると同時に、労働衛生の在り様にも甚大な影響を及ぼす。産業保健に携わる者は、長期的視野も持って社会全体の人口動態も注視していく必要がある。新政権にも労働人口動態の在り様を重視する政策を望みたい。