メールレター 第255号
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≪「さんぽ鹿児島」メールレター≫ 第255号(2024.6)
発行:鹿児島産業保健総合支援センター
所長 草野 健
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相談員からのメッセージ
発達障害は何歳頃からはっきりしてくるのか?
産業保健相談員 野添 新一
(担当分野:メンタルヘルス)
A君の母親は定職もあり健康であったが、父親は定職なく長年体調不良が持続していたが、最近魚釣りやパチンコに通うようになっていた。A君は幼少時より睡眠障害などを訴えていたが小、中、高校、大学などの長期欠席もなく対人関係に大きな問題はなかった。ただし幼少時より一人兄弟であったため、他者との付き合いは少なく、発達障害が問題となっていた。また算数など科目別の善し悪しもはっきりしなかった。令和2年9月某大学心理室より、学校不適応、うつ状態、SDS68点、IQ71との連絡があり当科で経過を診ることにした。大学卒後、就職していなかったが、就職担当者との話し合いで夜間働く事を了承した。はじめ抗うつ剤、催眠剤、抗不安薬などを投与し、2か月後より、精神賦活剤ストラテラ剤40mg1錠を併用、6か月後より2錠へと増量した。睡眠障害などはあったが、2週間に1回の受診で催眠剤服用等について説明を加えた。当院での通院で3年が経過、外来通院はほとんど休みなく、仕事への適応も良く、この間、多動性、不注意、衝動性などなく、発達障害に特徴的なサインはなかった。服薬約3年経過した来月から、朝10時から午後4時までの仕事に変更できるかどうかしばらく経過を見たいとの訴えあり。精神賦活剤の併用が、幼少時からの発達アンバランスか、発達障害のどちらに効果があったのか明確にできていない。昼間の労働状態が良好であればストラテラ剤の効用があったものと考えたい。
産業保健研修会・セミナーのご案内(6月~8月開催分 受付中!)
┏―[ 産業保健研修会の詳細・申込はこちらから ]―――――┓
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/h2335
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治療と仕事の両立支援Webセミナーのご案内
『人事労務担当者・管理職必見!~人を大切にするアプローチ~』再掲
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日 時 | 令和6年6月11日(火)14時~16時 |
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開 催 方 法 |
オンライン(Zoom使用) |
対象者 | 事業者、人事労務担当者など |
内 容 |
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定 員 | 70名 |
申 込 方 法 |
メールフォーム ※令和6年6月5日(水)までにお申し込みください。 |
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治療と仕事の両立支援【親子参加型】セミナーのご案内
『社会の仕組みを子どもと一緒に学ぼう!』
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日本の総人口は、平成20年をピークに23年以降は一貫して減少しています。
また少子・高齢化も進み、労働力人口が減少している中で、医療は進歩し、働きながら治療を行う労働者は増加しています。そのような社会的背景からも、ワーク・ライフ・バランスやダイバーシティ&インクルージョン等が推進されています。
今回、当センターでは治療と仕事の両立について親子で考える機会として、親子参加型のセミナーを開催することとしました。
皆さまのご参加をお待ちしております。
日 時 | 令和6年7月20日(土)14時~16時 |
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会 場 | Li-ka1920 5階 貸会議室B |
対象者 | 小学5年生以上の子どもと働く親(雇用形態は問わず) |
内 容 |
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定 員 | 15組 |
申 込 方 法 |
メールフォーム https://ssl.formman.com/t/gFqY/ ※令和6年7月12日(金)までにお申し込みください。 |
その他 | 託児なし |
【当センター主催のセミナーに関するご案内】
当センターでは産業保健研修会以外に、事業場向けのセミナーも開催しています。
ホームページにセミナーの専用ページを開設しておりますので、産業保健活動の取組みにお役立てください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/information/seminar
お知らせ
<鹿児島産業保健総合支援センター>
産業保健に関するご質問・ご相談を受け付けています。
治療と仕事の両立支援対策やメンタルヘルス対策をはじめ、産業保健に関する様々なご質問・ご相談を受け付けています。(オンラインによる相談も可能です。)電話やFAX、ホームページからお気軽にご相談ください。
