お知らせ

令和4年バックナンバー

針が捨てられています

鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員
 小田原 努
(担当分野:産業医学)

最近の医療器具の進化には目を見張らせられることも多く、知らない間にいろいろな変化を遂げていることに驚かされることが多くなってきています。

糖尿病の治療中の方が、健診を受けられる時、時々問題になるのが、インスリンポンプや、持続グルコース測定器を装着されている方々への対応です。日本糖尿病協会またはデバイスの製造元から、機器を装着したままで、電磁波を発生する胸部レントゲン検査、胃部X線検査、マンモグラフィー等を行った場合、誤動作やデータの誤った記録、機器の破損が生じたケースが認められたことから、当該機器を身体から外した状態で検査を行うように指導されています。健診の現場で機器を外すと、新たに装着するには自己負担が発生するために、結局健診現場では検査ができずに、後日レントゲン検査だけ病院で受けることもまま行われています。健診現場で機器を外せるのが最も良い方法ですが、なかなか難しそうです。

また、パーキンソン病などの不随意運動疾患や難治性疼痛の治療のために、DBS(深部脳刺激)治療中の方も見受けられるようになりました。脳深部の神経核に治療用のリード(刺激電極)を留置し、体内に埋没型の刺激発生装置を植込む方法ですが、この機器も心電図検査、CT検査、腹部超音波検査、胃部X線検査を行う際は、注意が必要です。一般的には機器をオフの状態で行うことで検査は可能ですが、心臓超音波検査ではオフでも不可能とされています。主治医の方は、ぜひ健診の現場での対応もご指導お願いします。

現在、鉄道関係の産業医も担当していますが、毎月の安全衛生委員会で必ず問題になるのは、インスリン等の針をゴミ箱に捨てる乗客がいて、怪我をしそうになるという報告です。最も多いのが新幹線のトイレのゴミ箱に捨てるケースで、次に駅構内のトイレのゴミ箱が多いようです。時には座席のシートの隙間に捨ててあったという報告を受けることもあり、掃除をする方が見逃していたらとぞっとする事も多いです。現在、いろいろな疾患で、皮下への自己注射が行われるようになっており、骨粗しょう症や、多発硬化症などでの皮下注射等は、病院へ通う頻度が減り、働きながら治療を行っている患者からはかなり助かっているという話を聞くことが多いですが、針の管理をしっかりしないと、思わぬところで被害にあわれる方もいるのが現状です。

特に使い捨ての針に関しましては、いたずらに駅や列車のゴミ箱等に捨てないように自己注射を行う患者へのご指導をぜひよろしくお願いいたします。

令和4年12月 第858号 掲載
「産業保健の話題(第256回)」

化学物質管理が変わる(法令準拠型から自律管理型へ)

鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員
 黒沢 郁夫
(担当分野:労働衛生工学)

厚生労働省より「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会の報告書(2021.7)」 が公表されました。化学物質への理解を高め、従来からの法令準拠型から自律管理型を基本とする仕組み作りに変わるものとなります。

現在産業界で使用されている化学物質は約7万種類と言われていますが、規制対象物質は特定化学物質障害予防規則、有機溶剤中毒予防規則、粉じん障害防止規則等の特別規則(123物質)を含む危険有害性が一定以上の化学物質で通知対象物質(674物質)として限定され、ラベル表示、安全データシート(SDS)交付及びリスクアセスメントが義務化されています。この他の化学物質で危険有害性のあるものはいずれも努力義務の規制が現状です。

災害事例をみると化学物質による労働災害は年間450件程度で推移し、この中で法規制(特別規則)の対象となっていない化学物質が原因の労働災害が約8割を占める状況です。特に法規制に追加されるとその物質の使用をやめ、規制対象外の物質に変更することで新たな労働災害が発生した例もあります。又、ジクロロプロパン等による胆管がん、オルト−トルイジンによる膀胱がん、MOCA(樹脂)による膀胱がん、有機粉じんによる肺疾患の発生など重大な疾病も後を絶たない状況です。これらを背景に化学物質の管理が大きく見直しされることになりました。

具体的には、今後国により危険性・有害性が確認された全ての物質に対して、国が順次管理基準を定めこれを遵守することを求め、達成のための手段は決めない方式(事業者が選択)に大きく転換するものです。そして危険性・有害性が確認された全ての物質(5年後約2,900物質)には①譲渡・提供時のラベル表示・SDS交付②リスクアセスメントの実施③労働者が吸入する濃度を国が定める管理基準以下に管理することが主な内容となっています。管理基準以下にする手段は、事業者が自ら選択して①有害性の低い物質への変更、②密閉化・局所排気装置設置等、③作業手順の改善等、④有効な呼吸用保護具の使用に取り組むことになります。検討中で管理基準が設定されていない物質は、なるべく暴露濃度を低くすることが義務化され、更に薬傷や皮膚吸収による健康影響を防ぐために保護眼鏡、保護手袋等の使用が義務化されます。

