お知らせ

メールレター 第259号

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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第259号(2024.10)

   発行:鹿児島産業保健総合支援センター
              所長 草野 健
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相談員からのメッセージ

精検受診と診断の遅れ(Delay)

産業保健相談員 徳留 修身
(担当分野:結核対策、喫煙対策、産業保健)

職員健診の結果「要精検」とされる職員が実際には受診せず、発病や悪化に至る例がある。結核の疑いのある胸部X線所見を指摘されたにも関わらず受診せず、結核が進行し集団感染の発端となった事例もある。毎年「要精検」とされるので意に介さず放置して重症化した例では、会社(雇用主)が職員に精検を指示するのみで結果把握の仕組みが不十分とされた。精検対象者については受診結果を把握する必要がある。未受診の理由には「検査結果が不安」というものもあるが、結核の場合、周囲への感染源となる可能性もあり、単なる個人の問題にとどまらない。一方、会社は職員の受診機会を確保する必要があり、業務より精検受診を優先すべきであろう。

なお、結核の患者発見では定期健康診断よりも症状に気づき受診する「有症状受診」によるものが大きな割合を占める。結核の感染から発病までの期間は主に6か月から2年とされるが数十年の場合もある。長引く咳や痰を訴える職員が受診しやすい職場環境が必要である。

結核では受診や診断の遅れ(Delay)が以下のように定義されている。発病(症状出現)から初診までの期間が2か月以上なら「受診の遅れ(Patient’s Delay)」、初診から診断までが1か月以上なら「診断の遅れ(Doctor’s Delay)」、発病から診断まで3か月以上なら「発見の遅れ(Total Delay)」。全国の統計ではいずれも新登録患者の約20%であるが、労働者の年齢層に限ると「受診の遅れ」の割合が大きく、逆に「診断の遅れ」の割合が小さい。症状があっても受診しない(しにくい)傾向があり、重症化しているため早く診断がつく、と解釈できる。症状が出現し、職員健診でも「要精検」とされたにも関わらず医療機関への受診が大きく遅れる例も散見される。

産業保健研修会のご案内(10~12月開催分 受付中!)

┏―[ 産業保健研修会の詳細・申込はこちらから ]―――――┓
 https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
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当センター主催のセミナーのご案内(受付中!)

当センターでは産業保健研修会以外に、事業場向けのセミナーも開催しています。
ホームページにセミナーの専用ページを開設しておりますので、産業保健活動の取組みにお役立てください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/seminar

※以下のセミナーは全て日医認定産業医の単位取得はできません。産業医の皆様におかれましては、予めご了承ください

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メンタルヘルス対策セミナーのご案内【新規ご案内!】
~ 良い睡眠で働く人のメンタルヘルス不調を予防しよう ~

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【睡眠とこころの健康】(「こころの耳」サイトより)
不眠や睡眠不足などの睡眠に関する問題とメンタルヘルス不調には、密接な関係があります。睡眠に関する問題が続けば、ストレスを感じやすくなり、メンタルヘルス不調のリスクも高まります。良い睡眠をとることで、ストレスを感じにくくなり、メンタルヘルス不調の発生リスクを減らすことができます。

今回、当センターでは睡眠とメンタルヘルスに関するセミナーを初めて開催します。メンタルヘルス専門の医師による講演等、実践的な内容となっていますので、是非、ご参加くださいますようよろしくお願いします。申し込みお待ちしております。

日 時 令和6年10月23日(水)14時00分~16時30分≪予定≫
会 場 Li-ka1920 5階 貸会議室 RoomB
対象者 事業主、人事労務担当者など
内 容
  • 第1部
    テーマ:「「働く人」と睡眠」
    講 師:鹿児島産業保健総合支援センター産業保健相談員 長友 医継 先生
  • 第2部
    テーマ:「ストレスすっきり!となる視点」
    講 師:鹿児島産業保健総合支援センター メンタルヘルス対策・両立支援促進員
  • その他
    テーマ:「働く人と職場における勤務間インターバル制度の価値」
    講 師:厚生労働省 令和6年度 勤務間インターバル制度研修講師派遣事業
定 員 30名(定員に達し次第締切)
申 込
方 法
メールフォーム https://ssl.formman.com/t/rtbm/
令和6年10月20日(日)までにお申し込みください。

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 ≪Web開催:2回シリーズ≫「おとなの発達障がいセミナー」【新規ご案内!】