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/otoiawase
治療と仕事の両立支援について
治療と仕事の両立に関するお悩み等について、事業場関係者や産業保健スタッフ、がんなど反復・継続して治療が必要な患者(労働者)やその家族からの相談に、当センターの両立支援促進員又は産業保健専門職(保健師)が相談に応じます。(オンラインによる相談も可能です。)
両立支援に関する相談、各種支援は無料です。
▼治療と仕事の両立支援(支援内容、相談窓口、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat765
医療機関の両立支援(出張)相談窓口につきましては、事前予約の状況等により、窓口業務を中止する可能性がありますので、当センターのホームページで事前に確認いただきますようお願いいたします。
☆★治療と仕事の両立支援(出張)相談窓口の開設のお知らせ★☆
【 公益社団法人鹿児島共済会 南風病院 】
当センターでは、「公益社団法人鹿児島共済会」と令和6年5月15日に治療と仕事の両立支援事業実施に係る協定を締結し、同日より南風病院に「両立支援相談窓口」を開設しています。開設の日時は、以下のとおりとなっています。
≪南風病院≫
日時:毎月 第3水曜日 10:00~12:00(ただし、祝日は除く)
場所:南風病院 医療福祉相談室(TEL 099-226-9111 代表)
※事前予約制となります。
※予約は、平日が8時30分から17時30分まで、
土曜日が8時30分から12時30分まで受け付けています。
詳細については、こちらをご確認ください。
▼南風病院 両立支援相談窓口 案内チラシ
https://kagoshimas.johas.go.jp/wp-content/uploads/2024/05/R6.5_nanpu.pdf
メンタルヘルス対策支援について
当センターのメンタルヘルス対策促進員(産業カウンセラーや社会保険労務士など)が事業場に訪問し、職場のメンタルヘルス対策に関する取り組みを無料で支援します。
また、事業場訪問以外のご相談(対面・電話・メール・オンライン)にも対応いたします。オンラインによる研修も対応可能です。
▼メンタルへルス対策支援(支援内容、申込フォームなど)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/mental
運動指導等支援について(新規支援事業)
健康で安心して働ける職場環境の形成を支援するという産業保健の観点から、運動指導等を通じた労働者の健康保持増進について取り組むため、産業保健相談員(健康運動指導士)による個別訪問支援等を実施しています。事業場が行う健康教育等において、是非、ご活用ください。
▼運動指導等支援(支援内容、申込フォーム)
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/undou
地域産業保健センター(地域窓口)について
各地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、健康診断結果の意見聴取、健康相談、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導、保健指導等の産業保健サービスを無料で行っています。
▼地域産業保健センターについて
https://kagoshimas.johas.go.jp/about/about_category/cat638
<労働者健康安全機構情報>
労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。
▼労災疾病等医学研究普及サイト
https://www.research.johas.go.jp/index.html
▼「生活習慣病」について
https://www.research.johas.go.jp/seikatsu2018/index.html
▼「メンタルヘルス」について
https://www.research.johas.go.jp/mental2018/index.html
▼「アスベスト」について
https://www.research.johas.go.jp/asbesto2018/
▼「治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル」について
★両立支援コーディネーターマニュアルはこちら
https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1047/Default.aspx
★両立支援コーディネーターについて知りたい方はこちら
https://www.research.johas.go.jp/ryoritsucoo/
▼「病職歴データベースを活用した研究」について
https://www.research.johas.go.jp/bs/
▼「じん肺」とは
小さな砂ぼこりや金属粉など微細な粉じんを大量に吸入し続けることで、肺が固くなって呼吸が困難になる疾病のことです。 じん肺法では「粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病」と定義され、粉じん作業従事労働者は、地方じん肺診査医の診断結果によって「じん肺管理区分(管理区分1~4)」で区分されます。
じん肺の所見があり、6つの呼吸器疾患(肺結核、結核性胸膜炎、続発性気管支炎、続発性気管支拡張症、続発性気胸、原発性肺がん)が認められると、労災補償の対象となります。
▽労働者健康安全機構での研究