このような自律的な管理は、5年程度を目途に中小企業を含め定着させることを目指しています。特に、特化則、有機則等(123物質)で規制されている管理は、5年後を目途に自律的な管理に移行できる環境を整えた上で、一部の管理を除き、廃止することが想定されています。

この他、化学物質管理者、保護具着用管理責任者の選任義務化等が定められて、これらの取り組みが定着すれば化学物質による災害防止が更に期待されます。

令和4年11月 第857号 掲載
「産業保健の話題(第255回)」

大人の「発達障害」

鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員
 赤崎 安昭
(鹿児島大学医学部保健学科・学科長)
(鹿児島大学大学院保健学研究科・研究科長)
(担当分野:メンタルヘルス)

発達障害というのは、英国の精神科医ローナ・ウィングが知的障害の見られない自閉的傾向を示す子どもをアスペルガー症候群と呼ぶようになったことに端を発し、自閉症の概念も拡大したことによって、広汎性発達障害として広く社会に浸透してきました。ところが、2013年、米国精神医学会の診断基準であるDSM-5の登場により、広汎性発達障害とアスペルガー症候群は姿を消し、自閉症スペクトラム障害/自閉スペクトラム症(ASD)という名称に変更されました。このような呼称の変更もあり、現在、ASD研究は注目されています。

ASDを簡単に定義しますと、ICD-10の広汎性発達障害とほぼ同じ概念を指すものであり、自閉症やアスペルガー症候群などを含む概念となります。自閉症やアスペルガー症候群は互いの境界線を引くのが極めて厳しいこともあるので、一連の障害として「スペクトラム」と表記されるようになりました。ASDの特性としては、「対人関係における相互的反応の障害」として、(1)相手の心情を表情や言葉のニュアンスから察することが苦手、(2)その場の雰囲気を読むことが難しい、が挙げられます。次に、「同一性へのこだわり」として、(1)特定の対象に対して強い興味を示す、(2)反復的で機械的な動作が見られる、(3)こだわりが強く、状況に応じた柔軟な対応が難しい、が挙げられます。本稿では、専門的な表記は行わず、単に「発達障害」と表記します。

さて、メンタルヘルス相談窓口には、一般の方々にも「発達障害」が浸透してきているためか、「発達障害かどうか検査ができる病院を紹介して欲しい」という相談が少なくないです。では、なぜ、大人になってから症状(特性)が問題視されるのでしょうか。

それは、学校から職場という環境の変化が特に大きいように思われます。仕事の内容が、単純な作業であったり、完全にマニュアル化されたものであれば適応できるのでしょうが、職場によっては、上司、同期入社の同僚、部下、顧客などさまざまな対人関係が求められます。また、状況に応じて臨機応変な対応が求められる職場では、労働者には、コミュニケーション力、社会性や社会的想像力などが求められます。そのような職場ですと、「発達障害」を有する者は、上記の障害が顕在化して社会に適応できなくなります。このようにして大人になって社会に出てから「発達障害」が顕在化する事例があるため、問題視されるようになったものと思われます。このような事例は、入社する前、つまり、学生時代は、家族や学校側の支援があったため、大きな問題が発生する前に「支援者」が知らず知らずのうちにカバーしてきていたことが推察されます。

筆者は、大人になってから「発達障害」が疑われた事例の診察等を複数例担当していますが、一般の会社に就職した労働者の場合は、確定診断にまでは至らないことが多く、「境界域」と診断するケースが多いように思われます。

では、「発達障害」が疑われるケースの検査・診断をすることにどのような意義があるのでしょうか。私見を述べますと、仮に「発達障害」と診断が付くと、その人が今まで悩んできた「生きづらさ」、「(その人の)特性の中で凸凹した部分」が明確になるわけですから、これからの社会生活を円滑に過ごすための対策が立てやすくなります。つまり、「支援」のポイントが見えるわけですから、職場も当該労働者への対応が円滑になると思います。積極的に「発達障害」を見つけ出す必要はありませんが、「困った労働者」の中には「発達障害」の事例も含まれている可能性があると思われます。産業医の皆様、ご自分の医療機関では対応が困難と判断される事案が発生した場合は、まずは、鹿児島産業保健総合支援センターに相談に行くようにご指導ください。当該労働者もセンターであれば「無料相談所」ですので相談がしやすいと思います。

最後になりますが、私は司法精神医学という領域にかかわり、ライフワークとしている研究(犯罪病理学)があります。研究は、「こだわり」がなければ結果が出ません。しかし、この「こだわり」という点にのみに注目した医師は、私を「発達障害」と診断するかもしれません。でも、この「こだわり」がなければ犯罪病理を解明することはできませんし、そもそも私は「発達障害」ではありません。つまり、横断的な症状・特性のみで診断を付すのではなく、縦断的視点で診断を行わなければ、拡大診断・過剰診断になることを付記しておきます。