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近年、産業保健活動でのメンタルヘルス対策の深化に伴い、発達障がいという特性のあるメンタルヘルス不調者の存在が認識されてきました。

発達障がいは、人によりさまざまで、病気とは異なり、その特性は生涯を通じてなくならないものです。そのため周囲の人たちがその特性を正しく理解し、本人の「困りごと」を適切に評価した長期的な対応・支援により、能力を十分に発揮させることが望まれます。また、その対応・支援方法が、治療と仕事の両立支援と通底していることも指摘されています。

本セミナーでは発達障がいの特性の理解を深めていただくとともに、その特性による職場での問題点を「事例性」としてとらえ、本人が働く上で感じる「困りごと」を含めた職場の「困りごと」に焦点を当てたマネジメントをご紹介します。

日 時 セミナー1 令和6年10月31日(木)14時00分~16時00分
セミナー2 令和6年12月9日(月)14時00分~16時00分
会 場 Web(Zoom)※会場はございません
対象者 産業保健スタッフ
(産業医・保健師・看護師・心理相談員・衛生管理者・労務担当者等)
セミナー1・2に参加することが可能な方、
アンケートにご協力いただける方

※本セミナーの詳細はこちら
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/r6-otona

お知らせ

<鹿児島産業保健総合支援センター>

産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。

治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase

▼「さんぽセンターWebひろば」の専用ページ
https://www.johas.go.jp/Portals/0/sanpocenter/webhiroba.html

治療と仕事の両立支援について

治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、当センターのメンタルヘルス対策・両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。

▼治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765

医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、事前予約の状況等により、窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。

▼「治療と仕事の両立支援」の専用ページ
https://www.ryoritsushien.johas.go.jp/blackjack/

メンタルヘルス対策支援について

当センターのメンタルヘルス対策・両立支援促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。

また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。

▼メンタルへルス対策支援(支援内容、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental

運動指導等支援について

健康で安心して働ける職場環境の形成を支援するという産業保健の観点から、運動指導等を通じた労働者の健康保持増進について取り組むため、産業保健相談員(健康運動指導士)による個別訪問支援等を実施しています。事業場が行う健康教育等において、是非、ご活用ください。

▼運動指導等支援(支援内容、申込フォーム)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/undou

地域産業保健センター(地域窓口)について

各地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。

▼地域産業保健センターについて
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638

<労働者健康安全機構情報>

労災疾病等医学研究普及サイトのご案内

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。

▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
▼「生活習慣病」について
https://www.research.johas.go.jp/seikatsu2018/index.html
▼「メンタルヘルス」について
https://www.research.johas.go.jp/mental2018/index.html
▼「アスベスト」について
https://www.research.johas.go.jp/asbesto2018/
▼「治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル」について
★両立支援コーディネーターマニュアルはこちら
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1047/Default.aspx
★両立支援コーディネーターについて知りたい方はこちら
https://www.research.johas.go.jp/ryoritsucoo/
▼「病職歴データベースを活用した研究」について
https://www.research.johas.go.jp/bs/

<厚生労働省情報>

令和6年度治療と仕事の両立支援シンポジウムのご案内

【シンポジウム等の内容】
全体テーマ:
すべての働く方、会社が「自分事・自分たち事」として取り組む両立支援

  • シンポジウム
    「治療と仕事の両立支援とは?動き始めるのは会社自身、そして、労働者自身。」
    【日 時】2024年11月19日(火)13:30~16:00
    【場 所】東京商工会議所5階カンファレンスルーム
    【開催方法】現地&オンライン
  • オンラインセミナー
    ※1回目:2024年12月12日(木)(予定)
    「治療と仕事の両立支援とは?各業種の中小企業の取組から学ぶ」
    ※2回目:2025年1月中旬
    「治療と仕事の両立支援とは?労働者の経験・エピソードから学ぶ両立支援の進め方」

ポータルサイト
https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/symposium/

化学物質による労働災害防止のための新たな規制について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html

転倒予防・腰痛予防の取組について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html

<鹿児島労働局情報>

鹿児島県内の労働災害発生状況

◯令和6年発生分(8月末)
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/jirei_toukei/toukei/saigaitoukei_jirei.html

