お知らせ

メールレター 第251号

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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第251号(2024.2)

   発行:鹿児島産業保健総合支援センター
              所長 草野 健
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相談員からのメッセージ

「メンタルヘルス」のありようと「ネガティブ・ケイパビリティ」をめぐって

産業保健相談員 久留 一郎
(鹿児島大学名誉教授・鹿児島純心大学名誉教授)
(担当分野:カウンセリング)

「メンタルヘルス」の世界は曖昧模糊とした、アナログ的な精神心理的世界が広がっているように見える。例えば、デジタル的なエビデンス中心(MRI,レントゲン検査など)のポジティブ・ケイパビリティ一の世界とはかなり異なった世界がある。

「夜の山の中で怪しげなモノがうごめいている」という噂を確認するため村人が警備に入ることになった。村人は松明を掲げその怪しげな正体を捉えたいがよくわからない。そのとき警備隊の隊長は村人に「明かりを消せ」と命じます。山の中は真っ暗になり何も見えなくなるが、村人は目をこらし、匂いをかぎ、空気の流れに肌を晒します。

暫くすると暗闇になれた目に見えないモノがそっと浮かび上がってきたり、聞こえない音がかすかに感じられたりするようになる。私たちのデジタルな明るさになれた視力(眼)、聴力(耳)、などの感覚では「メンタルヘルスの世界」は捉えにくい。例えば、不安は「感じることができる」が、形も重さも匂いもない。何グラムの不安?どんな形の不安なのか?ポジティブ・ケイパビリティ(デジタル)の世界ではより強いあかりを求め隅々まで照らす。実はエビデンス(モノ)が存在していても、明かりに慣れた目は隅々の暗闇の正体(コト)は見えなくなる。ここにメンタルヘルスを行う人間が見損ない、聞き損ないをする危険性が見え隠れするメンタルヘルスの世界においては、「声なきに聞き」、「形なきに見る」(川路大警視、出典:中国の四書五経)というアナログ的な人間的感性が求められるようである。

ところで、相談員からのメッセージとしては、デジタルの代表格である「AI」がメンタルヘルスの世界で活用できるとすれば、どんな状況だろうかと思案するこのごろである。

産業保健研修会・セミナーのご案内(2月~3月開催分 受付中!)

┏―[ 産業保健研修会の詳細・申込はこちらから ]―――┓
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
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【当センター主催のセミナーに関するご案内】※今年度分は終了いたしました

当センターでは産業保健研修会以外に、事業場向けのセミナーも開催しています。
ホームページにセミナーの専用ページを開設しておりますので、産業保健活動の取組みにお役立てください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/seminar

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

治療と仕事の両立支援について

治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、当センターの両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。

▼治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765

医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、、事前予約の状況等により、窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。

メンタルヘルス対策支援について

当センターのメンタルヘルス対策促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。

また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。

▼メンタルへルス対策支援(支援内容、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental

運動指導等支援について(新規支援事業)

健康で安心して働ける職場環境の形成を支援するという産業保健の観点から、運動指導等を通じた労働者の健康保持増進について取り組むため、産業保健相談員(健康運動指導士)による個別訪問支援等を実施しています。事業場が行う健康教育等において、是非、ご活用ください。

▼運動指導等支援(支援内容、申込フォーム)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/undou

地域産業保健センター(地域窓口)について

各地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。

▼地域産業保健センターについて
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638

<労働者健康安全機構情報>

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
▼「生活習慣病」について
https://www.research.johas.go.jp/seikatsu2018/index.html
▼「メンタルヘルス」について
https://www.research.johas.go.jp/mental2018/index.html
▼「アスベスト」について
https://www.research.johas.go.jp/asbesto2018/
▼「治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル」について
★両立支援コーディネーターマニュアルはこちら
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1047/Default.aspx
★両立支援コーディネーターについて知りたい方はこちら
https://www.research.johas.go.jp/ryoritsucoo/

「労災疾病等医学研究普及サイトリニューアル」について

当機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新しい政策課題について時宜に応じた研究に取り組んでいます。そこで、令和5年度から新規に研究を開始することに伴い、労災疾病等医学研究普及サイトがリニューアルしました。

労災疾病等医学研究は、3年間の研究活動と、その後1年間の普及活動を行います。研究状況につきましては、中間報告等を随時普及サイトに更新していく予定ですので、そちらからご確認いただけます。

また、新規の研究以外にも、下記の「労災疾病等医学研究普及サイト」のリンクに様々なテーマを取り扱った過去の研究成果を紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
https://www.research.johas.go.jp/

「病職歴データベースを活用した研究」について

「労災疾病等医学研究普及サイト」では、これまで実施してきた研究成果について掲載しています。今回はその中で「病職歴データベースを活用した研究」についてのご紹介です。
https://www.research.johas.go.jp/bs/