まだまだ、新型コロナウイルス感染症との闘いが続いていますが、会員の皆様ご自身も心身を健全に保つことが大切です。時節柄、皆様のご健康をお祈り申し上げます。

令和4年10月 第856号 掲載
「産業保健の話題(第254回)」

一口30回

鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員
 松下 幸誠
(担当分野:産業医学)

COVID-19パンデミックはいつまで続くのでしょうか。一度変容した生活様式はなかなか戻ることはないように思えます。

学校歯科医を担当する小学校の養護教諭から、肥満傾向の生徒が増え、小中学生の運動能力・体力テストの点数がこの2〜3年急激に低下していると相談を受けました。一般社団法人 日本生活習慣病予防協会のパンデミック下でのアンケートの報告書(2021.11.10)によると『約6割の人が生活習慣の変化を実感。コロナ禍で起きた体調変化TOP3は「目の疲れ」「体重増加」「体のだるさ」。運動習慣は「減」、体重や間食は「増」。医師の2人に1人が「脂肪肝」リスクに警鐘』とのこと。つまり小中学生だけの問題ではないようです。これらの解消法は、カロリー制限、運動の実践、規則正しい生活習慣。しかしながらこの行動制限を中心とした生活様式での実践は困難です。子ども達には「食事時刻をなるべく決めて、ひとくち30回!よく噛んで食べてね」と声掛けしました。

厚生労働省は健康寿命を伸ばすため「噛ミング30(カミングサンマル)」というキャッチフレーズを提唱しています。

なぜ「一口30回」なのでしょうか。話は今から100年以上前に遡ります。アメリカの時計商ホーレス・フレッチャーは無類の美食家で暴飲暴食を続けた結果、身長170cm体重100kg、腹囲は150cm、40歳の若さで白髪頭‥つまり未病の状態となってしまいます。生命保険の加入も拒否され絶望の淵にいた彼は、ある言葉に救いを求めます。それはイギリス首相を務めていた長命のウィリアム・グラッドストンの「天は私に32本の歯を与えたから、いつも32回噛むようにしている」という言葉。フレッチャーはそれを愚直に実践、みるみる体重が減少!健康な体に回復しました。

事業でも大成功をおさめた彼はこの健康法を広めようと世界各地を訪れました。一口30回は、この「フレッチャリズム」から来ているのです。

「マインドフルネスイーティング」をご存知でしょうか。

食事を通じ自身の内部(身体と脳と心)と外部(自分を取り巻く環境)に意識を集中することです。批判や判断はいっさいせず五感をフル活用して、味のみならず、食前、食中、食後の体の感覚、心境の変化まで感じとります。噛む回数よりも噛むスピードを落とすことが大事です。何度も何度も噛んで味と食感、風味を感じ、生きていること、食事ができることに感謝しながら嚥下します。そこには、感謝と喜びしか存在しません。「食べる」という行為に関わった人々と命を提供してくれた自然にも思いを巡らし、全てに感謝します。どんなに忙しくても、愛と感謝を持って行う「マインドフルネスイーティング」は食事時間中のたった1分でも2分でも可能です。できれば「一口30回」時間は20分程度がほどよくいいかもしれません。是非、お試しください。

令和4年9月 第855号 掲載
「産業保健の話題(第253回)」

楽しく働いていくためのフレイル予防

鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員
 網谷 東方
(担当分野:メンタルヘルス)

現代医学の発達に伴って人間の寿命は延び、世界の総人口に占める高齢者の割合とその数は急速に増加しています。2020年の国連の報告によると、世界の65歳以上の高齢者数は2020年に7億2,700万人に達し、2050年には2倍以上の15億人を超えると予測されています。我が国は世界に先駆けて超高齢社会となり、その高齢化率は28%を超え、世界第一位です。平均寿命が延び、元気な高齢者が増えているといわれておりますが、2019年の厚労省の発表では、健康寿命は男性で約9年、女性で約12年、それぞれの平均寿命より短いとの結果でした。

健康寿命延伸を阻む最大の障壁は「フレイル」といわれています。フレイルは、「虚弱」を意味する英語「frailty:フレイルティ」を元にした造語ですが、「加齢に伴う様々な機能変化や予備能力低下によって、健康障害に対する脆弱性が増加した状態」と理解されております。さらにフレイルは、要介護の前段階と考えられており、フレイル人口の増加は、医療・社会制度へ大きな負担を与えることとなります。この様な背景から、2020年4月、75歳以上の後期高齢者を対象としたフレイルの予防・重症化予防に着目した健診、いわゆる「フレイル健診」が開始されました。Friedらは、フレイルを①体重減少、②疲労感、③活動度の減少、④身体機能の減弱(歩行速度の低下)、⑤筋力の低下(握力の低下)のうち、3項目以上該当することと定義しております。このフレイルの最大の危険因子と考えられているのが、サルコペニアです。

