お知らせ

メールレター 第258号

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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第258号(2024.9)

   発行:鹿児島産業保健総合支援センター
              所長 草野 健
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相談員からのメッセージ

「ビール500ml 3本」は極めて危険

産業保健相談員 竹元 隆洋
(指宿竹元病院)
(担当分野:メンタルヘルス)

私の病院に5年前から勤務している女性スタッフ(Aさん)から廊下の立ち話の相談を受けた。Aさんの夫(Bさん)は50歳、会社員。普段から無口で、夫婦の対話も物足らず、もっと沢山飲んで、陽気に楽しい対話が出来ればと思っていた。その矢先、職場の配置転換で、一日中屋外の仕事になって急速に飲酒量が増加した。それまではビール500ml 2本で、もっと飲めば陽気になれると呑気な話だったが、「ビール500ml 3本」になるとAさんもさすがに見ているだけで量が多いと実感。家族が最初にしたことは「休肝日」を作ることであったが、これは肝臓の治療。アルコール依存症の治療は脳(精神)が目標の「精神療法」である。今のところBさんはアルコールによる迷惑行動や問題行動もなく病識もないので、立ち話程度の指導にした。指導【1】1日飲酒量はビール350ml 2本以下を厳守。指導【2】「休肝日」は中止してよいことにした。それから5年間が経過したが、トラブルなどもなく私の指導【1】と【2】はAさんとBさんの2人の約束として守られている。この約束はAさんが作ったBさんのための動機づけであるが100年の名言だと感服している。約束(1)今は飲酒量を少なくして、一生飲めること。約束(2)今は飲酒量を好きなだけ沢山飲んで、依存症になったら一滴も飲めないこと。ここにアルコール依存症の診断基準を提示。(WHO・ICD-11・2022年)3項目のうち2項目以上(1)耐性または離脱症状=(耐性は飲酒量の増加)(2)アルコール使用の制御困難=(コントロール不能)(3)飲酒中心の生活=(アルコール優先、自分とアルコールのことだけ考える)。この5年間Bさんはアルコールを完全にコントロールできており、アルコール中心の生活になっていないので今のところ依存症にはなっていない状態である。

産業保健研修会のご案内(9~11月開催分 受付中!)

┏―[ 産業保健研修会の詳細・申込はこちらから ]―――――┓
 https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
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当センター主催のセミナーのご案内(受付中!)

当センターでは産業保健研修会以外に、事業場向けのセミナーも開催しています。
ホームページにセミナーの専用ページを開設しておりますので、産業保健活動の取組みにお役立てください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/seminar

※以下のセミナーは全て日医認定産業医の単位取得はできません。産業医の皆様におかれましては、予めご了承ください

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 働く人の腰痛・転倒をみんなで予防しよう! 【現在受付中!】 再掲
~作業行動に起因する労働災害の防止に向けて~
 [主催:厚生労働省鹿児島労働局 鹿児島産業保健総合支援センター]

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日 時 令和6年9月24日(火)14時~16時
会 場 Li-ka1920 5階 貸会議室A
対象者 事業主、安全衛生担当者
内 容
  • 第1部
    テーマ:「労働者の作業行動に起因する労働災害の現状等」
    講 師:厚生労働省 鹿児島労働局 健康安全課
  • 第2部
    テーマ:「原因に応じた対処法 ~実践に向けて~」
    講 師:鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員
  • その他
    テーマ:「事業場外資源の活用と利用のご案内」
    講 師:鹿児島産業保健総合支援センター 副所長
定 員 78名(先着)
申 込
方 法
メールフォーム https://ssl.formman.com/t/iMaT/
令和6年9月17日(火)までにお申し込みください。

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 化学物質による健康障害防止セミナーのご案内 【新規ご案内!】
~ 化学物質管理者に期待すること(実践編)~

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労働安全衛生関係法令の改正により、令和6年4月から「化学物質管理者」の選任が事業者に義務付けられました。
今後、事業場が進める化学物質の自律的な管理の取組みにおいて、化学物質管理者は大切な役割を担っており、今後の活躍が大きく期待されます。