最新の業種別労働災害発生状況
⇒「令和6年における業種別労働災害発生状況」をクリック

過労死等防止対策推進シンポジウムのご案内

毎年11月は「過労死等防止啓発月間」です。
近年、働き過ぎやパワーハラスメント等の労働問題によって多くの方の尊い命が失われ、また心身の健康が損なわれ深刻な社会問題となっています。
本シンポジウムでは有識者や過労死で亡くなられた方のご遺族等にもご登壇をいただき、過労死等防止対策推進法施行から10年、改めて過労死等の現状や課題、防止対策について考えます。

事業者、人事労務担当者ほか、メンタルへルス専門の医師や産業医、看護師・保健師、衛生管理者などの産業保健スタッフの方々も是非ご参加ください。
参加は無料ですが、事前申込が必要です。

【日 時】令和6年11月20日(水)14:00~16:00(受付13:30~)
【会 場】TKPガーデンシティ鹿児島中央 3F薩摩ホール
(鹿児島市中央町26-1 南国アネックス)
【内 容】
<基調講演>
「労働者に認められがちな 精神疾患の病態と治療刑事精神鑑定の経験も踏まえて」
講師:赤崎 安昭 氏(鹿児島大学医学部保健学科・同大学院保健学研究科 教授)

<過労死遺族による体験談発表>

※鹿児島会場の詳細と申し込みについてはこちら
https://www.mhlw.go.jp/karoshi-symposium/page_kagoshima.html

<情報提供>

高齢・障害・求職者雇用支援機構 鹿児島障害者職業センターからのご案内

鹿児島障害者職業センターでは、障害者雇用や職場復帰に関して共通の悩みを抱える、事業所の人事・労務等の担当の方を対象に、障害者雇用や職場復帰に関するセミナー、情報交換会を行っています(事業主支援ワークショップ)。

令和6年度第1回は、職場復帰をテーマとして以下のとおり開催します。
第2回は、令和7年1月に障害者雇用をテーマとして開催予定です。

【日 時】 令和6年10月21日(月)14:00~16:00 ※申込締切 10月16日(水)
【会 場】 ポリテクセンター鹿児島 視聴覚棟2階 大研修室
【定 員】 15名程度
※定員に達しましたら申込締切によらず受付を終了します。
【テーマ】 「メンタルヘルス不調からの復職
 ~復職前の準備から復職後のサポートまで~」

講師:公益社団法人鹿児島県労働基準協会
ヘルスサポートセンター鹿児島 産業医 山本 彩加 氏

※鹿児島障害者職業センターホームページ
https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/kagoshima/46_kagoshima_service2.html

一般財団法人 女性労働協会からのご案内

女性労働者が妊娠・出産を迎えても安心して働き続けられるようにするためには、男女雇用機会均等法や労働基準法に基づく母性健康管理や母性保護の適切な実施が重要です。

研修会では、女性労働者の妊娠・出産に適切に対応できるよう、妊娠中に起こりやすい症状および母性健康管理の法律、制度について専門家が解説します。また、企業がとるべき具体的な対応策について、事例を用いてくわしく解説します。

※本研修会の詳細・お申込
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/kenshu2024/

所長コラム

大地震に見舞われた能登半島に追い打ちを掛けるような水害を始め、大きな自然災害が相次いでいる。地球全体の気候も人為的影響により沸騰化ともいわれる温暖化の影響もあって加速的に変動しているようだ。その気候や地殻の変動に関連するかの如く、世界至るところで戦火が絶えず東アジアでも軍靴の響きが増している。実体経済は自然環境の在り様に強く影響され、一握りの個人の思惑などで統制できるものではない。自由な市場が理想的な経済状況を創るいう「幻想」は崩壊しているようで、金融資本主義も末期的症状を呈しているようだ。そのような中で政治分野でも世界的に流動性を増している。我が国は石破内閣となり、来月には新たな米国大統領も選出される。新しい政治的リーダーには期待したいが、果たしてどうであろうか?

どのような政界指導者になろうとも経済システムの根本が変化しない限り、貧富の二極化は進行し多くの人々の労働環境が改善することは望み薄とも思える。働き方改革の『本丸』は「無駄・無益な作業」「有益どころか有害な作業」を徹底的に排除することであろう。憲法25条の「健康で文化的な生活」に直接・間接を問わず寄与しない作業をなくす方向に社会的施策も各事業場の運営方針も産業保健スタッフの活動も、さらには個々人の対策も向くべきで、それにより実体経済即ち人々の「生活の質を向上させる価値」を生産する経済システムの構築が可能になると考える今日この頃である。