サルコペニアとは、高齢期にみられる骨格筋量の減少と、筋力もしくは身体機能(歩行速度など)の低下をきたした状態のことです。筋力の低下については握力、身体機能については歩行速度の測定を行います。筋力や身体能力の低下がある場合には、筋肉量の測定をして診断することになります。サルコペニアの原因としては、加齢の他に、低活動、低栄養や疾患があります。65歳以下の人でも、デスクワークや自動車に頼る生活習慣などによって、筋肉が著しく減っている場合があります。今後、在宅勤務やモバイルワークが増えると、サルコペニア予備軍はさらに増えるかもしれません。サルコペニアは痩せた人を想像するかもしれませんが、肥満にサルコペニアを合併することがあり、これをサルコペニア肥満といいます。

サルコペニアの自己チェック法として、「指輪っかテスト」があります。手足が細くなった状態は、サルコペニアの疑いが強くなります。両手の親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎの最も太い部分を囲みます。「隙間ができる」と、サルコペニアのリスクが高いといわれています。

サルコペニアの予防には、運動と栄養が重要です。運動に関しては、歩行などの有酸素運動に加え、レジスタンス運動を週2〜3回の頻度で、3ヵ月以上継続することが非常に大切です。栄養に関しては、タンパク質が多く含まれる肉や魚、大豆、牛乳などの摂取が重要です。2022年3月、東北大学を中心とした研究グループは、週に30分から60分のレジスタンス運動は、がん、心臓病、糖尿病などの深刻な慢性疾患による死亡リスクを10%から20%下げ、健康寿命を延伸させるとBritish Journal of Sports Medicine誌で報告しました。有酸素運動だけでなく、定期的な筋力トレーニングを行い、バランスの良い食生活を心掛け、健康で楽しく働いていきたいものです。

令和4年8月 第854号 掲載
「産業保健の話題(第252回)」

多様性(たようせい)とは

鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員
 山喜 高秀
(担当分野:カウンセリング)

昨今、いたるところで「多様性」という言葉を見聞きするようになってきました。身近なところで言うと、私が勤めている大学の心理系学生の卒業論文のタイトルにも、「LGBTQ+にまつわる性の問題」や「発達障害に関するイメージ」など、まさに「多様性」に関するテーマが増えてきています。学生たちは、このテーマを通して、これまでも社会に存在していたにもかかわらず、多くの人と異なる特徴を持っているために社会からの十分な理解を得られず苦しい思いをしてきた人たちに社会の目が向けられる必要性を訴えています。加えて、今の時勢を見れば明らかですが、自然環境問題(生物多様性の危機)や人種や文化的多様性の危機など、私たちは「多様性の喪失」という深刻で喫緊な問題に晒されているといえます。

ここで、あらためて「多様性」とはどういうことなのか、私が携わっている心理学の立場から考えてみたいと思います。毎年、小学校から高校にかけて、多くの学校で教職員研修を行っています。そこで、必ずと言っていいほど先生方に尋ねている質問があります。「そもそも普通とは何か?自分を普通だと思われる方は?」という質問です。すると時々数人の先生は「自分は普通だ」と手を挙げますが、多くの方々は苦笑いをしながら互いに見つめ合っている光景を目にします。そこで次にお話ししていることは、「もし普通を平均と捉えるなら、これまで何千人もの知能検査結果(通常10程度のいろいろな知的能力を測定)を見てきましたが、一人としてすべての能力が平均値の人に出会ったことがないこと。また、まるっきり同じ性格の人たちに出会ったことはありません」ということです。そもそも人はみんなそれぞれの凸凹を持っている十人十色の存在だということです。自分の凸は誰かの凹であり、その逆もしかりで、だからこそこの世の中はお互い様で成り立っているのです。

別な見方をすれば、多様性とは個人間の差だけでなく、ひとりの人間の中にもいくつもの側面(多様性)がある存在なのだと言えます。そして、社会はそんな多様な個人間の多様な関係性(つながり合い)の中で成り立っている世界だと言えます。また、精神医学の世界でも、発達障害について「障害か普通かといった線引きの考え方」から「2つはその程度の問題で連続的なもの(スペクトラム)」という捉え方に大きく転換してきています。

つまり、世界は線引きできるものではなく、それぞれの存在の意味を認め分かち合うことでしか成り立たないことを、今一度深く捉え直さなければならない時代が来ているといえるでしょう。とはいえ、この多様性にまつわる深刻な問題の背景には、生まれ育ってきた環境で刷り込まれた感覚や自分自身が気づいていない無意識の偏見が潜んでいることも忘れてはならないことです。