今回、当センターでは、事業場において化学物質管理への取組みの一層の推進を図っていただく機会として、化学物質管理者向けのセミナーを開催します。

第1部及び第2部ともに、関係法令を踏まえた実践的な内容となっています。是非、お申込みください。

日 時 令和6年9月27日(金)13時30分~15時30分
会 場 Li-ka1920 5階 貸会議室B(鹿児島市中央町19-40)
対象者 事業者、化学物質管理者、衛生管理者、衛生推進者など
内 容
  • 第1部
    テーマ:「化学物質の自律的な管理を進める方法と労働安全衛生関係法令」
    講 師:鹿児島産業保健総合支援センター 副所長
  • 第2部
    テーマ:「化学物質管理者の業務と管理の進め方~実践でのポイント~」
    講 師:鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員(労働衛生工学)
  • その他
    テーマ:「働く人と職場における勤務間インターバル制度の価値」
    講 師:厚生労働省 令和6年度 勤務間インターバル制度研修講師派遣事業
定 員 30名(先着順となります)
申 込
方 法
メールフォーム https://ssl.formman.com/t/qLRH/
令和6年9月20日(金)までにお申し込みください。

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治療と仕事の両立支援セミナーのご案内 【新規ご案内!】
≪主催:鹿児島県地域両立支援推進チーム≫

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少子・高齢化も進み、労働力人口が減少している中で、医療は進歩し、働きながら治療を行う労働者は増加しています。そのような社会的背景からも、貴重な人材を確保しつつ、活力ある職場を作るためにも、病気の治療と仕事の両立の取り組みを進めていくことは重要となります。

今回、鹿児島県地域両立支援推進チームでは、治療と仕事の両立支援の取り組みの参考としていただきたく、治療と仕事の両立支援セミナーを開催することとしました。
皆さまの参加をお待ちしています。

日 時 令和6年10月11日(金)14時~16時
会 場 Li-ka1920 5階 貸会議室RoomA (鹿児島市中央町19-40)
対象者 事業主、人事労務担当者、産業保健スタッフ等
内 容
  • 第1部 講演
    「事業場における治療と仕事の両立支援」
    講師:産業医科大学 両立支援室 室長 永田 昌子先生
  • 第2部 事例発表
    【企業事例】
    「中小企業でもできる治療と仕事の両立支援の取組み」
    講師:株式会社プロゴワス 健康相談窓口 担当

    【医療機関事例】
    「病院における両立支援の取り組みについて」
    講師:済生会川内病院 がん相談支援センター がん専門相談員
定 員 100名
申 込
方 法
メールフォーム https://ssl.formman.com/t/gFqY/
令和6年10月4日(金)までにお申し込みください。

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

▼「さんぽセンターWebひろば」の専用ページ
https://www.johas.go.jp/Portals/0/sanpocenter/webhiroba.html

治療と仕事の両立支援について

治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、当センターのメンタルヘルス対策・両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。

▼治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765

医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、事前予約の状況等により、窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。

▼「治療と仕事の両立支援」の専用ページ
https://www.ryoritsushien.johas.go.jp/blackjack/

メンタルヘルス対策支援について

当センターのメンタルヘルス対策・両立支援促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。

また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。

▼メンタルへルス対策支援(支援内容、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental

運動指導等支援について

健康で安心して働ける職場環境の形成を支援するという産業保健の観点から、運動指導等を通じた労働者の健康保持増進について取り組むため、産業保健相談員(健康運動指導士)による個別訪問支援等を実施しています。事業場が行う健康教育等において、是非、ご活用ください。