当機構では過去、じん肺の合併症や診断方法について研究を行ってきました。令和5年度からは、新たに3つの研究項目を設定し、じん肺の労災認定の迅速・適正化に寄与することを目的とします。
(1)深層学習によるじん肺診断ソフトの開発
(2)間質性肺病変を合併するじん肺症例の予後
(3)続発性気胸の治療についての検討
▼詳しい研究内容は、「労災疾病等研究普及サイト」をご覧ください。
https://www.research.johas.go.jp/jinpai2023/index.html
▼また、当機構では医師対象のじん肺診断技術研修を毎年開催しています。
https://www.research.johas.go.jp/jinpaikenshu/
団体経由産業保健活動推進助成金のご案内
団体経由産業保健活動推進助成金は、事業主団体等を通じて、中小企業等の産業保健活動の支援を行う助成金です。
事業主団体等が傘下の中小企業等に対して、医師等による健康診断結果の意見聴取やストレスチェック後の職場環境改善支援等の産業保健サービスを提供する費用・事務の一部を委託する費用の総額の90%(上限500万円(一定の要件を満たした団体(構成事業主が50以上であること等)は1,000万円))を助成します。
※1団体につき年度ごとに1回限りです
令和6年度の助成金支給の流れは、以下のとおりです。
※原則、先着順で受付します。
※実施計画提出の期日前であっても、予算の上限に達する等の場合は、受付を停止します。
【実施計画提出(交付申請)】
〆切:令和6年12月27日(金) 必着
【計画承認】
実施計画の受付後、原則30日以内
【助成対象】
計画を承認された期間(最長で令和7年2月21日まで)において、提供されたサービスの費用+事務費の総額の90%(上限あり)
【助成金の支給申請】
計画を承認された期間の最終日から起算し、30日後の日又は令和7年2月28日のうち、いずれか早い日まで 必着
【助成金の支給】
令和7年3月31日まで
詳細については、こちらからご確認ください。
▼団体経由産業保健活動推進助成金について
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1251/default.aspx
▼リーフレット
https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/sanpojoseikin/R6/org_josei_leaflet_R6.pdf
「さんぽセンターWebひろば」をリニューアルしました
https://www.johas.go.jp/Portals/0/sanpocenter/webhiroba.html
「治療と仕事の両立支援」の特設ページをリニューアルしました
https://www.ryoritsushien.johas.go.jp/blackjack/
<厚生労働省情報>
化学物質による労働災害防止のための新たな規制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html
転倒予防・腰痛予防の取組について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html
令和6年「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」実施について(再掲)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116133.html
▼職場における熱中症ポータルサイト(外部リンク)
https://neccyusho.mhlw.go.jp/
<鹿児島労働局情報>
鹿児島県内の労働災害発生状況
◯令和6年発生分(4月末)
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/jirei_toukei/toukei/saigaitoukei_jirei.html
最新の業種別労働災害発生状況
⇒「令和6年における業種別労働災害発生状況」をクリック
所長コラム
働き方改革に関連しての諸施策が次々と発出されている。労働衛生の立場からは「賃金によって使用者から雇用される者」としての労働者対象の昨今の施策は「さも在り得べき」でむしろ遅きに失したのでは、とすら感じる。また法令上は「労働者」としては定義されないながら実態としては自己裁量権の殆どない下請けの一人親方や個人商店主等の個人事業主などに対する発注事業場の責任も一定程度規定したことは大きな前進であろう。
産業保健という立場からみると法令上の「労働者」だけに終始することには大きな疑問があった。乳幼児や児童・生徒・学生、闘病中の者や一部の高齢者を除き例え家事専従であっても賃金等の対価なしで働いている者は多い。また「賃金」や「給与」ではなく「報酬」を得て「労働」を提供する行為は法的には「労働」の範疇には入らないし、無料で行なう奉仕活動も労働関連法令の保護からは外れている。
産業保健の目的は「健康で安心して働ける職場づくり」と労働者健康安全機構で定義しているが、働くことによって健康が損なわれることなくむしろ増進することが理想である。そのためには個々の職場自体が健康である「事業場の健康」即ち健康経営という理念も重要である。「労働者」の範疇から除外される経営者も事業場の大小を問わず働いているが、自由主義経済社会の激しい競争状態にあることが中で過酷な労働を強いられている者も少なくない。事業場の「健康」も重要だがそれ以上に安心安全な「社会の健康」も重要と思う所以である。