令和4年7月 第853号 掲載
「産業保健の話題(第251回)」

医師団体の禁煙活動とJ-STOP

鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員
 徳留 修身
(産業医、元・保健所長)
(担当分野:産業医学)

1.喫煙を目的とする離席(喫煙離席)
勤務中に持ち場を離れて喫煙場所に向かう職員について対応に苦慮する事業所もあると思われる。頻繁な離席は職務専念義務違反とか非喫煙者との業務量の不公平性が問題とされうる。一方、産業保健の分野で活用しうる「離席のルール」の事例がJ-STOP(Japan Smoking cessationTraining Outreach Project)のWebページ内の動画で公開されているので、視聴をお勧めしたい。J-STOPは禁煙医師連盟(正式名称:日本禁煙推進医師歯科医師連盟)が開発した禁煙指導者トレーニングプログラムである。そのホームページ(http://www.j-stop.jp/)から「Web簡易学習プログラム」に進むと、6コマの講義のタイトルが講師の写真付きで紹介されている。産業医科大学の大和浩教授による「職場における受動喫煙防止対策」の講義を選択し、「講義を開始する」に進むと所属団体を問われるので「その他の団体」を選択して「次へ」に進む。約16分のビデオによる講義の中で、ある会社の「喫煙離席のルール」の実例が7分50秒あたりから紹介されている。会社は「社内は禁煙で喫煙離席は7分以内」を原則とし、「喫煙離席中はそれを示す旗を立てる」、「離席の際はタイマーを7分にセットし、戻る前に鳴ったら千円の罰金」、「喫煙離席中に電話が鳴り同僚が対応したら千円の罰金」などのルールを実施した結果、会社で喫煙者がゼロになったとのことである。

2.禁煙に取り組む医師の全国組織
先述の禁煙医師連盟の設立準備段階から関与した立場からその経緯を紹介したい。1989〜1990年頃、東京都に所属する斎藤麗子医師が、禁煙を推進する医師による全国組織の設立を提案した。それに応じた国立公衆衛生院のM医師、国立がんセンターのK医師、それに結核研究所(東京清瀬)に勤務していた筆者を含む合計4人が医師連盟の設立準備会として国立公衆衛生院で毎月ミーティングを開いた。当時4人のうち3人は40代でK医師のみが30代であった。そのため先駆的な研究や活動を推進しておられた平山雄(元・国立がんセンター)、五島雄一郎(東海大学、連盟の初代会長)、島尾忠男(結核研究所)の諸先生方(いずれも故人)からの支援や指導をいただいたことは幸いであった。医師に限定せず歯科医師にも加わってもらうという方針に至った背景には、鹿児島市の歯科医師、市来英雄先生の先駆的な啓発活動が知られていたこともある。

発会式は1992年の世界禁煙デー(5月31日)に都内のホテルで盛大に開催された。議論の中で組織の正式名称を「日本禁煙推進医師歯科医師連盟」とする案が出された。発会式の様子は当日夜のNHKテレビが全国ニュースで放映した。連盟が正式に発足すると筆者は役員として会報の編集などを担当していたが、1999年に故郷の鹿児島に戻り、公衆衛生行政に従事した。4年後の2003年の第12回連盟総会は市来英雄先生を大会長として、鹿児島県歯科医師会館で開催された。全国からの参加者により、熱気あふれる盛大な集いとなった。市来先生は長く連盟の運営委員を務めていただいたが、2013年他界された。筆者は一昨年70歳を区切りに役員を退いた。発会式からちょうど30年が経過した現在、連盟の会長を務める先述の斎藤麗子先生の長年にわたる活動には同志ながら頭が下がる。

3.禁煙活動の今後
禁煙は産業保健のみならず健康づくりの最重要課題のひとつである。取り組みの究極の目標は喫煙率をゼロにすること、そして「タバコのない社会」を実現することであろう。今後とも公衆衛生、教育、さらに法的規制など各分野における強力な活動が必要と思われる。

令和4年6月 第852号 掲載
「産業保健の話題(第250回)」

コロナ禍を日々歩く

鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員
 野添 新一
(担当分野:メンタルヘルス)

コロナ禍が報道されてから、3年目を迎えた。この3年間、学生も感染予防のためマスクをして登校、修学旅行なども休止され、学校の行事なども制限、いつもとは異なる日々を過ごしていた。学生のみならず一般人の日常行動も制限され通常では味わえないような新たな行動もあったに相違ない。小生が月1回職員検診に行くA病院では、コロナ患者入院に際し患者2人が急死したので、病床20床を8床としてコロナ病棟「医療チームCOVID-19」(医師や各領域の職員等を含む)を形成、昨年夏から高齢者のコロナ患者の入院治療にあたったところ経過は良好となり、以後の死者は出ていない。昨年末、病院保育所で子供の感染があり家庭内で職員が罹患、それがもとで院内感染が出現したが幸いに大事には至らなかった。A病院ではコロナチーム形成から、罹患者の早期診断による休養、院内の話し合いなどを徹底、早期診断による休職、毎朝のチームによる話し合いなどを徹底したところ重症化を予防できた。昨年末、職員の子供が学校で罹患、その職員も感染するも異常事態には発展しなかった。