▼運動指導等支援(支援内容、申込フォーム)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/undou

地域産業保健センター(地域窓口)について

各地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。

▼地域産業保健センターについて
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638

<労働者健康安全機構情報>

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
▼「生活習慣病」について
https://www.research.johas.go.jp/seikatsu2018/index.html
▼「メンタルヘルス」について
https://www.research.johas.go.jp/mental2018/index.html
▼「アスベスト」について
https://www.research.johas.go.jp/asbesto2018/
▼「治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル」について
★両立支援コーディネーターマニュアルはこちら
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1047/Default.aspx
★両立支援コーディネーターについて知りたい方はこちら
https://www.research.johas.go.jp/ryoritsucoo/
▼「病職歴データベースを活用した研究」について
https://www.research.johas.go.jp/bs/

<厚生労働省情報>

9月10日から9月16日は「自殺予防週間」です

厚生労働省は、毎年9月10日から9月16日の「自殺予防週間」において、自殺防止に向けた集中的な啓発活動を実施しています。このたび、関係府省庁、自治体、関係団体における、令和6年度の取組をまとめましたので公表します。

昨年の自殺者数は前年を下回りましたが、小中高生の自殺者数は、近年増加傾向が続き、昨年の小中高生の自殺者数は513人となり、過去最多であった令和4年(514人)と、同水準であり深刻な状況が続いています。

自殺予防週間では、電話やSNSによる相談支援体制の拡充や、主にこども・若者に向けて、ポスターや動画による相談の呼びかけなど集中的な啓発活動を実施します。

また今年も、自殺予防週間に先立ち、こども・若者の自殺防止に向けた取組を強化するため、こども家庭庁、文部科学省、内閣府孤独・孤立対策推進室と連携し、8月1日からこども・若者に向けた集中的な啓発活動を実施しています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/r6_jisatsuyoboushukan.html

「職場の健康診断実施強化月間」について

厚生労働省では、労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断の実施、その結果についての医師の意見聴取及びその意見を踏まえた就業上の措置の実施について、事業者の皆様に改めて徹底していただくことを促すため、毎年9月を「職場の健康診断実施強化月間」と位置付け、集中的・重点的に啓発を行っています。

本月間では、事業者の皆様に、自身の事業場における健康診断にかかる取組状況等の確認及び適切な実施を行っていただけるよう、別添資料により協力依頼をしてまいります。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42631.html

化学物質による労働災害防止のための新たな規制について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html

転倒予防・腰痛予防の取組について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html

令和6年「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」実施について(再掲)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116133.html

▼職場における熱中症ポータルサイト
https://neccyusho.mhlw.go.jp/

<鹿児島労働局情報>

鹿児島県内の労働災害発生状況

◯令和6年発生分(7月末)
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/jirei_toukei/toukei/saigaitoukei_jirei.html

最新の業種別労働災害発生状況
⇒「令和6年における業種別労働災害発生状況」をクリック

所長コラム

半世紀ほども昔の話。臨床医としての厳しい修練時代によく聞いた言葉に「名医は投薬せず」、「最高の治療はムンテラ」等がある。「ムンテラ」とはムントテラピー(Mund Therapie)というドイツ語の略語で直訳すれば「口による治療」となるが、言葉だけで治療する、即ち病者が病気とその対策を理解・納得して行動変容することで疾病を克服することである。ムンテラという語は平成以後では死語に等しく、変わってIC(informed consent)という英語が使用されている。ICは「説明と同意」と訳されているが「情報共有と合意」とすればムンテラに近い意味になる。

「治すのは本人、癒やすのは天、医師の役割はその手伝い」とか「医に上中下あり、下の医は病を医し、中の医は人を医し、上の医は世を医す」等々の語で臨床医として鍛えられた身からすれば安易に薬剤に頼る治療は厳に戒めるべきものであった。

こうしたことを産業医学、産業保健分野に応用演繹すればどうなるか。労働による健康障害が存在するまたは予想される時、その対策を実施する際に留意すべきことがある。行政側の各施策や産業医の助言・指導に従って事業場が各種の制度設定や措置を実施しても事業管理者や衛生管理者等の産業保健スタッフのみが理解しているのみでは不十分ということである。その現場で作業する働く人自身がそれらの制度・措置等を理解し納得して自主的に実施することこそが必要ということになる。

本来の意味のムンテラが産業保健現場でも極めて重要と言える。