労災病院グループでは、全国の労災病院の入院患者さんにご協力を頂いて、これまでの仕事や生活習慣等に関する調査を行い、データベース化を進めています。また、本データベースを用いて職業と疾病との関連性について研究し、その研究成果は労働者の病気の予防・治療・職場復帰支援に活用しています。

病職歴データベースの大規模データを用いて、成人における飲酒習慣と白内障罹患リスクの関係性について研究した結果は「Scientific Reports(2022) 12:20142」にて報告しました。

労災病院の入院患者のうち40~69歳を対象として解析を行った結果、男女とも生涯飲酒量の増加に伴い白内障手術のリスクは増加し、男性では生涯累積摂取90drink-years以上、女性では生涯累積摂取量40drink-years以上でリスクが有意に増加しました。

飲酒量と白内障の間には正の用量反応関係が認められたことから、飲酒制限は白内障の進行抑制に役立つ可能性があることが示唆されました。

研究論文は以下のリンクからご覧になれます。
論文タイトル
『Alcohol use patterns and risk of incident cataract surgery: a large scale case?control study in Japan』
(病職歴調査研究班 深井 航太先生)
https://www.research.johas.go.jp/bs/index.html#results

<厚生労働省情報>

化学物質による労働災害防止のための新たな規制について(再掲)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html

転倒予防・腰痛予防の取組について(再掲)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html

<鹿児島労働局情報>

鹿児島県内の労働災害発生状況

○令和5年発生分(12月末速報)
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/jirei_toukei/toukei/saigaitoukei_jirei.html

最新の業種別労働災害発生状況
⇒「令和5年における業種別労働災害発生状況」をクリック

新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に悩む方の治療と仕事の両立に向けた取組(再掲)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかった後、ほとんどの方は時間経過とともに症状が改善しているとされていますが、いまだ不明な点が多いものの、一部の方で長引く症状(罹患後症状,いわゆる後遺症)があることがわかってきています。

厚生労働省では、下記の「参考」のとおり、厚生労働省ホームページで罹患後症状の情報発信を行うなど、罹患後症状に関する理解の促進に取り組んでいるところですが、治療と仕事の両立支援等の観点を含め、職場における罹患後症状に関する理解の一層の促進を図るため、別添のとおりリーフレットを作成しました。

(参考)厚生労働省ホームページ
「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html

< 情報提供 >

高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのご案内
~「企業からみた」精神障害者雇用のポイント~

高齢・障害・求職者雇用支援機構においては、全国の50人以上の企業を対象に行った調査結果をもとに精神障害者の雇用に役立つ方策をまとめた「「企業からみた」精神障害者雇用のポイント」を作成しており、ホームページ(※)からダウンロードできますので、御活用ください。

https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/kyouzai51.html

鹿児島県難病相談・支援センターからのご案内
~難病患者就労支援セミナー(支援者向け)~

鹿児島県難病相談・支援センターが主催するセミナーが令和6年2月16日に開催されます。本セミナーは支援者や企業等が難病および難病患者の就労についての理解を深め、難病患者へのより良い就労支援が行えるように開催することを目的としています。詳しくはホームページをご覧ください。

https://www.pref.kagoshima.jp/ae21/kenko-fukushi/kenko-iryo/nanbyo/syuurousiennsemina-.html

編集後記

元旦早々に能登の大地震。不穏の2024年の幕開けとなった。被災者のことを思うといたたまれない気持ちである。災害列島の我が国で過去の経験から各種の対策はそれなりに講じられていても予測以上の事態は生じることが思い知らされる。

昨今、指針や手順等が政府からだけでなくガイドラインやマニュアルとして各種学会等からも発出が相次いでいる。自然も社会も恒常的なものは存在せず常に変化し続けるので各種施策・対策も変えざるを得ないのは当然である。

AIの進歩は目覚ましくシンギュラリティの到来も話題になっている。膨大なデータを基に効果確率高い対策の判断についてはAIの能力が人間を上回ることは容易に考えられ得るが、過去の経験や事態からは予測できない状況にまで対応できる保障はない。

産業保健では、労働の現場の状況に対応した施策・措置が必要だが、産業の在り様は常に変化し過去と完全に同じ状態はあり得ないし、そこで働く人の心身の状態は時々刻々変化している。

指針や手順に依存するのみの作業はAIには遠く及ばない。それらに従うのみであればAIに人間が従属する、極論すれば奴隷化することすら危惧される。指針も手順も教科書的なものであり、単純な適応ではなくそれらを踏まえて応用する能力こそが重要である。

想定外の事態は産業活動の現場でも常に起こり得ることを常に考慮しておくことが産業保健現場でも必須である。