B病院(鹿児島県某市、精神科・心療内科)では、月2回外来診療に従事しているが、本年1月に院内職員の子供が学校で罹患、それがもとで家庭内感染が発生、その職員の罹患が原因で院内感染が発生した。院内患者144名、職員33名が罹患(クラスター)し、肺炎死1名、血管梗塞死2名があり、その感染力の速さに驚かされた。そのため1月、2月は外来診療中止となり、小生も高齢者ゆえ感染の危機に曝された。この2年間、日常における夜間の行動、食事等も制限され通常とは異なる日々が続いている。コロナ禍が持続する背景にはコロナ自身の変異が関与していると思われる。地球環境の変化や温暖化、都市化などはウイルスにとって存亡の危機にあるので抵抗を続けているのではないかと思う。最近県内でも死亡者は150人を超えてしまった。地球規模で死者は600万人を超えたと報じられているが幸い日本などの死者は少ない。その理由として報じられているのは「BCGがコロナウイルス感染症の重症化や致死率の抑制に関係する可能性」が報告1)されている。鹿児島における「まん延防止等重点措置」は解除されたが感染者の著明な減少はない。東京中心の大都会では「まん延防止等」は延期されたが目立った減少はない。経済を優先させようとする思いとのずれがあるのかもしれない。日本において沖縄などは増加に転じており、ここにも旅行者による影響は否定できない。中国では2年前徹底した予防行動対策を行いコントロールされていたが、最近広東省深圳市で新型コロナが発生し、都市封鎖がなされ、通常歩行、地下鉄禁止など制限が持続されている。各自いまだ日常行動自粛が求められる昨今である。

1)宮坂昌之著 新型コロナ七つの謎 最近免疫学からわかった病原体の正体 ブルーバックス 2020

令和4年5月 第851号 掲載
「産業保健の話題(第249回)」

鹿児島市CKD予防ネットワークからの学び:健診事後措置への産業医の関わり

鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員
 堀内 正久
(鹿児島大学 衛生学・健康増進医学 教授)
(担当分野:産業医学)

産業医としての職場健診データに基づく就業判定は大事な業務である。産業医の視点は、業務と健康障害の関係性を判断することであり、健康障害の程度において就業が可能か、別の業務への移動が適切かどうかの判断が求められる。一方、職業病といった因果関係が明瞭な健康障害だけでなく、業務が健康障害を増悪させるといった「作業関連疾患」の考え方が導入され、がんを始めCKDなどの生活習慣病も職場健診の対象になりつつある。ただ、法的には、「法定項目」といった縛りがあることから、がん検診やCKD健診に関しては、健康増進法に基づき、職員の健康を守るためといった解釈も必要かもしれない。

CKDに関しては、鹿児島市に限らず、鹿児島県内の多くの地域で、「予防ネットワーク」事業が展開されている。メタボ対策とは異なり、CKDに関しては、「健診」を受けない限り、自分自身の「腎臓の状態」を把握することは難しい。メタボ健診が、成功体験になりうるのは、「肥満度」は、体重測定という身近に実施できる方法が存在するからである。鹿児島市CKD予防ネットワークでは、健診で抽出された方をCKD登録医(かかりつけ医)に紹介し、必要に応じて、腎臓診療医(専門医)に紹介する医療連携の仕組みが構築されている。CKD登録医に紹介された対象者は、保健所に報告をしてもらうことになっており、その結果を図に示す。

右が、鹿児島県民の保険者別の加入者割合で、左がCKD健診で抽出され登録医に紹介された方(保健所に報告)の保険者別の割合である。抽出者の加入保険者割合に大きな偏り(ほとんどが国保加入者)が存在することに気づく。被用者保険加入者にCKD対象者が少ないわけではないことは、別の解析で明らかになっており、健診での抽出・勧奨ができていない状況がうかがえる。
「産業医の皆さまへのお願いとして」
①事業主健診へのCKD項目追加について、事業主と検討(生活習慣病予防健診受診など)
②事業主健診にCKD項目が入っている場合は、「CKDステージ」を判定し、必要に応じて、登録医や専門医への紹介を考慮する

といった、「産業医の活動」を少し超えた活動があっても良いのではと考える。国保加入者については、保健所やJAなどが積極的に抽出・勧奨に努めるが、被用者保険加入者は、抽出・勧奨のパワーがやや不足している現状が存在する。「産業医」の業務が、職員の健康を維持するためにあるという原則に基づき、健康増進法がらみのがん検診やCKD健診に関わることは時代の流れに沿っていると考えてみても良いのではと思う。

令和4年4月 第850号 掲載
「産業保健の話題(第248回)」

飲酒運転と依存症について

鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員
 竹之内 薫
(鹿児島県精神保健福祉センター 所長)
(担当分野:メンタルヘルス)

令和3年における鹿児島県内の交通死亡事故死は47人と71年ぶりに50名を下回ったと報道があった。しかし昨年飲酒運転による事故が続発し、鹿児島市では飲酒運転による痛ましい交通事故が2件あった。いずれも飲酒後に運転し2名の方が犠牲になられた。千葉県でも下校中の小学生の列に飲酒運転のトラックが突っ込み、小学生2名が死亡し、3名が怪我を負う交通事故があった。

飲酒運転には、酒気帯び運転時は呼気中のアルコール濃度により免許取り消しや免許停止、酒酔い運転時は無条件で免許取消など厳しい処分がなされるが、飲酒運転事故がなかなか無くならないのは、やはりアルコール依存症という病気の難しさが原因ではと思われる。鹿児島市の事例はいずれも20歳代の飲酒運転でアルコール依存症であったかはわからないが、一時大量飲酒していたと思われる。千葉県の事例は、公判での運転手の証言からアルコール依存症が疑われている。多くのアルコール依存症者は病気であることを否認しており、治療に結びつけるのがなかなか難しい現状がある。アルコール肝炎など身体的な治療は受けるも、精神科治療への同意は得られず治療になかなか結びつかない。また依存症を抱える方々の特徴として、人を信じられない、本音を言えない、自己評価が低いなど様々な問題を抱えていることも多いと言われている。

鹿児島県精神保健福祉センターでは、令和元年度より専門医による依存症専門相談と依存症家族教室を月1回行っている。それぞれ予約が必要であるが、依存症専門相談は家族のみでも受け付けている。依存症家族教室では家族にも依存症という病気への考え方、対処の仕方などを学んでいただいており、令和2年度は新型コロナウイルス感染症のため開催できない月もあったが、延べ40名の家族が参加された。依存症が疑われる方々を専門医へ結びつく窓口として利用して欲しいと考えている。

また依存症でなくても、「少々ならいいだろう」「事故を起こさなければいいだろう」「少し眠ったので酔いがさめたと思った」など、飲酒運転への安易な気持ちも多いと思われる。飲酒後睡眠をとると、身体からアルコールが脱けるのに逆に時間がかかるという事実も認知されていない。また焼酎は飲酒量を把握しにくいと言われており、WHOが提唱している健康被害のないアルコール量を知ることも大事であり、できればお酒とは上手に楽しく付き合ってほしいものである。

令和4年3月 第849号 掲載
「産業保健の話題(第247回)」

少子化対策・育児支援策の切り札に成るか男性育児休業

鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員
 德永 龍子
(鹿児島純心女子大学名誉教授)
(担当分野:保健指導)

新型コロナ危機で世界中の出生数急減を受け、世界で類を見ないスピードで少子高齢化がすすむ日本では少子化対策・育児支援策の拡充を急いでいる。ニッセイ基礎研究所調査で子どもの数が減った理由の1番は「経済的不安」だった。その対策には、子育て環境の整備や支援に加えて、出産や結婚を躊躇させるような経済不安を和らげる事が肝となる。政府は、出産費用の給付、不妊治療の医療保険対象化、18歳以下の子どもへの10万円給付、育児休業時の給付金、企業助成金を準備している。それでも、日本の子育て関連支出の国内総生産(GDP)比は1%台で、欧州諸国3%台を下回る。日本の出生数は2020年84万832人、2021年予測は約80万人で、2015年前10年間の100万人台から20%急減している。

政府では「こども家庭庁」創設を本格化して財政支援や少子化対策に本腰が入りそうである。現状のままでは、労働力の減少などで経済成長力を押し下げ、世界経済で存在感を示せなくなる。少子化対策・育児支援策の財政支援は「子どもの質」の向上、子育て環境の整備や支援による負担減は「子供数増」につながり得る。

これまでも政府は、「イクメンプロジェクト」として、2013年から「イクメン企業アワード」、2014年から「イクボスアワード」両立支援の上司表彰制度、「くるみん」子育てサポート企業の認定と表彰制度で社外評価も高まってきた。2019年12月「まち、ひと、しごと創成総合戦略」で2025年までに男性育休取得30%目標を明記した。これらの取り組みをユニセフは、「先進国における家族にやさしい政策ランキング」で世界一に選んだ。その成果は、2020年度男性育児休暇(以下、育休という)取得は目標13%に対し12.65%で5日未満が28%である。未取得理由は「知らない」「取得しづらい職場雰囲気」等である。一方、前年率先取得の発表をした中央省庁の国家公務員は3,090人51.4%が取得し、2週間〜1か月52.6%、5日〜2週間18.4%、1か月〜3か月15.5%であった(2021.10.8日経新聞)。

さらなる取得促進のため、政府は2021年6月3日改正育児・介護休業法を成立させた。男性の育児参加、環境整備がメーンである。2022年4月から「育児休業の周知・意向確認の義務化」で社内の育休取得の雰囲気づくりをして雇用環境整備のためのガイドラインが示される。10月からは、父親が子の生後8週間以内に最大4週間の休業を取れる。休業方法は、労使の合意で2回分割可能でスポット就労も可能となる。別枠で1歳までに2回取得可能で最大4回となった。休業取得申請書提出も休業の2週間前までに短縮した。経済支援としては、雇用保険から育児休業給付が通算180日まで67%給付される。取得方法により年金・健康保険料免除も申出可能で約80%補完となる。2023年4月からは従業員千人超の企業には育休取得率公表が義務づけされる。

企業側には、「出生時両立支援助成金」が出る。社会保険労務士に相談し「イクメン応援」の労働環境整備は、優秀な人材確保のために必要不可欠である。男子学生の4割以上が「育休を取って積極的に子育てしたい」考えで、女子学生も働き続ける前提で将来を考えている。

会社に制度がなくても、1年以上雇用、子1歳以降も引き続き雇用、子2歳の誕生日までに労働契約期間満了しており引き続き雇用見込みの3条件で取得可能である。男性の育児参加は、①夫婦の愛情関係を深め子ども数増の意欲向上のメリット②子ども教育にも自己肯定感をあげるメリット③夫婦の休暇期間の短縮により継続就労の促進につながりキャリア形成にメリットがある。企業で柔軟に取り組めば育休制度の義務化など思い切った制度変更にも対応でき、男性育休取得増は企業として生き残る必要条件といえる。

令和4年2月 第848号 掲載
「産業保健の話題(第246回)」

両立支援にご協力ください

鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員
 小田原 努
(担当分野:産業医学)

最近いろいろな疾病の復職面接が増えてきました。メンタルヘルスの復職が多いのはもちろんですが、再雇用等で、高齢になっても働く人が増え、がん患者の復職も増えています。ある規模の企業となると、連鎖的に高齢者のがん罹患者が発生して、頭をかかえている担当者に相談を受ける事もよくあります。また4、50歳代の女性に多い、乳がんの復職面接もよく経験します。術後に放射線治療を受けたり、外来で化学療法を行うことが多いのですが、働きながら治療を受けられるのにパートやアルバイトの非正規雇用の方は仕事を辞めてしまわれますし、福利厚生の整った企業の方は、長期の休職を選択して治療を受けられる方が多いようです。また昔は退職されていた難病の方も新しい薬の導入で、働きながら治療を受けられる方が増えています。

このような中、働きながら治療を受けられる方を支援するために、「療養・就労両立支援指導料」が算定できるようになっています。対象疾患は、悪性腫瘍、脳血管疾患、慢性の肝疾患、指定難病に限られますが、患者や事業所から、仕事の内容等の「勤務情報提供書」を主治医に提出し、主治医が両立支援に必要な情報、例えば、会社に配慮していただきたい事柄を提供すれば、初回800点、2回目以降は、初回を算定した月から起算して3月を限度として、月1回400点算定できる仕組みです。主治医は1回目に、勤務情報提供書をもとに、就労と治療の両立に必要な情報を文章等で本人経由により、事業所の担当者や産業医に渡せばよいのですが、注意する点は復職可能の診断書を作成した場合、どちらか一方は料金を取れない事です。

産業医としては、主治医と情報を共有しながら、患者をサポートしたいのですが、復職面接を企業より依頼される時は、すでに「復職可能と主治医が判断した診断書」を提出されている場合が多く、復職面接時に勤務情報提供書を本人と一緒に作成して、主治医に意見書を作成していただくと、患者の金銭的な負担が大きくなってしまいます。理想的には、復職可能の診断書に替えて、主治医意見書がいただければ患者の負担が少なくて済むと思います。復職可能の診断書を作成する前に、「勤務情報提供書」を患者に作成してもらい、それをもとに復職可能の診断書を兼ねた主治医意見書を作成していただくと助かります。

勤務情報提供書や主治医意見書の様式は、厚生労働省のホームページの「治療と仕事の両立について」の参考資料(ガイドライン内)にある「勤務情報を主治医に提供する際の様式例」「治療の状況や就業継続の可否等について主治医の意見を求める際の様式例」にPDFが掲載されていますので、ダウンロードしてご利用できます。

ぜひ、治療と仕事の両立支援のご協力お願いいたします。

令和4年1月 第847号 掲載
「産業保健の話題(第245回)」